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中国環境都市
―中国の環境産業戦略とエコシティビジネス

定価(税込)  2,052円

著者
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サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06474-6
コード C3034
発行月 2010年05月
ジャンル ビジネス

内容

中国で史上空前の都市建設が進んでいる。すでに、20前後の都市計画が環境都市づくりを宣言し、既存の都市でも環境性向上のための投資が始まっている。本書は、中国の環境都市の動向とその背景にある戦略、並びに日本が市場参入するための対応策(中小企業を含めた民間企業、政府)を提言する。

井熊 均  著者プロフィール

(いくま ひとし)
 1958年生まれ。1981年早稲田大学理工学部機械工学科卒業、1983年早稲田大学大学院理工学研究科修了。同年三菱重工業株式会社入社、1989年同社退社。1990年株式会社日本総合研究所入社。現在、同社執行役員、創発戦略センター所長。1995年株式会社アイエスブイ・ジャパン設立と同時に同社取締役に就任、現在、同社顧問(兼務)。2003年イーキュービック株式会社設立と同時に同社取締役に就任(兼務)。早稲田大学大学院非常勤講師。
著 書:「PFI 公共投資の新手法」「PFI ビジネス参入の戦略」(編著)「自治体破綻」「環境倒産」(編著)「『ゼネコン』危機からの脱出」(編著)「電子自治体」「社内起業家になるための24の法則」「エネルギーベンチャー」(編著)「『電子自治体』ビジネスモデル」(編著)「構造改革で『地方』はどう生き残るか」「図解 よくわかるリサイクルエネルギー」(編著)「第3セクターをリストラせよ」(編著)「自治体の知的財産経営」(共著)「エナジー・サービス・プロバイダー」(編著)「徹底検証 電子自治体」(編著)「図解 よくわかるバイオエネルギー」(編著)「燃料電池ビジネスの本命“住宅市場”を狙え!」(編著)「図解 よくわかる分散型エネルギー」(編著)「図解 よくわかる公共マーケットビジネス」(編著)「図解でわかる 京都議定書で加速されるエネルギービジネス」(編著)、「中国エネルギービジネス」(共著)「だから日本の新エネルギーはうまくいかない!」「次世代農業ビジネス」(編著、以上日刊工業新聞社)「図解 企業のための環境問題」(編著)「図解 eガバメント」(編著)「テクノ図解 次世代エネルギー」(編著)「電力取引ビジネス」(編著)「図解 企業のための環境問題第二版」(編著)「自治体PFIプロジェクトの実務」「ICタグビジネス」「図解 企業のための環境問題 Ver.3」(共著、以上東洋経済新報社)「自治体のためのPFI実務」(編著)「実践! 総合評価方式」(編著)「実践! PFI適用事業」(編著)、「実践的事業者評価による自治体の調達革命」(以上ぎょうせい)、「都市再生プロジェクトを読む!」(編著)「事業計画の立て方 書き方 通し方」「プロジェクト・マネジメントの考え方・進め方」(以上オーエス出版)、「私はこうして社内起業家/イントラプレナーになった」(生産性出版)、「プロフェッショナル・サラリーマン」(水曜社)「ポスト京都時代のエネルギーシステム」(北星堂書店)「図解入門 よくわかるバイオ燃料の基本と仕組み」(秀和システム)「自治体再生?―?資産リストラで財政破綻を回避せよ」(編著)、「蘇る農業」(編著、以上学陽書房)等

王 ※(=女偏に亭)  著者プロフィール

(おう てい)
 1970年生まれ。1993年北京大学卒業、1998年東京大学大学院総合文化研究科国際関係論専攻修士課程修了。2000~2001年ハーバード大学東アジア研究センター客員研究員、2002年東京大学大学院総合文化研究科国際関係論専攻博士課程を経て、株式会社日本総合研究所入社。現在、創発戦略センター主任研究員、日綜(上海)投資諮詢有限公司北京分公司総経理。
専門分野:環境、エネルギー、中国政策(経済、環境、都市)
著  書:「燃料電池ビジネスの本命“住宅市場”を狙え!」(共著)「図解 よくわかる分散型エネルギー」「中国エネルギービジネス」(共著、以上日刊工業新聞社)

目次

はじめに


第1章 環境先進国への戦略

1-1 COP15からCOP16へ
1-2 存在感増す中国
1-3 国レベルから都市レベルの合意へ
1-4 世界経済の中心となった中国
1-5 エネルギーと環境に悩む中国
1-6 深刻化する環境問題
1-7 中国の環境政策


