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<塾長秘伝>有限要素法の学び方!
―設計現場に必要なCAEの基礎知識―

定価(税込)  2,592円

監修
著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-06679-5
コード C3053
発行月 2011年04月
ジャンル 機械

内容

NPO法人CAE懇話会の板書中心の「秘伝」講義を公開した有限要素法の入門書。難解な有限要素法をわかりやすく丁寧に解説した本で、有限要素法だけではなく、機械分野のCAE(Computer Aided Engineering)技術の基礎が身につくCAE入門書の決定版。

小寺秀俊  著者プロフィール

博士(工学)
S32年生まれ、大阪府出身
松下電器産業株式会社中央研究所勤務を経て、1993年京都大学工学部機械工学科助教授、2000年京都大学大学院工学研究科機械工学専攻教授、2003年同マイクロエンジニアリング専攻教授、2008年総長室長、2009年副理事。NPO法人CAE懇話会は、関西CAE懇話会設立時の発起人の一人として、幅広く活動。2002年より副理事長。特に解析塾では10年以上に渡り、延べ900名以上の受講生を指導する。

NPO法人CAE懇話会 関西解析塾テキスト編集グループ  著者プロフィール

石川 覚志
博士(工学)
S36年生まれ 大阪市出身 (株)シーディー・アダプコ・ジャパン 勤務
非線形有限要素法プログラムのカスタマーサポートを経て、非線形解析の受託解析業務に従事。2001年から、NPO法人CAE懇話会の解析塾において非線形構造解析コースを担当。2006年より、社団法人日本ゴム協会・ゴムの力学研究分科会の書記を担当。

小村 政則
工学修士
S44年生まれ 大阪市出身 ローム株式会社 勤務
生産システム開発部に所属し、構造解析・熱流体解析・光学解析のCAE専任者として半導体・電子部品・生産設備などの開発に従事。
2003年よりNPO法人CAE懇話会の関西CAE懇話会幹事。

岡田  浩
技術士(機械部門)機械設計技術者(1級)
S40年生まれ 福岡県出身 電機メーカー勤務
技術本部、IT推進総括部に所属し、構造・熱・樹脂流動CAEの教育・推進や、金属加工品・樹脂成形品の強度設計、電子機器の放熱対策などに従事した。現在は、生産プロセス革新センタに所属し、金属・樹脂材料による新たな工法開発に従事している。また、社外においてはNPO法人CAE懇話会の関西CAE懇話会幹事や、各種セミナ講演・機械系専門誌への執筆活動などに従事している。
共著として、『設計検討って、どないすんねん!~現場設計者が教える仮説検証型設計のポイント~』がある。

出口 良平
技術士(機械部門)計算力学技術者(固体1級、熱流体2級)
S44年生まれ 石川県出身 ダイキン工業株式会社 勤務
空調用圧縮機およびモーターの設計開発に従事。現在は、構造解析、熱流体解析、音響解析などのCAEを活用した圧縮機の要素技術開発を担当している。
また、2009年よりNPO法人CAE懇話会の関西CAE懇話会に幹事として携わっている。

松田 和弘
S43年生まれ 愛知県出身
オーツタイヤ株式会社技術本部でゴム材料設計、タイヤ構造設計、CAEの導入と利用推進などタイヤ設計業務に従事した。現在は、CAEサービス企業にてCAEコンサルティング業務に従事している。
2003年よりNPO法人CAE懇話会の関西CAE懇話会幹事を務め、解析塾においては基礎編の動的陽解法演習を担当している。

辰岡 正樹
S24年生まれ。広島県出身
川崎重工業株式会社船舶事業本部で設計業務に従事後、日本アイ・ビー・エム株式会社にて、技術支援(CAE関連)、営業活動に従事、2010年1月より株式会社アルゴグラフィックスに勤務。2000年2月関西CAE懇話会設立に携わる。2002年5月にNPO法人CAE懇話会として全国組織とする。2009年よりCAE懇話会副理事長。解析塾の各コースの企画、運営、全国各地区のCAE懇話会活動を推進。第88期日本機械学会計算力学部門長。

