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図面って、どない描くねん! Plus+
現場情報を図面に盛り込むテクニック

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 236頁
ISBNコード 978-4-526-06382-4
コード C3053
発行月 2010年01月
ジャンル 機械

内容

「図面って、どない描くねん!」シリーズ最新刊。従来描いていた図面に、「何をプラスすればベテランのような図面を描くことができるか」をやさしく、わかりやすく解説している。本書を読んで図面を描けば、現場の作業者を唸らせることができる。

山田 学  著者プロフィール

S38年生まれ、兵庫県出身。(株)ラブノ−ツ 代表取締役。
カヤバ工業(株)(現、KYB(株))自動車技術研究所にて電動パワーステアリングとその応用製品(電動後輪操舵E-HICAS など)の研究開発に従事。
グローリー工業(株)(現、グローリー(株))設計部にて銀行向け紙幣処理機の設計や、設計の立場で海外展開製品における品質保証活動に従事。
兵庫県技能検定委員として技能検定(機械・プラント製図)の検定試験運営、受験指導、採点などに関わる。
平成18年4月 技術者教育を専門とする六自由度技術士事務所として独立。
平成19年1月 技術者教育を支援するため(株)ラブノーツを設立。(http://www.labnotes.jp)
著書として、『図面って、どない描くねん!』、『設計の英語って、どない使うねん!』、『めっちゃ使える! 機械便利帳』、共著として『CADってどない使うねん!』(山田学・一色桂 著)、『技術士第一次試験「機械部門」専門科目 過去問題 解答と解説(第2版)』、『技術士第二次試験「機械部門」完全対策&キーワード100』(Net-P.E.Jp編著)などがある。

目次

目次



ルールブックにない現場情報を図面に盛り込む



第1章 設計形状と設計意図を表す寸法記入の関係
1-1 設計意図を表すテクニックの基本
1-2 寸法だけで設計意図を表すことができるのか?

第2章 製図の手順を知り、設計の都合を図面に盛り込む
2-1 企業利益にも影響を及ぼす部品名称と材質の選定
2-2 設計要素を図面に盛り込む

第3章 加工から図面に何を反映させるべきかを知る
3-1 加工の基本〜切削加工とは
3-2 「反りなきこと」と指示していませんか?
3-3 旋盤加工における幾何特性の崩れ要因
3-4 フライス盤加工における幾何特性の崩れ要因

第4章 図面と計測の関係から基準面の重要性を知る
4-1 代表的な計測機器と値の読み方
4-2 寸法計測の不確かさを理解する
4-3 設計上の基準面をデータムで表す

第5章 加工と計測の都合を図面に盛り込む(1)
5-1 図面と加工・計測の関係
5-2 加工の工程を知る(ベース組品編)

第6章 加工と計測の都合を図面に盛り込む(2)
6-1 加工の工程を知る(組み合わせ部品編)

第7章 まとめ
7-1 第1章の図面をレベルアップ
7-2 図面レベルアップ小ネタ集

ガイドラインをベースに図面を発展させる

はじめに

ルールブックにない現場情報を図面に盛り込む!

機械図面を描く場合、ISO(国際標準化機構)に準じて改正されたJIS製図に従う必要があります。しかし、実務設計に合致した全てのパターンをJISハンドブックや製図の教科書が網羅しているわけではありません。

そう、図面を描いていると「例題のないパターン」という壁に必ず突き当たります。

また、製図のセミナーを開催すると、次のような質問を受けることがあります。

「この表現はJISとして正しいですか? ゞ( ̄∇ ̄;)」

「上司から、こう描けと言われたんですが、JIS製図ですか? *゜ヘ゜*)」

JIS製図を勉強すればするほど、作法にない表現は図面として誤りであるという一種の強迫観念に似た不安に駆り立てられます。

国や会社によって製図の作法が発散してしまうと、ローカルルールが蔓延し、図面として何を表しているのか理解しづらくなります。そうなると、描き手の意思が正確に読み手に伝わりません。

ISOやJISの定める製図の作法は、あくまでもそれを防止するためのガイドラインなのです。

「くっそ〜、どこにも載ってへんやん!(≧□≦)」

製図の参考書を片っ端からめくりますが、描きたいパターンが見つからないため、図面を完成できません。一度気になって手が止まると、作図が前へ進みません。

細かい表現で悩んでしまい、A4やA3サイズの図面を完成させるのに丸一日かけてしまうなど、自分の描いた図面に納得できないまま出図を経験した設計者も多いと思います。

製図の基本は、読み手が理解しやすいように描いてあげることです。できる限りJIS製図を守るべきですが、「こう表現した方が、よりわかりやすい」と思えば、そのように図面を描くことも"アリ"なのです。

作法を重んじるあまりに、萎縮してしまっては本末転倒です。

皆さんの描く図面と、その昔ベテラン設計者が描いた図面を比較すると、ベテラン設計者の図面には加工や計測を意識して描いたものが多いと思います。加工や計測を意識した図面を描くと、現場の作業者を「ほ〜!」とうならせることができ、一目置かれる設計者になります。

