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見える化でわかる
間接・サービス部門の原価管理

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-06643-6
コード C3034
発行月 2011年03月
ジャンル 生産管理

内容

優れた製品やサービスを提供するためには開発、設計、生産などの直接部門はもとより間接・サービス部門との連携は欠かせない。ことに付加価値の多くをこれら部門が生み出すようになっている現在、原価管理は重要事項となっている。本書は間接・サービス部門の原価管理を進めるための格好の実務書である。

目次

はじめに  

第1部 職場の間接生産性向上
第1章 見える職場環境の整備は間接5Sから
    ―職場の不具合箇所が見える―
 1―1  職場の基本3S(整理、整頓、清掃)ができているか
 1―2  やさしい5Sの推進ができるか
 1―3  5S評価で推進状況を見えるようにする
 1―4  5Sを推進して管理者の指導力をつける
 1―5  コンピュータの中は不要物ばかり
 1―6  普段の仕事で困っていることが改善のヒント
 1―7  1週間で500件の不具合箇所がなくなるか
 1―8  エレベータで困った経験はないか
 1―9  困った経験の対策を考える
 1―10 1時間会議に挑戦してみる
  コラム1. 「身につく」とはどういうことか  

第2章 間接生産性向上は「整頓」から始まる
    ―効率のよい職場環境が見える―
 2―1  必要なものを必要なときに取り出す
 2―2  書類・ファイルの層別管理をする
 2―3  必要な電子データを必要なときに取り出す
 2―4  コンピュータの中を「清掃」する
 2―5  見える職場環境を作ってみよう
 2―6  業務に必要な機材を決める
 2―7  機材とサービスの質を追求する
 2―8  効率のよいオフィスレイアウトに
 2―9  手順通りにやってみるとよい案ができる
 2―10 フリーロケーションの効果を実感する
 2―11 5Sを生産性の向上に結びつけるには
  コラム2. タクシーの後部座席でシートベルトをする  

第3章 業務を見える化して間接費を削減する
    ―業務にかける時間とコストが見える―
 3―1  見える化にもレベルと順番がある
 3―2  業務日程をガントチャートにすると見える
 3―3  時間内に業務を終わらせるには
 3―4  なぜこれだけ長くかかるのだろう
 3―5  業務内容の実態を調べてみる
 3―6  業務にどれだけの時間をかけているか
 3―7  業務にどれだけのコストをかけているか
 3―8  間接費は何に比例して増減するか
 3―9  あなたの仕事は何が増えると忙しくなるか
 3―10 バラツキが多いところに管理余地がある
 3―11 コアの仕事が少ないと改善余地がある
 3―12 業務別に見た特徴と改善方向
  コラム3. なぜ朝日より夕日のほうが赤く眩しくないか  

第4章 業務を標準化・改善して間接費を削減する
    ―人の仕事と改善成果が見える―
 4―1  業務の標準化の役割は何か
 4―2  業務に必要な機材は規格品・標準品を使う
 4―3  書類は類似なものから編集設計すると速い
 4―4  技能や判断業務をステップ化する
 4―5  判断のいる頭脳的な業務を標準化してみる
 4―6  使いやすいマニュアルの作り方
 4―7  改善には原則がある
 4―8  質の高い改善アイデアをたくさん生むには
 4―9  BPR(Business Process Reengineering)のやり方
 4―10 プロセスの改善から入ると大きい成果になる
 4―11 最新のITツールを使いこなす
 4―12 間接・サービス業務の効率化の将来
  コラム4. 標準化の起源は戦争にあり  

第2部 全社の間接生産性向上
第5章 間接・サービス業務の生産性が業績向上の鍵になる
    ―生産性を阻害する要因が見える―
 5―1  間接・サービス業務に携わる人はどれくらいいるか
 5―2  第3次産業の就業比率は70%
 5―3  なぜ第3次産業の就業比率が高まるのか
 5―4  間接・サービス業の生産性が低い実態を知る
 5―5  日米のサービス業の生産性を比較してみる
 5―6  肉体労働と頭脳労働の見える化の違い
 5―7  間接生産性はアウトプットの評価が大切
 5―8  アウトプットに結びつくまでタイムラグがある
 5―9  間接業務のあるべき姿は求められるか
 5―10 間接生産性には10倍のバラツキがある
  コラム5. 家事の生産性向上は働くお母さんを増やすか  

