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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい非鉄金属の本

定価(税込)  1,512円

監修
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06514-9
コード C3034
発行月 2010年08月
ジャンル ビジネス 金属

内容

非鉄金属とは、鉄以外のすべての金属、合金を表し、現在、世界には約4万種類あり、身近な生活用品から電気製品、航空宇宙産業にまで幅広く使われ、我々の生活に必要不可欠となっている。本書では、この非鉄金属の幅広い特性と使われ方、その未来をわかりやすく図解で解説していく。

山口英一  著者プロフィール

やまぐち えいいち)
1929年東京生まれ、慶応義塾大学卒。
法務省を経て日立ハイテクノロジ—(旧・日製産業)でキドカラ—並びに希土類セラミックの研究開発に従事。
また、自動車用ラジエーターフィン材や、自動車用粉末冶金、原子炉の制御棒の研究開発に従事するとともに、アルミ合金や超合金の開発を行う。
その後、日鉱金属商事を経て、現在、アイキョー・インターナショナル・コンサルタント代表。
国際生産工学アカデミー、国際地方開発アカデミーのロシア正会員。

目次

第1章 “非鉄金属”っていったいなんだろう?
1 非鉄金属とは、鉄以外のすべての金属の総称!? 「鉄の生産量は圧倒的に多い」
2 非鉄金属は3種類に大別される 「ベースメタル、プレシャスメタル、レアメタル」
3 非鉄金属の産出は、地域的に偏っている 「8割が先進国で消費される」
4 非鉄金属で世界を牛耳り始めた中国 「レアアースの埋蔵量は世界の9割」
5 非鉄金属産業の振興を積極的に図る中国 「資源の安定確保と産業集中狙いに」
6 価格高騰で高まる非鉄金属への関心 「日本が世界の牽引車にも」
7 非鉄金属の価格はロンドンで決まる 「上場金属のほぼ100%を占める」
8 金属の取引所は世界各国にある 「日本の代表は「東京工業品取引所」」
9 非鉄金属の鉱床開発には15年前後の時間がかかる 「費用は200億円以上必要」
10 もっともっと考えたい非鉄金属のリサイクル 「それが技術立国 ・ 日本の底力」

第2章 非鉄金属における生産量ナンバー1─アルミニウム
11 アルミニウムは非鉄金属ナンバー1の生産量 「まさに「非鉄金属の王様」」 
12 「軽く」て「弱い」アルミニウムが強くなる秘密 「元素が添加されることで見違える」 
13 アルミニウムの発見には時間がかかった 「原子構造から他の元素と結合しやすい」
14 アルミウムの生産を一気に高めた電解法 「二人の名をとって「ホール ・ エルー法」」 
15 アルミニウムはパリ万博で大人気だった 「宝石をちりばめた王冠と並んでいた」
16 アルミニウムの日本登場は江戸末期 「戦前には世界4位の生産規模に」  
17 自動車への採用はボディからブレーキまで多様 「使用重量は100キロ以上」 
18 鉄道の世界でも、アルミ車両は1万車両を超える 「鉄鋼製に比べ10~15%軽量化」  
19 軽さが重要な航空機はアルミ合金が主要材料 「アルミ合金はさらに進化する」 
20 省エネ効果から漁船、巡視船でもアルミ化が進む 「バイク、自転車のアルミ化も進む」 
21 宇宙船から住宅までアルミの応用範囲はまだまだ広がる 「日本のロケットもアルミ製」 
22 デビューからたちまち人気者になったアルミ缶 「21世紀にはアルミボトル缶も」 
23 アルミニウムはリサイクルの優等生 「電気の節減、二酸化炭素の削減」

