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はじめて学ぶ繊維

定価(税込)  2,052円

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サイズ A5判
ページ数 196頁
ISBNコード 978-4-526-06631-3
コード C3043
発行月 2011年02月
ジャンル 化学

内容

繊維にはどのような特徴があり、なぜ多くの用途に利用されているのか、「細くて長い」繊維の性質を有効活用するためにどのような技術体系があり、将来的にはどのように利用されていくのかなど、わかっているようで良くわかっていない繊維についてやさしく解説した初級入門書。

信州大学繊維学部  著者プロフィール

信州大学繊維学部は「繊維」の名を冠する国立大学唯一の学部である。昭和40年代以降、全国の大学の学部、学科名から「繊維」が消えていくなかで、守り続けてきた。いまや、先端的な繊維研究の拠点で、繊維に関する論文数は世界の繊維系大学で第1位である。

目次

第1章 世界は繊維でできている
 1. 世界は繊維でできている  (大越 豊)  
 2. 細くて長いと何が良い  (大越 豊)  
2―1 ある程度細いもの  
  *    「繊」と「維」  
2―2 軽くて強い  
2―3 強くて柔らかい  
2―4 表面積が大きい  
 3. 繊維と人間  (森川 英明)  
3―1 繊維と人類の歴史  
3―2 繊維の集まり  
3―3 繊維と衣服  

第2章 いろいろな繊維
 1. 天然繊維  (金勝 廉介)  
1―1 天然繊維とは何か?  
1―2 植物繊維(綿・麻・パルプ・その他)  
1―3 動物繊維(羊毛・獣毛・絹・羽毛)  
1―4 鉱物繊維  
   * ちりめんとセリシン  
   * 動物繊維の摩擦力  
 2. バイオファイバー  (志田 敏夫)  
2―1 バイオファイバーとは何か?  
2―2 生物から作る繊維  
   * 白子からとりだすDNA資源  
 3. 化学繊維  (大越 豊)  
3―1 化学繊維とは何か?  
3―2 代表的な化学繊維
(ポリエステル・ナイロン・アクリル・レーヨン)  
3―3 その他の化学繊維  
3―4 化学繊維の構造と性質  
 4. 高性能繊維  (藤松 仁)  
4―1 高強度繊維(炭素繊維・高性能PE繊維・アラミド繊維)  
4―2 ナノファイバー  
4―3 その他の高性能繊維  
   * 宇宙エレベータ  
 5. 繊維強化複合材料  (倪 慶清)  
5―1 繊維強化複合材料とは何か?  
5―2 いろいろな繊維強化複合材料  
5―3 繊維強化複合材料の作り方と用途  
5―4 今後の複合材料開発  
 6. 光ファイバー  (石澤 広明)  
6―1 高度情報化社会と光ファイバー  
6―2 光ファイバーの種類と構造  
6―3 高機能光ファイバー  

第3章 繊維製品を作る
 1. 繊維にする  (森川 英明/大越 豊)  
1―1 天然繊維を取り出す  
1―2 材料を繊維にする  
 2. 糸をつくる  (松本 陽一)  
2―1 糸とは何か?  
2―2 糸づくりの基本  
2―3 いろいろな糸づくり  
   * 新しい天然繊維  
 3. 繊維または糸を布にする  (鮑 力民)  
3―1 布とは何か?  
3―2 織物  
3―3 編物  
3―4 不織布  
 4. 繊維を染める  (濱田 州博)  
4―1 繊維を染める  
4―2 染料と染色法  
4―3 色と色落ちの評価  
4―4 繊維製品の仕上加工  

第4章 繊維製品を使う
 1. 衣服 (高寺 政行)  
1―1 衣服とは何か?(種類・ディテール・サイズ)  
1―2 衣服を作る  
1―3 衣服の企画とデザイン  
1―4 衣服の流通  
   * ボタン穴とボタン  
 2. 感覚を測る (西松 豊典)  
2―1 感覚とは?  
2―2 布の「風合い」と官能検査  
2―3 衣服の快適性評価  
   * 動きやすいゴルフウェアの開発

はじめに

皆さんの身の回りには、いろいろな種類の繊維が使われていることと思います。多くの人にとって、「繊維」と聞いて最初に思い浮かぶのは衣服でしょう。衣服は人類の歴史と同じくらい長い歴史を持つ繊維用途であり、現在でも繊維の大きな用途の一つです。歴史的にも、繊維の技術は主により良い衣服を作るための技術として作りだされ、発展してきました。一方、繊維は衣服だけに使われているわけではありません。身近な例でも、布団やカーテン・カーペットなどのインテリアやタオルなどが思い浮かびます。その他にも、換気扇やエアコンなどに使われるフィルターも繊維でできていますし、紙やティッシュも植物の繊維を接着剤で固めたものです。とくに近年では、衣服以外の用途に使われる繊維の方がずっと多くなってきました。新型の旅客機の機体は炭素繊維を樹脂で固めた繊維強化複合材料でできていますし、光ファイバーも「細くて長い」繊維です。宇宙探査やナノテクノロジーの最先端でも多くの繊維が使われています。さらに最近では、石油資源の枯渇に伴い、生物由来の新しい繊維の開発が進められています。
 このように、繊維は現代生活になくてはならないものになっています。そこでこの本では、繊維にはどのような特徴があり、なぜ多くの用途に利用されているのか、また「細くて長い」繊維の性質を有効活用するためにどのような技術体系があり、具体的にこれまでどのように利用されてきたのか、将来的にはどのように利用されていくのかなど、わかっているようでよくわかっていない繊維について紹介していきたいと思っています。
 具体的には、第1章では「繊維」が持っている基本的な特徴と性能、およびそれを活かした主な用途について概観します。次に第2章では伝統的な素材から最先端の素材まで、どのような「繊維」があり、どのように使われているのかについて、個別に解説します。さらに第3章ではこのような繊維素材を作り出すところから、加工し、着色して「繊維製品」にしていくまでの技術体系について説明します。最後に第4章では、繊維の最大の用途である衣服を中心に、消費者としての人間と繊維との関わりについて解説します。
 この本は、もともと信州大学繊維学部の1年次生を対象とした「繊維科学の基礎」という授業の教科書として企画されたものです。この講義は、繊維に関する基礎知識がないことを前提に、繊維全般に関する広い基礎知識を身につけてもらうことを目的としています。したがって、繊維に関する専門知識の全くない方に読んでいただいても十分理解できるように心がけ、繊維の基礎技術から最新の技術動向まで広く知ってもらうことができるように配慮しました。「繊維」に興味を持っていただいた全ての方々に、最初の取っ掛りとして読んでいただければ幸いです。
 繊維に関しては、より詳しい解説書や専門書が数多く出版されています。さらに進んで繊維の勉強をしたいという方は、それらについて学習されることをお勧めます。また最新の繊維やその用途を解説した書物も多く出版されていますので、参考にしていただくと繊維に関する興味がますます広がることと思います。
 最後に、本書を執筆するにあたり、終始ご支援をいただきました信州大学繊維学部の皆様、また図表・写真などの引用・転載をご許可いただいた方々に心から感謝いたします。

 2011年1月吉日
 執筆者を代表して   大越  豊



本書は、2008年9月に初版1刷が(株)工業調査会より発行された書籍「はじめて学ぶ繊維」を新たに刊行するものです。

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