買い物かごへ

絵とき「伝熱学」基礎のきそ

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-06360-2
コード C3053
発行月 2009年10月
ジャンル 機械

内容

工業機械においては伝熱を考慮して設計する場合が多く、加熱あるいは放熱を見積もることがある。熱は時間の経過とともに変化する現象が多く、数学的に複雑になり、微分方程式として記述されることがほとんどである。このために伝熱学を学ぶためには微分方程式の知識が必要になるが、本書においてはできるだけ難解な数式を避け、絵ときで把握できるように工夫している。

久保田浪之介  著者プロフィール

1973年 プリンストン大学大学院博士課程修了(航空宇宙学 Ph.D)

1995年 防衛庁技術研究本部 第3研究所(現 航空装備研究所)所長

1997年 三菱電機株式会社 顧問

2005年 旭化成ケミカルズ株式会社 顧問

2009年 独立行政法人 産業技術総合研究所 研究顧問

主な著書

「ロケット燃焼工学」(日刊工業新聞社、1995年)

「研究者のための国際学会プレゼンテーション」(共立出版、1999年)

「超音速の流れ学」(山海堂、2003年)

「トコトンやさしいミサイルの本」(日刊工業新聞社、2004年)

Kubota, N., 「Propellants and Explosives, Second Edition」 Wiley―VCH, Weinheim, 2006年)

「エンジニアのための微分方程式入門」(日刊工業新聞社、2006年)

「絵とき流体力学基礎のきそ」(日刊工業新聞社、2008年)

「絵とき機械力学基礎のきそ」(日刊工業新聞社、2009年)



主な受賞

日本燃焼学会功労賞(2003年)

火薬学会学術賞(2005年)