第6章 付加価値の高いサービスを生むには
    ―間接・サービス業務の価値が見える―
 6―1  すべての道はローマ(利益)に通じる
 6―2  何が会社の利益に繋がるのか
 6―3  顧客は、人口が多くて成長している所にいる
 6―4  アセンブリーからエレメント産業へ
 6―5  付加価値の高い製品・サービスは何か
 6―6  産業構造を変えて生産性を高める
 6―7  付加価値の高い製品を開発する
 6―8  ニーズからウォンツへ、こんなものがほしかった
 6―9  顧客が価値を感ずる製品・サービスとは
 6―10 ものとサービス価値に見合うコストを
 6―11 速い納期・サービスが価値を生む
 6―12 スピードよりタイミングが大事
  コラム6. 見送るということ  

第7章 間接・サービスの生産性を測ってみる
    ―利益に繋がるプロセスが見える―
 7―1  各部門の仕事はどのように利益に繋がるか
 7―2  どのビジネスプロセスに資源を配分するか
 7―3  利益に繋がる仕事に資源を配分する
 7―4  あなたは自分の仕事の目的が言えるか
 7―5  仕事の目的を数字にすると
 7―6  利益に繋がる見える化をするには
 7―7  間接コストを決めるコストドライバーを見つける
 7―8  生産性には業務効率と作業効率がある
 7―9  間接生産性が見えるようになる
 7―10 意識するだけで間接生産性は向上する
  コラム7. 人がやる気になる評価のやり方 

第8章 価値ある仕事に時間とコストをかける
    ―利益に繋がるアクションが見える―
 8―1  間接生産性向上の3つのアプローチ
 8―2  バッチレベル活動:生産管理・外注資材・品質管理
 8―3  製品支援活動:開発・設計・生産技術
 8―4  廃止するアイテムを絞り込む
 8―5  標準化するアイテムを絞り込む
 8―6  工場支援活動:工場総務・保全業務
 8―7  注文レベル活動:見積・受注・出荷業務
 8―8  顧客レベル活動:営業業務
 8―9  市場レベル活動:広告宣伝・マーケティング
 8―10 企業支援活動:情報システム・人事・教育・総務・経理・企画
 8―11 利益に繋がらないのは訳がある
  コラム8. インターネットで受注を増やす  

第9章 人はどうしたらやる気になるか
    ―活気に満ちた職場が見える―
 9―1  動機づけには3つのアプローチがある
 9―2  組織はどのように分業するか
 9―3  組織の壁:ファンクショナルギャップを取り払う
 9―4  組織の壁:マネジメントギャップを取り払う
 9―5  管理者の適任とマトリックス組織
 9―6  コミュニケーション環境を改善する
 9―7  コミュニケーションは人の話を聞くことから
 9―8  伝統的な行動科学の理論
 9―9  新しい行動科学の理論
 9―10 目標管理に活路はあるか
 9―11 行動科学を人の脳から科学する
  コラム9. メール数が仕事の効率を落としていないか

