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絵ときでわかる
材料学への招待

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-06584-2
コード C3057
発行月 2010年12月
ジャンル 金属

内容

本書は材料学の入門者を対象に、材料学の中心に位置する金属とくに鉄を親しみやすい例やより実用的な産業界での例を紹介しながら盛り込み、さらに材料周辺の外野席的な脱線話も加味して面白く読めるように工夫した。随所にコーヒーブレイク的な話題を盛り込んでいる。おもしろ話で理解する。 

坂本 卓  著者プロフィール

(さかもと たかし)
  1968年 熊本大学大学院修了
  同年三井三池製作所入社、鋳造熱処理、機械加工、組立、鋳造の現業部門の課長を経て、東京工機小名浜工場長として出向。復帰後本店営業技術部長。
  熊本高等専門学校(旧八代工業高等専門学校)名誉教授
  (有)服部エスエスティ取締役
  熊本県立大学非常勤講師
  工学博士、技術士(金属部門)、中小企業診断士
  著 書 『おもしろ話で理解する 金属材料入門』
      『おもしろ話で理解する 機械工学入門』
      『おもしろ話で理解する 製図学入門
      『おもしろ話で理解する 機械工作入門』
      『おもしろ話で理解する 生産工学入門』
      『トコトンやさしい 変速機の本』
      『トコトンやさしい 熱処理の本』
      『よくわかる 歯車のできるまで』
      『絵とき 機械材料基礎のきそ』
      『絵とき 熱処理基礎のきそ』
      『絵とき 熱処理の実務』
      『「熱処理」の現場ノウハウ99選』(以上、日刊工業新聞社)
      『熱処理の現場事例』(新日本鋳鍛造協会)
      『やっぱり木の家』(葦書房)

目次

はじめに

第1章 金属の振る舞い
1-1  元素のいろいろ 元素記号と周期表
1-2  金属の発展と戦い 金属の融点と材料の利用
1-3  鉄の一家 生命に欠かせないミネラル
1-4  伸ばし延ばして拡げて使う 金属の硬さと結晶構造
1-5  色が決め手 金属の色もさまざま
1-6  鉛の切れない謎 金属の加工硬化と再結晶
1-7  蜘蛛の子を散らす 拡散による金属の接合
1-8  マッチは何度で燃える 高温を計る技術
1-9  チョコと相 固相、液相、気相
1-10 砂糖水と麦ご飯 金属同士の交わりやすさと固溶限
1-11 女の嬌態、男の変態 鉄の結晶構造の変化
1-12 鉄の顔・顔・顔 多様な組織形態を持つ鉄
1-13 パンとお赤飯 結晶構造から見た合金の種類

第2章 材料の外野席
2-1  バックボーンの力 カルシウムの吸収
2-2  大地の恵み カルシウム化合物の利用
2-3  海のミネラル 海水中の元素を有効利用
2-4  軽いガス 匂いの元
2-5  炭酸ガスは生命の素 地球温暖化物質の効果
2-6  カメラと写真 銀が使用されていたフイルム
2-7  鉄に勝る木と竹の建築 折れ曲がって元に戻らない鉄
2-8  匂いと温泉 硫化水素の効用
2-9  青酸カリと青春 毒物になる化合物
2-10 石見のネズミ捕り 猛毒の砒素
2-11 色で選ぶ材料 金属の炎色反応
2-12 発色は光に LEDの特徴
2-13 石炭掘りと黒いダイヤ 日本を支えた石炭採掘
2-14 焼酎造りと蒸留 水蒸気蒸留法と浮遊選鉱法
2-15 牛乳と鉄 土壌や海底を肥沃にする金属
2-16 をシャットアウト 金属固有の電位を利用
2-17 色を食べる さまざまな効用を生む元素や化合物

第3章 鉄を造る
3-1  鉄を生む石 湿気を嫌う鉄鉱石やコークス
3-2  天高く聳える炉 高温を維持する炉
3-3  清浄なる鋼 目的の成分に鍛え上げる
3-4  お肌と清純 連続鋳造法で目的の形に成形
3-5  十人十色の鉄 純鉄、炭素鋼、鋳鉄
3-6  適材適所に使用 鉄の分類による活用
3-7  叩いて延ばす痩身術 熱間加工と冷間加工
3-8  鯛焼きも鋳造 溶かして成形
3-9  粉々の鉄を使う 粉末冶金で加工

第4章 鉄と特性
4-1  メカニカルな性質 材料の機械的性質を知る
4-2  鉄の千変万化 鉄の性質を利用
4-3  荒い使い方でもOK 一般構造用圧延鋼の特徴
4-4  痩せても力持ち 高張力鋼の開発
4-5  適材を適所に 機械構造用炭素鋼の特徴
4-6  頑強な合金 合金鋼の特徴
4-7  タフネスメン 強靱鋼の特徴
4-8  我に切れぬものなし 工具鋼の種類
4-9  脱兎のごとく削る 高速度鋼の特徴
4-10 削られたいの 被削性能の改善
4-11 お肌から浸入 浸炭鋼の特徴
4-12 白銀の硬さ 窒化の特徴
4-13 力の吸収と開放 ばね鋼の特徴
4-14 ころがっても大丈夫 軸受鋼の特徴
4-15 剛を制す鋼 高マンガン鋼の特徴
4-16 銹ない鋼 ステンレス鋼の特徴
4-17 熱に耐える 耐熱鋼の特徴
4-18 鋳込む鋼 鋳鋼の特徴
4-19 ねずみ算式に普及 鋳鉄の特徴
4-20 粉末を操作する 粉末冶金の特徴

