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見える化でわかる
ムダつぶしコストダウン

定価(税込)  2,592円

著者
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サイズ A5判
ページ数 204頁
ISBNコード 978-4-526-06590-3
コード C3034
発行月 2010年12月
ジャンル 生産管理

内容

モノづくり現場では高品質、納期厳守のほかにコストダウンも強く求められている。本書は、現場の改善努力を会社の利益に反映させる製造原価のコストダウンについて、取り組み方やその方向をわかりやすく解説した現場のためのコストダウン入門書。

田村孝文  著者プロフィール

(たむら たかふみ)
 1973年以来、日本能率協会コンサルティングのコンサルタントとして、IEをベースに生産性向上、品質向上、原価低減、生産管理改善などを日本、および韓国、アメリカ、中国などの企業に指導し、現在もグローバルに活躍中。途中、1995年からはアメリカに在住し、日本能率協会コンサルティングアメリカとして、そして、2005年に日本能率協会コンサルティングを定年退職後は、(株)MEマネジメントサービスのME―America,ME―Canadaの社長として、北米の日系企業、アメリカ企業を中心に、カナダ、メキシコ、中国などの企業も含めて指導し、各社で革新的成果を上げている。
 著書:「CIM入門」
    「図解でわかる生産の実務 標準時間」
    「図解でわかる生産の実務 作業改善」
    「CIMハンドブック」(共訳)
    「CAPPハンドブック」(共訳)
    「IEハンドブック」(共訳)
    「新版MOST画期的な標準時間設定法」(共訳) (いずれも日本能率協会マネジメントセンター)

大塚泰雄  著者プロフィール

(おおつか やすお)
 大手工作機械メーカーに11年勤務。開発・設計、製造、営業技術などを経験し(株)MEマネジメントサービス取締役。マネジメントコンサルタント。中央大学アカウンティングスクール兼任講師。
 主に企業では、設計・生産技術・購買・製造部門の原価管理システムの立案・構築・実施やVE、IE、購買査定テーブルを活用した、総合的コストダウンを展開し、企業の業績を改革するコンサルティング業務が活動の中心である。その他、公開セミナー、社内教育などの活動も行う。
 著書:「技術者のための原価企画」(共著)
「理想原価への挑戦」(共著)
以上、日本能率協会マネジメントセンター
「実践原価企画」(共著)税務経理協会
「よくわかる金型の原価管理とコストダウン」日刊工業新聞社
「見える化でわかる売り値と買い値」(共著)日刊工業新聞社

連絡先
〒143―0024 東京都大田区中央6―29―2
TEL(03)3755―5437 FAX(03)3755―8366
E―mail:tamura@mejapan.com
E―mail:ohtsuka@mejapan.com
http://www.mejapan.com

目次

はじめに  

第1章 モノづくり現場のロスとは
    ―現場のロスやコストダウン余地を見分ける―
 1―1  モノづくり現場の働きと動き
 1―2  基本機能だけでできるプロセスがベスト
 1―3  基本機能を分析する
 1―4  材料の基本機能とは
 1―5  生産資源の最適組合せとは
 1―6  生産要素を最適に組合せる
 1―7  生産性とロスの関係を知る
 1―8  生産性を上げる2つの方法とは
 1―9  生産性のロスを分類する
 1―10 製造方式ロス(1)製品設計上のロスとは
 1―11 製造方式ロス(2)製造方法上のロスとは
 1―12 製造方式ロス(3)製造方法上の歩留ロスとは
 1―13 製造方式ロス(4)製造方法上のバランスロスと干渉ロスとは
 コラム1. 理論より実践  

第2章 ロスのないモノづくり
    ―ロスのないモノづくりへ再設計する―
 2―1  2つの製造方式改善アプローチ
 2―2  設計型改善アプローチとは
 2―3  代表製品を選ぶ(改善ステップ1:改善対象モデル製品選定)
 2―4  改善対象要素を調べる(改善ステップ2:現状システムの標準化―1)
 2―5  現状ラインのモデルを作る(改善ステップ2:現状システムの標準化―2)
 2―6  基本機能を選び、排除する(改善ステップ3:基本設計―1)
 2―7  新ラインの骨格を作る(改善ステップ3:基本設計―2)
 2―8  新ラインの基本設計案をまとめる(改善ステップ3:基本設計―3)
 2―9  補助機能を付加して実施可能案を作る(改善ステップ4:詳細設計―1)
 2―10 詳細設計案をまとめ、調整する(改善ステップ4:詳細設計―2) 
 2―11 提案書を作る(改善ステップ5:提案書作成)
 コラム2. ライン作業におけるサイクルタイムの限界  

