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図解 次世代農業ビジネス
―逆境をチャンスに変える新たな農業モデル―

定価(税込)  1,944円

編著
編著
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06373-2
コード C3034
発行月 2009年12月
ジャンル ビジネス

内容

就農者の高齢化、低収益性、飼料の価格高騰など日本の農業は苦境に立たされているが、これをチャンスと捉え農業ビジネスに参入する企業増えている。本書は農業の成り立ちから、近年の植物工場や高付加価値作物など新たなビジネスモデルを紹介。農業ビジネスの仕組みとキーテーマがわかる。

井熊均  著者プロフィール

1958年生まれ、東京都出身。早稲田大学大学院理工学研究科修了。1983年、三菱重工業株式会社入社、89年同社退社。90年株式会社日本総合研究所入社。現在、同社執行役員、創発戦略センター所長。95年アイエスブイ・ジャパン設立と同時に同社取締役に就任(兼務)。2003年イーキュービック株式会社設立と同時に同社取締役に就任(兼務)。早稲田大学大学院非常勤講師。『甦る農業?セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)、『だから日本の新エネルギーはうまくいかない!』(日刊工業新聞社)、『ポスト京都時代のエネルギーシステム?分散型電源と再生可能エネルギー』(北堂書店)をはじめ多数。

三輪泰史  著者プロフィール

1979年生まれ、広島県出身。2002年、東京大学農学部国際開発農学専修卒業。2004年、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。同年株式会社日本総合研究所入社。現在、創発戦略センター副主任研究員、農業クラスターマネージャー。バイオマスエネルギーに関する新会社「合同会社バイオガス・ネット・ジャパン」の立上げに参画。次世代農業コンソーシアム統括責任者。主な著書・論文に『甦る農業?セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)、『よくわかる最新バイオ燃料の基本と仕組み」(秀和システム、共著)、「農業再生なくして地域再生なし」(Business&Economic Review)ほか。

目次

目次



はじめに



第1章 今、なぜ農業か

1.1 世界的な食料需給圧迫

食料需要の急増/食料増産の限界/食料輸出禁止措置の拡大/過去最高の食料価格高騰とそのメカニズム

1.2 過去最高の食料価格高騰(2008年)

