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やさしい産業用繊維の基礎知識

定価(税込)  2,592円

著者
監修
サイズ A5判
ページ数 248頁
ISBNコード 978-4-526-06600-9
コード C3043
発行月 2011年01月
ジャンル 化学

内容

 高性能繊維や炭素繊維、ガラス繊維をはじめとする産業用繊維の理解のためには、まず、一般の化学繊維、天然繊維の特性についての知識が不可欠である。
 本書では、繊維に関する基礎知識と、代表的な産業用繊維の特徴と用途について、豊富な写真、図表とともに、各社の製品事例を取り上げながらやさしく解説する。

加藤哲也  著者プロフィール

(かとう てつや)
日本繊維技術士センター相談役
加藤技術士事務所所長
1961年名古屋大学工学部応用化学科卒業、東洋レーヨン(現東レ)に入社。合成繊維の研究・開発・製造および商品開発に従事した。技術部長を経て定年退職し、技術士事務所を開設するとともに、(社)日本繊維技術士センターに所属し、企業支援、教育活動をすすめている。
著書;「テクニカルテキスタイルの全容」(東レ・リサーチセンター)、「機能性繊維の技術動向」(東レ・リサーチセンター)ほか

向山泰司  著者プロフィール

(むかいやま たいじ)
日本繊維技術士センター理事長
1961年京都大学工学部工業化学科卒業、旭化成に入社。化学繊維の製造、技術開発に従事。工場長(ポリエステル長繊維)、事業部長(不織布、アクリル繊維)、繊維事業部門長補佐を経て退職。
(社)日本繊維技術士センターに所属、各種教育活動等に参画して今日にいたる。
著書(共著);「繊維総合辞典」(繊研新聞社)、「知っておきたい繊維の知識424」(ダイセン株式会社)

目次

はじめに

第1部 産業用繊維についての基礎知識

第1章 繊維の製造と物性に関する基礎知識  
1.1 産業用繊維の特徴  
  1.1.1 産業用繊維の特徴とは  
  1.1.2 国際見本市について  
1.2 繊維製品の製造プロセス  
  1.2.1 繊維製造プロセスの概要  
  1.2.2 技術用語説明  
  1.2.3 繊維の製造方法―これだけは知っておきたい繊維の作り方―  
1.3 繊維と繊維構造物の種類  
  1.3.1 繊維と糸の分類  
  1.3.2 糸と繊維構造物について  
1.4 産業用繊維の物性とその測定  
  1.4.1 分子構造と結晶性  
  1.4.2 熱に関する特性  
  1.4.3 光と使用環境による劣化(耐光性と耐候性)  
  1.4.4 糸の強さと硬さ  
  1.4.5 吸湿性  
1.5 繊維の生産量について  
  1.5.1 汎用繊維の種類と生産量  
  1.5.2 高性能繊維の種類と生産量  
  1.5.3 産業用繊維の用途と需要予測  


第2部 原料素材Ⅰ 汎用繊維

第2章 天然繊維とセルロース系化学繊維  
2.1 綿  
  2.1.1 綿とはどんな繊維?  
  2.1.2 繊維の性質  
  2.1.3 産業分野における綿の用途  
2.2 麻類  
  2.2.1 麻とはどんな繊維?  
  2.2.2 靱皮繊維  
  2.2.3 葉脈繊維  
2.3 セルロース系の化学繊維  
  2.3.1 セルロース系化学繊維とはどんな繊維?  
  2.3.2 製造法  
  2.3.3 繊維の性質  
  2.3.4 用途  

第3章 合成繊維  
3.1 ポリアミド繊維(ナイロン)  
  3.1.1 ナイロンとはどんな繊維?  
  3.1.2 ナイロンの種類と合成  
  3.1.3 ナイロン繊維の製造方法  
  3.1.4 ナイロン繊維の性質  
  3.1.5 ナイロンの用途  
3.2 ポリエステル繊維  
  3.2.1 ポリエステル繊維とはどんな繊維?  
  3.2.2 ポリエステルの種類と合成  
  3.2.3 ポリエステル(PET)繊維の製造方法  
  3.2.4 ポリエステル繊維(PET)の性質  
  3.2.5 ポリエステルファミリー  
  3.2.6 産業用ポリエステルの用途  
3.3 アクリル(系)繊維  
  3.3.1 アクリル繊維とはどんな繊維?  
  3.3.2 アクリル繊維の製造方法  
  3.3.3 アクリル繊維の性質と用途  
3.4 ポリプロピレン繊維  
  3.4.1 ポリプロピレン繊維とはどんな繊維?  
  3.4.2 ポリプロピレン繊維の製造方法  
  3.4.3 ポリプロピレン繊維の性質と用途  
3.5 ポリエチレン繊維  
  3.5.1 ポリエチレン繊維とはどんな繊維?  
  3.5.2 ポリエチレン繊維の製造方法  
  3.5.3 ポリエチレン繊維の性質と用途  
3.6 ポリビニルアルコール繊維  
  3.6.1 ポリビニルアルコール繊維とは?  
  3.6.2 ポリビニルアルコール繊維の製造方法  
  3.6.3 ポリビニルアルコール繊維の性質と用途  
3.7 ポリウレタン繊維(弾性繊維)  
  3.7.1 ポリウレタン繊維とは?  
  3.7.2 ポリウレタン繊維の製造法  
  3.7.3 ポリウレタン繊維の性質と用途  

