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ついてきなぁ!失われた「匠のワザ」で設計トラブルを撲滅する!

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 232頁
ISBNコード 978-4-526-06546-0
コード C3053
発行月 2010年10月
ジャンル 機械

内容

「ついてきなぁ!シリーズ第4弾」設計者に起因する設計変更、開発遅延、設計トラブル、製品事故、リコール。そうしたトラブルに満足に対処できないために起こる致命的な設計トラブルに対して、安易な「技術者教育」と「品質管理の強化」ではなく、真の技術対応策を解説する。

國井良昌  著者プロフィール

(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)
日本技術士会 機械部会 幹事
埼玉県技術士会 幹事
日本設計工学会 会員
横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師
首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師として活躍中。
以下の著書が日刊工業新聞社から発行されている。
・ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』
   平成20年度 日本設計工学会 武藤栄次賞 Valuable Publishing賞受賞
・ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!
   平成21年度 日本設計工学会 武藤栄次賞 Valuable Publishing賞受賞
・ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!
URL:國井技術士設計事務所     http://adf.web.infoseek.co.jp/

目次

はじめに:失われた「匠のワザ」がここに復活する!

第1章 匠のワザ(1):トラブルの98%がトラブル三兄弟に潜在
  1-1 トラブル三兄弟とは
  1-2 トータルコストデザインが実行できない日本企業
  1-3 トラブル三兄弟(その1):「新規技術」がトラブルの原因
   1-3-1 事例:カーボンファイバ製航空機の大幅な開発遅延
   1-3-2 事例:こんにゃくのゼリーで幼児が窒息死
   1-3-3 事例:電気自動車用バッテリ開発の苦難
  1-4 トラブル三兄弟(その2):「トレードオフ」がトラブルの原因
   1-4-1 事例:ハイブリッド車のブレーキ事故
   1-4-2 事例:携帯電話用バッテリの異常発熱
   1-4-3 事例:回転ドアで幼児死亡
   1-4-4 事例:命を吹き込む設計で社告・リコールが救えた
   1-4-5 トレードオフの概念がない日本企業
  1-5 トラブル三兄弟(その3):「××変更」がトラブルの原因
   1-5-1 事例:アクセルペダルが戻らない
   1-5-2 事例:トラックタイヤ脱輪事故で若き母親死亡
   1-5-3 事例:FF式石油温風機の修理で一酸化炭素中毒死
  1-6 あの韓国企業も使っているトラブル三兄弟の絵辞書
  1-7 トラブル三兄弟のリストアップ方法
  1-8 トラブル三兄弟によるノウハウの構築
   1-8-1 事例:埼玉県の零細企業でノウハウ254件
   1-8-2 事例:化学品企業にて緊急の業務命令
   1-8-3 事例:ソーラーパネル企業におけるプロ意識
   1-8-4 事例:韓国企業におけるFTAへの展開
     〈匠のワザ・チェックポイント〉

第2章 匠のワザ(2):インタラクションギャップを見逃すな
  2-1 インタラクションギャップとは
  2-2 4Mで分析するインタラクションギャップ
   2-2-1 事例:Manに関する事故(関西の電車脱線事故)
   2-2-2 事例:Machineに関する事故(シュレッダーで指切断)
   2-2-3 事例:Materialに関する事故(トラックタイヤ脱輪事故)
   2-2-4 事例:Methodに関する事故(原子力発電所の臨海事故)
  2-3 インタラクションギャップの防止策
   2-3-1 技術者の6W2Hが技術の要(かなめ)
  2-4 こんにゃくのゼリーの後悔
     〈匠のワザ・チェックポイント〉

第3章 匠のワザ(3):これで収束!トラブル完全対策法
  3-1 これがトラブル完全対策法だ!
  3-2 フールプルーフ設計思想で完全対策
   3-2-1 事例:コネクタ誤挿入トラブルを対策
   3-2-2 事例:複写機のギア破損トラブルを対策
   3-2-3 事例:シュレッダーの指切断事故を対策(その1)
  3-3 セーフライフ設計思想で寿命を満たす
   3-3-1 事例:電磁クラッチの選択に関するトラブル対策
   3-3-2 事例:トラックタイヤ脱輪事故を対策する
   3-3-3 事例:FF式石油温風機事故に関するトラブル対策
  3-4 フェールセーフ設計思想は技術者の常套手段
   3-4-1 事例:空冷ファンに関するフェール信号線の役割
   3-4-2 事例:洗濯機と電子レンジにみる対策
   3-4-3 事例:シュレッダーの指切断事故を対策(その2)
  3-5 ダメージトレランス設計思想は世界最新
   3-5-1 事例:電気ファンヒータとFF式石油温風機にみる対策
   3-5-2 事例:ランフラットタイヤにみる対策
   3-5-3 事例:液晶プロジェクタにみる対策
  3-6 あの韓国企業も使っているトラブル完全対策法の絵辞書
     〈匠のワザ・チェックポイント〉

