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絵とき「工具研削」基礎のきそ

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 180頁
ISBNコード 978-4-526-06462-3
コード C3053
発行月 2010年04月
ジャンル 機械

内容

切削工具と被削材の材料特性・切削条件などから工具研削、工具研削用機器の基礎知識を理解したうえで、各種切削工具の研削方法をイラストと写真を多用しわかりやすく解説する。現場で役立つ工具研削の入門書。

海野邦昭  著者プロフィール

海野邦昭(うんの くにあき)

1944年生まれ。職業訓練大学校機械科卒業。
工学博士、精密工学会フェロー、職業能力開発総合大学校精密機械システム工学科教授。精密工学会理事、砥粒加工学会理事などを歴任。
2010年4月基盤加工技術研究所代表

主要な著書に、「ファインセラミックスの高能率機械加工」(日刊工業新聞社)、「CBN・ダイヤモンドホイールの使い方」(工業調査会)、「次世代への高度熟練技能の継承」(アグネ承風社)、「絵とき『研削加工』基礎のきそ」(日刊工業新聞社)、「絵とき『切削加工』基礎のきそ」(日刊工業新聞社)、「絵とき研削の実務-作業の勘どころとトラブル対策-」(日刊工業新聞社)、「絵とき『難研削材加工』基礎のきそ」(日刊工業新聞社)、「絵とき『治具・取付具』基礎のきそ」(日刊工業新聞社)、「絵とき『穴あけ加工』基礎のきそ」(日刊工業新聞社)、「絵とき『切削油剤』基礎のきそ」(日刊工業新聞社)などがある。

目次



はじめに



第1章 工具研削の基礎知識

1-1 刃物の摩耗

1-2 切削工具の切れ味とは

1-3 二次元切削とは

1-4 せん断角とは

1-5 工具摩耗

1-6 工具摩耗と切削現象

1-7 工具寿命

1-8 切削工具の再研削時期の判定



第2章 工具研削用機器

2-1 両頭グラインダ

2-2 超硬バイト研削盤

2-3 汎用工具研削盤



第3章 超硬ロー付けバイトの研削

3-1 超硬ロー付けバイトとその名称

3-2 工具寿命の判定

3-3 超硬バイトの三段研削

3-4 超硬バイト研削盤による仕上げ研削

3-5 チップブレーカの研削

3-6 推奨研削といしと研削時の注意事項



第4章 高速度工具鋼製バイトの研削

4-1 高速度工具鋼製ロー付けバイトの種類

4-2 バイトの各切れ刃名称と推奨刃先角

4-3 片刃バイトの研削

4-4 突っ切りバイトの研削

4-5 ねじ切りバイトの研削

4-6 穴ぐりバイトの研削



第5章 ドリルの研削

5-1 ドリルの種類

5-2 ドリル各部の名称と刃先角度

5-3 ドリルの円すい研削法

5-4 ツイストドリルの研削



第6章 エンドミルの研削

6-1 エンドミルとその用途

6-2 エンドミル各部の名称

6-3 エンドミル切れ刃の諸角度

6-4 エンドミルの諸要素

6-5 工具摩耗と再研削時期

6-6 外周逃げ角の研削方法

6-7 センタ穴タイプエンドミルの研削

6-8 センタカットタイプエンドミルの研削

6-9 エキセントリック法による研削

6-10 エンドミル底刃の研削



第7章 正面フライスの研削

7-1 正面フライスと各部の名称

7-2 刃先角名称と研削に必要な刃先角度

7-3 ブレードチップのオーバーハング

7-4 ダイヤモンドホイールの取り付け

7-5 正面フライスの取り付け

7-6 正面フライスの心出し

7-7 刃受けのセット

7-8 副切れ刃(正面切れ刃)の研削

7-9 主切れ刃(外周切れ刃)の研削

7-10 面取りコーナの研削

7-11 刃先の振れのチェック



第8章 工具研削の安全作業

(1) 正しい服装

(2) 保護めがねの着用

(3) といしと支持台のすき間調整

(4) 研削時の作業位置

(5) といしの打音試験

(6) といしの取り付け

(7) 適切なといしカバー

(8) 動作確認

(9) といしの回転方向



索 引

はじめに


 機械加工技術者は、「鍛冶屋さん」と呼ばれてきました。昔は自分の工具は自分で作りました。しかしながら、分業が進み、最近は工具を自分で作らなくなりました。また数値制御加工技術が発達し、加工の自動化が進展したので、スローアウエイ(投げ捨て)工具を使えば、切削工具の再研削などできなくてもよいという意見もよく耳にします。


 しかしながら、現在のハイテク産業を支える超精密切削であっても、物を削っているのは刃物で、その研削の仕方が問題になります。そのため工具研削によって、どのように切削工具の切れ味が変化するのかを把握することは非常に重要だと思います。CAD/CAM技術やNC(数値制御)技術がどのように発達しても、切削工具の切れ味が悪ければ、性能の高い製品はできません。
 

また最近は、中国、インド、ロシアおよびブラジルなどの新興国の工業化により、安価な原料が輸入しにくくなっています。とりわけ切削工具にはタングステンなどのレアメタル(希少金属)が使用されており、最近、その価格上昇が著しくなっています。そのため資源問題に関連し、今後ともスローアウエイ工具を使用し続けることができるのかという危惧を抱いています。


 タングステンの生産は、現在、一極に集中しており、その約90%を中国が占めています。そしてレアメタルの輸出制限がすでに中国で始まっています。すぐに入手が困難な状況になるとは思いませんが、もしもタングステンの入手が困難になれば、切削工具はもちろん、マザーマシンである工作機械の生産も日本国内では困難になるでしょう。そのためスローアウエイ工具などという呼び名をやめ、切削工具を再研削し、長く使用することを考えるのも、将来的に重要だと思います。同時に、工具研削技術を次世代に継承することも考える必要があるでしょう。


 このような見地から、汎用的な工具研削の本を出版したいと思いましたが、幸いにも日刊工業新聞社の奥村功氏と新日本編集企画の飯嶋光雄氏より、若い人たち向けの工具研削の基礎的な本を出版したらというお誘いを受けました。いざ執筆するとなると、工具研削盤も、最近はNC(数値制御)化されているので、対象をどのような機種にするか迷いました。結果的に、マニュアルの汎用工具研削盤を対象とすることにしました。また切削工具にも多くの種類がありますが、紙面の関係上、一般的な超硬ロー付けバイト、高速度工具鋼製バイト、ドリル、エンドミルおよび植刃超硬正面フライスに限定しました。そして、これらの研削方法を多くの写真やイラストを用いて説明することにしました。


 今回の執筆に際して、職業能力開発総合大学校、鈴木重信准教授、東北職業能力開発大学校、坂井儀道教授、牧野フライス精機およびOSGより、貴重な資料のご提供をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
工具研削に関する参考書や資料が少ないため、細部にわたる説明はできませんでしたが、ここに述べたことが、少しでも若い読者のみなさまのお役に立てば幸いと思っております。また切削工具の研削を通じて、レアメタルなどの資源問題や環境問題に興味をもっていただければ、よりいっそう、望外の喜びです。
 

平成22年4月

海野 邦昭

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