第4章 新機能汎用繊維  
4.1 汎用繊維への新機能付与とは  
4.2 帯電防止と電磁波遮蔽  
  4.2.1 静電気と電磁波による障害  
  4.2.2 帯電防止  
  4.2.3 電磁波遮蔽と除電繊維  
4.3 難燃・防炎性  
  4.3.1 難燃・防炎について  
  4.3.2 汎用繊維の燃焼特性  
  4.3.3 難燃技術と難燃製品  
4.4 強さ  
  4.4.1 産業用繊維における「強さ」とは  
  4.4.2 糸の強さを高める方法  
  4.4.3 汎用繊維の力学特性  
  4.4.4 布の強さを高める方法  
4.5 安全・快適な環境をつくる技術  
  4.5.1 環境衛生(抗菌防臭・消臭)  
  4.5.2 快適な温湿度の調整機能  
4.6 極細繊維(マイクロファイバー)  
  4.6.1 繊維の太さと機能について  
  4.6.2 マイクロファイバー  
  4.6.3 ナノファイバー  
4.7 色  
  4.7.1 産業用繊維における「色」  
  4.7.2 各種素材の染色  
  4.7.3 原着繊維  
  4.7.4 「色」の見え方  
4.8 特殊繊維  


第3部 原料素材Ⅱ 高機能・高性能繊維

第5章 高性能繊維  
5.1 高性能繊維の機能分類  
5.2 高強度・高弾性繊維  
  5.2.1 スーパー繊維とは  
  5.2.2 パラ系アラミド繊維―“ケブラーR”(KevlarR)(東レ・デュポン)、
“トワロンR”(TwaronR)(帝人)―  
  5.2.3 パラ系共重合アラミド―“テクノーラR”(帝人)―  
  5.2.4 ポリアリレート繊維―“ベクトランR”(クラレ)―  
  5.2.5 ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(PBO)
―“ザイロンR”(ZylonR)(東洋紡)―  
  5.2.6 超高分子量の屈曲性ポリマーのスーパー繊維  
5.3 耐熱・難燃性繊維  
  5.3.1 耐熱と難燃について  
  5.3.2 メタ系アラミド繊維―“NomexR”(デュポン)、“コーネックスR”(帝人)―  
  5.3.3 高耐熱性スーパー繊維―パラ系アラミドとPBO繊維―  
  5.3.4 ポリアミドイミド繊維―ケルメル(“KermelR”)―  
  5.3.5 メラミン繊維―バソフィル(“BasofilR”)―  
  5.3.6 ポリイミド繊維―“P84”(東洋紡、Inspec Fiber)―  
  5.3.7 ポリベンズイミダゾール(PBI)繊維  
  5.3.8 ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維―ザイエックス(“ZyexR”)―  
  5.3.9 ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維―“プロコンR”(東洋紡)、
“トルコンR”(東レ)―  
  5.3.10 ノボロイド繊維―“カイノール”(KynolTM)―  
  5.3.11 耐炎化繊維(部分炭化繊維)―“パイロメックス”(東邦テナックス)―  
  5.3.12 フッ素系繊維―ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)  
  5.3.13 耐熱・難燃繊維の使用ガイド  

第6章 無機繊維  
6.1 無機繊維の分類と諸物性比較  
6.2 炭素繊維  
  6.2.1 炭素繊維はどんな繊維?  
  6.2.2 PAN系炭素繊維  
  6.2.3 ピッチ系炭素繊維  
6.3 ガラス繊維  
  6.3.1 ガラス繊維はどんな繊維?  
  6.3.2 長繊維ガラス(グラスファイバー)  
  6.3.3 短繊維ガラス(グラスウール)  
  6.3.4 シリカ繊維  
6.4 セラミック繊維  
  6.4.1 セラミック繊維とはどんな繊維?  
  6.4.2 アルミナ繊維  
  6.4.3 炭化ケイ素繊維  
  6.4.4 その他のセラミック繊維  
6.5 鉱物繊維(ロックファイバー)  
  6.5.1 鉱物繊維とはどんな繊維?  
  6.5.2 ロックウール  
  6.5.3 鉱物繊維の健康問題―ロックウールと石綿(アスベスト)の比較―  
6.6 金属繊維  