従来描いていた図面に何を『+(プラス)』すれば、ベテランのような図面を描くことができるのでしょう。

設計意図を表す情報に加えて、図面の解釈に一義性をもたせるとともに、加工にとって都合のよい情報と計測にとって都合のよい情報を+(プラス)するだけで、ベテラン設計者並みの図面を描くことができ、現場の作業者をうならせることができるのです。

本来、設計意図を表すために加工や計測の基準を明確にし、その基準を拘束する順序までを厳密に表すために幾何公差が必要です。しかし、図面を描く設計者が幾何公差を十分に理解せず、見よう見まねで記号を指示すると、設計意図と異なる解釈となる場合があります。また、図面を見る立場の他部門の技術者も幾何公差を理解していなければ、何をどうすればよいのかさえわかりません。

もし幾何公差を十分に理解していなければ、無理して幾何公差を使うのではなく、幾何特性が崩れることを理解してどの程度まで許せるのかを文字を使って表現してもよいのです。例えば、次のように注記として補足します。

「※印寸法公差は、a部の距離(10mm)に適用する」

「この面を定盤に当て、定盤から※印寸法を計測すること」

「※印寸法の反りは、全長に対して1mm以下のこと」

「面A、面Bの順にゲージに押し当て、※印寸法の穴の中心軸を面Aのゲージ面と面Bのゲージ面を基準として計測のこと」

加工や計測の基準に加えて、カタチの規制を言葉で表現することまでできれば、後はそれを記号化するだけで幾何公差図面の完成なのです。

拙著「図面って、どない描くねん!」シリーズの書籍の位置づけを右表に示します。レベル0(図解力・製図力おちゃのこさいさい)、レベル1(図面って、どない描くねん!)、レベル2(図面って、どない描くねん!LEVEL2)は、JIS製図の作法に加えて設計実務に必要な情報を盛り込み、あくまでも世界標準であるJIS製図に則り正確に図面を描くことを目的にした書籍です。

本書では、JISのルールブックには指示されていない加工や計測に配慮した現場独自の情報を図面に盛り込み、ベテラン設計者のような図面を描くテクニックを提供したいと思います。

つまり、ルールブックが全てではなく、ルールにないものを自分で考え図面に盛り込むことが必要であることを知って欲しいのです。

最適な寸法公差や幾何公差は、どの部位を対象にどのくらいの精度で指示されるべきでしょうか?

これは設計者の永遠の課題であり、設計者の置かれた立場や業界、設計思想次第でどうにでも変化し、一概に言い切ることができません。

寸法公差の視点では、寸法精度の必要なはめあい設計の場合は必ずμm(マイクロメータ)オーダーの公差を記入します。特に圧入の場合は伝達トルクの保証と圧入応力による材料の破損が背反する関係となるため、計算によって寸法公差の根拠を明確に示すことができます。また、複数のねじ穴と取り付け穴の距離ばらつきを保証する場合も、位置や穴の大きさのばらつきを考慮して0.1mmオーダーの寸法公差を追加することもあります。

さらに、とりあえず普通許容差ほどばらついてもらっては困るという寸法に対して、加工者の注意を促すために公差を指示するテクニックもあります。

このように寸法公差は論理的な裏づけがあるものと、設計者の経験や勘によってあいまいに決定されるものに分かれます。

同様に幾何公差(=幾何特性の崩れ)も設計者の経験や勘から公差を記入することが多いのですが、寸法公差ほど幾何特性の崩れについて注意を払える設計者が少なくなってきています。これは日本の製造業を支えてきた職人と呼ばれる現場の加工者の腕によって幾何特性の崩れのない部品が提供されてきたため、幾何特性の崩れに注意を払う必要がなかったからです。

「カタチが崩れるって言い出したら、どこもかしこも崩れるやん!」(ノー"ー)ノ ┫ ゜・∵。と叫びたくなりますよね。

その答えは、加工によって幾何特性が崩れやすい条件と崩れにくい条件をまず知ることです。そして崩れが発生しそうだなと思う部位と、その崩れがどの幾何特性につながるのか判断して表現できる能力を養う必要があるのです。

本書では、設計者としてどのように寸法記入を考えるかを、簡単なおもちゃの構造部品を例にして組み合わせ部品の設計思考過程を紹介します。この設計事例は、設計思想や業界の違い、個人的な経験や知識などによって、必ずしも全ての技術者が納得してもらえるものとは思っていません。したがって、本書で紹介する内容は、ある設計者の考え方の一例であることを理解していただき、皆さんの実務に応用していただきたいと願っています。

読者の皆様からのご意見や問題点のフィードバックなど、ホームページを通して紹介し、情報の共有化やサポートができ、少しでもよいものにしたいと念じております。

「Lab notes by六自由度」
書籍サポートページ
http://www.labnotes.jp/

最後に本書の執筆にあたり、部品加工や加工情報にご協力いただいた(有)テクノビレッジの敷知龍一様、八木製作所の八木武様、お世話いただいた日刊工業新聞社出版局の方々にお礼を申し上げます。

2010年1月
山田 学

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