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よくわかる
デジタルテレビの基本動作と仕組み

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 232頁
ISBNコード 978-4-526-06690-0
コード C3054
発行月 2011年05月
ジャンル 電気・電子

内容

デジタル電子機器開発を担当する電子回路設計者や、これから電子回路を学ぼうとする学生など初心技術者に対して、デジタルテレビがどのような回路、部品で構成されているかを基礎的なデジタル技術とともに解説した本。

相良岩男  著者プロフィール

(さがらいわお)

昭和7年 東京都に生まれる
昭和31年 東京理科大学卒業 物理学専攻
昭和31年 沖電気工業(株)へ入社しED事業部総合技術部技師長を経て、平成3年 KOA(株)常務取締役
平成10年 KOA(株)顧問
主な著書として、「わかりやすいOPアンプ入門」「トコトンやさしい情報通信の本」「A/D・D/A変換回路入門 第2版」「わかりやすいフィルタ回路入門」「わかりやすいアナログとデジタル基本・応用回路入門」「よくわかる デジタル信号処理入門」(以上、日刊工業新聞社刊)など多数。

目次

まえがき

第1章 アナログテレビからデジタルテレビへ
1─1 アナログテレビからデジタルテレビへ─1
1─2 アナログテレビからデジタルテレビへ─2
1─3 テレビも映画も連続的な画像が基本
1─4 テレビでも映画でも重要となる残像現象─1
1─5 テレビでも映画でも重要となる残像現象─2
1─6 人間の視覚が持つ残像特性とは
1─7 人間の視覚を巧みに利用しているテレビ
1─8 テレビでの映像信号と音声信号
1─9 テレビの解像度
1─10 テレビ放送の送信から受像まで
1─11 アナログテレビからデジタルテレビへ
1─12 デジタルテレビの使用面における特徴
1─13 デジタルテレビを支えるデジタル技術
1─14 PCMシステムの基本となる電子回路構成
1─15 デジタルテレビとPCMシステム
1─16 デジタルテレビを支える周辺回路
コラム 機械方式による「ニプコーの円盤」を用いてテレビに挑戦したベアード

第2章 デジタルテレビは視覚・聴覚を巧みに利用
2─1 テレビは人間の視覚と聴覚を巧みに利用
2─2 映像信号に取り込まれる視覚の特性
2─3 色とは
2─4 色の表現
2─5 色の表現で用いられる表色系
2─6 色を表現する色空間
2─7 xy色度図の見方─1
2─8 xy色度図の見方─2
2─9 色情報から色の再現
2─10 デジタルによる色情報の表し方
2─11 テレビでの聴覚機能
2─12 音声の特性について
コラム 安藤博が日本初の機械方式による「ニプコーの円盤」テレビを開発

第3章 アナログテレビとデジタルテレビに共通な基本的動作
3─1 テレビ放送の仕組み
3─2 アナログとデジタルテレビに共通な水平走査と垂直走査
3─3 アナログとデジタルテレビに共通なテレビの走査方法─1
3─4 アナログとデジタルテレビに共通なテレビの走査方法─2
3─5 アナログテレビの映像信号周波数帯域
3─6 カラーテレビの色信号
3─7 アナログテレビで使用されるYIQとは
3─8 アナログカラーテレビ映像信号─1
3─9 アナログカラーテレビ映像信号─2
3─10 アナログカラーテレビ映像信号─3
3─11 アナログカラーテレビ映像信号─4
3─12 アナログテレビでの音声信号
3─13 アナログテレビの送信から受信まで:送信側
3─14 アナログテレビの送信から受信まで:受信側─1
3─15 アナログテレビの送信から受信まで:受信側─2
3─16 アナログテレビの送信から受信まで:受信側─3
3─17 テレビで応用されているスーパーヘテロダイン方式─1
3─18 テレビで応用されているスーパーヘテロダイン方式─2
コラム 高柳健次郎は初めて半電子方式でテレビ放送に成功した

