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知らなきゃヤバイ!
生物多様性の基礎知識
―いきものと人が暮らす生態系を守ろう

定価(税込)  1,512円

編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06504-0
コード C3034
発行月 2010年08月
ジャンル ビジネス 環境

内容

生物多様性条約締結国会議が日本で開催される。その主要議題として挙げられているのが「生物多様性と気候変動」。環境と生物の問題が国際的に注目される中、自然再生活動、外来種問題、広葉樹の植林活動など、様々な緊急課題と、いきものと環境を守る多彩な活動を紹介する。

草刈秀紀  著者プロフィール

草刈 秀紀(くさかり ひでのり)

1958年生まれ。日本大学農獣医学部卒業。1981年、日本自然保護協会の嘱託職員を経て、1986年、WWFジャパン入局。1998年より、国会議員に対するロビー活動を行い、自然保護に関する法制度(鳥獣保護法、種の保存法、外来生物法、自然再生推進法、エコツーリズム推進法、海洋基本法など)の制定・改正に関わった。特に、生物多様性基本法の策定・制定に深く関与した。
 現在、IUCN日本委員会副会長、野生生物保護学会理事、WWFジャパン事務局長付、生物多様性条約市民ネットワーク運営委員・生物多様性保全関連法作業部会長など務める。
 学会会員:野生生物保護学会、日本環境教育学会、日本哺乳類学会、日本計画行政学会。

著書「地球と生きる133の方法」共著(家の光協会)
「自然再生事業−生物多様性の回復をめざして」編著(築地書館)
「環境共同体としての日中韓」共著(集英社)
「生態学からみた自然保護地域とその多様性保全」共著(講談社サイエンティフィク)
「生物多様性の保護〜環境法と生物多様性の回廊を探る」共著(商事法務)

目次

Chapter 1 生物の多様性って何? ▼▼▼▼

01 生物の多様性とは?三つの概念と視点
02 トゲネズミにみられる多様性—3つの島での進化と性を決める不思議な仕組み—
03 カイバブ国有林のシカから学んだ生物多様性の意味、それを守るために私たちにできることとは?
04 生物多様性と森林・人間社会
05 知らなきゃお魚が食べられない?!—沿岸・海洋の生物多様性
06 バイオミミクリーって何?

Chapter 2 危機に瀕した生物たち ▼▼▼▼

07 絶滅で生物多様性が崩れる—いま、そこにある危機
08 レッドデータブックとは?加速度的に種の絶滅が進行しています!
09 カエルの大量死、カエルツボカビ症の脅威

Chapter 3 気候変動が生物の多様性に与える影響 ▼▼▼▼

10 表裏一体の生物多様性と気候変動問題
11 もう一つのシロクマ問題—温暖化に追われるいきものライチョウの危機

Chapter 4 生物の危機に立ち上がった科学者たち ▼▼▼▼

12 ミレニアム生態系評価って何?—「生態系サービス」という言葉は、ここから産まれた。
13 生物多様性保全の基礎、世界植物保全戦略とは
14 世界と日本の生物多様性総合評価—日本の自然、健康診断が行われました。
15 生物多様性版IPCC動き出す!新たな政府間機関が地球の行く末と政策を示す!

Chapter 5 自然保護活動と生態系保護活動の地道な役割 ▼▼▼▼

16 「農家」「消費者」「いきもの」の3つの安心を育む「たかしま生きもの田んぼ」から
17 地域の生物多様性の危機—里山のいきものが暮らせる環境を取りもどす
18 外来生物による生物多様性の危機—身近な環境に、忍びよる脅威
19 地域の生物多様性に与える外来種の影響
20 外食企業と生物多様性—先駆的な外食企業の生物多様性保全活動
21 地球規模での生物多様性保全を目指す「生物多様性ホットスポット」と日本
22 地球の生物多様性保全のための革新的な資金メカニズム  —国際的なレベルで資金メカニズムが機能しています。
23 生物の多様性保全のための活動メニュー —生物多様性レストランです。貴方が探している品々は見つかりましたか?

