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精密機械加工の原理

定価(税込)  4,180円

著者
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サイズ A5判
ページ数 300頁
ISBNコード 978-4-526-06635-1
コード C3053
発行月 2011年02月
ジャンル 機械

内容

切削、研削、ラッピング、ポリシング、エネルギービーム加工という基本的な精密加工技術を取り上げ、それぞれの加工法の作用原理、なぜその加工法を採用するかの加工原則、どこまでのレベルの加工が可能かの技術水準・精度限界などをできるだけやさしく、わかりやすく解説する。

安永暢男  著者プロフィール

(やすなが のぶお)
1965年 千葉大学工学部機械工学科卒業。
1965年 通商産業省工業技術院電気試験所(後の電子技術総合研究所,現産業技術総合研究所)入所。電子材料のメカノケミカルポリシング法の開発,大出力レーザ加工技術の開発に従事。
1986年 新日本製鐵㈱中央研究本部。シリコンウェハ,ファインセラミックスの精密加工技術の開発に従事。
1993年 東海大学工学部精密機械工学科(現精密工学科)教授,現在非常勤講師。研削・研磨加工,レーザ利用精密加工技術の研究開発に従事。

高木純一郎  著者プロフィール

(たかぎ じゅんいちろう)
1951年 横浜生まれ。
1975年 横浜国立大学修士課程修了後,住友重機械工業㈱にて工作機械の設計に従事。
1977年 横浜国立大学助手。
1981年 アリゾナ州立大学にてPh.D.取得後,横浜国立大学講師。
同大学助教授を経て,1996年より教授,現在に至る。
主な研究テーマは,エアタービンスピンドルによる超高速切削加工,研削加工の低エネルギー化,超砥粒ホイールのツルーイング・ドレッシング,粘弾性体の精密加工。

目次

第1章 精密さを生み出す原理
1.1機械加工の歴史と精密さの変遷
1.2機械加工の種類と特徴
1.3精密さを生み出す基本原理
1.4精密機械加工における測定・評価

第2章 切削加工の原理
2.1切削加工の特徴
2.2切削加工用工作機械と工具
2.3切削工具用材料
2.4切削加工を行うための準備
2.5切削加工の原理
2.6切削のメカニズム(切りくず生成の原理)
2.7切削加工で発生する諸現象
2.8切削による加工面創生の原理
2.9切削加工面の精密さに影響する因子
2.10各種工作機械における精密機械加工の原理

第3章 研削加工の原理
3.1砥粒加工と砥粒
3.2研削加工の特徴
3.3研削砥石(ホイール)
3.4研削加工用工作機械
3.5研削加工の原理
3.6研削砥石の損耗(目こぼれ、目つぶれ、目づまり)と寿命
3.7研削加工面の精密さに影響する因子
3.8各種研削盤における精密機械加工の原理

第4章 ラッピングの原理
4.1切削・研削加工とラッピング・ポリシング加工の違い
4.2ラッピング加工の原理と加工方式
4.3金属材料のラッピング
4.4非金属材料(硬脆材料)のラッピング

第5章 ポリシングの原理
5.1ポリシング加工の原理
5.2ポリシング加工方式の概要
5.3金属材料のポリシング
5.4非金属材料のポリシング
5.5最近の超精密ポリシング

第6章 高エネルギービーム加工の原理
6.1高エネルギービーム加工の分類と特徴
6.2レーザ加工
6.3電子ビーム加工
6.4イオンビーム加工
6.5放電加工

はじめに

 かつて「ジャパンアズナンバーワン」ともてはやされ,技術大国として世界の頂点に立ったと思い上がった矢先にバブルが崩壊して以来,長期にわたる経済混乱で製造業の競争力は大きく低下したまま這い上がれず,未だに明るい見通しが得られない状況が続いている。その間,韓国,台湾,中国,東南アジアにおける生産技術力は飛躍的に向上し,それに伴って国内産業の空洞化が急速に進み,国内製造業は衰退の一途を辿りつつある。
 一方でインターネットに代表される情報技術の発達に伴ってハード技術よりもソフト技術が重視されるようになり,ますます優秀な人材が製造業から離れる傾向が強まっているのが実情である。しかしソフトを動かすのはハードであり,ハード技術の向上なくしてソフト技術の高度化は望むべくもない。
 すなわち,近代産業の基盤はハード技術に立脚しており,半導体製造装置や情報機器などの最先端製造技術をリードするハード技術力を持ち合わせている限り,国際競争力も維持できるはずである。今後のわが国発展の基盤も実はここにあるといっても過言ではなかろう。
 高度なハード技術力を維持・発展させるための土台となるのは,極めて高度な精密加工技術であり,それを可能とする精密機械技術であろう。反面,これらの基盤技術があまりに高度化されてしまったがゆえに,若者にとっては理解しがたく,中身の見えない遠い存在になってしまい,一層「ものづくり」離れ,製造業離れに拍車がかかるという結果にも繋がっている。
 工学系大学においてさえも,「ものづくり」に携わろうという学生が年々減少しつつあり,憂慮すべき状況に直面している。なぜと考えたときに真っ先に思い至るのは,技術が高度化し過ぎたがゆえに技術分野が細分化され,細かい技術論が先に立ってしまい,原理原則がなおざりにされて,これから学ぼうとする若い人にとって取り付きにくい分野になってしまっているのではないか,ということである。精密加工技術についても同じ状況が考えられる。
 そのような反省を踏まえて本書は,切削,研削,ラッピング,ポリシング,エネルギービーム加工,という基本的な精密加工技術について,それぞれの加工法の作用原理,なぜその加工法を採用するのかという加工の原則,さらにどこまでのレベルの加工ができるのかという技術水準などについて,細かい専門的な議論や数式展開はなるべく避けて基本的なポイントをわかりやすく記述することを旨として編集された。
 したがって,精密加工技術をこれから修得しようとされる方の入門書として,また精密加工技術全般の一般原理を把握しようとされる技術者の方の参考書として,さらに機械工学系大学および大学院における教科書やゼミテキストとして利用しやすい内容になっている。
 本書の執筆は,それぞれ専門の立場から,切削加工と研削加工については高木純一郎(横浜国立大学)が,ラッピング加工,ポリシング加工,エネルギービーム加工については安永暢男(東海大学)が担当した。本書によって精密加工技術のエッセンスを体得して頂ければ,生産技術の現場においても個々の専門技術の理解や展開がスムーズに進むものと確信している。

 2010年12月20日
東海大学工学部   安永 暢男
横浜国立大学工学部 高木純一郎

本書は、2002年10月に初版1刷が(株)工業調査会より発行された書籍「精密機械加工の原理」を新たに刊行するものです。

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