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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい フェライトの本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06623-8
コード C3034
発行月 2011年02月
ジャンル ビジネス 機械

内容

モータや磁石に関連した「フェライト」を紹介した本。フェライトは磁性材料で、ソフトフェライトとハードフェライトがあり、ソフトフェライトは高周波用のインダクタやトランス、コイルなどに使われ、ハードフェライトはモータやスピーカ、磁気センサなどに使われている。本書は、注目されているこの材料の特徴、応用、そしてキーテクノロジーをわかりやすく紹介している。

谷腰欣司  著者プロフィール

(たにこし きんじ)

1944年 長野県に生まれる
科学評論家
技術コンサルタント
(株)開発技術研究所 技術顧問

●主な著書
『トコトンやさしいカメラの本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしい回路設計の本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしい半導体の本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしいトランジスタの本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしい電気回路の本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしい発光ダイオードの本(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしい水の本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしいモータの本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしい電波の本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしい光の本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしいミネラルの本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしい電気の本』(日刊工業新聞社)
『超音波とその使い方』(日刊工業新聞社)
『磁石とその使い方』(日刊工業新聞社)
『ビギナーのための電子回路集』(日刊工業新聞社)
『ビギナーのための小型モータ回路集』(日刊工業新聞社)
『ビギナーのためのセンサ回路集』(日刊工業新聞社)
『光センサとその使い方』(日刊工業新聞社)
『小型モータとその使い方』(日刊工業新聞社)
『DCモータ活用の実践ノウハウ』(CQ出版社)
『レーザー技術入門講座』(電波新聞社)
『センサーのしくみ』(電波新聞社)
『小型モーターのしくみ』(電波新聞社)
『図解レーザーのはなし』(日本実業出版社)
『図解電波のしくみ』(日本実業出版社)
『カラー図解 電気のすべてがわかる本』(ナツメ社)
その他多数

◎技術指導(有料)、技術講演のお問い合わせはFAXで
 お願いします
 FAX 0285(24)3902(谷腰コンサルタント事務所)
 URL http://www.kaigiken.com

目次

第1章 フェライトとは何だろう
1 フェライトとは何だろう 「フェライトを結晶構造で分類すると」
2 フェライトは誰が発明したか 「磁石の発明は日本のお家芸である」
3 フェライト磁石はどのようにして造るの 「フェライト磁石の製造プロセスを学ぶ」
4 フェライトには等方性と異方性がある 「磁力が強い異方性、着磁方向が自由な等方性」5 フェライトのキュリー点はどのくらいか 「強磁性体が常磁性体になる温度」
6 やわらかいフェライトと硬いフェライトどこが違う 「ソフトフェライトとハードフェライトの違いを理解する」
7 電子回路にはソフトフェライトが沢山使われている 「電源トランス、同調回路、フィルタなどのコアに使われている」
8 フェライトを制するものは国を制する 「フェライトはエレクトロニクスの進歩を支える」

第2章 やさしく学ぶ磁石と磁気の世界
9 磁力はどこから生まれるのか 「磁力の元となる電子スピンとは」
10 昔の磁石はどうして馬蹄形が多いのか 「保磁力の小さい磁石は馬蹄形がよい」
11 磁石の吸引力と反発力の法則を理解する 「磁石の吸引、反発力はクーロンの法則で表される」
12 電磁石の吸引力は周波数によって変わる 「交流用電磁石は関東と関西では吸引力が異なる」
13 透磁率とは何か 「磁力線の透りやすさは物質の組成で決まる」
14 よい磁石の条件とは 「磁束密度、保磁力ともに大きく、丈夫で低価格」
15 磁石には最初から磁力があるわけではない 「磁石材料は着磁しなければ磁石にならない」
16 パーミアンスとパーミアンス係数の違い 「フェライト磁石のパーミアンス係数を理解する」
17 磁石に鉄片を近づけるとパーミアンス係数は大きくなる 「フェライト磁石に鉄片を近づけると磁力が強くなる」
18 モータやスピーカは可逆的動作をする 「モータは発電機に、スピーカはマイクとして使える」
19 ガウスメータ(磁束密度計)とは 「磁界の強さを測る測定器」
20 磁束計(フラックスメータ)とは 「磁束の量を測る方法」


