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見える化で進める物流改善

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-06529-3
コード C3034
発行月 2010年09月
ジャンル 生産管理

内容

昨今の「作っても売れない」という状況を反映して、物流の役割が変わってきている。そうした情勢変化に対応した物流体制の構築が強く求められている。本書は「見える化」などの手法を用いて、時代の要請に応じた物流改善が進められるよう具体的かつわかりやすく解説した物流改善の手引き書。

花房 陵  著者プロフィール

(はなぶさ りょう)
1978年慶大経済学部卒、経営・物流コンサルタントとして25年の実績を積む。28業種200カ所以上の物流現場を新規開設・改善指導しており、異業界、異商材の物流施策を導入・定着させることに取り組んでいる。最新のテーマは「コンプライアンス物流」、3PL標準契約やセキュリティ重視の販売に貢献できる高付加価値物流を研究している。
著作:『キーワードでマスター 物流のしくみ』すばる舎刊
   『現場でできる物流改善』日本実業出版社刊
   『物流コストダウン』アーバンプロデュース刊
   『戦略物流の基本とカラクリ』秀和システム刊
所属:(株)アバンセ 代表取締役、(株)イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
   協同組合物流情報ネット・イー相談役、ほか多数の物流顧問に在籍。
連絡先:メールアドレス hanabusa@avance―tokyo.com
    (株)イーソーコ総合研究所 東京都港区芝浦1―13―10 03―5441―1237
■コンサルティング活動&物流改善のヒント集  http://www.avance―tokyo.com
 物流用語集、代表的な物流改善Q&A、最新物流技術情報を掲載。さらにメールマガジン【物流現場 見たまま 感じたまま】(毎月3回、3000通を配信)の登録ができます。

目次

はじめに  

第1章 物流を取り巻く外部環境を見える化する
 1―1 ライフサイクルS字カーブ  
 1―2 世界経済と日本  
 1―3 アジア経済の動向  
 1―4 我が国の流通経済  
 1―5 物流業界  
 1―6 物流拠点  
 1―7 物流関連データの概観  
 1―8 国際一貫物流  

第2章 マーケティングと物流を見える化する
 2―1 流通構造  
 2―2 チャネルとパイプライン  
 2―3 製造、流通、消費者  
 2―4 生産財と消費財  
 2―5 サービス財と物流  
 2―6 医療と物流  
 2―7 SCM  
 2―8 EC、ネットコマース  
 2―9 マーケティングと価格政策  

第3章 物流改善の理論武装を見える化する
 3―1 IE、VE、ORとは  
 3―2 TOC(Theory Of Constraints:制約条件の理論)  
 3―3 レイバースケジューリング  
 3―4 バランススコアカード  
 3―5 チームワーク開発の新手法  
 3―6 失敗知識データベース  
 3―7 犯罪機会論  

第4章 在庫削減を見える化する
 4―1 生産と販売のジレンマ  
 4―2 在庫削減アプローチ(問題と原因)  
 4―3 在庫リスク理論  
 4―4 経営会議における削減施策  
 4―5 在庫削減手法のまとめ  

第5章 物流改善プロジェクトを見える化する
 5―1 プロジェクト活動  
 5―2 プロジェクトの組み立て方  
 5―3 プロジェクト体制図  
 5―4 メンバーの選定  
 5―5 プロジェクトの推進  
 5―6 作業遅れの対策  
 5―7 プロジェクトマネジメント  
 5―8 スケジュール管理  
 5―9 プロジェクトの成果  
 5―10 プロジェクトレビュー  

第6章 物流改善活動を見える化する
 6―1 物流改善の視点〈業績指標〉  
 6―2 物流活動の評価  
 6―3 トレードオフの理解  
 6―4 避けるべき判断  
 6―5 優れた現場のバランス要素  
 6―6 物流改善企画のステップ  