第2章 中国の都市事情

2-1 中央集権と地方の主体性
2-2 地方の活力を支える中国の開発スキーム
2-3 巨大な中国の都市需要
2-4 中国版グリーン・ニューディール政策
2-5 最大最先端の環境都市=中新天津生態城
2-6 初の中国―シンガポールの合作都市
2-7 循環工業都市、曹妃甸


第3章 中国の環境・エネルギー覇権戦略

3-1 躍進する中国の地球温暖化ビジネス
3-2 太陽光発電市場をリードする中国
3-3 風力発電産業のメッカとなる中国
3-4 交通分野で進む国産化
3-5 電気自動車に見る中国の潜在力
3-6 中国の先端技術開発
3-7 産業戦略としての環境都市


第4章 環境都市は環境ビジネスの生態系

4-1 産業創出の生態系となる環境都市
4-2 先進技術を吸引する環境都市
4-3 構造改革が遅れたツケ
4-4 海外勢のマーケットアプローチ
4-5 シンガポールに学ぶ
4-6 先行する海外勢の特徴


第5章 環境都市への参入戦略

5-1 市場参入のスピードを上げる
5-2 日本の良さを活かす:(1)強みの理由を探す
5-3 日本の良さを活かす:(2)強みを活かす市場アプローチ
5-4 「まるごと」思考からの脱却
5-5 社会システムを売り込む
5-6 改めて現地化を進める
5-7 モノづくりの基盤を中国に
5-8 日中共創関係を作る

はじめに

 中新天津生態城に初めて足を運んだのは2008年の冒頭である。クモの巣のような高速道路の足場の間からは生態城に続く橋が見えるものの、足元には泥だらけの道が続いていた。1990年代に日本国内で幾多の地域開発の失敗に立ち会ってきた経験から、正直なところ大きな希望を感じることはできなかった。しかし、この事業に関わる方々の情熱と理想を伺ううちに、新しい時代の幕開けを感じ、「日本として何かできることがないか」と考え、天津の浜海地区に通いつめるようになったのである。

 その後、いくつかの環境都市開発に関わりを持つ中で二つのことを考えるようになった。
 一つ目は、環境都市が中国の環境産業のレベルを大きく引き上げる、ということだ。リーマンショックを契機に圧倒的な市場となった中国が進める環境都市には世界中から毎日のように先端技術の提案がある。今や、知的所有権を気にして躊躇しているような企業が中国で事業を拡大できることはない。環境都市では世界中の先端技術がインテグレートされ、オペレーション・ノウハウを始めとする新たな環境ビジネスの付加価値が生み出されるだろう。それを手にするのは、第一に都市のオーナーである中国だ。

 二つ目は、日本が世界の環境市場での劣勢を挽回する数少ない機会になる、ということである。世界最高レベルの技術を持ちながら、太陽光発電、風力発電を始めとする再生可能エネルギーの分野で日本は他国の後塵を拝している。低炭素化分野の市場での日本の成長は省エネルギー技術にかかっている、と考えていい。しかし、省エネルギー技術の多くは組み込むべき設備や組み合わせる技術があってこそ利用に供することができるため、具体的なテーマが不可欠だ。環境都市は、そのためのまたとない場になる。見方を変えると、中国の環境都市での劣勢は環境市場での日本の将来に大きな影を落とすことになろう。

 本書は、以上のような認識に基づき、中国の環境都市に向けた日本の取り組むべき方策を示したものである。まず、中国の経済、環境政策、都市・地方政策を概観し環境都市の政策的な位置づけを捉えた後で、他国の参入状況を踏まえ、日本の取るべき方向性や戦略について述べた。
 国内では、将来に向けた成長戦略が問われる中、中国を始めとする新興国への焦点が日増しに強まっている。本書が、日本が劣勢を跳ね返し成長機会を手にすると同時に、中国との新たな共創のあり方を見出すことの一助になることがあれば著者として望外の幸せである。

 本書は、株式会社日本総合研究所の王女史との共著である。女史は中国と日本の環境の懸け橋となることを志して、日本総合研究所に入社した才媛である。彼女の協力なしに中国市場への参入も本書の執筆も有り得なかった。この場を借りて御礼申し上げたい。

 本書の企画、執筆、出版に当たっては、日刊工業新聞社の奥村功氏にご協力いただいた。長年にわたるご理解、ご支援に厚く御礼申し上げたい。

 最後に、筆者の日頃の活動にご指導、ご支援をいただいている株式会社日本総合研究所に厚く御礼申し上げたい。

2010年 麗春
井熊 均

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