第4章 デジタルテレビの基本回路構成
4─1 デジタルテレビの登場
4─2 デジタルテレビの特徴
4─3 デジタルテレビの放送形態
4─4 デジタルテレビ放送を支える技術
4─5 アナログテレビとデジタルテレビの差異
4─6 デジタルテレビ放送方式
4─7 デジタルテレビの映像信号・音声信号の符号化規格
4─8 デジタル映像フォーマットとデジタル音声パラメータ
4─9 地上デジタル放送の送信側
4─10 地上デジタル放送の受信側
コラム ツボルキンが電子方式の核となる画期的な撮像管と受像管を発明

第5章 デジタルテレビの核となる技術A/D・D/A変換
5─1 デジタルテレビを支えるA/D変換
5─2 映像信号用で要求されるA/D・D/A変換特性
5─3 映像信号用A/D
5─4 デジタル圧縮化・復元化─1
5─5 デジタル圧縮化・復元化─2
5─6 デジタル圧縮化・復元化─3
5─7 デジタル圧縮化・復元化─4
5─8 デジタル圧縮化・復元化─5
5─9 デジタルテレビを支えるD/A変換
5─10 映像信号用D/A変換
5─11 音声信号用で要求されるA/D・D/A特性
5─12 音声信号用A/D変換
5─13 音声信号用D/A変換
5─14 デジタルテレビで用いられるスピーカ
コラム 白黒テレビの実験放送が世界中で始まった

第6章 デジタルテレビの核となる技術OFDM変調
6─1 デジタルテレビにおける変調・復調
6─2 デジタルテレビを支えるOFDM変調─1
6─3 デジタルテレビを支えるOFDM変調─2
6─4 デジタルテレビを支えるOFDM変調─3
6─5 デジタルテレビを支えるOFDM変調─4
6─6 デジタルテレビを支えるOFDM変調─5
6─7 デジタルテレビを支えるOFDM変調─6
コラム 紆余曲折の末に白黒テレビNTSC規格が決定

第7章 デジタルテレビの核となる信号の多重化
7─1 デジタルテレビで必要となる信号の種類
7─2 デジタルテレビで必要となる信号の多重化と誤り訂正
7─3 映像信号と音声信号の符号化
7─4 データ放送用信号の符号化─1
7─5 データ放送用信号の符号化─2
7─6 電子番組サービス
7─7 信号の多重化─1
7─8 信号の多重化─2
7─9 信号の多重化─3
7─10 信号の多重化─4
コラム 日本では白黒テレビ放送規格問題で大荒れした

第8章 デジタルテレビの核となる誤り訂正
8─1 誤り訂正とは─1
8─2 誤り訂正とは─2
8─3 誤り訂正とは─3
8─4 誤り訂正とは─4
8─5 デジタルテレビの干渉妨害
コラム カラーテレビへの挑戦

第9章 デジタルテレビの基本回路構成
(地上波デジタル放送を中心に)
9─1 SDTVでのデジタル映像信号─1
9─2 SDTVでのデジタル映像信号─2
9─3 HDTVでのデジタル映像信号─1
9─4 HDTVでのデジタル映像信号─2
9─5 地上デジタル放送の送信側─1
9─6 地上デジタル放送の送信側─2
9─7 地上デジタル放送の受信側─1
9─8 地上デジタル放送の受信側─2
9─9 地上デジタル放送の受信側─3
9─10 地上デジタル放送の受信側─4
9─11 地上デジタル放送の主な仕様のまとめ
コラム 衛星テレビ放送が始まった

第10章 デジタルテレビの新しい展開
10─1 3Dデジタルテレビ─1
10─2 3Dデジタルテレビ─2
10─3 3Dデジタルテレビ─3
10─4 超高精細デジタルテレビ
10─5 多様化するデジタルテレビの応用
コラム アナログテレビからデジタルテレビへの道のり