第3章 やさしく学ぶ磁性材料の特徴
21 磁性体の分類と特徴を理解する 「地球上のあらゆる物質は磁性体である」
22 ヒステリシス ・ ループ(履歴現象)とは何か 「磁性材の素性を表す履歴現象」
23 B―HカーブとB―Hmaxを理解する 「残留磁束密度と保磁力とエネルギー積の関係」
24 温度が下がれば磁力は強くなる 「磁区内には、いろいろな方向の電子スピンがある」25 磁石に吸い付くのは鉄だけか 「ニッケルやコバルト、フェライトなども吸い付く」
26 鉄心を使うと電磁石は強くなる 「電磁石には、なぜ鉄心を使うのか」
27 電気回路と磁気回路どこが違う 「磁石を使った製品も電気回路に置き換えることができる」
28 AC用とDC用ソレノイド(電磁石)どこが違う 「AC用ソレノイドには隈取りコイルが使われている」
29 やさしく学ぶ磁性材の専門用語 「磁石と磁性材料の専門用語を理解する」

第4章 ハードフェライトとは
30 いろいろな磁石とフェライト磁石を比較する 「フェライト磁石の強さと特徴を理解する」
31 逆磁界によるフェライト磁石の減磁作用とは 「外部磁界によるフェライト磁石の減磁」
32 フェライト磁石の可逆減磁とは 「温度変化とともに特性が可逆的に変化する」
33 フェライト磁石の不可逆減磁とは 「不可逆減磁を起こすと磁石の特性は元に戻らない」
34 フェライト磁石の減磁曲線にはB─HとJ─H特性がある 「フェライトのB─HカーブとJ─Hカーブどこが違う」
35 フェライト磁石を異方性化すれば磁力が強くなる 「異方性磁石は着磁方向が決まっている」
36 フェライト磁石は添加物によって、さらに進歩する 「フェライトにランタン、コバルトを混入する」
37 フェライト磁石は温度に敏感である「フェライトの磁気特性は温度の変化を受けやすい」
38 鉄板を使うとフェライト磁石は強くなる 「フェライト磁石に鉄板を組み合わせると磁力が強くなる」
39 フェライト磁石の特性表の見方 「フェライト磁石の特性表から何が分かる?」

第5章 ハードフェライトの応用
40 ハードフェライトはどこに使われているの 「モータやスピーカ、磁気センサなどに使われている」
41 時計にも磁石が使われている 「クォーツ時計の針は磁石で動いている」
42 フェライト磁石を使ったスピーカのしくみ 「スピーカには強力な湿式フェライトが使われている」
43 温度が上がると電気を遮断するフェライトスイッチ 「サーモフェライトを使えば簡単に温度スイッチができる」
44 フェライト磁石を使った画鋲 「フェライト磁石を使った画鋲のしくみを理解する」
45 使っても摩耗しない磁力軸受け 「磁力軸受けは高速回転でも摩耗しない」

第6章 ソフトフェライトとその使い方
46 ソフトフェライトはどこに使われているの 「コイルや高周波トランス、磁気ヘッドなどに使われている」
47 ソフトフェライトとアモルファス金属を比較する 「ソフトフェライトとアモルファス金属を使い分ける」
48 変圧器の省エネにはソフトフェライトがよい 「変圧器に効率のよいソフトフェライトを使う」
49 ソフトフェライトを使った磁気シールド 「磁力線が完全に遮断される空間はできるのか」
50 軟磁性体を利用した磁気スイッチとは 「軟磁性体を接点に使うリードスイッチ」
51 受信回路にはフェライトコアが活躍している 「ソフトフェライトを使った性能のよい同調回路」
52 フェライトを使えばコイルの性能がよくなる 「高周波コイルのコア材はソフトフェライトがよい」
53 ソフトフェライトを使ったチョークコイル 「高周波のチョークコイルにはフェライトコアがよい」
54 フェライトビーズはノイズ対策に大活躍「フェライトビーズで高周波帯のノイズを除去する」
55 ソフトフェライトを用いた磁わい振動子 「フェライトを用いて電気振動を機械的振動に変える」
56 π(パイ)型フェライトを使った超音波発生装置 「ソフトフェライトを使って強力な超音波を発生する」