第3章 次いで生産量の多い非鉄金属─銅、鉛、亜鉛、錫など
24 銅と人類は1万年以上付き合ってきた 「電気、熱を伝え、耐食性、加工性に富む」
25 かつて日本は世界一の銅産国だったが、今は… 「今はチリが世界の3割占める」 
26 銅はリサイクル性に富んだ有価金属 「廃電線などはほぼ100%がリサイクル」 
27 銅の精錬はコークスと石灰石とケイ砂で 「電解精錬で99・99%以上に」
28 「伸銅品」とは銅の合金を加工して製品化したものの総称 「高い競争力を持つ日本メーカー」
29 鉛は文明とともに使われてきた代表的な金属 「鉛筆の起源も鉛から」
30 鉛は加工しやすく化学的性質が優れている 「採掘や精錬が比較的容易で安価な金属」 
31 鉛は防音効果に優れた威力を発揮 「クリスタルガラスも実は鉛」 
32 鉛電池は特別管理産業廃棄物 「鉛のリサイクル率は約32%」
33 亜鉛は非常に大事なものだが意外と知られていない 「動植物にとっては必須元素」
34 ヨーロッパでの亜鉛精錬は産業革命から 「亜鉛はインド、中国が先行」
35 他の鉱物と共存しやすい亜鉛は取り出すのが大変 「1トンの亜鉛精錬でカドミウム3キログラム」 
36 亜鉛と言えば身近なトタン、真鍮、ダイカスト 「江戸時代には真鍮の貨幣も」 
37 スズは人間が使った最古の金属の一つ 「日本には弥生時代に伝わった」
38 スズの精錬は溶錬を何度も繰り返す 「オルガンのパイプはスズと鉛の合金」 

第4章 人が魅せられる貴金属─金 ・ 銀 ・ 白金
39 金は人類数千年の歴史の中で変わりない価値をもつ 「世界を照らす太陽」 
40 金は鉱石に少量だが広く含まれている 「金は人類が最初に出会った金属」 
41 金の埋蔵量はこのままではあと半世紀で底を突く? 「しかし金はリサイクルできる」 
42 人々が熱狂した砂金の採り方には5種類ある 「0・5グラムで1日が賄える」 
43 金を採り出す灰吹法は古くから使われていた 「銀を採り出す方法としても」 
44 金の用途の7~8割は装飾品だが、産業でも広く使われる 「人工衛星から医療、コンピュータまで」 
45 銀はかつて金の上に君臨していた時代もあった 「通貨単位も銀に対して使われた名称」 
46 欧米では銀食器は文化のバロメータとして見られる 「低い日本人の文化度」 
47 銀を採り出す代表的な方法は「灰吹法」 「日本の近代鉱山技術の原点」
48 百円銀貨の銀の価値は百円を超えている? 「銀の用途は医療や食品にも」 
49 銀は金属の中で最もアレルギーが少ない 「絶大な殺菌効果で人体への影響はナシ」
50 白金は「近代」の貴金属 「今は4割がジュエリー用」 
51 白金は一族として固く結束している 「そして一族あげて大活躍」 
52 白金は金の35分の1の生産量しかない 「80%近くは南アフリカで産出」

第5章 現代産業に必要不可欠なレアメタル
53 レアメタルは単なる希少なもの以上に希少 「量、採取技術、コスト、地域の偏在」
54 レアメタルは元素の半分を占めている 「探査から生産まで10年かかる」
55 レアメタルは150兆円市場を支えている 「迫られる備蓄と代替開発」
56 レアメタルの精錬には様々な方法がある 「代表的なものは「分離法」」
57 レアメタルは少量で八面六臂の大活躍をする 「プラスチックも燃えにくくなる」 
58 希土類元素発見の歴史は「誤りの歴史」 「化学的性質が酷似している」 
59 希土類元素の特性は電子の配列にある 「「色」も〝得意〟分野」 
60 希土類元素の分離は「分別結晶」で行った 「1960年代に「イオン交換法」を開発」 
61 希土類元素の特性はまだまだ未知数でこれからも期待 「まだまだ知られていないものも」 

第6章 その他のちょっと変わった非鉄金属
62 水銀は油断のならない奇妙な金属だった 「その歴史は数千年にもおよぶ」 
63 水銀の性質をトコトン利用することで広がる用途 「水銀電池は環境面から製造中止」 
64 ケイ素の埋蔵量は、「きわめて潤沢」 「〝半金属〟という説も」 
65  17世紀までケイ素という元素の存在は認識されなかった 「動物の骨格成長に必須らしい」 
66 マグネシウムは多くの金属と合金をつくる 「金属元素の単体としては最も軽い金属」 
67 マグネシウムは軽さを力に変える 「航空機などでは重量の数十%を占める」 
68 人間はカルシウムを火で知った 「大理石も炭酸カルシウム」

