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難成形材のプレス加工
高張力鋼板

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06479-1
コード C3053
発行月 2010年09月
ジャンル 金属 機械

内容

自動車車体に求められる軽量化と衝突安全性向上という相反する要求の両立を実現する材料として高張力鋼板は最も有力であるが、一般鋼材に比べてプレス加工が格段に難しいのが課題である。自動車車体への高張力鋼板の適用とそのためのプレス加工対策を解説する。

林 央  著者プロフィール

(はやし ひさし)
1968年3月 東京大学工学部冶金学科 卒業
1970年3月 東京大学大学院工学系研究科修士課程 修了
1970年4月 理化学研究所 勤務 現在に至る。  工学博士
この間
1983年 フランス・グルノーブル工科大学 助教授・招聘教授
1987~1988年 科学技術庁研究開発局総合研究課
2002年~ 日本工業標準調査会委員
著 書:日本塑性加工学会編:塑性加工技術シリーズ13プレス絞り加工、(共著、コロナ社)、日本塑性加工学会編:わかりやすいプレス加工、(共著、日刊工業新聞社)、薄鋼板成形技術研究会編:プレス成形難易ハンドブック、(編集委員会・共著、日刊工業新聞社)、プレス加工用材料と金型用材料(日刊工業新聞社)

目次

はじめに

1章 自動車車体用材料としての高張力鋼板
 1.1 日本の自動車生産の推移と関連事項
 1.2 自動車に課せられている技術課題
  1.2.1 地球環境問題
  1.2.2 安全対策技術
 1.3 自動車軽量化と車体用材料
 1.4 高張力鋼板の使用動向

2章 高張力鋼板の強化機構
 2.1 塑性変形
 2.2 鉄鋼材料の強化機構
  2.2.1 細粒化強化
  2.2.2 固溶強化
  2.2.3 析出強化
  2.2.4 組織強化

3章 材料特性と成形性
 3.1 成形性と成形限界
 3.2 材料の塑性変形特性
  3.2.1 一軸引張りにおける変形
  3.2.2 応力とひずみ
  3.2.3 応力-ひずみ曲線のモデル化
 3.3 成形性評価試験
  3.3.1 成形性評価法の分類
  3.3.2 材料試験
  3.3.3 小型の成形性試験
  3.3.4 モデル試験

4章 高張力鋼板の種類と特徴
 4.1 プレス加工用薄鋼板の種類
 4.2 自動車用鋼板の規格
 4.3 高張力鋼板の種類

5章 自動車車体への高張力鋼板の適用
 5.1 ULSABプロジェクト
 5.2 自動車車体への採用状況
 5.3 主体部品用高張力鋼板

6章 高張力鋼板のプレス成形における課題と対策技術
 6.1 プレス成形における不良現象
 6.2 破断
  6.2.1 破断の実態と分類
  6.2.2 破断条件
  6.2.3 モデル実験における破断
  6.2.4 実部品における破断回避対策技術
  6.2.5 成形シミュレーションによる破断限界の予測
 6.3 形状不良
  6.3.1 形状不良の分類
  6.3.2 形状不良の測定法と評価法
  6.3.3 形状不良の発生メカニズムとその対策技術
 6.4 寸法精度不良
  6.4.1 寸法精度不良の分類とメカニズム
  6.4.2 寸法精度の測定方法
  6.4.3 寸法精度不良の実際と対策技術
  6.4.4 寸法精度不良の予測技術

7章 高張力鋼板を使いこなす成形技術
 7.1 テーラードブランク
 7.2 熱間プレス
 7.3 ハイドロフォーミング
 7.4 その他の特殊な成形技術
 7.5 周辺技術
  7.5.1 プレス機械
  7.5.2 金型技術
  7.5.3 CAEシステム

索引

はじめに

 地球環境保全、とくに温暖化対策のための低燃費化の一層の推進、衝突安全対策が自動車生産に課せられた主要な技術課題となっている。自動車車体への高張力鋼板の採用は、これらを実現する手段として大きな役割を果たしている。我が国における高張力鋼板の自動車車体への適用は、石油危機、安全対策を契機に世界に先駆けて1970年代後半に始まった。試行段階では割れ・しわが問題となった高張力鋼板も、すぐれた成形性を有する材料の開発、成形技術の進歩により車体部品への適用が着実に進んだ。高張力鋼板の使用比率が車体重量の60%を超える自動車も市場に現れている。
 しかし、自動車への社会的要請はますます厳しくなり、従来よりもさらに高強度の高張力鋼板を採用すべき状況になっている。これまでの努力で解決されてきた外板パネルでの面ひずみが、また構造部品でのスプリングバックに代表される寸法精度不良がプレス現場で大きな問題として顕在化している。先進型高張力鋼板といわれる成形性にすぐれた材料が開発されたが、これらは従来の高張力鋼板とは異なる特徴をもち、その性質を理解した適切な利用が望まれる。
 自動車車体の成形技術、それに使われる鋼板の開発に関して、自動車メーカー、鉄鋼メーカー、理化学研究所からなる薄鋼板成形技術研究会は50年を超える活動を続けてきた。その成果は、1987年の初版を皮切りに2007年の第3版まで刊行されてきた「プレス成形難易ハンドブック」としてまとめられている。高張力鋼板に関する研究・技術開発も1970年代初めから開始し、これまで多くの知見を得てきた。
 本書は、自動車用高張力鋼板の特徴、成形技術に関する薄鋼板成形技術研究会のこれまでの成果をできるだけ取り上げ、平易に紹介することを目的としている。著者の未熟なため説明不足のところも多いが、高張力鋼板のプレス成形にたずさわる方々に何らかのお役に立てば幸いである。

2010年9月 著 者

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