第4章 匠のワザ(4):再発を認識したレベルダウン法
  4-1 トラブルの再発を知って採用するレベルダウン法
   4-1-1 事例:注意銘板は、トラブル再発
   4-1-2 事例:色で判別はトラブル再発
   4-1-3 事例:バーコードリーダ検査はトラブル再発
  4-2 トラブル対策に関するノウハウの構築
   4-2-1 事例:埼玉県の零細企業でノウハウ30件/人
   4-2-2 事例:化学品企業にてデザインレビューの充実化
  4-3 設計変更は二種類しかない
     〈匠のワザ・チェックポイント〉

第5章 匠のワザ(5):現象ではなく原因に打つ根本対策法
  5-1 妙薬は現象ではなく原因に打て!
   5-1-1 事例:複写機の想定外トラブルを対策する
   5-1-2 事例:FF式石油温風機事故に関するトラブル対策
   5-1-3 事例:シュレッダーの指切断事故を対策(その3)
  5-2 最適設計の判断テスト:クマゼミによる光ファイバ切断
     〈匠のワザ・チェックポイント〉

  おわりに:真の技術者育成には実務教育が必要!
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はじめに

失われた「匠のワザ」がここに復活する!
 
 昨今、社告・リコールの新聞記事が毎日のように掲載され、商品の品質低下が収まるところを知りません。恐らく厳さんは、このことに関して技術者の姿勢と責任に大きな疑問を抱いているのでしょう。
 ところで、皆さんが街に出て、「博士号取得の蕎麦屋街、その先が有名大学の医学部出身の寿司屋街」と、チラシやグルメガイド書に記述があったとしたら、その飲食街に行くでしょうか? ちょっと考えただけでも気が乗らないシチュエーションです。
 職人には学歴や博士号の取得は必要ないと言っているのではありません。職人には、「匠のワザ」を習得する別の職歴が必要なのです。
 技術者もこれに似ています。技術者には「Q(Quality:品質)」、「C(Cost:コスト)」、「D(Delivery:期日)」、「Pa(Patent:特許)」の主要四科目があります。
 ここで、不思議なことに出会います。
 この技術者の四科目のうち、工業高校や大学の工学部で学ぶものはなんと「Q」しかないのです。しかも、その「Q」にしても、企業では必須のFMEAや品質工学やデザインレビューのカリキュラムは皆無に近いのです。
 偏った見方をすれば、大学の4年間、6年間は「空白の時間帯」になっているという辛口な企業人もいます。
 それでは企業はというと、中小・零細企業の商品は、安いだけですぐ壊れる、不安全と言われたことがあります。一方、大企業の商品は、値段は高いが信頼性や安全性に優れ、デザインも良いことから魅力ある商品を製造、販売してきました。
 しかし、今はどうでしょうか? 大企業の技術者が設計、製造した商品で火災事故を起こし、はたまた、人命をも容易に奪い去っています。
 さらにここで、妙なことに気がつきました。
 それは、社告・リコールを発生する企業名が特定化していることです。簡単に言えば、一度、社告・リコールを発した企業は歯止めがかからず、何度もトラブルを繰り返していることが多いのです。
 そこで、当事務所では、社告・リコールを発したある企業を限られた時間のなかで徹底的に調査しました。その社告・リコールの再発防止策は、なんと「技術者教育」と「品質管理の強化」という単純な施策手段だったのです。
 前者の教育担当は、社内講師という設定でした。新人教育は別として、社告・リコールの再発防止策を担う講師に、社員では無理があります。彼らの気構えと技術レベルとは所詮、社告・リコールを繰り返す企業の実力内だからです。
 また後者ですが、設計ミスがある部品の品質管理を強化したところで、これ以上の無駄はないでしょう。案の定、部品会社を必要以上に締め上げていました。
 これが、何十億、何百億円という損害を出し、はたまた家財や人命を奪っている企業の姿です。もちろん、全ての企業ではありませんが、少なからず実存しており、技術的に再発防止ができないほど気構えと実力が低下しています。
 このように、学校ではトラブルの再発防止に関するカリキュラムはないし、企業においても、即席で的外れの対策しか案が浮かばないようです。
 そこで本書は、以下に示すコンセプトと手段でこれらの策に一石を投じます。

【コンセプト】
 いつの間にか消え失せてしまったトラブル防止に関する「匠のワザ」を復活させ、若き技術者へ伝授することでトラブルの再発に歯止めをかける。
【手段】
 FMEAやデザインレビューなど、いずれも若き技術者に負担を与え、いつまでも「主役の座」を譲らない手法を避け、技術の職人が代々伝授してきた「匠のワザ」を主体に、トラブルの未然抽出と完全対策法を伝授する。
【目標】
 若き技術者の負担を低減させ、トラブルの再発に歯止めをかける。

 何度も再発するトラブルの対処法として、webにもなく、学校でも教わらない、技術の職人が代々伝授してきた「匠のワザ」をここに復活させます。

2010年9月
筆者:國井良昌

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