第5章 熱の魔法で鋼の改質
5-1  顔を磨く ショットブラストで鋼の表面を清浄化
5-2  均一にする 焼なましで改善
5-3  平にひらに 焼ならしで標準組織に
5-4  シャンと活を入れる 焼入れでマルテンサイト組織に変態
5-5  戻して柔に 焼戻しで軟らかく
5-6  悪者はプリズンへ 溶体化処理で合金元素を均一に
5-7  最中の硬軟 高周波焼入れと炎焼入れ
5-8  面の皮を硬く 浸炭焼入れの特徴
5-9  光り輝くお顔に ガス窒化の特徴

第6章 金属のレシピ
6-1  味付けはナトリウム 人体に不可欠なナトリウムとカリウム
6-2  金でトッピング 人類は輝く金を求めた
6-3  天の配剤 炭素は燃料からダイヤまで
6-4  薬と毒の使い分け 軟らかさが特徴の鉛
6-5  玄米を優先摂取 金属生産で3番目の亜鉛
6-6  クッキングに多用 軽くて丈夫なチタン
6-7  縞ミミズの餌に シリコンは地球上で2番目に多い元素
6-8  虎穴に入らずんば虎子を得ず 水銀は常温で液体の金属
6-9  厨房の助っ人 熱伝導性の高い銅
6-10 実りの5円玉 多様な銅の合金
6-11 アルマイト弁当箱 合金として利用されるアルミニウム
6-12 ジュラルミンと零戦 軽いアルミニウム合金
6-13 低高温間の広い守備 硬貨からバイメタルまで使用されるニッケル
6-14 フライ級チャンピオン 海水に豊富なマグネシウム
6-15 ヘビー級耐熱王者 極めて硬いタングステン
6-16 ちびっ子の多機能 微量でも性能を向上させる硼素
6-17 未来の灯は電池と磁石 貴重なレアメタルの有効利用
6-18 雌雄を決するセラミックス 軽量で耐性に優れるセラミックス

索引

はじめに

 10年前に「おもしろ話で理解する金属材料入門」(日刊工業新聞社)を上梓しました。発刊の目的は学生が容易に材料を理解できるように、高専の「材料学」の教科書として採用することでした。本書の内容に多くの実例を紹介して平易に説明した甲斐あって、学生は材料が好きになりこれを糧にして自らさらに深く啓発を拡大し、詳細に勉学する習慣ができたようです。それまでは難解で机上だけの理論的な教科書を採用していましたから、無味乾燥な授業を受けていたのでしょう、大きく構成を変えた前書の採用と実践的な授業が学生間に人気を博し活性化し、授業態度が能動的になり進んで勉強するようになりました。
 前出の書籍はこのように好評で多数増刷することができました。学生は積極的に材料学に興味を持つようになりましたから、本書が彼らの勉学に大きく寄与したと思います。また学生以外の一般読者の教養書としてもご利用戴いているようです。それは数年前に山手線の電車の中で本書を読んでいるビジネスマンを娘が見つけて私に連絡してきたことです。一般の方々に対しても実用書あるいは教養書として、これからも少しでもみなさまに役に立つことができれば幸いです。
 学生は教科を受ける際に理論的な説明に対して受動的になり眼が死んでしまう傾向があります。そこで授業の方針を変えて、最初から経験事例や実用的な材料を説明して次第に理論で裏付けていけば、学生は積極的な態度になり、乾田が水を吸収するように能動的に自己啓発へ進むようです。勉学の進め方としてこの方法が彼らの肌に合うようですし、実際に居眠りする学生がいなくなりました。結果として学生は材料学が好きになり、卒業後はその製造や研究分野に巣立って活躍している便りを貰うと本望に感じます。
 今回、新たに構成した本書は先の入門編の結果を参考にし、不足分を補完しながら範囲を広げて実用的な話を盛り込み、材料周辺の外野席的な脱線話も加味して面白く企画してみました。そのため少し冗長的で材料の本論から離れた箇所もありますが、その点はコーヒーブレイクのつもりでご容赦ください。話のいくつかは日刊工業新聞社から講師の招聘を受けた1日セミナーでご紹介した例や、ときどき要請を受けて企業現場で技術指導する機会に体験した実例を含めました。
 材料の学問の中では金属の分野が中心になります。金属の中では鉄が基本で、鉄の理論を理解できれば他の非鉄金属や材料の概要が把握できます。本書の中核は第3章に鉄を造る方法、第6章に非鉄金属、非金属の製品の製造法を配置して説明しています。最初から固い理論を説明しないで、あくまでも周辺から理解できるように読みやすく構成しました。
 材料の発達は日進月歩で急激に伸長しています。将来発明する新素材や新技術に関する情報を体得され、なお一層、材料に関してうん ちく蘊蓄を傾けられることを希望します。
 
2010年12月
坂本 卓

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