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見える化でわかる売り値と買い値

定価(税込)  2,592円

著者
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サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-06492-0
コード C3034
発行月 2010年07月
ジャンル 生産管理

内容

本書は、適正価格の決め方について営業と購買の双方の立場からまとめた原価管理の入門書。営業は利益をコントロールできるように、購買はコストダウンできる原価力を身につけることを狙いとした営業マンと購買マンための必読書。

橋本賢一  著者プロフィール

(はしもと けんいち)
 日本能率協会コンサルティングに15年、生産性向上・原価管理のテーマを中心にチーフコンサルタントとして従事。現在MEマネジメントトサービス代表取締役、マネジメントコンサルタント、公認会計士。
 製造・生産技術・購買・間接部門など全社的コストダウン、原価および業績管理システムの立案・実施により、企業の業績を改革するコンサルティング業務、社内教育、公開セミナーなどの活動を行う。中国、韓国、タイ、アメリカ、カナダなど海外にも事業展開している。
 著書:「技術者のための見積原価計算」「技術者のための標準原価管理」
「技術者のための原価企画」「理想原価への挑戦」
「よくわかる原価のしくみ」「原価の見積りと価格のしくみ」
以上、日本能率協会マネジメントセンター
「管理会計辞典」中央経済社「初乗り610円にダマされるな」経済界
「社長!経営が見えてますか」日本経済新聞社
「よくわかるムダとりの本」日刊工業新聞社

大塚泰雄  著者プロフィール

(おおつか やすお)
 大手工作機械メーカーに11年勤務。開発・設計、製造、営業技術などを経験し(株)MEマネジメントサービス取締役。マネジメントコンサルタント。中央大学アカウンティングスクール兼任講師。
 主に企業では、設計・生産技術・購買・製造部門の原価管理システムの立案・構築・実施やVE、IE、購買査定テーブルを活用した、総合的コストダウンを展開し、企業の業績を改革するコンサルティング業務が活動の中心である。その他、公開セミナー、社内教育などの活動も行う。
 著書:「技術者のための原価企画」(共著)
「理想原価への挑戦」(共著)
以上、日本能率協会マネジメントセンター
「実践原価企画」(共著)税務経理協会
「よくわかる金型の原価管理とコストダウン」日刊工業新聞社

目次

はじめに  

第1章 受注段階で利益が見えているか
    ―速くて正確な売価・原価・利益の見積もりができる―
 1―1  東京マラソンにどうやってエントリーするか  
 1―2  見積書の提出までの手順を踏む  
 1―3  利益がわかる受注活動になっているか  
 1―4  見積もりの速さと正確性は両立できる  
 1―5  営業と購買が知る見積原価のレベル  
 1―6  どのような方法で原価を見積もるか  
 1―7  詳細原価見積もりのやり方  
 1―8  餃子の材料費を見積もってみよう  
 1―9  餃子の加工費を見積もってみよう  
 1―10 営業部門で原価見積もりができるようになる  
 1―11 営業で使うコストテーブル  
 1―12 コストテーブルを使って原価見積もりをしてみよう  
  コラム1.違いがわからないものは違いではない  

第2章 価格はどのようにして決まるか
    ―営業の受注活動は売上から利益の管理へ―
 2―1  基準販売価格で売りたい価格を出す  
 2―2  利益率をどれくらい見込むか  
 2―3  利益率で価格戦略を考える  
 2―4  売価・原価・利益を決める方程式はどれか  
 2―5  価格決定のメカニズムを知る  
 2―6  消費財は市場価格や類似価格で決まるものが多い  
 2―7  生産財は類似価格や希望価格で決まる  
 2―8  希望価格・類似価格を検討する  
 2―9  相場価格を知っておこう  
 2―10 原材料市況に連動する自動算出方式  
 2―11 材料単価・為替レートが変わったら  
 2―12 価格が変わったら利益はどう変わるか  
  コラム2.本当に価値あるものとは何か  

