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動き出した
レアメタル代替戦略

定価(税込)  2,160円

著者
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サイズ A5判
ページ数 232頁
ISBNコード 978-4-526-06541-5
コード C3034
発行月 2010年11月
ジャンル ビジネス 金属

内容

レアメタルの資源リスクが増大しているなかで、注目されているのが「代替戦略」。レアメタルと同等な機能をありふれた金属から引き出すなど、関連技術の進展や成果を紹介するとともに、ナノテクを使った戦略元素の創出に向けての取組みの現状までをわかりやすく解説した本。

原田幸明  著者プロフィール

(はらだ こうめい)
1951年 長崎県壱岐生まれ
1974年 東大工学部卒、1979年同大学院博士課程(金属工学)修了(工学博士)
1980年 科学技術庁金属材料技術研究所研究員
2001年 (独)物質・材料研究機構エコマテリアル研究センター長
2009年 同元素戦略センター長
エコマテリアルフォーラム会長、日本LCA学会副会長
著作(監修)「レアメタルの代替材料とリサイクル」など

河西純一  著者プロフィール

(かさい じゅんいち)
1959年 神奈川県横浜市生まれ
1981年 筑波大基礎工学類卒、同年いすゞ自動車(株)入社
1997~2005年 同材料開発部・車両研究実験部課長
2005年 (独)物質・材料研究機構
技術士(機械・総合技術監理)、(社)自動車技術会フェロー
著作(共著)「自動車と高分子材料」(1998年『自動車用高分子材料II』普及版)

目次

目次

序 章 資源は果たしてあるのか        

I 章 我が国の必須元素:レアメタル
I-1 我が国の活力源:工業材料
I-2 産業のビタミン─レアメタル
 コラム1  レアメタルの範囲
I-3 情報社会の落とし子─希少金属
I-4 グリーン・イノベーションでも期待されるレアメタル

II 章 資源リスクが増大している    
II-1 天地人のリスク管理が求められている
II-2 資源リスクのもたらす3つの危機
II-3 無視できない地球環境の持続可能性
 コラム2  関与物質総量(TMR)係数はレアメタル代替の指標
II-4 問われる人類経済の持続可能性
II-5 気になる国民経済の持続可能性
II-6 4つの資源制約
II-7 急増する資源リスク
II-8 日本の消費量など吹き飛んでしまうBRICs諸国の台頭
II-9 先進国ももっともっと必要になるレアメタル

III 章 枯渇性資源の持続可能な利用は可能か    
III-1 資源問題はなぜ起きる
III-2 資源の持続的利用の究極の答えは
III-3 代替技術開発こそ究極解への王道
III-4 緊急の資源リスク軽減策─4つの実践
III-5 動き出した元素戦略プロジェクト

IV 章 レアメタル代替の取り組みの前進    
IV-1 Li(リチウム)の代替
IV-2 Be(ベリリウム)の代替
IV-3 Ti(チタン)の代替
IV-4 V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)の代替
IV-5 Cr(クロム)の代替
IV-6 Mo(モリブデン)の代替
IV-7 W(タングステン)の代替
IV-8 Re(レニウム)の代替
IV-9 Co(コバルト)の代替
IV-10 Ni(ニッケル)の代替
IV-11 Pt(白金)族の代替
IV-12 Cd(カドミウム)の代替
IV-13 Hg(水銀)の代替
IV-14 In(インジウム)の代替
IV-15 Ge(ゲルマニウム)の代替
IV-16 Sn(スズ)の代替 1
IV-17 Pb(鉛)の代替
IV-18 Sb(アンチモン)の代替
IV-19 Bi(ビスマス)、Se(セレン)、Te(テルル)の代替

V 章 元素代替のフロンティア─理論と技術を伴った発想の転換が可能性を広げる    
V-1 Pt(白金)触媒をブロンズで、そしてカーボンで
V-2 Dy(ジスプロシウム)は不要?─保磁力向上をメカニズムで支える
V-3 Ni(ニッケル)の代わりにN(窒素)
V-4 Al(アルミニウム)を使って高機能メモリ
V-5 Cr(クロム)もZn(亜鉛)もいらない表面処理
V-6 Li(リチウム)イオン電池はCo(コバルト)電池だったが
V-7 セメント材料が透明電極に
V-8 レアメタル代替を支える3つの技術
V-9 代替のサクセスストーリーに見る3視点

