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図解 よくわかる植物工場

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06410-4
コード C3034
発行月 2010年02月
ジャンル 環境 ビジネス

内容

食に関する問題意識の高まりを背景に、光、温湿度、栄養を人工的に制御することによって季節や天候に左右されることなく屋内で農作物を無農薬で安定して生産する「植物工場」への企業の参入が活発化している。植物工場の技術とビジネスとしてのポテンシャルをわかりやすく解説する。

高辻正基  著者プロフィール

(たかつじ まさもと)

1962年、東京大学工学部応用物理学科卒業。

同年、日立製作所に入社し、中央研究所主任研究員、基礎研究所研究主幹を歴任。

1974年から植物工場の研究を始める。

1991年から2007年まで東海大学開発工学部教授。

現在、(財)社会開発研究センター 植物工場・農商工専門委員会委員長、日本生物環境工学会理事長。

主な著書:

「地球と人類は持続するか」(裳華房)

「植物工場の基礎と実際」(裳華房)

「文理シナジーの発想」(丸善)

「知の総合化への思考法」(東海大学出版会)

「完全制御型植物工場」(オーム社)

目次

目 次



はじめに



第1章 植物工場開発の歴史

日本農業の抱える問題

植物工場とは

ヨーロッパでの植物工場の始まり

アメリカでの植物工場の始まり

日本での研究開発の始まり

日本での実用化研究の始まり

日本初の実用化植物工場

植物工場の追い風となった技術革新と環境変化

食の安全・安心への関心の高まり

コラム■なぜ植物工場の研究を始めたか



第2章 野菜栽培と植物工場の基礎知識

水耕栽培の原理

水耕栽培の方式

水耕栽培の問題点

培養液の調節

植物工場の構成

太陽光利用型植物工場

完全制御型植物工場

植物はどう育つか

植物成長と光の関係

光形態形成

光合成と環境条件の関係

植物と人間の光の感じ方の違い

光強度の単位

光強度の換算係数

要求される光量子束

照明設計の方法

必要な蛍光灯の数と電力

植物工場で必要な空調

植物工場での栽培の実際

移動栽培と密植栽培

どんな野菜が工場でできるのか

工場野菜のニューフェイス



第3章 植物工場技術の進展

いろいろな栽培光源

LEDの長所と短所

LEDによる栽培実験

パルス照射による生育促進

各種光源のコスト比較

高圧ナトリウムランプ利用植物工場

蛍光灯植物工場の元祖

大型の蛍光灯植物工場

蛍光灯利用の店舗型植物工場

HFFLとコンテナ式植物工場

LED植物工場

有機栽培による植物工場

植物工場の作業内容

生産コストの分析

海外の植物工場の動向

植物工場の技術課題

コラム■植物工場システム展と日本植物工場学会



第4章 植物工場ビジネスのポテンシャル

農商工連携研究会植物工場WGが発足1

国による支援策が具体化

制度上の課題は何か

工場野菜の栄養価は高い

野菜の抗酸化力や免疫力でも差別化できる

野菜の流通の問題点

工場野菜はいくらで売られているか

工場野菜に対する消費者の声

マーケティングの必要性

工場野菜の位置付けを明確化しよう

中食・外食への対応

飲食店への適用広がる

植物工場の市場規模はどれくらい広がるか

2015年が普及のターニングポイント

コラム■植物工場・農商工専門委員会



第5章 植物工場が拓く未来の農業

太陽電池利用への期待

花生産への応用

コメ生産の可能性

都市型農業への展開

未来の植物工場「垂直農場」

植物工場の思想



索 引

はじめに

は じ め に



「太陽と土のない農業などあるのだろうか」という問いに「ある」と答えるのが「植物工場」です。

農業はこれまで悪天候と耕地の不足に悩まされてきました。光や温度などの環境条件を人為的にコントロールすることによって、いつでもどこでも無農薬で作物を生産できるのが植物工場の特徴です。

土地の狭いわが国で植物工場が将来、重要になると考えて、著者が日立製作所中央研究所で研究を始めたのが1974年でした。日本では初めての試みでしたが、世界でも初めて工場生産の基礎となるデータを取ることによって、植物工場の基礎付けをすることができました。

いま植物工場が第三次のブームを迎えようとしています。2009年に植物工場に対する国の支援が決まったことがきっかけになりました。経済産業省と農林水産省は共同で同年1月に、「農商工連携研究会植物工場ワーキンググループ」を立ち上げ、4月に報告書を発表しました。間もなく植物工場に対して百数十億円にのぼる補正予算がつきました。これによって今後、植物工場が大いに発展していくことが期待されます。

植物工場でできた野菜は、無農薬、洗わないで食べられる、日持ちがよい、ロスが少ない、美味しい、栄養価が高いなどの利点をもっています。しかし一方、人工的に栽培する結果、一般の野菜よりかなり割高になります。この問題をクリアしないと大きな普及を期待できません。コスト低減については、企業や大学などが研究開発に励むことによって、いずれある程度は達成されると思われます。しかし、現在の問題は、工場野菜の良さを消費者、流通業者、外食産業者がよく理解していないところにあります。工場野菜と一般野菜の区別がよく知られていないので、あまり売れていないのです。

そこで本書では、多くの方に植物工場のことを知っていただくために、植物工場の歴史的な面(農)、仕組みと現状の面(工)のみならず、ビジネスの面(商)についてもかなりの頁を取りました。つまり、「農商工連携」が植物工場にとって本質的であることを強調したかったのです。これが類書と少し違う点です。なお、植物工場といってもここでは、完全無農薬で栽培できることと、いかなる空きスペースにも設置できるという利点を重視して、完全人工光型のシステムを中心に述べてあります。

本書は専門の研究者や技術者のみならず、ぜひ一般の読者、特に消費の主体である主婦の方にも読んでいただきたいと思っています。そのため、できるだけわかりやすく説明しました。しかし、照明関係などわかりにくい部分もあるかもしれません。必要のない方は、その部分を飛ばして読んでいただいても一向に差し支えありません。植物工場に関心のある多くの方々のご参考に供せれば幸いです。



2010年2月 高辻 正基

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