目次

目次



まえがき



第1章 熱の移動

1 熱の本質

(1)熱の移動

(2)熱エネルギーとは

コラム A

2 温度の本質

(1)熱量と比熱

(2)気体のエネルギーと比熱

(3)気体の状態方程式

(4)気体の熱膨張

(5)液体のエネルギーと比熱

(6)固体のエネルギーと比熱

3 熱の移動

(1)熱移動を支配する法則

(2)固体内の熱移動

(3)液体内の熱移動

(4)気体内の熱移動

(5)音の伝播と熱の伝播

(6)熱の伝わる時間

(7)断熱



第2章 定常熱伝導

1 熱伝導のしくみ

(1)流体のエネルギー落差とエネルギー移動

(2)フーリエの法則

(3)熱伝導率の特性

(4)物質の熱伝導率

コラム B

2 一次元の定常熱伝導

(1)一次元の熱移動

(2)厚さの異なった平板内の熱伝導

(3)熱伝導率の違いによる熱伝導

(4)熱伝導率が温度で変化する熱伝導

3 多層熱伝導

(1)張り合わせ板材の熱伝導

(2)多層壁の熱伝導

4 二次元の定常熱伝導

(1)二次元の定常熱伝導方程式

(2)二次元の定常熱伝導方程式の解法

(3)円管の熱伝導

(4)多層円管壁への熱伝導

(5)中空球の熱伝導

5 三次元の定常熱伝導

(1)熱の流れ



第3章 非定常熱伝導

1 一次元の非定常熱伝導

(1)一次元非定常熱伝導の基本式

コラム C

(2)平板内部への非定常熱伝導

(3)高温表面と断熱表面との間における一次元非定常熱伝導

(4)半無限固体内部の非定常熱伝導

(5)物体内に発熱源がある熱伝導

2 二次元物体の非定常熱伝導

(1)二次元物体内の熱平衡

(2)二次元の非定常熱伝導方程式

(3)円柱の非定常熱伝導

3 三次元の非定常熱伝導

(1)三次元物体内の熱平衡

(2)三次元物体の非定常熱伝導方程式

コラム D





第4章 熱伝達

1 熱伝達の現象

(1)流体による熱移動

(2)ニュートンの冷却の法則

(3)熱伝達係数

2 熱と流れの特性値

(1)プラントル数

(2)ヌッセルト数

(3)レイノルズ数

(4)自然対流熱伝達と強制対流熱伝達

3 強制対流熱伝達

(1)流れと強制対流熱伝達

(2)円管内流れの熱伝達

(3)流体から円管外壁への熱伝達

(4)流体から平板壁への熱伝達

4 複合熱伝達による伝熱

(1)複合熱伝達の現象

(2)熱伝達係数と複合熱伝達

コラム E

5 非定常熱伝導と強制熱伝達

(1)平板の非定常熱伝導と強制熱伝達

(2)平板の非定常複合熱伝導

(3)厚肉円筒の非定常熱伝導と強制熱伝達

6 沸騰熱伝達

(1)沸騰の現象

(2)沸騰熱伝達

(3)金属表面からの液滴の蒸発

7 凝縮熱伝達

(1)凝縮の現象

(2)凝縮熱伝達



第5章 境界層の熱伝達

1 境界層の流れ

(1)粘性の作用

(2)速度境界層の形成

2 流れを表わす方程式

(1)定常流れの加速度

(2)流れに作用する力

(3)連続の式

(4)圧力の作用

(5)粘性の作用:摩擦力

(6)境界層内での力の平衡

3 境界層方程式

(1)流れの運動方程式と境界層方程式

(2)平板上に形成される境界層

(3)境界層の厚さと摩擦応力

4 温度境界層の形成

(1)境界層内の熱移動

(2)境界層のはく離

(3)円柱まわりの熱伝達

5 温度境界層と速度境界層

(1)境界層のエネルギー方程式

(2)温度境界層方程式

6 レイノルズのアナロジー

7 自然対流による熱伝達

(1)自然対流熱伝達

(2)自然対流熱伝達の基礎方程式

(3)自然対流の熱伝達係数



第6章 高速流れの熱伝達

1 高速流れの特性

(1)亜音速流れと超音速流れ

(2)よどみ点からの流れ

2 超音速流れの空力加熱

(1)熱の移動

3 極超音速の空力加熱

(1)流体の化学反応

(2)大気圏再突入の空力加熱

コラム F

4 ノズルの流れ

(1)末細ノズルと末広ノズル

(2)末細―末広ノズルの流れ

5 超音速ノズルの熱伝達

(1)超音速ノズルの流速と流量

(2)ロケットノズルの熱伝達

6 衝撃波の熱伝達

(1)衝撃波の発生

(2)垂直衝撃波

(3)斜め衝撃波

(4)衝撃波流れによる熱伝達



第7章 放射伝熱

1 熱と光

(1)電磁波の放射

(2)光と色

(3)放射強度

コラム G

2 放射エネルギー

(1)黒体放射

(2)プランクの法則

(3)ウイーンの変位則

(4)ステファン・ボルツマンの法則

(5)ランバートの法則

コラム H

(6)放射率と灰色体

(7)キルヒホッフの法則

3 気体のエネルギー放射と吸収

(1)気体の光特性

(2)燃焼ガスからの放射熱

(3)大気の構成

(4)大気の窓と赤外線ミサイル

コラム I

コラム J



第8章 断熱と冷却

1 断熱の考え方

(1)断熱の技術

(2)低温源の断熱

(3)高温源の断熱

コラム K

2 冷却と断熱

(1)再生冷却

(2)液膜冷却

(3)発汗冷却

(4)ロケットエンジンの冷却

(5)ジェットエンジンの冷却

3 アブレーション冷却

(1)アブレーションの考え方

(2)アブレーションの技術

(3)アブレーション材料

4 耐熱材料

(1)金属材料の耐熱性

(2)セラミック材料の耐熱性

コラム L

(3)高分子材料の耐熱性



付録A 熱伝導方程式の数値解法

(1)ルンゲ―クッタの方法

(2)テーラー展開による方法



付録B 熱伝導方程式の座標変換

(1)三次元の非定常熱伝導方程式の変換

(2)円柱座標による熱伝導

(3)球面座標による熱伝導

(4)熱伝導による熱流束の座標変換



英用語対比表



参考文献



索引

はじめに

まえがき



工業機械においては伝熱を考慮して設計する場合が多く、加熱あるいは放熱を見積もることがある。熱には材料を通過して伝わる熱伝導と液体あるいは気体の流れによって伝えられる熱伝達がある。これらの熱の伝わり方は媒体となる材料に強く依存しており、流体としての気体あるいは液体の流速などの物理的な特性値に依存することにもなる。さらに、熱は媒体に依存することなく伝わる特性もあり、放射による伝熱現象として知られている。このような伝熱の特性は物質の種類、状態、形状などによって異なり、伝熱工学では物質の比熱c、熱伝導率κ、密度ρなどの物性値によって決定される単位時間当たりの熱移動量を求め、同時に温度の変化について求めることを目的としている。

伝熱は時間の経過とともに変化する現象が多く、非定常現象として取り扱われることが多いために数学的に複雑になり、微分方程式として記述されることがほとんどである。このために伝熱工学を学ぶためには偏微分方程式の知識が必要であり、それらの方程式の解を得るためには多くの演算過程が含まれる。他の伝熱に関する専門書では数多くの解析した例題が示されているので、それらを参考にされたい。また、これらの方程式に関してはコンピュータによる計算のための多様なソフトが作成されているので、実用的な解を得ることができる。それでも伝熱を伴う現象は多種多様であり、解析のためには現象に対応した初期条件および境界条件の設定が必要であり、伝熱に関する基礎的な理解が常に求められる。

伝熱現象には数多くの単位を有した定数が用いられている。それぞれの単位は伝熱計算において最重要なものであるが、現在のSI単位で統一されるまでには先進国間においてもそれぞれで異なった単位が採用されていたこともあり、外国の伝熱関連資料を採用するときに大きな負担を負わされてきた。そこで、本書においてはあらためて伝熱現象で採用されている物理定数については文章内においても[ ]内にSI単位を表示している。これによって伝熱についての基本的な理解と熱量計算での単位の不一致がないよう配慮した。



2009年10月 久保田浪之介

買い物かごへ