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SCIENCE & TECHNOLOGY
オレオサイエンス
―非石油系油脂の科学

定価(税込)  1,944円

著者
サイズ B6判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-06662-7
コード C3043
発行月 2011年03月
ジャンル 化学

内容

爆発的な人口の増加とそれに伴う地球環境への配慮の面から石油・石炭系資源の大量消費は許されなくなりつつある。特に太陽エネルギーを利用した植物系バイオマスによって得られた油脂は、燃料として、工業原料として、また食品やライフサイエンス用途に再生可能な循環型資源として注目されている。本書はこの非石油系油脂とは何か、どうやって扱い、どのように利用するかを基礎から教える書である。

荻野圭三  著者プロフィール

(おぎの けいぞう)
東京工業大学有機材料コース卒業
工学博士
元東京理科大学理工学部長
東京理科大学名誉教授
元日本油化学会会長
日本油化学会名誉会員
著書:合成洗剤の知識(幸書房)
表面の世界(裳華房)
Mixed Surfactant Systems (共著)(Marcel Dekker Inc.)

目次

まえがき

第1章 再生利用資源と化学工業
 1.1 資源とエネルギー
 1.2 地球と環境
 1.3 再利用資源とは
 1.4 バイオマス
 1.5 バイオマスエネルギー

第2章 非石油系マテリアル―オレオマテリアル
 2.1 天然油脂
 2.2 天然油脂の採油と生成
 2.3 油脂の組成
 2.4 油脂の固体構造
 2.5 油脂の液体構造

第3章 非石油系油脂の加工技術―オレオテクノロジー
 3.1 油脂加工技術とは
 3.2 水素添加
 3.3 分別
 3.4 エステル交換

第4章 食品工業の油脂利用―オレオフーズインダストリー
 4.1 食品利用油脂とは
 4.2 液体油の利用
 4.3 固体脂の利用

第5章 油脂化学―オレオケミストリー
 5.1 オレオケミストリーとは
 5.2 オレオケミカルの原料・特徴・用途
 5.3 オレオケミカル誘導体
 5.4 界面活性剤

第6章 非石油系油脂による生物工学
―オレオバイオテクノロジー
 6.1 バイオテクノロジーとは
 6.2 油糧植物の育種
 6.3 微生物による油脂の生産
 6.4 酵素合成による機能性油脂の生産

第7章 非石油系油脂による生命科学
―オレオライフサイエンス
 7.1 油脂のエネルギー―健康と栄養
 7.2 油脂の消化・吸収
 7.3 油脂の栄養
 7.4 生体内における脂肪酸代謝
 7.5 油脂の生理機能
 7.6 日本人の栄養 脂質を中心とした食事摂取基準
 7.7 その他の油脂について

第8章 非石油系油脂によるファインケミカル
―オレオファインケミカル
 8.1 脂溶性ビタミン
 8.2 脂溶性色素
 8.3 その他の生理活性物質

あとがき

索引

はじめに

 20世紀は,石油の時代であった.1945年第2次世界大戦が終了するとともに,先進国をはじめとして,石油メジャーによる大資本のもと大規模な石油精製,石油化学工場を併せもつ石油コンビナートが各所で建設され経済の成長を牽引してきた.その原動力となったのが石油であり,自動車産業をはじめ,各種高分子物質の開発による材料革命をもたらし多くの鉱工業の発展に貢献してきた.
 しかし,20世紀後半に至り,2度にわたるオイルショックによる石油価格の高騰に加え,爆発的な地球人口の急増と経済発展ならびに地球環境の面から世界は大きな転換期にあり,特に地球温暖化の問題は全世界の最大,急務な重要課題となっている.いまや資源・エネルギーの面で化石系資源である石油の大量消費は許されなくなっており,新しいエネルギー革命が始まっている.そして石油のことをピークオイルとさえいうようになってきた.
 一方,非石油系の油脂は,食用として,また工業原料として古くから人類と深い関わりをもってきた.そして今後,ますますその重要性が増すものと考えられる.
 特に,太陽エネルギーを利用したバイオマス(生物資源)による植物系油脂は,生体安全性と環境適合性をもつリ・ニューアブル(再生可能)な循環型の資源として地球環境の面から極めて重要となりつつある.現に,油脂を原料としたバイオディーゼル燃料(BDF)の開発や各種オレオケミカルの多方面での活躍,さらに,最近ではライフサイエンスの面から人間の健康・栄養や医療の面でも欠かせないものとなってきている.
 筆者は,かねがね油化学分野のもつ重要かつ広大な役割について,古くて新しい伝統ある「油脂」のイメージアップと学問研究分野における一層の活性化ならびに国際化への発展を願って「オレオサイエンス」という用語を提唱してきた1,2).
 オレオ(Oleo)とは,ラテン語のオリューム(Oleum=Oil)を語源とし,この中には動植物油脂だけでなく,石油も含まれるが,今日,石油(Petroleum)は,化石資源として独立したジャンルが確立されているので,主として天然の動植物油脂を主体とした「あぶら」を「オレオ」と呼称するものと解釈されている.また,油化学の学問分野は,食品としての栄養・健康科学,のみならず,工業分野における界面科学,さらに生物科学,生命科学および環境科学と科学(サイエンス)に関連する広範な広がりをもち,サイエンスの名にふさわしい領域であるので敢えて「オレオサイエンス」と名付けたのである.
 そして,1951年創設のわが国,油化学関連学会「日本油化学会」は,世紀の切替えを契機に21世紀の初頭,2001年より
 論文誌:「Journal of Oleo Science」
 情報誌:「オレオサイエンス」
を分冊,刊行することにした.このことは「オレオサイエンス」の提唱者(名付け親)として誠に嬉しいことであり感謝している. 最後に,この広範な学問領域を全部網羅することは著者一人の手では到底不可能と思ったが,「オレオサイエンス」のアウトラインを少しでも多くの人に理解していただくために浅学非才を省みず筆を採った次第である.読者諸氏のご批判とご叱声をお願いいたします。


 1) 荻野圭三「オレオサイエンス」への誘い
          日本油化学会誌 45(1)1(1996)
 2) 荻野圭三「油化学の現状と将来」
          ―21世紀のオレオサイエンス
          日本油化学会誌 47(9)616(1998)

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