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究極のプライベートバンク
図解 スイス銀行

定価(税込)  2,376円

監修
監修
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06487-6
コード C3034
発行月 2010年06月
ジャンル 経営

内容

顧客の秘密厳守と財務を公開しないなどの建前から、世界の資産家の多くが口座を持っているスイス銀行。本書は、謎が多いこの銀行の実態、サービス、プライベートバンクとはいったいどういう意味なのか、までを図解でわかりやすく解き明かしていく。

楠本 博  著者プロフィール

(くすもと ひろし)
昭和12年東京生まれ。一橋大学卒、三井銀行入社、八重口支店、本店外国営業部、調査部経済調査課、本店営業部、人事部企画課、ニューヨーク支店などを経て退職。近畿大学教授、八千代国際大学(現・秀明大学)教授、大阪市信用金庫顧問・理事を歴任。金融学者。主な著書に「銀行行動の理論と現実」(東洋経済新報社)、「セキュリタイゼーション」(有斐閣)、「ベーシック金融先物オプション」(経済法令研究会)、「信金の時代」(近代セールス社)、「金融ビッグバンのすべて」(東洋経済新報社)、また翻訳として「変貌する銀行経済」(東洋経済新報社)、「銀行革命新潮流」(東洋経済新報社)など、著書多数。

勅使川原 明  著者プロフィール

(てしがわら あきら)
昭和22年、前橋市生まれ。早稲田大学卒、群馬銀行入行、足利南支店長、営業推進部主任推進役、審査部主任推進役、東京事務所副所長などを経て、群銀JCB取締役。金融に関するアドバイザーとしても活躍中。著書(監修)に「知らなきゃヤバイ イスラム金融」新聞社)などがある。

永井隆昭  著者プロフィール

(ながい たかあき)
昭和23年秋田市生まれ。日本大学卒、金融経済関係の新聞社編集局長などを経て、現在フリー。主に金融関係の取材・執筆、講演活動を行っている。地域金融研究所客員研究員、TEN FEI ASSOCIATED INC専門領域プロデューサー。著書に「動き出したネット・バンキング」(富士通総研・編、日刊工業新聞社)、「トコトンやさしいお金の本」(富士通総研・編、日刊工業新聞社)、「国際事例集」(地域金融研究所)、「知らなきゃヤバイ イスラム金融」(楠本博、勅使川原明・監修、日刊工業新聞社)などがある。

目次

はじめに 

CHAPTER1 "スイス銀行"という名称の銀行はない!?
01 スイスの銀行には、本当に"秘密口座"や"隠し口座"があるのだろうか? 
02 スイスの銀行では、州の条例により設立された24の州立銀行が力をもつ 
03 多くの買収・合併劇がスイスの銀行業界を2大銀行へと集約させた 
04 スイスの大銀行は、すぐれた情報網と優良顧客層を背景に世界の金融業界で主要な立場にある 
05 スイスの銀行の二大鉄則「自己責任」と「秘密の堅持」が世界から資金を呼び込む 
06 スイスでは、鉄道建設を自ら行うため、次々と銀行が設立されていった 
07 スイスの銀行の恩人フランス皇帝--亡命者が大量の財を運ぶ 
08 スイスはナチスに不可欠な存在だった--"ナチスの通貨の倉庫"とも 
09 スイスの銀行業界は自分で自分を律す 

CHAPTER2 スイスの銀行はここが違う-国民性と守秘義務
10 スイスの国際的な中立性はどの国よりも別格に扱われる資格を有す 
11 スイスの国民はなによりも「守秘義務」を重んじ、これがなくなるとは考えない 
12 外国の銀行家もスイスの銀行に口座をもつがその手数料は驚くほど高い 
13 個人銀行では、あなたの口座番号を知っているのは世界で3人しかいない 
14 ナンバーアカウントは、秘密を守るが、番号を間違えると資金は戻らない 
15 スイスでは"逆利子"が当たり前--それはスイスの銀行の面目躍如 
16 有名人たちの"脱税"--スイスの銀行はそれを問うつもりはナシ 
17 スイスの銀行は顧客に送る郵便物に自行名を書かない 
18 スイスの銀行員は国際的知識と技術をもって"一人前" 
19 金融危機で州立銀行などに預金が殺到 
20 スイスの紙幣・硬貨は他の国にはないいろいろな特徴をもっている 

