買い物かごへ

見える化でわかる 開発段階の製品原価管理 

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 204頁
ISBNコード 978-4-526-06557-6
コード C3034
発行月 2010年11月
ジャンル 生産管理

内容

設計図ができあがった段階で、原価の80%は決まってしまうと言われている。それだけにこの段階でのコスト低減は重要になっている。本書は顧客要求の絞り込みからはじまる開発段階における製品原価管理の基礎知識と具体的な進め方についてわかりやすく実例を交えながら解説した開発段階における原価管理の入門書。

小川正樹  著者プロフィール

(おがわ まさき)
 1955年 神奈川県横須賀市に生まれる
 (株)日本能率協会コンサルティングを経て、現在、(株)MEマネジメントサービス常務取締役。マネジメントコンサルタント、技術士(経営工学)、明治大学専門職大学院会計専門職研究科 特任教授。
 原価計算、原価管理、原価見積、原価企画などに関するシステムの立案、構築、実施やVE・IEや品質工学などを通じて総合的コストダウンを展開し、企業の業績を改革するコンサルティング業務が活動の中心である。
 著書:『技術者のための見積原価計算』(共著)
    『CIMハンドブック』(共訳)
    『技術者のための原価企画』(共著)
    『理想原価への挑戦』(共著)
    『資材購買技術・事例集―1』(共著)
    『絵でみる原価計算のしくみ』
    『図解でわかる 高品質・低コスト生産のすべて』
          以上、日本能率協会マネジメントセンター刊
    『実践原価企画』(編著者)税務経理協会刊
    『絵でわかる超入門原価計算』すばる舎刊
    『よくわかるレイアウト改善の本』
    『よくわかる品質改善の本』
    『見える化でわかる原価計算』
          以上、日刊工業新聞社刊
連絡先
〒143―0024
 東京都大田区中央6―29―2
TEL(03)3755―5437 FAX(03)3755―8366
E―mail:ogawa@mejapan.com
http://www.mejapan.com

目次

はじめに  

第1章 製品の付加価値とライフサイクルコストを見える化する
 1―1  付加価値の高い製品を開発する
 1―2  顧客が価値を感じる製品とは
 1―3  顧客要求を掴み製品仕様に組み込む
 1―4  他社にない技術力で付加価値を高める
 1―5  コアになる技術を構築する
 1―6  高付加価値製品の設計・開発手順を標準化する
 1―7  製品原価はライフサイクルで考える
 1―8  どれくらいライフサイクルコストは低減できるか
 1―9  ばらつきを減らせば取得コストは低減する
 1―10 所有者コストが安いと顧客は反応する
  コラム(1) 建築物のライフサイクルコストを見える化する  

第2章 原価企画で出図前の原価を管理する
 2―1  ライフサイクルコストの管理は原価企画で実践する
 2―2  原価企画の業務内容を整理する
 2―3  目標売価から原価を作り込む原価企画の考え方と進め方
 2―4  売価を決定する要素を見える化する
 2―5  利益率はどのようにして決まるか
 2―6  原価企画で必要な見積原価のレベル
 2―7  原価企画で必要なデータベースを整備する
 2―8  コストダウンの方向性を見える化する
 2―9  目標利益を満たし達成可能な製品の目標原価を設定する
 2―10 目標原価をユニットや部品に割り付ける
 2―11 出図前のコストダウン成果を評価する
  コラム(2) 利益はどれくらいあるの  

第3章 製品の適正機能を追究して原価を作り込む
 3―1  顧客の要求を図面に作り込む
 3―2  VEはコストダウンの大きな武器
 3―3  VEの進め方
 3―4  製品の目的とする機能が見えているか
 3―5  製品機能を数値で評価する
 3―6  製品機能を原価で見える化する
 3―7  価値ある機能にお金をかける
 3―8  固定概念を打破してアイデア発想する
 3―9  アイデアをブラッシュアップする
 3―10 アイデアを多方面から発想する
 3―11 TRIZでアイデアの技術的矛盾を解決する
 3―12 科学的効果や法則を活用する
 3―13 TRIZを活用したアイデア発想
  コラム(3) 値ごろ感は平均値 

第4章 製品の適正品質を追究して原価を作り込む
 4―1  品質を上げるとコストアップになるという誤解
 4―2  予防コストを充実させ失敗コストを減らす
 4―3  適正品質追究の進め方
 4―4  パラメータ設計でアイデアを効率的に検証する
 4―5  機能をばらつかせる要因は何か
 4―6  特性要因図で制御因子と誤差因子を見える化する
 4―7  QC7つ道具をうまく活用する
 4―8  効率のよい実験を立案する
 4―9  実験データを効率よく解読する
 4―10 ばらつきの少ない最適条件を見つける
 4―11 最適条件は常に再現できるか
 4―12 最適条件の追究を実践する
  コラム(4) 弁慶の7つ道具と新QC7つ道具  

第5章 製品のばらつきを低減させると原価は激減する
 5―1  コストダウンの方向を掴む
 5―2  コストダウン施策を見える化する
 5―3  製品設計段階でどれくらい原価が下がるかがわかる
 5―4  材料費に含まれる技術歩留ロスのコストダウン
 5―5  材料費に含まれる補助機能のコストダウン
 5―6  材料費に含まれる基本機能と補助機能のロス
 5―7  1級品と2級品の適用を原価で判定する
 5―8  原価を考慮して図面公差を決定する
 5―9  最適なコストダウン技術で目標原価を達成する
 5―10 生産設計段階でどれくらい原価が下がるかがわかる
  コラム(5) 「得たものや効果」と「価格」のバランス  