【コラム】
●金との引き換えを約束する「金本位制」が現在は国の信用による「管理通貨制度」へ 
●ベートーベンは鉛中毒で耳が聞こえなくなった?
●銅は貴金属一歩手前で〝落選〟したかわいそうな金属 
●錫師は1300年の技と伝統を持つ 
●人間にとって必須な元素マグネシウムの供給は事実上無限?
●カルシウムは生命活動の広い領域で活躍している 

参考文献 

はじめに

 「非鉄金属」というと、何やら聞き慣れない言葉ですが、実は「鉄」を除いた残りすべての金属を指す言葉で、その範囲は実に広範です。現在、世界には約4000種類の金属があるといわれていますから、そこから鉄ひとつだけを除いた残り全部が非鉄金属ということなのです。
 ではなぜ、鉄だけ〝除けもの〟にされたかというと、金属の中で鉄だけが飛び抜けて生産量が多いからです。もし、金属の統計などを出した場合、鉄以外の他の金属はかすむほど小さな数字になり、このため「鉄を除くと」という注釈が必要になるケースが多分に想定されるからです。それならば、最初から鉄を除いて区別したほうが見やすいということで、「非鉄金属」という括りでまとめたわけです。
 しかしこの括り方は、学術的にいろいろと議論をした結果、というわけではないようです。ようは、前述したように金属の場合、鉄を除いて見た場合のほうが何かと便利、というのがその最大の理由のようです。
 代表的な非鉄金属と言えば、「銅」「鉛」「亜鉛」「アルミニウム」「錫」「レアメタル」「ニッケル」「マグネシウム」「タングステン」「クロム」「水銀」、そして、貴金属と言われる「金」「銀」「白金」などでしょう。
 とはいえ、鉄が「産業の父」ならば、非鉄金属は「産業の母」ともいわれるほどですから、非鉄金属が私たちにとって非常に重要なものであることはいうまでもありません。とくに、レアメタルなどは「産業のビタミン」などと言われ、現代生活の中でのウエートを急激に増しているハイテク製品などには欠かせない素材です。
 その非鉄金属への関心が今、産業界で高まってきています。これは、レアメタルに代表される産出地域の偏在などによる価格の高騰が大きな要因になっているようです。とくに、発展途上国といわれる国では各種非鉄金属の使用量が急激に高まっており、特に中国などでは、鉄のみならず、非鉄金属でもその生産、消費量ともに世界最大の規模になってきています。さらに中国の場合は、世界のレアメタルのほとんどを産出しているということもあります。
 そして日本は──というと、非鉄金属の多くを輸入に頼っています。このため、その値段が上がれば産業界にとって大きな打撃になります。そして値上がりが製品の価格に転嫁されると、私たちの生活が圧迫されます。また、原料が輸入しにくくなると、日本の産業自体に大きな打撃になります。それは日本にとって非常に憂慮すべき事態です。
 このような状況にある現在、私たちは改めて非鉄金属というものに目を向け、それがどのようなもので、どのように使われているのかなどを知ることは、けして無意味なことではないでしょう。知ることで、これまで私たちが気にもしなかったものへの大切さがわかるからです。また、それがひいては、日本の産業に対する理解にもつながるでしょう。幸い、金属の精錬技術は、日本が世界のトップ水準にあります。この技術を駆使することで、非鉄金属のこのような状況を少しでも緩和させられることができるかもしれません。
 また、非鉄金属の大きな特徴の一つに「再利用が可能」ということがあります。そして、その技術もまた、日本が世界のトップ水準にあります。このことも私たちはもっともっと知るべきことと思います。本書は、そのような思いで、できるだけわかりやすさに重点を置いてまとめました。
 監修は、キドカラーの開発で日本の希土類元素活用の草分けの一人であり、その後アルミニウムなど非鉄金属の研究にも従事した山口英一氏です。また、このような機会を与えてくれた日刊工業新社出版局の藤井浩氏には、心より感謝する次第です。

 2010年8月
非鉄金属研究会

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