第3章 赤字受注をしてもよいときがある
    ―見積書を出す前に利益をシミュレーション―
 3―1  原価には変動費・固定費がある  
 3―2  売価からどこまでの原価を回収するか  
 3―3  どれが変動費でどれが固定費か  
 3―4  負荷の変動幅の範囲で能力を調整する  
 3―5  損益分岐点の原理を覚えよう  
 3―6  利益算定の算式と利益の向上策  
 3―7  限界利益があれば赤字受注してよい  
 3―8  出血赤字はどのように治療するか  
 3―9  販促に力を入れる戦略製品を絞り込む  
 3―10 開発費は一括回収が原則  
 3―11 価格政策が使いやすい製品がある  
 3―12 価格で需要をコントロールする  
  コラム3.どうして「限界利益」って呼ぶのか  

第4章 見積もりの成約率をアップさせるには
    ―説得力のある見積書を書く―
 4―1  受注が取れる見積書を書く  
 4―2  材料費は歩留がチェックポイント  
 4―3  加工費は工程と工数がチェックポイント  
 4―4  見積もり環境を考慮する  
 4―5  突っ込みが入らない見積書にするために  
 4―6  価格引き下げ要請をどう切り抜けるか  
 4―7  見積書を出さない受注方法がある  
 4―8  どのような価格政策があるか  
 4―9  プロダクトミックスと価格政策を組み合わせる  
 4―10 ライフサイクルと価格政策を組み合わせる  
 4―11 品質レベルと価格政策を組み合わせる  
 4―12 速さも価格に反映する流通と価格政策  
  コラム4.3段階で利益を計算することの意味  

第5章 営業の受注業績を見える化する
    ―伸びる顧客・利益の上がる顧客を見抜く―
 5―1  価格見積もりがうまくいっているか  
 5―2  営業所別損益が見えるようになる  
 5―3  営業所別損益を分析してみる  
 5―4  営業マン別の損益が見えるようになる  
 5―5  営業の販売力の向上のために  
 5―6  見積もりの受注力の向上のために  
 5―7  顧客別・製品別の損益  
 5―8  製品別・顧客先別原価計算  
 5―9  顧客別にかかる原価が違う  
 5―10 顧客別の営業戦略を立ててみる  
  コラム5.三現主義の「見える化」だけでは見えない  

第6章 購入先の選定とグローバル購買
    ―QCDの優れた最適サプライヤーを選択する―
 6―1  よきパートナーと出会うために  
 6―2  サプライヤーの質的評価はどのようにするか  
 6―3  サプライヤーの総合評価はどのようにするか  
 6―4  サプライヤーの育成と発掘はどのようにするか  
 6―5  インターネットを利用する  
 6―6  消費国への投資の実態  
 6―7  内製と外製の判断要素は何か  
 6―8  国内の最適地生産の判断要素は何か  
 6―9  海外の最適地生産の判断要素は何か  
 6―10 コストによる内外製の判断  
  コラム6.QCDのバランスが必要なモノづくり  

第7章 購買コストダウン余地を見えるようにする
    ―レベルが低ければコストダウンの可能性は大きい―
 7―1  高い買い物になるときはどのようなときか  
 7―2  定性的にコストダウン余地を見える化する  
 7―3  定量的にコストダウン余地を見える化する  
 7―4  どれくらい購買コストは低減できるか  
 7―5  全社の購買管理余地を見える化する  
 7―6  外注品の価格はバラついていないか  
 7―7  相場品が下がったときに価格も下げられているか  
 7―8  購入品の類似価格を検討しているか  
 7―9  購入先の会社を見せてもらう  
  コラム7.理想を描くとコストダウン余地が見えてくる  

第8章 管理購買による購入価格の低減策
    ―大きな手からコストダウンを実行する―
 8―1  どのような購入価格の低減策があるか  
 8―2  購買契約方式の組み合わせ  
 8―3  集中購買・共同購買を進める  
 8―4  定期的なコストダウン要請をする  
 8―5  単価のバラツキ是正によるコストダウン  
 8―6  単価査定という関門を利用する  
 8―7  単価査定基準の見える化“コストテーブル”の活用  
 8―8  実務に即したコストテーブルを作るために  
 8―9  購買に必要なコストテーブルとは  
 8―10 コストテーブルのメンテナンス  
 8―11 サプライヤーを守る下請法  
  コラム8.コストテーブルは単価査定のナビゲーター  