食料価格高騰のメカニズム/食料価格の今後の見通しと対策について

1.3 食品の安全・安心問題

国内で続く食品不安/安心安全のための法的枠組みの整備/「生産段階」 の透明性と消費者の評価

1.4 基盤の弱体化が進む日本農業

高度経済成長後の量的弱体化/「質」でも深化する農業基盤の弱体化/質と量の克服?品質と安全性を強みにする農家

1.5 地域再生の鍵となる農業

地域における農業の重要性/農業再生から地域再生へ/農業活性化による雇用拡大

1.6 持続可能な都市に向けた農村の役割

持続性が危ぶまれる地方の都市/コンパクトシティという考え方/コンパクトシティの課題/コンパクトシティでの農村の機能と役割

1.7 農業と地球環境問題

農業が引き起こす地球環境問題/地球環境問題による農業生産の限界

COLUMN 1 民主党農業政策は農業ビジネスの追い風となるか



第2章 農業の市場構造

2.1国内外の農業市場規模

国内の食品関連産業規模の趨勢/拡大する国外の食品関連産業規模/国内の農業市場の行方

2.2 国内の主要産地

主要産地の形成/安定供給のための新しい産地/産地ブランドや企業独自の産地

2.3 農産物輸入の現状

現状の食料自給率/野菜の国内自給率/輸入野菜の影響力

2.4 農産物の流通構造

卸売市場の成立と衰退/加速する卸売市場離れ/卸売市場の集荷と取引の変化

2.5 日本の農業政策の変遷

戦後農政の光と影/近代化を目指す農業政策/自立した農業経営の育成に向けて/新政権に期待される農政

COLUMN 2 個人事業として農業ビジネスを始めるには



第3章 付加価値向上を重視した流通販売戦略

3.1 農産物に求められる付加価値

消費者ニーズはカロリー摂取から満足感へ/セミプレミアム農産物という新しいカテゴリー/セミプレミアム農産物を形作る二つの価値

3.2 躍進する農産物ダイレクト流通

従来型農産物流通の課題/新たな流通形態=「農産物ダイレクト流通」/ダイレクト流通が引き起こす生産者の変革

3.3 農産物直売所の隆盛

活況を呈する農産物直売所/域内流通の新たな核としての直売所/観光資源としての直売所

3.4 カタログ販売とインターネット販売

選ぶ楽しさを提供するカタログ販売/新たな宅配ビジネス:インターネット販売/ダイレクト流通を牽引する成功例

3.5 地域ブランドによる販促

地域が農産物の差別性に/歴史とこだわりがブランドを醸成する「伝統野菜」 /環境調和型農業を支援するエコ農産物

3.6 苦戦するPBと有機農産物

低価格志向に飲み込まれた農産物PB/一般消費者への訴求力に欠ける有機農産物

3.7 環境価値のブランド化??温室効果ガス削減-

農作物の新しい価値/カーボンフットプリントの効用/カーボンフットプリントの算定/消費者の意識も大切

3.8 環境価値のブランド化??生物多様性への配慮?

生物多様性との関係が深い農業/海外で見直される生物多様性の価値/日本での生物多様性と農業への取り組み/生物多様性と付加価値農産物

COLUMN 3 体験農業を都市近郊農村の新たなビジネスに



第4章 先進企業の活躍

4.1 企業農業が切り開く新たな可能性

農業事業への進出意義/農業周辺に存在するビジネスチャンス/プロ農家の「サポーター」というポジショニング

4.2 相次ぐ企業の農業参入

食品関連企業の農業生産への挑戦/地元スーパーや中卸業者の参入/農外企業による強みを活かした新規事業参入/「農業ブーム」での安易な便乗に警鐘

4.3 農業参入を促す規制緩和

農地関連法案の改正による規制緩和の実現/用途に合わせた参入形態の選択

4.4 農業参入の成否の分かれ目

相次ぐ農業参入の失敗/農業特有のコスト構造への留意

4.5 農業の垂直展開による付加価値創出

水平的展開から垂直的展開の時代へ/企業の垂直的展開での障壁と対応/一社チャネルキャプテンの時代

4.6 食品リサイクルの推進による企業価値の向上

社会の変化が求める食品リサイクル/リサイクル・ループによる食品・サービスのブランド化/食品リサイクル率向上の担い手

4.7 既存事業との相乗効果の発揮

農業を既存事業のスパイスに/菓子メーカーの農業参入/効果的なバイオマスの利活用

COLUMN 4 地方部における農業ビジネスの産み出し方



第5章 農業の先端技術

5.1 食品リサイクル技術の発展

適用範囲が広がる食品リサイクル法/高いハードルが課される/広がりを見せる食品リサイクル技術/地域農業との連携が必須

5.2 自給資源としてのバイオマスエネルギー

資源高騰により高まるリスク/海外依存度が高い日本の農業/高まるバイオマスの位置づけ/バイオエネルギーの地産地消

5.3 地域循環としてのバイオガス

バイオエネルギーが農業基盤となる条件/注目を集めるバイオガス/農家が地域のエネルギー供給拠点に

5.4 高品質化が進むバイオマス素材

バイオマスの新たな用途?プラスチック・包装材?/大手企業も注目するバイオ素材/出口側の確保が普及の鍵

5.5 無農薬栽培を行う植物工場

安心・安全を生み出す次世代型農業施設/植物工場栽培ならではの先進的成功事例/拡大する植物工場事業/海外に向けたビジネスチャンス

5.6 安全・安心の管理機能

消費者が求める安全・安心/生物農薬と化学農薬/病害虫の物理的防除/消費者に理解される安全・安心

5.7 遺伝子組み換え作物の可能性

遺伝子組み換え作物とは/遺伝子組み換え作物の光と影/遺伝子組み換え作物実用化への留意点

5.8 自然の力を活用した高付加価値農法

自然の力で脱農薬・化学肥料を図る/あいがも農法、ふゆみずたんぼ農法/先進的農法の一つ、カブトエビ農法/自然の力を活用した農法の可能性

COLUMN 5 農産物の真の価値を表現するブランド構築

?次世代農業コンソーシアムの取り組み紹介?



