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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい熱力学の本

定価(税込)  1,540円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06511-8
コード C3034
発行月 2010年09月
ジャンル ビジネス

内容

熱力学は、材料力学、流体力学とともに機械系力学の代表であり、機械の原理や性能に関するさまざまなパラメータを決める大きな要素となっている。本書は熱力学とは何か、何を問題とし、何がわかるのかをわかりやすく解説したもの。熱力学には、温度と圧力をパラメータとして熱のやり取りを理解して、熱機関をなどの効率化を図ろうとするマクロ熱力学と、気体を構成する分子の振る舞いから理解しようとするミクロ熱力学があるが、本書は、ミクロ熱力学の温度の概念から出発してマクロ熱力学の熱機関の本質が見えるように配慮している。

久保田浪之介  著者プロフィール

(くぼた なみのすけ)
1972年 プリンストン大学大学院航空宇宙学修士課程修了(学術修士 MA)
1973年 プリンストン大学大学院博士課程修了(航空宇宙学 工学博士 Ph.D)
1995年 防衛庁技術研究本部 第3研究所(現 航空装備研究所)所長
現在 (独)産業技術総合研究所 研究顧問
主な受賞:日本燃焼学会功労賞(2003年)、火薬学会学術賞(2005年)
主な著書:『ロケット燃焼工学』(日刊工業新聞社、1995年)、『研究者のための国際学会プレゼンテーション』(共立出版、1999年)、Kubota,N.,『Propellants and Explosives,Second Edition』(Wiley-VCH,Weinheim,2006年)、『超音速の流れ学』(山海堂、2003年)、『おもしろ話で理解する 流れ学入門』(日刊工業新聞社、2003年)、『トコトンやさしいミサイルの本』(日刊工業新聞社、2004年)、『エンジニアのための微分方程式入門』(日刊工業新聞社、2006年)、『トコトンやさしい流体力学の本』(日刊工業新聞社、2007年)、『絵とき「流体力学」基礎のきそ』(日刊工業新聞社、2008年)、『絵とき「伝熱学」基礎のきそ』(日刊工業新聞社、2009年)

目次

第1章 熱と温度
1 熱の力学とは 「熱と力の関係」
2 熱は何者か「熱による物体の変化」
3 温度は経験から決められた 「華氏温度のはじまり」
4 摂氏温度は科学的に決められた 「水の相変化を基準にした摂氏」
5 絶対温度がなぜ必要なのか 「物理学的に合理的な絶対温度」
6 熱とエネルギーとの関係 「熱エネルギーと位置エネルギーの比較」
7 比熱は温度と熱のつなぎ役 「比熱の役わり」
8 定容比熱と定圧比熱 「気体の状態により使いわける」
9 気体の圧力、容積、温度との関係 「ボイル・シャルルの法則」
10 状態方程式が熱力学で最重要 「気体の状態方程式と気体定数」

第2章 気体分子の熱力学
11 マジックナンバーのアボガドロ数 「6×1023個の分子の集まり」
12 気体分子の内部エネルギー 「分子の運動が内部エネルギーのもとになる」
13 気体分子の内部構造と比熱 「分子の形と蓄えられる熱」
14 気体分子の速度分布 「温度による分子の運動と速度分布」
15 分子の速度と運動エネルギー 「分子の速度分布と状態方程式」
16 圧力の発生と状態方程式 「気体分子の内部エネルギーによる圧力」
17 気体定数をモル数で表わす 「気体の状態方程式をモル数で表わす」
18 気体定数と普遍気体定数 「気体の種類によらず一定な普遍気体定数」
19 混合ガスの特性を表わすダルトンの法則 「混合気体のそれぞれの分圧」
20 理想気体と実在気体 「ファン・デル・ワールスの状態方程式」

第3章 熱力学の基本は第一法則と状態方程式
21 気体エネルギーの変換 「機械的エネルギーと熱エネルギー」
22 熱力学第一法則はエネルギー保存則である 「熱力学第一法則とは何か」
23 内部エネルギーとは 「内部エネルギーの増加と熱力学第一法則」
24 気体の全エネルギーを表わすエンタルピ 「エンタルピとは何か」
25 比熱と気体定数 「分子が保有できる熱量」
26 熱力学第一法則は熱を力に変換する 「加えた熱と得られる仕事量の関係」
27 気体の状態変化 「等容変化と等圧変化、それに等温変化」
28 断熱変化の有用性 「熱の出入りのない断熱変化」
29 断熱変化と等温変化との比較 「内部エネルギーの変化量と仕事量」
30 熱変化によって発生する仕事 「熱量が仕事に変換される場合とされない場合」
31 ポリトロープ指数 「熱損失を伴う断熱変化」

