内容
爆発的な普及期を迎えたLED照明、および今後に期待されている有機EL照明。本書では、それぞれの半導体素子としての特徴を踏まえ、従来光源との違いを明示した上で、その考え方から基礎・応用技術に至るまで、電気的および回路的な観点から解説する。
山崎 浩 著者プロフィール
(やまざき ひろし)
1947年 東京都に生まれる
1969年 電気通信大学電気通信学部卒業(通信材料工学専攻)
同年 東京三洋電機(株)(現 三洋電機(株))半導体事業部入社。
その後、サンケン電気(株)開発本部、富士エレクトロニックコンポーネンツ(株)応用開発室を経て、1987年に独立し、技術コンサルタントとして活躍中。
技術士(電気電子部門)、中小企業診断士
・著書 「パワーMOSFETの応用技術」日刊工業新聞社(1988)
「パワーMOSFETの応用演習Q&A」日刊工業新聞社(1993)
「回路設計心得ノート」日刊工業新聞社(1993)
「電子技術者トレーニング読本」日刊工業新聞社(1998)
「キットで学ぶやさしい電子工作」日刊工業新聞社(2002)
「よくわかるパワーMOSFET/IGBT入門」日刊工業新聞社(2002)
「省エネ照明用インバータ入門」日刊工業新聞社(2004)
「アナログ回路再入門」日刊工業新聞社(2006)
「入門電子回路の安全設計ノート」日刊工業新聞社(共著,2008)
・訳書 「パワーFET・基礎から回路設計へ」丸善(1987)
「デジタル回路設計技法」マグロウヒル(1993)
目次
目次
前書き
第1章 LED照明
1.1 LEDとは
1.2 LEDの電気的特性
1.3 光学的特性
1.4 放熱設計
1.5 駆動回路設計
1.6 現状と課題
第2章 有機EL照明
2.1 有機ELとは
2.2 有機ELの特性
2.3 製造技術
2.4 高性能化を目指す
第3章 照明設計のポイント[従来光源をベースとして]
3.1 長寿命化と省エネ
3.2 軽薄短小化
3.3 高機能化
3.4 安全性設計
3.5 ノイズ対策
3.6 インバータに用いる電子部品の知識
索 引
はじめに
最近まで毎月1億個も国内生産されてきた白熱灯の寿命が尽きかけています。1997年に開催された国連の気候枠組み条約加盟国による第3回国際会議以降、効率の高い光源への置き換えが進みました。かつて時流を鑑み、2004年7月の拙著「省エネ照明用インバータ電源入門」(日刊工業新聞社)において各種光源の電子化を解説しましたが、ここには有機ELの記述はなく、成長著しいLEDでさえ10ページを占めるに過ぎませんでした。このように、照明は急激に変化しているのです。
完全に固体化された光源として以前から、大面積の無機ELと点光源のLEDが存在しましたが、1990年代初頭まではLEDが照明用光源になることを予想した人は皆無でした。表示用ランプとしてスタートしたLEDは、交通信号機や車載ハイマウント・ストップランプなど実績を積み重ねてきました。蛍光材料と組み合わせた白色LEDの出現以来、一般照明分野にも広がり、近年の著しい特性改善によって蛍光灯と肩を並べつつあります。
有機ELは近年の技術革新により、ようやく製品化にたどり着いた段階です。製品ライフサイクルから衰退期の白熱灯、成熟期の蛍光灯、成長期のLEDに対し有機ELは導入期です。行政が次世代の新技術として研究開発を強力にバックアップする有機ELは、LEDと共に新たな照明を担う光源です。
しかしながら、LEDおよび有機ELが半導体素子であることは十分には理解されていないようです。一般に半導体素子は消耗箇所がないので寿命が極めて長い特徴があります。しかし、定格をオーバーすると簡単に壊れてしまいます。従来光源が瞬時には壊れないことと大きく異なります。微小光源のLEDだけでなく、表面積の大きい有機ELでも蛍光灯ほどに発熱します。放熱の重要性を照明器具設計者は認識する必要があります。同時に素子技術者は照明器具設計者の従来からの常識を踏まえ、理解しやすいデータシートを整えるべきです。
本書は第1章で半導体素子LEDの照明用光源としての位置付けを確認し、電気的特性および光学的特性をデータシートから読み解きます。照明器具の使用状態を踏まえ、放熱設計を若干の演習を加えて説明します。LEDに適した駆動方式を詳細に説明し、アクティブ高調波フィルタを具えた定電流電源など実際の回路例を紹介します。
第2章で有機ELを競合する蛍光灯やLEDと比較します。素子開発の華々しさに、応用技術は追いつかず、駆動方式や放熱の必要性すら曖昧な状況です。有機EL素子の将来性は製造設備の精度および使用する材料の純度に左右されます。シリコン半導体およびLEDと多くの点で共通する有機ELの製造技術を簡単に述べます。
第3章で従来光源の熱陰極形蛍光灯を中心に、これまでの省エネ、高性能化の取り組みを説明します。蛍光灯点灯装置は1990年代のバブル期を経て急速にエレクトロニクス化され、50kHz程度の高周波で点灯するインバータへの置き換えが本格化しました。従来光源の現状および電解コンデンサの消耗が原因で寿命が短いなどインバータの弱点を理解し、次世代を担う照明用光源のLEDおよび有機ELが市場に、しっかり根を張るためのヒントとして活用していただければ幸いです。
資料および図面の引用に関し、照明学会他、諸団体、照明関連メーカー各社に御賛同していただきました。また、有機ELに関し経験の乏しい筆者に対し、東北デバイス社マーケティング担当主管山根英巳氏には多くを御教示いただきました。前著「省エネ照明用インバータ電源入門」に引き続き、書籍編集部鈴木徹氏の御尽力により本書は仕上がりました。皆様に心から感謝しております。
2010年2月
山崎 浩