Chapter 6 生物多様性基本法って何? ▼▼▼▼

24 生物多様性に関する法制度とは?
25 生物多様性基本法って何?—日本のすべてのいきものを保全するための基本的な法律です。
26 生物多様性国家戦略と生物多様性地域戦略・ローカルアクションとは
27 法制度からみた生物多様性に関する教育とは
28 市民参加と生物多様性に関する教育

Chapter 7 生物多様性条約と締約国会議 ▼▼▼▼

29 生物多様性条約とは—生物多様性はくらしの安全保障です。
30 生物多様性条約の仕組み—24もの様々なテーマを多様な主体が議論して合意する。
31 遺伝資源の新たなルールの採択になるか?
32 国際生物多様性年とは—世界共通のロゴが生物多様性の理解を進める。
33 カルタヘナ議定書と遺伝子の組換えの問題とは
34 転ばぬ先の杖—エコシステム・アプローチ 発展途上国で開かれる締約国会議……

はじめに

生物多様性って何?

 きっと、この本を手に取る人は、タイトルを見て関心を示した方だと思います。しかし、生物多様性という言葉の認知度は、かなり低い状況です。内閣府の2009年の世論調査によると、「生物多様性の意味」について知っていると答えた方は12・6%、「意味は知らないが、言葉は聞いたことがある」との回答が23・6%、「聞いたこともない」という割合は、61・5%でした。また、生物多様性条約締約国会議の認知度については、生物多様性条約締約国会議について「知っている」との回答が3・8%、「名前は聞いたことがある」との回答が9・3%、「聞いたこともない」との回答が84・2%でした。一方、2001年の「地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査」の「京都議定書の周知度」と比較してみると、地球温暖化対策のための国際的な枠組みである京都議定書の内容について知っているか聞いたところ、「知っている」「言葉だけは聞いたことがある」と答えた方が67・2%でした。

 生物多様性について61・5%が「聞いたこともない」と答えたのに対して、9年前の京都議定書の内容について67・2%が知っていると答えた状況から考えて、10年の開きがあるのです。「京都議定書」と「生物多様性」の10年間の意識のギャップをなくすためにも、本書を読んで、生物多様性について、関心をもってほしいとの思いから「生物多様性の基礎知識」を出版しました。

 大切な生物多様性を構成しているのは、多種多様な「いきもの」たちです。野に生きる野生生物を想像する方も多いと思います。

 野生生物の価値って、何でしょうか?
 生物多様性とは何か? 生態系、種、遺伝子、それぞれのステージでその多様性が重要であることは、本書に明記されています。一方、生物多様性の経済的な価値に関する議論が、企業やその価値を利用して『業』としたい人々がそのあり方について検討しています。

 生物多様性はわかりにくいと思いますが、生物多様性を構成している要素である野生生物の価値について少し考えてみましょう。

 野生生物のもつ価値とは、a.商業的価値として、クジラなどを商業的な利用として必要だからという声があります。b.狩猟的価値として、シカやイノシシなど獲物として重要だからという人々がいます。c.美的価値として、きれいな観葉植物や可愛いペットなど美しいと感じるから大切にする声があります。d.倫理的価値として、道徳的な考え方から重要だという意見があります。e.科学的価値として、科学的に貴重な種であるからという主張があります。f.生態学的価値として、特有ないきものであり、生態学的に重要だという意見があります。g.教育的価値として、教育的な価値として有用であるからという意見があります。

 このように、単に野生生物が大事だといっても、人によってその見方やとらえ方は様々です。おそらく、世界には様々な人種、文化、立地によって、異なる野生生物の価値があると思います。人によって、その価値の重さや広さや奥深さが異なると思います。

 2010年は、生物多様性条約の締約国会議が10月に開催され、193ヶ国の国々の人々が一堂に集い、知恵を出し合う場となります。日本という特殊な環境に育った皆さん、今一度立ち止まって考えてみませんか?  また、お忙しい中、原稿を分担執筆して頂いた、各方面の方々に感謝申し上げます。

2010年6月                       
草刈秀紀

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