第3章 モノづくりの原則を適用する
    ―モノづくり最適化の原則とは―
 3―1  工程をつなぐ:原則―1. 一工程で完結する
 3―2  工程をつなぐ:原則―2. 量的分業を優先する
 3―3  工程をつなぐ:原則―3. 同一加工部位を集約する
 3―4  工程をつなぐ:原則―4. 一生産要素を移動する
 3―5  工程をつなぐ:原則―5. 移動を最小にする
 3―6  人と設備をつなぐ:原則―1. 人をネックにする
 3―7  人と設備をつなぐ:原則―2. 作業ペースを円滑にする
 3―8  人と設備をつなぐ:原則―3. タイミングをフリーにする
 3―9  人と設備をつなぐ:原則―4. ライン上でする作業を選ぶ
 3―10 設備と設備をつなぐ:原則―1. ラインの長さを適正にする
                原則―2. 直線ラインの原則
 3―11 設備と設備をつなぐ:原則―3. 残り手扱い作業を最小にする
 3―12 設備と設備をつなぐ:原則―4. ロットを変えない
 3―13 設備と設備をつなぐ:原則―5. 変化する作業は後工程で行う
 コラム3. 射出成形機と作業者 

第4章 モノづくりで設備特性を生かす
    ―日本的モノづくりで生き残る―
 4―1  設備依存型生産の課題―日本のモノづくりの特性
 4―2  最適設備を選択する―設備能力の80%は使いきる―
 4―3  過大投資にならないために
 4―4  材料・人を使って設備の能力を生かす
 4―5  設備と人の特性を知る
 4―6  人の能力は有限、設備の能力は無限
 4―7  フレキシブル設備を開発する
 4―8  標準化は設備開発とコストダウンの要である
 4―9  段取り改善も金型の標準化から
 コラム4. 改善にも歴史がある  

第5章 標準原価管理により現場のロスがお金で見えるようになる
    ―見えないロスの見える化が大きな成果へ結びつく―
 5―1  あるべき姿を描くとやるべきことが見えてくる
 5―2  管理するときの標準をあるべき姿で描く
 5―3  標準原価管理とは
 5―4  標準原価管理の差異分析で見える化
 5―5  “誰が”“何を”“いつ”“どれくらい”を明確にする
 5―6  見えるロスはすでにつぶされている
 5―7  見えないロスに目をつける
 5―8  見える化で効果の大きいテーマを見つける
 5―9  ロス金額を見える化する
 コラム5. 理想が高いと結果はついてくる  

第6章 現場の材料費のロスをつぶしてコストダウン
    ―製造歩留ロスと不良ロスを現場で管理する―
 6―1  材料費のロスを見えるようにする
 6―2  投入した材料はどこでロスになるか
 6―3  歩留ロスには2つある
 6―4  歩留ロス向上のポイント
 6―5  実際消費量の測定で問題点を発見する
 6―6  バラツキ是正と公差の限界をねらう
 6―7  品質コスト低減による見える化
 6―8  不良ロスの内容とその発生形態
 6―9  レポートで不良を見えるようにする
 6―10 5Sの徹底で不良低減を実現する
 6―11 不良低減のポイント
 6―12 不良の出ない工程を作る
 コラム6. レストランの150gのビーフステーキ  

第7章 現場の労務費のロスをつぶしてコストダウン
    ―ロスの大半は標準作業方法無視と作業ペースのロス―
 7―1  労務費のロスを見えるようにする
 7―2  賃率差異とは
 7―3  能率管理システムの考え方
 7―4  設備の能力を目いっぱい使っているか
 7―5  標準作業方法は守られているか
 7―6  人により作業ペースは倍違う
 7―7  作業ペースの構成要素とは
 7―8  生産性を倍増する能率向上のポイントとは
 7―9  生産性向上は仕事のけじめから
 7―10 標準作業を守り仕事の状態を見えるようにする
 7―11 最後は経済動作指導の徹底をする
 7―12 稼働率向上のポイントとは
 7―13 作業指導監督業務内容を見直してみる
 7―14 科学的管理法の原理に学ぶ
 コラム7. 忙しいときは頑張って、暇なときは手を抜く  