第4部 原料素材Ⅲ 繊維形態と構造体

第7章 繊維形態と構造体  
7.1 モノフィラメント  
  7.1.1 モノフィラメントとはどんなもの?  
  7.1.2 繊維の性質と用途  
7.2 フラットヤーン、スプリットヤーン  
  7.2.1 フラットヤーンはどんなもの?  
  7.2.2 製造法  
  7.2.3 繊維の性質  
  7.2.4 フラットヤーンの用途  
7.3 ロープ  
  7.3.1 ロープはどんなもの?  
  7.3.2 ロープの製法と形態  
  7.3.3 ロープの性質と用途  
7.4 産業用中間繊維製品(中間基材)  
  7.4.1 多軸挿入編  
  7.4.2 多軸織物  
  7.4.3 3次元織物
7.5 不織布  
  7.5.1 不織布はどんなもの?  
  7.5.2 製法による不織布の分類  
  7.5.3 不織布の製法  
  7.5.4 主な不織布の製法と特徴  
  7.5.5 不織布の用途と生産量  
7.6 人工皮革  
  7.6.1 人工皮革とはどんなもの?  
  7.6.2 人工皮革の製造法  
  7.6.3 人工皮革の特徴  
  7.6.4 用途  


第5部 用途に特化した繊維

第8章 特定の用途に特化した繊維  
8.1 地球環境負荷を軽減する繊維  
  8.1.1 リサイクル  
  8.1.2 生分解性繊維  
  8.1.3 バイオベースポリマー  
8.2 環境から有害物質を分離・除去する繊維(大気と水の浄化)  
  8.2.1 環境に存在する有害汚染物質  
  8.2.2 焼却炉からの排ガス(バグフィルター)  
  8.2.3 高精度エアフィルター(エレクトレットフィルター)  
  8.2.4 微量有害化学物質の吸着除去  
  8.2.5 油の捕集  
  8.2.6 中空糸膜による分離・精製―血液透析から海水淡水化まで―  
8.3 アスベスト代替繊維  
  8.3.1 アスベストの代替繊維とは  
  8.3.2 生体溶解性セラミック繊維(バイオソルブルファイバー)  
8.4 防護衣料とシステム  
  8.4.1 耐熱防護衣料  
  8.4.2 人体の保護システム  
  8.4.3 防弾、防刃のために作られた繊維  
8.5 自動車用に設計された繊維  
  8.5.1 タイヤヤーン  
  8.5.2 エアバッグ  
  8.5.3 シートベルト  
8.6 カーペット用に設計された繊維(ナイロン)  
  8.6.1 BCFナイロンカーペット用繊維  
  8.6.2 BCFナイロンカーペットの特徴  
8.7 漁網、釣り糸に設計された繊維  
  8.7.1 漁網用繊維の特徴  
  8.7.2 結節強度の高い漁網用ナイロンモノフィラメント  
  8.7.3 釣り糸  
8.8 成形品の強化材としての繊維(複合材料)  
  8.8.1 繊維強化複合材料とは  
  8.8.2 強化繊維の形態(中間製品)と成形  
  8.8.3 FRPの物性  
  8.8.4 ガラス繊維強化プラスチックス(GFRP)  
  8.8.5 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)  
  8.8.6 パラ系アラミド繊維強化プラスチック  
  8.8.7 その他の繊維複合材  

あとがき  
参考書  
付録

はじめに

 日本の繊維産業が危機的状況にあり、さらに深刻化しつつあることは衆知である。その主要因は中国繊維産業の急成長であることも論を待たない。
 中国の2009年の化学繊維の生産量は2,600万トン(日本化学繊維協会資料、2010.01)で、世界の実に63%を占めるに至っている。衣料用や一般資材用途など低価格・定番商品の競争力は、ほとんど無くなった。このような状況下で繊維産業各社においては、差別化商品の開発と共に産業用途へのシフトが急務とされている。
 産業用繊維は多種多様であり、顧客の求める商品を作り上げるために、適正な繊維の選択が必要である。また、商品を扱うサイドからみると、使用されている繊維の性質を把握しておかないと、その商品の適正な機能が発揮されないし、安全上の問題も発生する。
 これらの事情をふまえて本書は、産業用繊維を扱う技術者、コンバーター、セールスエンジニアが知っておかなければならない基礎知識をまとめた。
 本書で扱う繊維は、読者の身近なコットンやポリエステルから、炭素繊維、セラミック繊維のような最先端技術に利用される繊維まで幅広く取り上げた。読者には直接関係のない分野もあるが、繊維の奥深さを理解していただければ幸いである。構成は次の通りである。
 ・繊維(特に産業用)を扱うための入門的知識(第1部)
 ・主要な繊維と製品についてのまとまった知識と専門的知識へのガイド(第2部~第4部)
 ・特定の商品分野に特化した繊維の紹介(第5部)
 ・注目されている技術と製品の紹介引用文献と参考書の充実(次のステップへの手伝い)

 平成23年1月
 技術士 加藤哲也

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