CHAPTER3 スイスの銀行につきまとう疑惑-脱税とマネーロンダリング
21 パレスチナ、ロシア、北朝鮮そして日本まで。マネーロンダリングを疑われるスイスの銀行口座 
22 マネーロンダリングなど、犯罪に対しては情報の開示が求められる 
23 国家元首の巨額資金もスイスの銀行に?--北朝鮮、フィリピン、ナイジェリア等々 
24 機密性と安全性、顧客のニーズを重要視する独特な資産運営システム 
25 高まる秘密口座廃止論議--それでも秘密保持を崩さないスイス 
26 スイスの銀行の"脱税"呼ばわりは質が違う--銀行は国のステータス 
27 スイスは税金を「脱税」と「申告漏れ」に分けている 

CHAPTER4 プライベート・バンクの真の意味-顧客の資産を維持する
28 プライベート・バンキングにおける「富裕層」とはいかなる人なのか 
29 銀行の守秘義務は今もスイスに存在し続ける--守秘の頑強さ世界に知らしめす 
30 出資者・経営者が会社に自分の名前を掲げる--クラシカルな建物に小さな玄関 
31 紹介された人が顧客になるとは限らない--資産家の相談にのるのがプライベート・バンク 
32 新人には必要な資格をほとんど取得させる--資産家を守るのが至上命題 
33 伝統の継承と実績と自信、そして信頼がプライベート・バンクの底力 
34 小人数でも高いレベルの特徴あるサービスを提供する個人銀行 
35 伝統の手法に新しい手法も取り入れて変化していくプライベート・バンク 

COLUMN
大銀行中心の行政にならぬよう 
州立銀行から巨匠の名画が多数
スイスでは「金融が国家の基軸産業であり誇りである」 
富裕層への優遇措置に住民は「ノー」 
広がる?"アメリカ人お断り"の動き 
スイスと高額紙幣とコインの話 
税金を銀行が肩代わり 
留学はスイスの銀行に口座を持っていることが条件 

参考文献

はじめに

 米国の納税者が、脱税目的でスイスの二大銀行の一つUBSの口座を利用していることが問題になり、その守秘義務をめぐり、UBSそしてスイスの銀行は世界中の注目を集めました。なぜならスイスの銀行は、「秘密口座」「隠し口座」の代名詞になっているイメージがあるからです。庶民からすればたぶんに野次馬的、興味本位的なものですが、富豪と言われる資産家層からすれば、きわめて現実的、他人事ではないことなのかもしれません。
スイスの銀行が顧客の秘密厳守と財務を公開しないというのはあまりにも有名であり、そこにはこれまでも様々なスキャンダルが伝えられ、大きな話題となって世界中を駆けめぐってきました。実際、スイスの銀行に世界の資産家の多くが口座を持っていることは事実であり、それらの人々にまつわるスキャンダルとか事件は、「確かにそういうこともあるかもしれない」と思わせ、その思いが、「ではスイスの銀行というのはどういうところなのだろう」という興味になっていくのは自然の成り行きでしょう。

 ここ数年来、日本の銀行でも「プライベート・バンキング」という言葉をしきりに使うようになりましたから、私たちにも聞き慣れた言葉なのではないでしょうか。そのプライベート・バンクの"総元締め"といってもよいのがスイスの銀行--といっても過言ではありません。そして、スイスの銀行のプライベート・バンキングというものを見ていくと、これまた、興味深々です。日本で聞き慣れているプライベート・バンキングというものとは大きく違うのです。とくに、スイスでプライベート・バンクと言われる「個人銀行」は、日本には存在しません。それだけに実態がわかりにくいものがあります。

 そこで本書は、まず、興味にまかせてスイスの銀行というものの歴史を見、スイスの金融界を眺めながら、数百年の伝統を持つ「個人銀行」の内実を垣間見ることにしました。その内容については、一般の人のみならず、現在の日本のバンカーにもそれなりに読みごたえのあるものにしたつもりです。そのために、監修は三井銀行OBで金融学者の楠本博先生と、群馬銀行OBで金融の実態・分析に詳しい勅使川原明氏にお願いし、大所高所からの貴重なアドバイスをいただきました。また、長年温めていたこの企画を実現させてくれた日刊工業新聞社出版局の藤井浩氏には心より感謝する次第です。

 なお、本書での数字等については、なるべくスイス現地からの資料を中心にしていますが、場合によっては、他の資料と異なるケースがあることをお断りしておきます。

2010年6月 永井隆昭

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