第4章 可逆変化と熱サイクル
32 可逆変化と不可逆変化 「摩擦を伴う現象」
33 熱サイクルで熱を力に変換する 「熱サイクルと可逆・不可逆変化」
34 熱サイクルには熱効率が定義される 「熱サイクルと排出熱」
35 可逆変化するカルノーサイクル 「ヒートポンプの原理」
36 カルノーサイクルの熱効率 「カルノーサイクルはすべての熱機関の基本」
37 熱とエネルギーとの関係 「加えた熱のすべてを仕事に変換できない」
38 エントロピとは 「エントロピが増大すると熱効率が低下する」

第5章 熱機関の作動
39 熱機関の原理 「熱機関のいろいろ」
40 内燃機関の基本・オットーサイクル 「ガソリンエンジンの基本」
41 ディーゼルサイクル 「高圧力で燃焼する」
42 ブレイトンサイクル 「ガスタービンエンジンの原理」
43 スターリングサイクル 「外燃機関の代表」
44 絶対湿度と相対湿度 「大気中の水蒸気量を見積もる」
45 蒸気の性質 「水の状態変化」
46 過熱蒸気と湿り蒸気 「臨界点では気体と液体が同居する」
47 蒸気の気液変化 「蒸気の相変化を利用して力を発生」
48 蒸気エンジン 「ランキンサイクルを用いる蒸気エンジン」
49 再熱サイクル 「湿り蒸気の発生を抑える」
50 冷凍機の熱サイクル 「冷凍サイクルの原理」
51 ジェットエンジンとロケットエンジンの熱サイクル 「燃焼ガスを噴射するエンジン」

第6章 流れのある熱力学
52 流れと熱のエネルギー保存則 「流れと熱力学」
53 高速流れのエンタルピ 「よどみ点エンタルピとエネルギー保存則」
54 末細ノズルと末広ノズルの流れ 「ノズルの形状と流速」
55 ラバールノズルの超音速流れ 「末細ノズルと末広ノズルを組み合せたラバーノズル」
56 ロケットエンジンとジェットエンジンの推力発生 「噴射ガスによる推力」
57 超音速流れの減速と衝撃波の発生 「空気分子の不連続面」
58 衝撃波を用いたラムジェットエンジン 「衝撃波エンジンのサイクル」

第7章 熱の伝わり方
59 熱の伝わる伝導、伝達、放射の現象 「三種類の伝熱」
60 平板の熱伝導 「熱伝導とフーリエの法則」
61 流体から固体表面への熱伝達 「熱伝達とニュートンの冷却の法則」
62 高速気体流れの熱伝達 「気体との摩擦熱による熱伝達」
63 放射熱と電磁波 「固体の温度と放射熱」
64 プランクの法則とウイーンの変位則 「固体からの最大放射強度」
65 ステファン・ボルツマンの法則 「黒体からの放射エネルギー」
66 放射熱の伝播と赤外線ミサイル 「大気に吸収される波長帯を使う」
67 地球温暖化と二酸化炭素 「二酸化炭素分子は赤外線を吸収する」
68 材料の熱膨張と熱応力 「熱力学と材料力学」

【コラム】
●気体の状態方程式で熱力学の本質が分かる●気体定数とボルツマン定数●熱力学第一法則とエネルギー保存則●「エントロピ」はなぜカタカナ文字なのか●永久機関はおもしろい●音と熱の伝播●宇宙からの帰還

参考文献
索引

はじめに

 熱力学は、流体力学および材料力学とともに古代ギリシャ時代から出発した学問ではありますが、目に見えない熱を相手にしているために、18世紀後半に入るまで発展が取り残されてきました。17世紀に詳細な天体観測をもとにしてニュートン力学が登場して、その後の流体および材料に関する力学が急速に発展してきました。それらの基礎学問に支えられて熱力学が発展して、ジェームス・ワットに代表される蒸気を動力に変換する技術が発達することにより工場での動力の確保、蒸気機関車による大量物質の運搬が可能となり、産業革命を引き起こすことになりました。
 これと同時に、熱力学第一法則などの提案により、熱の可能性が追求され、それによって熱を力にする手法がいくつも登場することになりました。内燃機関による船舶、自動車、飛行機、それにジェットエンジンによる高速化、ロケットによる宇宙開発につながることになりました。
 それでも、熱力学は概念的要素が多く、現在においてもその重要性にもかかわらず理解が困難とされる場面が多く、実用との接点が見い出せない、などという意見が多く聞かれます。そこで本書においては、見える熱の力学として気体の熱的特性と圧力と温度の関係を分かりやすく解説することに重点をおいて、さらに高度な熱力学を理解するのに必要な事項を取り上げています。
2010年8月  久保田浪之介

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