第8章 現場の製造経費のロスをつぶしてコストダウン
    ―変動経費は金額大、操業度はコストに有利なアクションを―
 8―1  製造経費のロスを見えるようにする
 8―2  製造経費低減のポイント
 8―3  変動経費を管理する
 8―4  安いエネルギーを選択する
 8―5  現場で目をつける固定経費の管理とは
 8―6  操業度を調整することの必要性
 8―7  人は変動費、設備は固定費と考える
 8―8  コストに有利なアクションを選択する
 8―9  余剰工数と残業工数のバランスを調整する
 コラム8. エネルギーを効率よく使うことの大切さ

はじめに

 栄枯盛衰、戦後、何十年に渡って、自動車王国アメリカで50%以上のシェアを誇ってきたGM(ゼネラルモーターズ)も倒れ、再上場の運びにはなったが、まだ先はよく見えていない。重厚長大、軽薄短小から、多品種少量、いまやオンリーワン、これらの時代の大きな流れは行き着くところまで来た感がある。現在、日本や北米のモノづくりは精彩を欠いている。
 日系企業については、30~40年以上も前に、日本からの家電製品の輸出で、世界に一世を風靡した家電業界が、その後のローカルコンテント法などに従って、市場に近い北米へと工場進出し発展を続けてきた。しかし、ここ3~5年は大手家電企業の北米からの生産拠点撤退や、東南アジアへの移転が目立っている。戦後の復興のために、働くことだけに専念して、技能や技術を磨いてきた日本の猛烈戦士とその企業がその事業から撤退するか、ますます小さくなる限られた高級品市場の中で生き残りを図るか判断を迫られる事態となっている。
 一方で、韓国の三星やLG、中国のハイアールやハイセンスはテレビ、エアコン、冷蔵庫や洗濯機など、これから需要がいくらでも伸びていくであろう製品群で世界シェアを伸ばしてきている。テレビひとつとっても、1工場に30ラインも、40ラインも持ち、これらの工場がいくつかの地域にある。そして、輸出も増え、北米にも工場進出してきている。中国のあるテレビ組立工場では今年も30%から40%の増産でうれしい悲鳴をあげており、今後も、中国の10何億人という市場だけでなく、インド、東南アジア、北南米、アフリカ、東欧と人口の多い国に対しても伸びていくと鼻息は荒い。
 大量需要、大量生産品において、日本企業はすでに後塵を拝していると言わざるを得ないのであろうか。過去には、日本企業がまさに、それで伸びてきた。アメリカのスーパーマーケットなどで、家電製品を見る限り、日本製と比べても、製品の見栄えは変わりなく、価格は少ししか違わない。生産性の低さを専用ラインによる量産効果と人件費の差が吸収していると考えられる。
 明治以前からの職人とその技能を大事にする社会風土のもとで、日本企業には、国内の競合他社と厳しいサバイバル競争を生き残ってきたモノづくりの文化がある。すなわち、モノづくりが要求する勤勉、仕事へのまじめな取り組みで、高度経済成長を実現したモノづくりの文化である。技能の蓄積と匠の技の継承とそれを普遍化する製造現場重視の生産技術力、課題解決能力などは、諸外国にはまねのできないものである。
 今まさに、工場の存続をめざして、これらの日本のモノづくりのよさを発揮して、地道な改善、革新努力によって徹底的にロスをなくし、製品や部品の付加価値を高め、自社独自の優れた生産方式を確立して、QCD全般にわたるモノづくりの差別化を図らなければならない。頻繁に製品が変わる、技術もハイレベルとなっている、忙しくて時間がない、改善経験者が少ないなどと言っているその現場には、本書で指摘しているようにロスが山積みされている。
 本書では、第1章でモノづくり現場のロスを取り上げている。第2章から第4章までは、生産システムそのものの良否について議論しており、ロスのないモノづくりシステムへの製造方式の改善、再構築の進め方を説明している。
 また、後半の第5章から第8章では、現状の生産システムや再構築されたシステムの使用時における使い方の良否、すなわち、実施効率の管理について説明している。特に後半の実施効率については、目で見えにくいロス、または、目で見えていないロスを顕在化し、誰が、何を、どれくらいなすべきか、あるべき姿を明確にしている。
 ますます厳しくなる日本のモノづくり状況において、どの工場にも改善、革新の余地は大きく、まだまだコストダウンできる余地は大きい。そして、最高の目標を掲げ、挑戦すれば、モノづくりの金メダルの獲得も夢ではない。現場に立ち、設備や工程の現物とその事実を確認しながら、見えるロスを排除し、目に見えにくい、または、見えないロスを誰にもわかるように明らかにし、技術的にもバランスよく、正してもらいたい。本書が読者の皆様のご活躍の一助になることを祈っている。
2010年10月  
田村 孝文
大塚 泰雄

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