VI 章 不足元素の代替から戦略元素の創出へ    
VI-1 これまでの代替技術開発は受動態
VI-2 元素をよく知り、眠っている機能を引き出す
VI-3 原子配列構造に注目した代替とは
VI-4 鉄からレアメタル─組織制御が機能を決める
VI-5 電子状態のコントロール
VI-6 電子状態制御による代替
VI-7 総合化した取り組みへ
VI-8 ラティス・エンジニアリング
VI-9 戦略元素追求戦略の4つの作戦と陣地の構築
VI-10 ナノ・アルケミーが物質感を変える

VII 章 ファクター8で持続可能な資源利用へ    
VII-1 元素資源をまとめて比較できる資源端重量(関与物質総量)
VII-2 2050年ころには金属資源の耐用年数はゼロに接近!!
VII-3 資源端重量を1/8にする代替技術を

参考文献
あとがき
索 引

はじめに

レアメタル(Rare metal)というのは和製英語である。英語圏ではこれはマイナーメタル(Minor metal)と呼ばれる場合が多い。ご存じのようにMinorの反意語はメジャーリーグのメジャー(Major)である。メジャーなメタル(金属)は、鉄、アルミニウム、銅、金など多くの人が知っている金属、もう少しもっともらしく言うと市場規模の大きな金属である。となるとマイナーメタルというものがどんなに世の中でマイナーな存在として扱われてきているかが想像できるだろう。ジスプロシウムという名前を初めて聞いても何も恥ずかしいことではなかったし、インジウムが液晶ディスプレイの透明電極に必要だと言われてもインジウムが何か知らなくても当たり前であった。なにせマイナーな金属たちであり、元素記号を覚えても大学の入学試験にも出てこないような存在が多かったのだ。
そのレアメタルが今日本を震え上がらせている。資源国からの供給が厳しくなった瞬間、モータが、液晶が、照明が、電池が、と日本が世界に誇るハイテク産業が厳しい局面に立たされ、このマイナーな存在が実は日本にとっての必須成分だったのだということが明らかになった。一部の人たちはこれまでも「レアメタルは産業のビタミンだ」と呼んでいた。その呼び方からすると現在の日本はビタミン欠乏で苦しむ船乗りのようなものだ。
このようなレアメタルの供給リスクに対して何ができるか。ご存じのように日本国内にレアメタル資源はほとんどない。となると、海外との協調の中でレアメタルを確保していくか、リサイクルで賄っていくかということが思い浮かぶ。ここで1つ考えてほしい、日本は技術立国の国である。その知識を生かして新しい解決の道があるのではないだろうか。それが「代替材料技術」の開発である。
この代替材料技術の開発は、材料を熟知している日本だからこそその可能性は大きい。折も折、経済産業省・文部科学省の両者が協力して「希少金属代替・元素戦略」の国家プロジェクトを2007年からスタートさせ、世界に先駆けてこの分野で優れた頭脳を結集させ始めた。「代替技術」はそのプロジェクトで「減量技術」「循環技術」と並ぶ大きな柱である。本書では、それらの中で切り開かれた成果も紹介しながら、これまでの「代替技術開発」の貴重な経験、さらには将来展望について述べていく。
その際、「Aの代替にはB, Cがある」のように単なる代替材料の紹介となることを避け、その分野の専門研究者の助言を得ながら「なぜ、BがAを代替することができるのか」というところまで踏み込むように心がけた。これは、本書を代替材料を探索している設計者や企画者だけでなく、代替材料技術開発に携わる研究・開発者が他分野での成功例から新たな視点を見出す契機となることを期待するとともに、さらに、このような材料研究者の奮闘を若い高校生や大学生にも感じ取ってもらい、未来のSOZAI JAPANを担う新たな活力としてほしいと願うからである。

2010年11月
原田幸明
河西純一

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