目次

はじめに

第1章 CAEの概要と数値解析手法
 1.0 CAE(Computer Aided Engineering)とは?  
 1.1 CAEはなぜ生まれ、なにができるのか?  
 1.2 CAE活用のメリットは?
CAEを活用するために何が必要か?  
 1.3 CAEの構成式・連続体の力学と数値解析手法  

第2章 材料力学の基礎
 2.0 材料力学における運動方程式・エネルギー保存則  
 2.1 ばねの引張り  
 2.2 円柱の引張り  
 2.3 「ばねの引張り」と「円柱の引張り」の比較 
 2.4 2次元―3次元空間の応力とひずみ  

第3章 有限要素法の基礎
 3.0 有限要素法の計算の流れについて  
 3.1 有限要素について  
 3.2 有限要素法を用いた片持ち梁の計算  

第4章 有限要素と数値積分
 4.0 コンピュータでの処理 
 4.1 正規化座標系  
 4.2 数値積分  
 4.3 代表的な要素  

第5章 応力
 5.0 応力の捉え方  
 5.1 応力テンソル  
 5.2 主応力  
 5.3 ミーゼス応力  

第6章 ポテンシャル場
 6.0 ポテンシャル場のイメージ  
 6.1 ポテンシャル場の定義  
 6.2 利用する数学  
 6.3 ガラーキン法を利用したポテンシャル場の解法  

第7章 熱応力
 7.0 熱膨張  
 7.1 弾性棒の熱応力  
 7.2 並列棒の熱応力  
 7.3 有限要素の熱応力  

第8章 非線形構造解析
 8.0 線形と非線形  
 8.1 材料非線形  
 8.2 幾何学的非線形  
 8.3 グリーン・ラグランジュひずみ  

第9章 固有値解析
 9.0 固有振動  
 9.1 振動モデル  
 9.2 1自由度系の固有値解析  
 9.3 2自由度系の固有値解析  
 9.4 多自由度系の固有値解析  
 9.5 両端支持梁の固有値解析  

第10章 動的陽解法
 10.0 動的陽解法の概要  
 10.1 動的陽解法の解法  
 10.2 結果の見方  
 10.3 計算時間短縮テクニック  

巻末付録
 2.A 積分の意味  
 2.B 断面二次モーメントI 断面係数Z  
 3.A 三角形の面積  
 8.A 真ひずみの特徴  
 8.B 弾塑性による材料非線形のDマトリックス  
 10.A 単位系  


あとがき  
推奨文献  
索引  
監修者および著者略歴  


コラム目次
第1章 
 ●今も第一線で活躍する「老舗」CAEソフトウェア  

第2章 
 ●体積変化と弾性係数間の関係  
 ●材料特有の定数と有効桁数  

第3章 
 ●Excelの逆行列関数 
 ●固定節点反力の計算  
 ●重ね合わせの原理って便利ですね  

第4章 
 ●要素による精度の違い  
 ●アイソパラメトリック要素の名前  
 ●ヤコビ行列とコンピュータでの計算  
 ●特異点の応力  
 ●要素の応力値  
 ●シェル要素の積分点  