はじめに

 製造業では従業員の就業する部門を直接と間接に分け、直間比率を意識したのは、そもそも直接製造に携わる業務だけが付加価値を生み、間接業務はできるだけ少ないほうがよいとの認識からであった。時代と共に付加価値の多くを間接が生み出すようになったが、呼称だけは従来のままだ。
 優れた製品やサービスは開発、設計、生産技術部門の技術力、顧客満足を創造する営業部門の販売力が利益の源泉である。製造部門でも直接作業に携わる実行部隊より、製品やサービスの信頼性を追求する品質管理や、顧客の要求にタイミングよく提供する生産管理の計画部隊の力が利益に貢献する。人材を育成する人事・教育や資金調達と運用を支援する財務の人達も会社の計画部隊だ。直接製造に携わる人達は計画された仕事を安いコスト(インプット)で作り出すことで利益に貢献している。
 本書は、開発設計、生産技術、設備保全、生産管理、資材外注管理、品質管理、受注業務、営業業務、総務庶務、人事労務、財務経理、情報システムなどの間接・サービス業務が対象であるが、直間比率が意味する間接ではなく価値を生み出す間接である。今や就業人口の70%を占める第3次産業にもこれと類似した業務が多く、当該業務の生産性向上を志す人達にも向けて発信したい。
 企業業績に依存度を増す間接・サービス業務の効率が停滞すれば、業績向上はおろか経済発展への期待は遠のく。日本をはじめ多くの先進国の人口減少と成長力鈍化を目の当たりにして、彼らの生産性向上は競争力強化と成長には不可欠であるが、直接製造部門でやれた生産性向上が間接部門では停滞を余儀なくされている。これだけIT化が進んでも、なぜ間接生産性向上に結びつかないのか。その1つひとつを解き明かし、間接・サービス業務の特性に合わせた生産性向上に取り組んでみたい。
 日々の業務に立ち戻ると、間接・サービス業務はあまりにも見えない現実に直面する。そこには、暗黙知をよしとしてきた体質も決して否めない。長年染みついた体質を改善するには勢力をともなうが、急激な変化は経営の舵取りを難しくする。そこで、間接生産性は身近なことから入ることを推奨する。
 本書は2部構成とした。第1部は職場の間接生産性で、5Sなどの職場の基本から足腰を鍛え、自ら効率を意識して業務に当たる畑作りである。第2部は会社の業績に結びつく全社の間接生産性向上活動である。間接生産性の測定までたどり着くと、そこには生産性10倍の格差の世界が広がる。
 図に第1部から第2部へ展開する間接生産性向上のステップを示した。
 Step1は、永年工場で実績のある5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)から始める職場の生産性向上であるが、間接部門には見えにくい情報処理が多いという特性に合わせた進め方がある。第1章「整理」は不要機材、書類、データの撤去から不具合箇所対策、1時間会議の進め方である。第2章「整頓・清掃」は定置化や効率的な検索のやり方、コンピュータの中の定期清掃である。こうして、5Sを本格的な生産性向上のための職場環境整備の活動に位置づける。
 Step2は業務改善である(第3章、第4章)。5Sの対象を職場環境から業務そのものへ移していく。自らの業務予定を白板にガントチャートで見える化すると、生産性を意識するようになり、残業が減るなどの効果が出る。さらに、業務内容実態調査で時間とコストで業務量を定量化すると、生産性の高い類似業務のやり方を見習ったり、効率のよい業務の進め方を研究し始める。第4章は業務の標準化や改善手順であり、効率向上の成果を確認しながら実施する。
 Step3からは業績に結びつく全社の間接生産性向上に入る。第5章では間接・サービス業務の実態や特性を捉えたうえで生産性を測ってみる。生産性のインプットは投入工数・コストであるが、アウトプットの測定と向上がとくに重要である。第6章では、企業力を高めるための重要成功要因である7つの指標から、各部門は会社の利益に繋がるパフォーマンスドライバーをKPI(Key Performance Indicators)として選択する。そして、多くの会社で運用している予算・業績管理システムの下位にその実行が見える生産性の測定システムを作成して、間接生産性を日常的に測定する(第7章)。
 Step4は生産性指標を使った生産性向上活動である。第8章ではアウトプットに繋がるコストドライバーに経営資源を選択・集中する生産性向上を部門別に検討する。コストの作用因であるコストドライバーを上手にコントロールすると最適資源配分に繋がる。
 以上は業績評価システム面からのアプローチである。しかし、間接生産性の向上は「人」がすべてであり、人を動かす組織と動機づけは欠かせない。最終章は最新の組織改革(組織、リーダーシップ、コミュニケーション)と動機づけの研究成果である。業績評価、組織論、行動科学は三位一体であり、推進力の強さとバランスをとって上手に間接生産性の向上にチャレンジされたい。企業の競争力強化と成長を願って……。
2010年12月  橋本賢一

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