第6章 農業ビジネス参入の戦略

6.1 プロ農家との連携による農業ビジネスの展開

企業参入よりプロ農家との連携/法人設立による自社農業生産/大規模農場との1対1の契約取引/地域内の複数プロ農家との連携構築/企業に合ったサプライチェーン作り

6.2 農業ベンチャーの成長戦略

農業にこそベンチャー企業の参入が必要/農業ベンチャーに求められること /人材育成をシステム化した企業の取り組み



6.3 値崩れしない販売チャネル構築

農産物に押し寄せる低価格化の波/価格競争から費用対効果競争へ/恒常的な付加価値向上

6.4 農業の6次産業化

6次産業化とは/他産業との連携の効果/6次産業化の成功例

6.5 高付加価値農産物の海外への戦略展開

日本企業の活路は海外へ/現地のニーズに日本企業の強みを合せる/日本独自の食文化・商品を現地化する

はじめに

はじめに



ここのところの農業ブームは2009年末を迎えても減退する様子は見えない。むしろ、雇用、新産業、環境、安心・安全、フードセキュリティ等の点から関心は定着しつつあるように見える。農業が我々の生活や経済に深く入り込んでいることの証と言える。日本あるいは世界が抱える種々の問題を解決するために、農業への取り組みが重要な鍵になることに異を唱える人は少なかろう。昨今、産業革命以来の化石燃料の使用による地球温暖化問題に関する議論が盛んだが、同時に、時代はこれまで一元的に労働力を供給し、化石燃料化した農業の位置づけを問い直している。それだけに、政策を語るにおいてもビジネスを考えるにおいても、農業には様々な可能性がある。

一方で、関係する分野が多岐にわたるだけに、一言に農業と言っても捉えどころのない面がある。先般、我々は農業のブランド価値や流通を取り上げた書籍を刊行した。日本の農業が陥った状況の側面を切り出した上で、画一性から脱し新しい農業を立ち上げる可能性を問うたつもりであるが、それとて農業のごく一部でしかない。これからの農業のあり方を捉える、あるいは農業を新しいビジネスチャンスとして捉えようとする場合には、農業に関わる諸問題をできるだけ包括的にイメージすることが重要である。

本書はこうした観点から農業を考える上で重要と考えられる問題を分かりやすく示した書である。農産物需給、農業政策、環境問題、流通問題、技術、ビジネス形態、など出来るだけ広い範囲で概説した。中には筆者らの主張や主観も含まれるが、本書が農業に関心を持つ方々の理解に役立てれば、著者として喜びこの上ない。

本書の刊行に当たっては日刊工業新聞社の奥村功氏、三沢薫氏に企画段階からご支援を頂いた。この場を借りて厚く御礼申し上げたい。

本書の執筆に当たっては、株式会社日本総合研究所創発戦略センターの三輪泰史君、赤石和幸君、田嶋亨基君、松井英章君、荒井直樹君、永嶋英明君、青山貴紘君、古賀啓一君に尽力頂いた。多忙を極める中、執筆に努力して頂いたことに感謝したい。

最後に、日ごろより筆者らの業務にご支援、ご指導を頂いている株式会社日本総合研究所に心より感謝申し上げたい。



2009年晩秋

編著者 井熊 均













<著者>

田嶋 亨基(たじま こうき)

1980年生まれ、広島県出身。2004年、東京大学農学部農業資源経済学専修卒業。2006年、東京大学大学院農学生命科学研究科農政学専攻修了。同年農林水産省入省。2008年同省退省。同年株式会社日本総合研究所入社。現在、創発戦略センター研究員、農業クラスター所属。主な著書・論文に『甦る農業?セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか。