第7章 物流改善技術を見える化する
 7―1 PDCAサイクル  
 7―2 スケジュールと記録  
 7―3 PDCAのステップ  
 7―4 混乱要素  
 7―5 問題分析プロセス  
 7―6 QCツール  
 7―7 その他の物流改善ツール  
 7―8 情報共有化の狙い  

第8章 物流アウトソーシングを見える化する
 8―1 アウトソーシング  
 8―2 アウトソーシングの効果  
 8―3 アウトソーシング導入プロセス  
 8―4 物流アウトソーシング契約の問題点  
 8―5 物流拠点統廃合に伴うアウトソーシング  

第9章 物流現場を見える化する
 9―1 物流センターの青写真  
 9―2 物流工程を見える化する  

巻末付録  
ベンチマーク診断表12の視点解説  
物流改善に関わる代表的なQ&A  
 物流コストの相談/拠点設計の相談/物流管理の相談/在庫管理業務の相談/物流作業設計の相談/物流情報システムの相談/輸配送業務の相談

はじめに

 本書の狙いは具体的なコンサルティング事例から、近年の経済環境を踏まえて低成長や成熟経済下における物流改善の方法と役割をわかりやすく解説するものである。
 世界中に広がっている足の長いロジスティクス物流網や物流の現状を捉えて改善させてゆくために、「情報の共有」と「リスクの把握およびその低減」を行うためには、どのような指標や資料を利用すればよいのかを整理した。
 とかく「見える化」というと、ポスターとかデータやグラフの類をたくさん利用することに目がゆきがちであるが、「今、何をなすべきか」という意思決定に必要な情報はさほど多くはないものだ。つまり多くのエネルギーを費やして情報として集めたものが、現場や管理者にとって単なる「雑音」であることもコンサルティングの現場ではよく見聞している。状況説明だけで、次の意思決定には意味を持たない掲示物や管理指標があまりにも多い。
 掲示板にはデータやグラフばかりが並び、初心者には何のことやら理解し難い。グラフやデータの解説がレポートとして別に必要なほどだ。きれいに加工されたポスターでは「整理整頓、事故撲滅」などとあって、視野に入ってもほとんど行動を伴わずに自然に汚れ、そこに掲示されていたことすら忘れ去られてゆくものもある。
 本当に必要な情報とは何か、優れた現場や会社に欠かせない要素とはどんなものがあるのか。それらをきちんと見える化して初めて意義があるのだ。
 見える化の対象となる重要な情報とは、図解や文字、データグラフによって、
1 何が起きているのか
2 それはなぜなのか
3 どうすればよいのか
 という3つに集約されなければならない。これは改善活動でよくいわれる現状把握、問題分析、改善活動という3ステップになる。マネジメントサイクルといわれているPDCAとも類似している。3ステップないし4サイクルの活動は物流に限らず、ビジネスやマネジメントの基本でもある。単純な書き方なら15秒で全容が把握できる。行動が早まる。
 見える化活動とは情報の収集であり、広報活動であり、現場や組織のマネジメントでもあるということから、思考方法そのものでもある。
 「私が行動を起こすには、私が意思決定するには、どんな情報が必要か」
 たとえば物流コストを抑制したいという意思があるなら、コスト要因を調べ、図解化してその構造からアプローチしなくてはならない。輸送は距離と時間のコストだから、在庫はどこにあるか、なぜ運んでいるか、それは必要なことなのか……。思考は巡り、隠れた意図が見えてくる。本当に必要な活動はどれで、ムダな作業は何か。交錯輸送や遠距離配送の状況が見出せれば、輸送コストの削減に必ずつながる。値下げでなく不要不急を排除することで、誰にも負荷や負担の及ばないコスト削減が可能なのだ。
 日々の業務で本当に見るべきものが見える化されているかどうか、そのことに留意しながら本書を読み進めていただきたいと思う。
 読者の物流現場にわずかでも役割が果たせれば光栄である。

2010年6月  物流コンサルタント 花房 陵 

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