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金属材料・部品の損傷および破損原因と対策Q&A

定価(税込)  3,024円

著者
サイズ A5判
ページ数 320頁
ISBNコード 978-4-526-06607-8
コード C3057
発行月 2011年01月
ジャンル 金属

内容

設計者や製造者の意に反して、金属材料や部品に損傷や破損が生じることがある。この不具合を解消するためには原因を的確に把握して、有効な対策を講じなければならない。本書は様々な事例を元に発生原因と対策について解説したもので、金属材料・部品関係者の必読書。 

藤木 榮  著者プロフィール

(ふじき さかえ)
1960年 東京都立工業奨励館入庁 以来
東京都立工業技術センター 主任研究員
東京都立産業技術研究所 主任研究員
2005年 (独)産業技術総合研究所 客員研究員
(地独)東京都立産業技術研究センター 城南支部技術相談員
東京都エンジニアリングアドバイザー
現在に至る
工学博士

〈主な研究〉
鉄鋼材料の疲労に関する研究(表面硬化も含む)
鉄鋼材料の遅れ破壊に関する研究
〈主な著書〉
100事例でわかる機械部品の疲労破壊・破断面の見方(日刊工業新聞社)、2002年
金属材料の金属組織と疲労強度の見方(日刊工業新聞社)、2004年
50事例でわかる表面硬化処理鋼の疲労強度と破壊・破断面の見方(日刊工業新聞社)、2008年

目次

序 文  

第1章 材料の欠陥によるもの
 グループA系介在物(1)  
 グループA系介在物(2)  
 グループB系介在物(1)  
 グループB系介在物(2)  
 グループC系介在物(1)  
 グループC系介在物(2)  
 グループC系介在物(3)  
 樹枝状組織  
 収縮孔(1)  
 収縮孔(2)  
 化学成分の不均一(1)  
 化学成分の不均一(2)  

第2章 設計の誤りによるもの
 形状の不良(1)  
 形状の不良(2)  
 形状の不良(3)  
 形状の不良(4)  
 製造方法のミス  
 材料の強度不足(1)  
 材料の強度不足(2)  
 材料の強度不足(3)  
 設計不良と材料の強度不足(1)  
 設計不良と材料の強度不足(2)  
 形状のミスと熱処理のミス(1)  
 形状のミスと熱処理のミス(2)  
 製造方法のミス  
 材料の選択ミス  
 軽率な材料変更  

第3章 塑性加工のミスによるもの
 熱間加工による欠陥(1)  
 熱間加工による欠陥(2)  
 熱間加工による欠陥(3)  
 熱間加工による欠陥(4)  
 冷間加工による欠陥(1)  
 冷間加工による欠陥(2)  
 冷間加工による欠陥(3)  
 冷間加工による欠陥(4)  
 冷間加工による欠陥(5)  
 冷間加工による欠陥(6)  
 冷間加工による欠陥(7)  
 ショットピーニングによる欠陥(1)  
 ショットピーニングによる欠陥(2)  

第4章 機械加工のミスによるもの
 切削条痕による欠陥(1)  
 切削条痕による欠陥(2)  
 切削条痕による欠陥(3)  
 切削条痕による欠陥(4)  
 切削条痕による欠陥(5)  
 研削熱による欠陥(1)  
 研削熱による欠陥(2)  

第5章 熱処理のミスによるもの
 加熱による欠陥(1)  
 加熱による欠陥(2)  
 雰囲気による欠陥(脱炭によるもの)(1)  
 雰囲気による欠陥(脱炭によるもの)(2)  
 焼入れによる欠陥(形状によるもの)(1)  
 焼入れによる欠陥(加熱温度によるもの)(2)  
 焼入れによる欠陥(加熱温度によるもの)(3)  
 焼入れによる欠陥(加熱温度によるもの)(4)  
 焼戻しによる欠陥  
 浸炭による欠陥(過熱によるもの)(1)  
 浸炭による欠陥(過熱によるもの)(2)  
 浸炭による欠陥(過剰浸炭によるもの)(3)  
 浸炭による欠陥(粒界酸化によるもの)(4)  
 窒化処理による欠陥(はく離)(1)  
 窒化処理による欠陥(摩耗)(2)  
 高周波焼入れによる欠陥(硬さむら)  

第6章 溶接、溶射などのミスによるもの
 溶接母材の選択ミスによる欠陥(1)  
 溶接母材の選択ミスによる欠陥(2)  
 結合欠陥による欠陥  
 ルート欠陥による欠陥  
 溶込み切欠きによる欠陥(1)  
 溶込み切欠きによる欠陥(2)  
 溶接割れによる欠陥  
 熱影響部による欠陥(1)  
 熱影響部による欠陥(2)  
 熱影響部による欠陥(3)  
 肉盛り溶接による欠陥(1)  
 肉盛り溶接による欠陥(2)  
 肉盛り溶接による欠陥(3)  
 溶射による欠陥  

第7章 酸洗いおよび表面処理(めっき)のミスによるもの
 酸洗いのミスによる欠陥(1)  
 酸洗いのミスによる欠陥(2)  
 酸洗いのミスによる欠陥(3)  
 表面処理のミスによる欠陥(1)  
 表面処理のミスによる欠陥(2)  
 表面処理のミスによる欠陥(3)  
 表面処理のミスによる欠陥(4)  