赤石 和幸(あかいし かずゆき)

1976年生まれ、北海道出身。2001年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科修了、2001年4月 株式会社日本総合研究所 入社。現在、創発戦略センター副主任研究員、農業クラスター所属。バイオネットコンソーシアム責任者。バイオマスエネルギーに関する新会社「合同会社バイオガス・ネット・ジャパン」の立上げ。主な著書・論文に『よくわかる最新バイオ燃料の基本と仕組み」(秀和システム、共著)『京都議定書で加速されるエネルギービジネス』ほか。



青山 貴紘(あおやま たかひろ)

1982年生まれ、兵庫県出身。2005年、東京大学農学部国際開発農学専修卒業。2007年、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。同年株式会社日本総合研究所入社。現在、創発戦略センター研究員、農業クラスター所属。主な著書・論文に『甦る農業?セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房、共著)、『よくわかる最新バイオ燃料の基本と仕組み」(秀和システム、共著)、「OsYSL18 is a rice iron(III)-deoxymugineic acid transporter specifically expressed in reproductive organs and phloem of lamina joints」(Plant molecular Biology)ほか。



古賀 啓一(こが けいいち)

1982年生まれ、兵庫県出身。2005年、京都大学総合人間学部自然環境学科卒業。2007年、京都大学大学院人間・環境学研究科相関環境学専攻修了。同年株式会社日本総合研究所入社。現在、創発戦略センター研究員、農業クラスター所属。主な著書・論文に『地球温暖化で伸びるビジネス』(東洋経済新報社)、「生物の経済価値 生態学的な赤字を減らす」(環境会議)ほか。



永嶋 英明(ながしま ひであき)

1980年生まれ、東京都出身。2005年、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻修了。同年株式会社日本総合研究所入社。現在、創発戦略センター研究員、農業クラスター所属。バイオマスエネルギーに関する新会社「合同会社バイオガス・ネット・ジャパン」の立上げに参画。主な著書・論文に『これで分かるCSR』(週刊住宅新聞社、共著)、『よくわかる最新バイオ燃料の基本と仕組み』(秀和システム、共著)ほか。



副島 功寛(そえじま かつひろ)

1974年生まれ、千葉県出身。1998年、早稲田大学商学部卒業。同年株式会社千葉銀行入行2005年、株式会社日本総合研究所入社。2007年、早稲田大学大学院公共経営研究科修士課程修了(公共経営修士)。現在、創発戦略センター主任研究員、グローバルインフラクラスター所属。主な著書・論文『グリーン・ニューディールで始まるインフラ大転換』(日刊工業新聞社)、『自治体再生』(学陽書房)、『図解 よくわかる公共マーケットビジネス』(日刊工業新聞社)。



松井 英章(まつい ひであき)

1971年生まれ、千葉県出身。1996年、早稲田大学大学院理工学研究科物理学及応用物理学専攻修士課程修了。その後、(株)日本電信電話、(株)野村総合研究所、(株)トーマツ環境品質研究所を経て、現在、創発戦略センター主任研究員、エネルギービジネスクラスター所属。主な著書・論文に『地球温暖化で伸びるビジネス』(東洋経済新報社、共著)、『よくわかる最新バイオ燃料の基本と仕組み」(秀和システム、共著)、「分散型整備風力発電の普及を」(Business&Economic Review)ほか。



荒井 直樹(あらい なおき)

1980年生まれ、三重県出身。2005年、京都大学大学院工学研究科修士課程修了(工学修士)。同年株式会社日本総合研究所入社。現在、創発戦略センター副主任研究員、アジア戦略クラスター所属。主な著書・論文に『グリーン・ニューディールで始まるインフラ大転換』(日刊工業新聞社)、『だから日本の新エネルギーはうまくいかない!』(日刊工業新聞社)、『図解でわかる 京都議定書で加速されるエネルギービジネス』(日刊工業新聞社)ほか。

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