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企業戦略に活かす!サプライチェーンのCO2管理
―「スコープ3」のカーボンマネジメント―

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-06622-1
コード C3034
発行月 2011年02月
ジャンル ビジネス 環境

内容

省エネ法や排出量取引に関する国際協約が進む中、企業のCO2排出量管理に関する具体的な取り組みが課題になっている。とくにいま、一番問題になっているのがサプライヤーやクライアント企業、ユーザー、そして輸送関連、廃棄物関連業者までも関係する「スコープ3」のCO2管理。本書はそれについて初めて解説した本。

岩尾康史  著者プロフィール

(いわお やすし)
株式会社 トーマツ審査評価機構
マーケティング部長

【プロフィール】
 1965年生まれ。山口県出身。
 1990年明治大学法学部法律学科卒業後、製造業・IT業にてパブリックセクター及び海外事業の営業・マーケティングに従事。会社経営を経て2008年(株)トーマツ審査評価機構入社。

【主な活動・経歴等】
 ●CDP(Carbon Disclosure Project) 2010 ジャパン・レーティングチーム メンバー
 ●WBCSD/WRI GHGプロトコル 「Scope3」スタンダード テクニカル・ワーキンググループ メンバー
 ●経済産業省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量算定基準に関する調査・研究会」 委員
 ●経済産業省「国内クレジット審査ガイドライン検討委員会」 座長
 ●環境省「サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量算定方法検討会」 委員
 ●国土交通省/国土交通政策研究所 「物流から生じるCO2排出量のディスクロージャーの今後のあり方に関する調査研究」 アドバイザリー会議 委員

目次

第1章  サプライチェーン/スコープ3のCO2管理とは
サイドストーリー   「プロトコルってルールのこと?」
1-1 「サプライチェーン」のCO2管理がやってきた!
1-2 気候変動の国際動向とGHGプロトコル
1-3 「スコープ3・スタンダード」出現の背景
1-4 海外サプライヤー向けに一定のルールが必要
1-5 「スコープ3」のカテゴリー
1-6 「製品カーボンフットプリント」との違いは?
COLUMN  「プロトコル」

第2章  サプライチェーンにおけるCO2管理の課題
サイドストーリー  「“排出係数”って何?」
2-1 国により制度により求めるCO2データはまちまち
2-2 世界中の企業が悩みながら試行錯誤している
2-3 「調達プログラム」の重要性
2-4 できる? できない? スコープ3
2-5 成功の鍵は管理インフラや体制の確立
COLUMN  「排出係数」

第3章  上流サプライチェーンでの取組みの意義
サイドストーリー  「そしてコスト削減につながるわけだ」
3-1 まずは「見える化」でCO2排出の多いところを発見!
3-2 収集データの信頼性
3-3 できるところからステップを踏んで行こう
3-4 ルールの違いで大混乱?
3-5 エネルギー情報は「機密情報」?
COLUMN 「揺りかごから入口まで」

第4章  下流サプライチェーンへのチャレンジ
サイドストーリー  「使ってる時の方がたくさんCO2が出るの?」
4-1 日本には「特定荷主報告」という優れた制度がある
4-2 海外輸送は思いのほかCO2排出が多い
4-3 サプライチェーンCO2管理における「流通/販売」ステージ
4-4 「使用段階」はスコープ3の鬼門?
4-5 B2Bビジネスモデルの「使用段階」はどこ?
4-6 CO2削減効果、排出抑制効果とは?
COLUMN 「CO2削減貢献」

第5章  気候変動情報開示と企業の経営課題
サイドストーリー  「省エネ効果も大きいんだよね。うちの製品は」
5-1 日本企業の様々なアドバンテージ
5-2 敢えてサプライチェーン全体でのCO2削減に挑む
5-3 CDPの影響力の世界的拡大
5-4 「気候変動情報開示」は統合型報告へ
5-5 「スコープ3」情報開示への体制
5-6 「スコープ3」の客観的評価と信頼性向上
COLUMN 「不確実性」

用語集
あとがき

はじめに

『スコープ3』がサプライチェーン革命を起こす!?

 WRI(World Resources Institute/米国・ワシントンDC)で行われたGHGプロトコル「スコープ3」スタンダードのワークショップで、WRIの開発責任者から「これはCO2のサプライチェーン革命だ!」という話を聞いた時はさすがに驚きました。
 「スコープ3」ができるのか、できないのかというのは海外のグローバル企業でも賛否両論でしたし、ワークショップでは「『スコープ3』なんてできるわけがない! LCA(Life Cycle Assessment)で十分だ!」と声高に叫ぶアメリカの素材メーカー担当者の姿が今でも印象に残っています。
 そういった海外のワークショップやテクニカルワーキンググループの場で、日本の大規模事業所では30年も前から義務的にエネルギー使用量を報告しているとか、大手荷主企業の責任で輸送段階のエネルギー使用量も報告しなければならないとか、チェーンストアはまとめてフランチャイザーが報告することになった、という話を外国企業の担当者にすると、たいていは驚いた顔をされます。アジアのワークショップでは、何のことか意味がわからないと聞き返されたりもしました。
 日本企業は、実はもうかなり対応できている。それが「スコープ3」の世界に最初に触れた時の率直な印象です。むしろ今後のカーボン以外への波及効果を考えると、日本が国際スタンダード作りでリーダーシップをとるべき分野だったのかも知れません。

 海外に出ると日本の良さがわかるとよくいわれますが、企業活動における省エネ(省エネルギー)やCO2削減への取り組みでは、欧米やアジア諸国に対するわが国のアドバンテージが改めて感じられます。サプライチェーンや「スコープ3」においても同様です。先人たちの長年にわたる努力に感謝しつつ、こういったアドバンテージをわが国産業のさらなる発展のために活かす必要があるのではないか?
 それがこの本を書くことになった動機の一つでもあります。

 なお、本書ではWRI(World Resources Institute)とWBCSD(World Business Council for Sustainable Development)のご厚意により、GHGプロトコル「スコープ3」スタンダード“第2次ドラフト”(The Greenhouse Gas Protocol - Corporate Value Chain (Scope 3) Accounting and Reporting Standard “2nd Draft” (DRAFT FOR STAKEHOLDER REVIEW NOVEMBER 2010)を参考に、「スコープ3」カテゴリーの考え方について説明しています。2011年夏に発行される予定の正式バージョンと若干異なる可能性がありますので、ご留意下さい。

 本書では、これからサプライチェーンのCO2管理や「スコープ3」のカーボンマネジメントに取組もうとされる企業のご担当者の方々にも理解しやすいよう、各章への導入部となるサイドストーリーを交え、国内外の取組み事例をできるだけたくさん盛り込むようにしました。さらにテクニカルな深い議論は次回に譲るとして、まずは「スコープ3」を巡る国際的な動向や日本の位置づけを理解していただくことが重要ではないかと思っています。
 近い将来、サプライチェーンや「スコープ3」を巡っては、カーボンマネジメントのみならず、気候変動情報の開示という切り口でも、企業活動への多大なインパクトが予想されます。
 本書がそういった状況を理解するための第一歩になれば幸いです。

2011年1月    岩尾 康史

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