第7章 磁石と磁気の雑学コーナ
57 磁石はどのように進歩して来たか 「アルニコ、フェライト、希土類、窒化物磁石へと変遷」
58 ボンド磁石とは何か 「磁性粉をゴムやプラスチックに混ぜた、軟らかい磁石」
59 ボンド磁石はどのくらい強いか 「一体成形、折り曲げ、切断、加工ができる強い磁石」60 希土類元素とはどんなものか 「ハイテクに必要な希少金属とは」
61 磁力の強い希土類磁石とは 「強力な磁石にはNd、Sm、Dyなどが必要」
62 電磁石と超伝導磁石を比較する 「電磁石と超伝導磁石どこがどう違う」
63 ホール素子で磁力を簡単に測る方法 「磁石の磁束密度を測る方法」
64 磁石のN、S極センサを作る 「ホールICを使って磁石のN、S極センサを作る」
65 使いやすい高感度の磁気センサ 「地磁気も測れるフラックスゲート磁気センサ」
66 紙幣の判別用に磁石センサが使われている 「磁気抵抗(MR素子)にバイアス用磁界を掛けると感度が上がる」
67 磁石をコンピュータで解析する方法 「コンピュータで複雑な磁気回路を解析する」

【コラム】
●夢のような磁石
●磁石に吸い付く液体
●N、S極を目指して走るバクテリア
●生物の体内には磁気コンパスがある?
●N極とS極の境目はどうなっている
●マグネットの磁力は使っても減らない

参考文献

はじめに

 エレクトロニクスの進歩発展によって、身の回りの情報機器や家電製品は一段と高機能化され、大変便利になってきました。また、その側面では装置の小型化が著しく進み、従来では考えられないような複雑な装置でも、洋服のポケットに収納できるほどコンパクトになってきました。
 例えば、スマートフォン(多機能携帯電話)、手のひらサイズのGPS、小型の情報端末、腸内検査のカプセルカメラ、ICカードなどと、数え上げたらきりがありません。このように飛躍的に進歩したテクノロジーの中で、私たちの生活様式も大きく変わり、もはや昔のような生活には戻れないところまできています。 
 ところで、今日のハイテク機器は電子部品の塊ですが、これには非常に沢山の磁性材料が使われています。またその磁性材料としてフェライトが使われています。例えば、ソフトフェライト(軟磁性材料)はトランス、コイル、電磁波シールド、超小型アンテナ、ノイズフィルタとして、またハードフェライト(硬磁性材料)は強力な磁石として、モータやスピーカ、磁気センサに使われています。
 このようにフェライトは電子部品の磁性材料として非常に大切なものです。なお、フェライトは酸化鉄を主成分とする無機材料の総称ですが、これは鉄より軽く、磁気特性も優れ、そのうえ安価なため、現在の家電製品や情報機器になくてはならない存在となっています。
 なお、このフェライトは、東京工業大学の加藤与五郎、武井武、両氏による1933年の発明であり、当時としては画期的な磁性材料の誕生でもあったのです。
 それが今日では電子機器の高品質化、高機能化、省エネルギー化のキーパーツとして多方面で活躍しています。
 そこで、本書ではフェライトに的を絞り、その特徴から応用までについて、やさしく解説することにしました。
 さて、初めてフェライトのことを学ぶ場合、初心者には、それなりの難かしさはあります。そのような状況を踏まえ、本書では数式はできるだけ避け、また専門用語には解説を加え、初心者にも何とかフェライトを理解していただけるよう、筆者流の説明を展開しました。このため、やや厳密さを欠く部分もありますが、総じてフェライトが分かるよう配慮されています。これを機会に、できるだけ多くの方々に、フェライトについて興味をもっていただければ幸いです。
 なお、本書の執筆に際し、多くの文献および技術資料を利用させていただいたことを、ここに厚く御礼申しあげます。また、本書の出版に際し、何かとご配慮いただいた日刊工業新聞社出版局の方々、ならびに関係各位に心から感謝します。 

2011年2月                               谷腰 欣司

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