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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい板金の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06589-7
コード C3034
発行月 2011年01月
ジャンル ビジネス

内容

板金は重厚長大から軽薄短小まで多くの産業で利用され、最近では非金属分野までその応用が拡大している。本書は、著者の実務経験をベースに板金加工の基礎知識、テクニック、作業手順などをやさしく解説する。機械板金もちろん、手板金までカバーしているのが大きな特徴。

安田克彦  著者プロフィール

(やすだ かつひこ)
高付加価値溶接研究所長
1944年 神戸市生まれ
1968年 職業能力開発総合大学 溶接科卒業後同校助手
1988年 東京工業大学より工学博士
1990年 技術士(金属)資格取得
1991年〜 職業能力開発総合大学校教授
2002年〜 IIW・IWE資格取得
2005年〜 溶接学会フェロー
2010年〜 高付加価値溶接研究所長

主な著書
『板金加工における溶接』(マシニスト出版),1984年
『薄板溶接』(マシニスト出版),1986年
教育用映像ソフト『溶接技術講座:炭酸ガスアーク溶接、ガスシールドアーク溶接、被覆アーク溶接』

(日刊工業新聞社),1988〜1991年
『絵とき 溶接 基礎のきそ』(日刊工業新聞社),2007年
『目で見てわかる溶接作業』(日刊工業新聞社),2008年
『続・目で見てわかる溶接作業(スキルアップ編)』
(日刊工業新聞社),2008年
『トコトンやさしい溶接の本』(日刊工業新聞社),2009年

目次

第1章 板金加工のイロハ
1 金属がいろいろに加工できるのはなぜ 金属は条件によりいろいろな形に成形できる 
2 加工のしやすさは材料によって変わる 変形のしやすさは原子の構成で決まる 
3 板金加工の原理 板金加工とは 
4 材料の機械的性質と加工の関係 合金材料は原子で機械的性質が大きく変わる 
5 金属は加熱により加工しやすくなる 金属に熱を加えるとなぜ加工しやすくなる 
6 板金加工による性質変化と対策 加工硬化や残留応力への対策 
7 加熱による材料のひずみ取り 金属材料の両端を拘束して加熱・急冷で成形加工 
8 手板金と機械板金 手板金から機械板金へ、そして、原点回帰も 
9 板金加工での安全作業 作業の安全は4Sの実行から 

第2章 手板金による加工
10 材料表面の研磨作業 紙ヤスリや電動研磨工具の使い方 
11 人の五感による変形状態の確認 自動車外板の補修はまず目視、そして指触で 
12 工具による変形状態の確認 工具で見出した状態を五感で確認 
13 ケガキおよびポンチ打ち作業 ケガキ、センタ出し作業の作業手順 
14 材料の切断 成形加工用材料の切り出し(ブランキング) 
15 手板金で使用されるハンマーと当て金 ハンマーによる板金作業 
16 ハンマー操作 自動車の板金補修作業の基本 
17 張出し、絞り加工 張出し、絞り加工のポイント 
18 短い長さの曲げ作業 かげタガネを用いる短い長さの曲げ 
19 長い長さの曲げ作業 折り台を用いる折り曲げ加工 
20 曲面の曲げ作業 金属パイプや丸棒を使った曲面曲げ 
21 手板金による工芸品の製作 味わい深さを出す手板金工芸品 

第3章 機械板金による加工(機器、加工のポイント、製品)
22 機械板金加工 機械板金の種類と加工の流れ 
23 プレス加工 進展するプレス加工 
24 動力シャーによる切断加工 動力シャーによる切断作業手順 
25 レーザによる切断作業 高速度で高精度の切断や溶接にレーザ熱源が 
26 パンチプレスによる加工 パンチプレス機による塑性加工 
27 プレスブレーキによる曲げ作業 直線曲げには曲げ専門のブレーキプレスを 
28 曲面の曲げ加工 板材をパイプ状に成形する曲面曲げ作業 
29 機械板金製品の品質管理 品質管理は確認の習慣づけが大切 
30 機械板金による工芸品製作 金属の光沢や重量感を活かして機械板金加工の工芸品 

第4章 自動車板金
31 自動車の構造とその補修 事故による変形の修正 
32 車体の板金粗ら補修 まず弾性変形部を修正、次に塑性変形部を修正 
33 パテ補修(パテ剤の準備) パテ剤による盛り付け成形補修の方法 
34 パテ補修(パテ補修作業) パテ付け作業のやり方 