第5章 
 ●応力の不変量  
 ●主応力空間におけるミーゼスの降伏曲面  
 ●偏差応力テンソル  

第6章 
 ●誤差と残差  
 ●熱伝導解析の境界条件  
 ●タイヤにおける熱伝導解析の利用例  

第7章 
 ●バイメタル  

第8章 
 ●FEMソフトウェアでの材料非線形の設定  
 ●非線形の勉強に役立つ本  

第9章 
 ●固有値解析結果の分布図  
 ●固有値解析でのメッシュ分割  

第10章 
 ●マススケーリング  
 ●エネルギーの確認

はじめに

有限要素法は1943年にドイツ出身の数学者Richard Courantが初めて用いたといわれています。工学的には、1956年にM.J.Turner、R.W.Clough、W.C.Martin、L.J.Toppらが“Stiffness and deflection analysis of complex structures,”(J.Aeron.Sci.,23,1956,pp.805―824.)という論文を発表し、その後、1960年にR.W.Cloughが“Finite Element”という単語を用いています(“The finite element in plane stress analysis,” Proc. 2nd ASCE Conf. on Electronic Comutation, Pittsburgh, Pa., Sept. 1960)。その後50年を経て、今日、有限要素法解析は、さまざまな分野における現象把握や設計に用いられており、誰もが利用できる有効な数値計算手法として地位を確保しています。有限要素法の対象は、大きな構造物のみならず生体をも対象としています。また大きさから見ると、現在では小さなマイクロ/ナノの電気機械システムである、MEMS(Micro Electro―Mechanical Systems)やNEMS(Nano Micro Electro―Mechanical Systems)およびマイクロ・ナノ空間での分析や計測を目的としたmicroTAS(Micro Total Analysis Systems)まで106桁のサイズを同時に扱うようになりました。今日では解析対象それぞれの分野に適用した、汎用システムや専用システムが開発され、多くのソフトウェアを利用できるようになっています。1980年代からの計算機の高速化と利用できるメモリサイズの増大に伴い、解析の対象となる対象物の大きさが大きくかつ複雑な構造を扱えるようになっただけでなく、解析の対象となる現象も複数の物理・化学現象を組み合わせて扱えるようになってきました。
 ユーザーインターフェースの観点からは、CADなどと組み合わさることで、高度な解析理論をユーザーが容易に利用できるようになっています。ユーザーが簡単に利用できるということすなわち、ソフトウェアがブラックボックス化することは、容易に結果を得ることができることから、利用者を増やすには効果的でした。しかし、これら高度化・高機能化したソフトウェアは、構造や電磁場などに代表される多くの力学とそれを解析できるようにするための数学および数値解析理論を含み、解析結果はモデル化や利用する計算手法に大きく影響されることから、必要な基礎理論を理解せずにソフトウェアをブラックボックスとして利用することは大変危険です。
 そこで、1999年からCAE懇話会では、大学で高度な数学や構造力学・材料力学を学んでいない人でも理解できるように、有限要素法を学ぶことができる「有限要素法基礎編」の講義と演習を提供してきました。通常、有限要素法に関する講義においては、仮想仕事の原理や変分原理(最小ポテンシャルエネルギーの原理)をまず教えるべきです。しかし、解析塾では、これらの理論を初めて勉強する人や高度な知識を有していない人でも、有限要素法の構造と原理を理解してソフトウェアを利用し、結果を理解できるようになることを目的として、まず、有限要素法の構造と考え方について講義をしてきました。
 本書は、過去の解析塾での講義内容をもとに、テキスト編集グループが必要となる周辺の理論や知識を追加して編集されています。そのため、できるだけ理解しやすいように、用いる数式は簡素化し、かつできるだけ式の展開を省略することがないようにしてあります。その結果、有限要素法を専門に研究することを目的にする方や、有限要素法をより専門的に勉強したい人には、不足する部分が多くあります。これらの方はより専門的な書籍が多く出ていますので、それらとともに読んでいただければと思います。

 本書を編集・出版するにあたり、CAE懇話会の関西解析塾テキスト編集グループの石川覚志さん・小村政則さん・岡田浩さん・出口良平さん・松田和弘さん・辰岡正樹さんには私の乱暴な板書や講義内容をもとに内容を整理し、さらには必要となる部分を追加していただきました。その努力に感謝するとともに、本書がこれから有限要素法を用いる多くの人たちの役に立つことを期待したいと思います。

 平成22年12月30日
 小寺秀俊

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