第8章 化学的(腐食)なミスによるもの
 高温腐食による欠陥(1)  
 高温腐食による欠陥(2)  
 水素ぜい性による欠陥(1)  
 水素ぜい性による欠陥(2)  
 接触腐食による欠陥(1)  
 接触腐食による欠陥(2)  
 すき間腐食による欠陥  
 応力腐食割れ(粒界割れ)(1)  
 応力腐食割れ(粒界割れ)(2)  
 粒内応力腐食割れ(硫化水素割れ)(1)  
 粒内応力腐食割れ(硫化水素割れ)(2)  
 粒内応力腐食割れ(塩化カルシウム)  
 腐食疲労(1)  
 腐食疲労(2)  

第9章 過大な機械的負荷応力によるもの
 過大なせん断応力による損傷事例  
 過大な曲げ応力による損傷事例(1)  
 過大な曲げ応力による損傷事例(2)  
 過大なねじり応力による損傷事例(1)  
 過大なねじり応力による損傷事例(2)  
 過大な圧縮応力による損傷事例  
 過大な繰返し応力による損傷事例(1)  
 過大な繰返し応力による損傷事例(2)  
 過大な摩擦熱による損傷事例  
 過大な転がり面圧による損傷事例  
 過大なすべり荷重による損傷事例  

索 引  

はじめに

序 文
 
構造物や機械、搬送用部品、家電製品などを設計する場合、安全係数を4倍も5倍もとります。しかしながら、短時間の使用で突然破損(損傷と破壊)することがあります。使用している部品にき裂が生じたり、破壊が生じた場合、その原因を迅速、かつ的確に調査し再発防止対策を立てることは、長寿命化を考えるうえからも非常に大切なことです。基本的には使用部品の寿命は、マトリックスを構成する元素と、添加される元素の種類と量によって決まります。しかしながら、使用目的にあった材料の選択、目的に適した形状設計、加工方法(機械加工、熱処理、めっきなど)、また、使用環境も含めた適切な使用などによっても寿命は異なります。
 本書は著者の長年にわたるデータの蓄積の中から、破損例を中心に、
 第1章 材料の欠陥によるもの
 第2章 設計の誤りによるもの
 第3章 塑性加工のミスによるもの
 第4章 機械加工のミスによるもの
 第5章 熱処理のミスによるもの
 第6章 溶接、溶射などのミスによるもの
 第7章 酸洗いおよび表面処理(めっき)のミスによるもの
 第8章 化学的(腐食)なミスによるもの
 第9章 過大な機械的負荷応力によるもの
 などの欠陥について、Q&A形式で記述したものです。
 最初のページ、例えば「第1章 材料の欠陥によるもの」における項の場合、添加元素による成分偏析、非金属介在物、気泡や収縮巣など、鋼の製造時の欠陥、また、再発防止対策や長寿命化を行うための強度(主に疲労強度)などに関し、概略解説した後、いくつかの損傷例を記載しています。
 破損事例の内容については、(1)使用材質と形状、(2)損傷や破壊が生じた状況、(3)負荷応力の種類と大きさ、(4)マクロ的な破断面観察、(5)SEM(走査型電子顕微鏡)によるミクロ的な破断面観察(フラクトグラフィ)、(6)金属組織などについて、できる限り詳細に検討し、これらを総合して最終的に再発防止対策を立てたり、長寿命化させるにはどうしたら良いか、コメントしています。
 したがって、日常的に品質管理やクレーム対策に取り組んでいる経験技術者はもちろんのこと、若手技術者およびこれから品質管理、クレーム対策を始めようとしている初心者の方々、また、材料設計、強度設計などの設計者、鍛造、圧延、熱処理、めっきなどの加工に携わっている技術者などにとっても、容易に理解できるような内容になっています。
 本書の大きな特徴は、上記に示したように損傷が生ずるジャンルを分け、それぞれ最初に不具合が生ずる主な原因を挙げ、事例では損傷原因と調査結果、対策などを記しています。今回も入手できなかった損傷例は文献によりましたが、多くは従来からのデータの一部です。なお、鋳鉄、鋳鋼などに関しては大型形状のものが多く、事例も少ないため今回は記述しませんでした。文献による場合の図表中の単位は、JISまたはISOに準じました。例えばkgf/mm2の場合、その値に9.806を乗ぜず簡便的に10を乗じ概算値としました。また、材料における外国記号などはJISに準じて相当鋼としました。なお、事例中の破断面、金属組織などについてはスケール、エッチング液、撮影倍率などは記していません。これはその特徴を理解していただくため、過大に誇張しているからです。
 今回も本書の出版に当たって、多大なご尽力をいただいた日刊工業新聞社出版局編集部の方々、並びに多くの損傷事例の収集にご協力をいただいた(地独)東京都立産業技術研究センター城南支所の中村勲博士、小酒部雅敏研究員に心から感謝を申し上げる次第です。

 2010年(平成22年)12月
 著者 

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