第9章 技術購買と購買の原価管理の見える化
    ―売り買い協業で改善提案を推進する―
 9―1  技術購買による購入価格の低減策  
 9―2  購買担当に技術者をおく  
 9―3  標準化の提案は通りやすい  
 9―4  技術購買でできる統一化を考える  
 9―5  統一化へ向けて技術的分析をしてみる  
 9―6  モジュール化で部品点数を減らす  
 9―7  加工費のムダの見方を覚えよう  
 9―8  サプライヤーに改善提案を求める  
 9―9  相互の技術力を出し合った一体改善  
 9―10 購買部門のコストダウン評価の見える化  
 9―11 購買コストダウンがどれくらい業績に貢献しているか  
 9―12 どこを攻めれば購買効率が向上するか  
  コラム9.管理は測定から始まる

はじめに

あなたが「初めてのお使い」を経験したのは何歳のときだろうか。おそらくお店の人の言われるままに緊張してお金を出したことだろう。それから一生を通じて何千何万回もの買い物を経験することになる。買い物には定価があり、その値段で買うかどうかは買い手が判断する。スーパーのレジでの価格交渉はないので、安く買いたければ、あらかじめ新聞のチラシやインターネットなどを上手に使う。高価な買い物になるといくつかの品や店と比較し、時間をかけて最適なものを選ぶ。買い物上手な人は情報収集が上手である。
 私たちは普段これだけ多くの売り買いを経験しながら、いざ業務となるとなかなか難しい。会社の買い物では金額が大きいので、定価があっても、またオーダーメイドでの売買では見積もりから始まる。「見積もりを出して下さい」と言われて持っていくと、見積書の中身の話に入らず「それでいくら引いてもらえますか」との値下げ交渉では「初めてのお使い」とあまり変わりない。
 本書は売り買いに携わる営業と購買が対象である。売買に必要となる情報の見える化からはじめ、売り買いを分ける「適正価格」に切り込んでみた。売り手は高く売りたい、買い手は安く買いたいと思うのは自然であるが、価格は両者を分ける分岐点であり、利益分配を意識した営業、購買活動でありたい。
 受発注で決める価格は「適正価格」でなければならない。適正価格を決めるには、営業は売上目標から利益目標へ、購買は交渉力に依存する管理購買から、コストダウン要素が織り込まれた技術購買へのレベルアップが必要である。利益=売上高-原価なので、営業は自らの手で原価見積もりと価格見積もりをして利益をコントロールすること。購買は上流の技術にさかのぼってコストダウンできる原価力を身につけることである。
 こうして受発注時に検討する見積もりの質を高めても、時間をかけては意味がない。環境変化のスピード化や広域取引へのグローバル化に対応するにはデータベースと情報化が不可欠である。コストテーブルと見積もりシステムの構築は迅速かつ正確な見積もりを約束してくれよう。
 本書は、適正価格の決め方について前半は営業、後半は購買の立場から執筆しているが、両方に目を通されることを期待する。それは、いずれも相手の立場を理解することこそ大切だと思うからである。
 前半の第1章は営業、購買ともに知っておきたい価格と原価の知識について述べている。第2章から第5章までは営業の立場から、受注検討依頼に始まって、見積書を提示して受注するまで、第5章では営業活動の見える化の記述である。
 後半の第6章から第9章までは購買の立場から購買コストダウンへの道程を述べている。まずは、よき仲間として最適サプライヤーの選択から始める。コストダウン要請をやみ雲に行ってもうまくいくものではなく、事前にコストダウン余地を知ることが大事である。コストダウン余地の大きさに応じてコストダウンに入る。そのやり方は管理購買から技術購買へレベルアップしていくことである。最後は購買活動の見える化の記述である。
 よきバイヤー、よきサプライヤーを目指すには相手の立場に立ってものを考えることを強調しておきたい、両者がお互いに切磋琢磨して共存共栄の道を歩まれることを期待してやまない。

2010年5月  
橋本 賢一  大塚 泰雄

連絡先
〒143―0024 東京都大田区中央6―29―2
TEL(03)3755―5437 FAX(03)3755―8366
E―mail:hashimoto@mejapan.com
E―mail:ohtsuka@mejapan.com
http://www.mejapan.com

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