索引

はじめに

 有史以来、遠く(tele)の風景(vision)を見たいという人類が熱望していたテレビ放送(television)を実現するには、克服しなければならない数々の技術的に課題がありました。このteleという頭文字は遠距離という意味を持ち、電話(telephone)や望遠鏡(telescope)などでも使用しています。
 テレビ放送を実現するため、どのような仕組みが必要なのか皆目わからない中で、1884年にニプコーが独創的な「ニプコーの円盤」を提案しています。これはテレビ開発の糸口を人類が初めてつかんだ画期的な発明であったといえます。特に重要な点は画像を走査(スキャン)して映像信号に変換するというアイデアでした。やっと、テレビ実現への手がかりをつかんだ好奇心旺盛な多くの挑戦者たちは機械式テレビ開発に没頭しました。紆余曲折の末に本格的な電子式の白黒テレビ開発が技術者によって始まり、1941年7月1日から米国で放送がスタートしています。「ニプコーの円盤」の発明から人類の待ち望んでいた白黒テレビ放送が誕生するまで、何と57年の歳月が流れていました。
 この白黒テレビ放送実用化に当たって、多くの基本的に解決しなければならない5つほどの技術課題がありました。風景からの画像光をどのようにして結像させ、結像からどのようにして映像信号に変換するか(撮像技術)、どのようにして送信側から受信側に映像信号を伝送するか(伝送技術)、伝送されてきた映像信号をどのようにして画像として映し出すか(受像技術)、撮像と受像は常に同じ状態で連動させる必要があるが、これはどのようにしたらできるのだろうか(同期技術)、微弱な映像信号を強くするための方法はどのようにしたらよいのであろうか(増幅器技術)といった課題がありました。これに対し多くの技術者が精魂を傾けて知恵を出し合い未踏の技術開発に没頭しました。やがて、これらの総合的な技術が集結し、待望の白黒テレビ放送が開始されたのです。この白黒テレビ放送は瞬く間に世界へと普及していきました。
 人々はこの白黒テレビ放送に満足せず、カラーテレビ放送へ、さらに放送衛星によるBSテレビ放送へ、高精細な地上デジタル放送へ、3D(立体)放送へと夢は膨らみ続けています。このテレビの発展過程で、常に困難な技術の壁が立ちふさがっていたのです。この壁に挑戦した技術者は驚くべき解決案を次々に提案してこの問題を乗り越えてきました。その結果、テレビは驚異的な発展を遂げてきたということができます。
 だが、これでテレビ放送開発の目標がすべて達成したのでなく、さらに未来に向け夢のテレビを開発すべく研究が進められています。一段と超高精細画面(夢のスーパーハイビジョン)にするとか、超立体的な映像にするとか、超立体的な音響にするとか、といったハード面での展開のみならず、ソフト面でのeテレビへの展開が期待されるようになってきています。これを可能にしているのが、世界的に広がりつつある国境を越えたグローバルな超高速伝送インターネット網の普及です。このインターネットによって、テレビの応用形態が一段と多様化し、多くの応用展開が期待されるようになってきました。今後、通信(携帯網も含め)とテレビとの融合がさらに進み、より高度なIT時代の新しい概念に基づくテレビへと進化していくものと思われます。
 さらに期待されているのは新しいディスプレイ技術です。超高精細で超大型の受像用ディスプレイ、曲がるディスプレイ、3次元対応のディスプレイ、小型で超高精細なディスプレイ、そして全く想像することができない夢のディスプレイなど、多くの新技術を用いたディスプレイが出現していく可能性を秘めています。
 このように発展を続けるテレビ開発で核となるのがデジタル回路技術であり、この技術がデジタルテレビの基本動作を理解することが非常に重要となってきます。この分野を目指す技術者を対象にし、本書はデジタルテレビの基本動作を中心に記述しました。
 最後に発刊に際して、ご尽力をいただいた日刊工業新聞社の方々に感謝の意を申し上げます。

2011年5月
相良 岩男

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