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東京・城南のモノづくり挑戦者たち
―不況に負けない製造業の現場レポート―

定価(税込)  1,944円

編者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06442-5
コード C3034
発行月 2010年03月
ジャンル 経営

内容

日本を代表する中小モノづくり企業の集積地である東京・城南の現場レポート。小規模ながら独自の技術力や発想力で新しいモノづくりに果敢に挑戦している企業を取り上げる。不況下でも勝ち残る企業戦略とその生き様を第一線の記者が取材・報告する。

日刊工業新聞社 南東京支局取材班  著者プロフィール

【取材・執筆】

黒田 哲司(第2章、第3章)

大楽 和範(第1章、第4章)

藤坂 浩司(第5章)

【企画担当】

三菅 貴洋

目次

はじめに



第1章 製造業の町「大田区」のモノづくり最前線

企業紹介 この分野なら絶対に負けない─オンリーワン、ナンバーワン企業

ウォーターハンマー防止型逆止弁のパイオニア (株)石崎製作所

全国から依頼が舞い込む熱処理の駆け込み寺 (株)上島熱処理工業所

自社製品開発に力を注ぐ町工場 (株)三輝

世界を股にかける油圧シリンダー専門メーカー (株)南武

小ロット短納期で付加価値の高い製品を生み出す (株)羽田パイプ製造所

少数精鋭で圧力センサをコアとした技術屋集団 フジコントロールズ(株)

粉を極め、少数精鋭で永遠の発展を目指す (株)粉研パウテックス



第2章 再開発で生まれ変わる「品川区」の都市型モノづくり

企業紹介 研究開発型ならわが社が一番

電気・メカトロの総合エンジニアリング企業 (株)エイト産業

極小穴あけ加工で大手企業が一目置く (株)信栄テクノ

メカニカルシールで産業界を支える開発型企業 (株)タンケンシールセーコウ

オリジナルの粉体技術を駆使し世界で勝負する (株)奈良機械製作所



第3章 次世代技術と国際化でビジネスチャンスを獲得せよ

企業紹介 次世代ビジネスで勝負する

オンリーワンのロボットエンジニアリングメーカー (株)オージーエー

受託加工から部品メーカーへ (株)テクニスコ

フレキシブル性をもつ銅線にこだわる 双葉電線(株)

最先端の航空・宇宙産業を技術で支える 三益工業(株)



第4章 地域ネットワークで勝ち残りを目指せ!

企業紹介 技術で勝負するサプライヤー企業

技術商社として広く社会に貢献する 愛知産業(株)

ケミカル製品でニッチトップを狙う (株)オーデック

技術を軸に品質、管理などモノづくりの総合力で挑戦する (株)伸光製作所

研究開発型企業を目指すモノづくりベンチャー (株)マテリアル



第5章 城南のモノづくりの未来

企業紹介 城南のモノづくりチャレンジャーたち

カム加工を得意技に事業を展開する (株)石川精器

技術力・製品力で世界と戦う技術屋集団 (株)東京テクニカル

大田区発のグローバルモノづくり企業を目指して フィーサ(株)

空間に命を吹き込むガラスのプロデュース (株)西尾硝子鏡工業所

はじめに

はじめに



「東京・城南」は日本でも有数の製造業集積地帯として知られている。この地が全国的に知名度が高いのは、「町工場」と呼ばれる中小・零細の受託加工事業者が数多く存在しているためだ。彼らは、機械加工や金属加工といった工業製品の製造には欠かせないモノづくりの基盤技術を持ち、世界に冠たる日本の自動車や家電メーカーをサプライヤーとして支え続けてきた。その存在なくして現在の日本の産業国家としての地位は成しえなかったと言っても過言ではない。さらに城南地域には、同じ中小製造業でも受託加工事業者とは異なり、自ら製品を開発し自社ブランドで販売するメーカーも少なくない。オンリーワンの技術やオリジナルのアイデアで事業を展開する中小メーカーは今後の地域発展にとってメルクマールとなる存在だ。このように受託加工事業者とメーカーが切磋琢磨しあいながら地域を形づくる東京・城南は、「製造業立国・日本」の今を見る縮図とも言える地域だ。

現在、わが国の製造業はかつてないほど、その地位の低下が懸念されている。中国や韓国といったアジア近隣国の製造業が急速にその技術力を伸ばし世界市場で存在感を見せ始めていることや、日本の製造業がグローバル展開を加速し、国内のモノづくりの空洞化が深刻化していることが背景にある。また、モノづくりのデジタル化が進んだことで、技術の平準化が国境や作業熟練度の壁を越えて広がり始めていることも相対的な地位低下に影響を与えている。

こうした時代の流れの中で、日本のモノづくりはどうなっていくのか。本書は日本のモノづくりの原風景とも言える城南の製造業の動向を1冊の本にまとめたものだ。さまざまなハードルを乗り越えながら、技術の研鑽を積み重ねる地域の中小製造業者の姿や、側面からモノづくりを支援する行政の対策などを支局記者が取材した。そこから見えてくるのはどのような苦難にも立ち向かう挑戦者としての姿だ。その姿は日本のモノづくり全体を映す鏡のような存在でもある。2008年に起きた米国発の金融恐慌は瞬く間に世界を飲み込み、わが国の経済も大きな打撃を受けた。城南の製造業も大打撃を受けたが、地域の製造業は何とかその影響から抜け出そうと懸命な努力を続けている。ある企業は新製品、新技術開発に注力し、またある企業は徹底したコストダウンや営業強化に力を入れる。こうした努力する挑戦者がいる限り、日本の製造業はまだまだ捨てたものではない。

日刊工業新聞社は「モノづくり」「中小企業」「科学技術」を標榜する国内唯一の産業全国紙だが、1959年に城南地域の中心地「蒲田」に取材拠点として城南支局(現南東京支局)を構えた。以来50年間にわたって地域のモノづくりを取材しつづけてきた。本書はこれまでの取材経験も生かしながらまとめたものだが、本書が地域で頑張る製造業関係者の支援につながれば幸いと考えている。

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