第6章 CAx(D、E、T、M)で原価を作り込む
 6―1  究極の製品設計は試作レス
 6―2  デジタルの世界でのモノづくり
 6―3  コンピュータ内で試作品を作る
 6―4  コンピュータ内で実験を実施する
 6―5  CAEを活用して機能をシミュレーションする
 6―6  コンピュータ内で最適モデルを作る
 6―7  最適モデルを試作して手戻りをゼロにする
 6―8  CAD見積で最適コストを作り込む
 6―9  CADシステムに見積機能を追加する
 6―10 CAD見積システムに必要なデータベース
  コラム(6) 見た目にだまされるな  

第7章 標準化による設計・開発費のコストダウン
 7―1  人により異なる標準の4段階を整理する
 7―2  標準化するとなぜコストダウンか
 7―3  汎用技術の組合せで原価を作り込む
 7―4  製品の標準化と作業の標準化は異なる
 7―5  顧客の要求で変わる部品と変わらない部品
 7―6  事前によい機能の部品を選定し統一する
 7―7  変動する部分を固定化する
 7―8  部品の組合せでユニットを設計する
 7―9  変動のさせ方をルール化する
 7―10 1つの部品がカバーする範囲を見直す
 7―11 類似部品を分類する
 7―12 標準化の成果を金額で評価する
 7―13 設計・開発リードタイムも短縮する
 7―14 技術情報を共有化する
  コラム(7) 身近にある標準数  

第8章 製品原価と環境にもやさしいモノづくりに向けて
 8―1  環境保全はコストアップになるのか
 8―2  自然界にはムダがない
 8―3  環境問題解決へのアプローチ
 8―4  ものからサービスへ価値を転換する
 8―5  リサイクル品を受け入れ再生する逆工場
 8―6  分解しやすい製品は組み立てやすい
 8―7  逆工場を実現するための課題は何か
 8―8  リユース品の品質を保証する
 8―9  原価計算はライフサイクルで考える

はじめに

 1970年代、若者に人気のあったオーディオ製品は重厚長大な「ラジカセ」であった。ラジオとカセットデッキを合体させたラジカセは、日本発のヒット製品である。時代は2010年、音源はアナログからデジタルに代わり、オーディオ製品は軽薄短小な携帯型プレイヤーが全盛である。日本経済新聞社が毎年行っている『日経ヒット商品番付』で、2005年に『iPod&iTunes』が東の横綱になって以来、携帯型プレイヤーといえばアップル社の製品を思い浮かべてしまうのは、私だけであろうか。
 「最近、世界的にヒットした日本発の製品は何ですか?」と質問されたら、あなたはどんな製品を思い浮かべるだろうか。徹夜の行列ができるのは、アップル社の製品、スウェーデンのH&Mなど低価格でファッション性のある衣料品など、いずれも海外発の製品が多いようである。
 「日本発のヒット製品を生み出す」などと大上段に構えるつもりはないが、やはり、価格のメリット、時間のメリットなど顧客の持っている価値を向上させた製品がヒットするのである。顧客に価格のメリットを感じさせるには、製品の開発段階における原価管理がキーポイントになる。

 本書では、顧客要求の絞り込みから始まる製品の開発段階における製品原価管理の基礎知識と具体的な進め方について、わかりやすく実例を交えながら全8章で解説している。さらに各項目は、文章と図表からなる1項目2ページ完結の構成になっている。
 「第1章 製品の付加価値とライフサイクルコストを見える化する」では、付加価値の考え方から顧客要求の掴み方、製品原価管理の対象であるライフサイクルコストについて説明する。そして、製品のライフサイクルコストを管理する原価企画の概要に触れる。
 「第2章 原価企画で出図前の原価を管理する」では、目標売価の設定から始まる原価企画活動の中で、目標原価の設定手順を解説する。この手順の特徴は、技術的に改善できる限界を追究して、目標原価を設定することにある。
 「第3章 製品の適正機能を追究して原価を作り込む」では、第2章で設定した目標原価を達成する活動の中で、製品の適正機能追究と原価の作り込みについて解説する。ここで活用する管理技術がVEとTRIZである。
 「第4章 製品の適正品質を追究して原価を作り込む」では、第3章につづいて、目標原価を達成する活動の中で、統計的手法などを活用した製品の適正品質追究と原価の作り込みについて説明する。
 「第5章 製品のばらつきを低減させると原価は激減する」では、機能と品質を作り込んだ後のコストダウン施策について述べる。
 「第6章 CAx(D、E、T、M)で原価を作り込む」では、製品の開発段階で、今後発生すると考えられる問題を事前に解決するフロントローディング型の設計・開発方式を解説する。また、フロントローディングに必要なITシステムやデジタル技術の活用方法についても触れる。
 「第7章 標準化による設計・開発費のコストダウン」では、目標原価を達成した製品の構造を標準化する際のポイントを解説する。その内容は、標準化とコストダウンの関係、自社製品の標準化の方向性を見える化する固定変動分析、標準化の効果をお金で計算するにあたっての評価項目などである。
 「第8章 製品原価と環境にもやさしいモノづくりに向けて」では、環境保全コストとその低減策、環境問題を解決するアプローチなど製品のコストダウンと環境問題を両立させるための着眼点について述べる。

 この本で開発段階の製品原価管理を見える化し、図面段階で機能・品質と原価を作り込み、顧客の価値を向上させた製品が生まれ、日本が元気になれば幸いである。
 最後になるが、「見える化でわかる原価計算」に引き続き「見える化でわかる開発段階の製品原価管理」が執筆できるのは、日刊工業新聞社の野崎伸一氏のおかげである。心から感謝する次第である。
2010年9月  小川 正樹

買い物かごへ