第5章 各種材料の成り立ちと板金加工
35 炭素鋼材料の加工と溶接 炭素の含有量で加工に難易 
36 高張力鋼材料の加工と溶接 高強度で加工性の良い高張力鋼 
37 合金鋼材料の加工と溶接 合金鋼の種類とその成分、主な用途 
38 ステンレス鋼材料の加工と溶接 耐食性、耐熱性に優れるステンレス鋼材料 
39 アルミニウム材料の加工と溶接 小さな加工力で容易に加工できるアルミニウム材料 
40 チタン材料の加工と溶接 腐食媒体への耐食性抜群のチタン材料 
41 マグネシウム材料の加工と溶接 軽い割に強いマグネシウム材料 
42 銅材料の加工と溶接 板金加工性良く工芸品用としても多用 

第6章 板金加工における接合
43 加工品の接合組み立て いろいろある接合方法の利点、欠点を熟知しよう 
44 ボルトなどによる機械的接合 ボルトやリベットによる接合 
45 接着剤による接合 航空機や自動車の組立てにも利用 
46 ガス溶接とその準備 手軽な設備での溶接だが安全には十分注意 
47 ガス溶接作業 火災や爆発予防のため可燃性の物質は周辺に置かない 
48 アーク溶接とその溶接作業 アーク放電の熱エネルギー利用の溶接 
49 ティグ溶接とその溶接作業 高品質の溶接が可能 
50 半自動アーク溶接とその溶接作業 炭素鋼材料の高能率溶接に広く利用 
51 レーザ溶接とその溶接作業 高速度の切断や高精度の溶接に欠かせない 
52 スポット溶接とその溶接作業 電気の抵抗発熱で材料を溶融させ溶接 
53 ろう接による接合 目的に応じて軟ろう、硬ろうを使い分ける 

第7章 接合を取り入れた板金加工法
54 溶接を積極的に利用する板金加工 予期しなかった効果的な加工も可能 
55 溶接した材料の張出し加工 目的の加工に合った適切な材料と溶接法の組合せ 
56 溶接した材料の絞り加工 溶接により影響の度合いが変わる 
57 接合ブランクによる加工 溶接で接合された異材の接合材の加工 
58 接合ブランクによる連続成形加工 深さの深い筒状容器の成形加工 
59 溶接で性質変化させたブランクによる絞り加工 溶接で材料の変形を防止する 
60 板金加工を考慮した溶接の高速化の工夫 溶接熱源の複合化で高速溶接 
 
コラム
1章 手板金 
2章 機械板金 
3章 自動車板金 
4章 各種材料の加工と溶接 
5章 組み立て技術としての溶接 
6章 溶接を利用する板金加工 

はじめに

 板金加工は、比較的薄い板状の金属材料に人や機械が金型を介して力を加え、固体の金属を目的の形状に変形させて製品とする技術です。こうした方法による製品製作は、人類が金属の道具を使用するようになった時点から、それを持つ人の地位を誇示するための王冠や装飾品、寺社や屋敷の装飾用金具に広く使われてきました。
 また、現代社会でも、各種の装飾品や工芸品が手板金加工により製作されています。ただ、近年の工業製品に求められる高精度、高機能のモノづくりに対しては手板金では対応しきれず、多くは専用の機械を使用する機械板金に置き換えられてきています。機械板金では、自動車や電機、機械などの部品材の製作が中心です。ただ、最近の機械装置類の高精度、高機能化により、これまで機械加工や鋳造で製作していた製品を板金加工した加工材を溶接などで接合して製品に仕上げる方法や大形機械のカバー、電気通信機器の各種ケースなど社会的ニーズの変化に対応した新たな製品づくりに利用分野を広げています。
 本書では、こうした板金加工技術を、加工のメカニズムから、加工を始めるために必要な知識までを理解しやすく整理し解説しています。次に、板金加工の適用分野を人が行う手板金、機械を利用して行う機械板金、自動車の車体補修を行う自動車板金に分け、それぞれの分野で必要とされる基本的な知識や作業方法をわかりやすく解説しています。
 さらには、近年の板金加工では不可欠となっている加工部品の組み立てのための接合技術を、板金加工の目線から見たそれぞれの方法の基本原理と基本作業を示しています。ただ、溶接技術は、電気・物理・化学の組み合わさった複雑な現象であり、特に板金加工で使用する溶接は人の技能の関与するものが多く、溶接に関しより詳しいノウハウを知りたい方は、同じシリーズの「トコトンやさしい溶接の本」や「絵とき溶接 基礎のきそ」、「目で見てわかる溶接」(いずれも日刊工業新聞社から発行)を参照してください。
 また、本書では、板金加工に使用される材料の加工性や溶接性についても解説、さらに使用する材料で決まる成形限界を溶接を利用して向上させる手法なども示しました。こうしたことで、本書が、これから板金加工を通したモノづくりや工芸品製作を目指そうとする方、そしてすでに板金加工に従事されている方の基礎的知識の把握に何らかの形でお役立ていただけることを願っています。
 
二〇一一年一月
安田克彦

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