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よくわかるプリント基板CADの使い方と考え方

定価(税込)  1,944円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06354-1
コード C3054
発行月 2009年11月
ジャンル 電気・電子

内容

プリント配線板のCAD設計に関する効率的な使い方と、構築におけるポイントを紹介する技術実務書。「設計期間短縮に対応したプリント基板設計」や「効率的なCAD運用」「プリント基板の低コスト化」など、設計と運用の両面を解説している。

岡本彬良  著者プロフィール

岡本 彬良(おかもと あきら)
1948年生まれ。1969年、呉工業高等専門学校 電気工学科卒業。同年、松下電器産業(株)入社。電気設計、機械設計、IC開発に従事。
1980年、コンピュータのわかる設計者としてプリント基板CAD導入立ち上げに参画。以来、機構CAD・社内LAN・サーバ管理・LA・PDMと技術部門の情報システム全般に担当範囲を拡大。
2005年、同社を退職。
現在、岡本ESA事務所を開設し、プリント基板設計・技術情報システムの著述・コンサルタントとして活動中。エレクトロニクス実装学会会員。神奈川県 技術アドバイザー。
著書として、「よくわかる プリント基板回路のできるまで」「よくわかる プリント基板実装のできるまで」「よくわかる回路設計者のためのSI・EMI対策」(ともに日刊工業新聞社)がある。

目次

はじめに

第1章 設計期間短縮に対応したプリント基板設計とは
1-1 電気設計をクリティカルパスにしない
1-1-1 1次試作までが勝負
1-1-2 検討期間をいかに確保するか
1-2 アウトソーシングしても社内に残る業務
1-2-1 プリント基板設計委託までに行っておくべき業務 1-2-2 プリント基板設計会社にどこまで委託するか
1-2-3 プリント基板設計委託後に残る業務

第2章 回路図は回路設計者が入力することが第1歩
2-1 プリント基板CAD普及に伴う設計プロセスの変化
2-1-1 電気CADの変遷
2-1-2 プリント基板設計と回路設計の分業化の弊害
2-2 回路設計者へ回路図CAD定着を図るには
2-2-1  回路図を描く工数
2-2-2 回路図CADサポート体制のあり方

第3章 プリント基板の構想設計
3-1 重要になったプリント基板の構想設計
3-1-1 軽薄短小化に伴うプリント基板の変化
3-1-2 機構設計とプリント基板の構想設計のタイミング 3-2 複数プリント基板への回路分割
3-2-1 2つのケース
3-2-2 回路分割時に配慮しなければならない項目
3-2-3 回路分割後の回路図の修正
3-3 プリント基板の設計仕様決定
3-3-1 2つのケース
3-3-2 層数の決定
3-3-3 実装工法の決定
3-4 プリント基板の外形を決める
3-5 フロアプランニング

第4章 プリント基板設計プロセスと効率的なCAD運用
4-1 プリント基板設計プロセス
4-1-1 部品ライブラリーの準備
4-1-2 設計準備
4-1-3 ブロック配置・部品配置
4-1-4 配置チェック
4-1-5 配線
4-1-6 最終チェック
4-1-7 CAM出力
4-2 流用設計
4-3 プリント基板設計チェック体制の整備
4-3-1 プリント基板設計者によるチェック
4-3-2 プリント基板設計チェックツール
4-4 データ管理
4-4-1 電気PDM
4-4-2 エンタープライズPDM

第5章 プリント基板の低コスト化
5-1 プリント基板は高価な部品
5-2 板取りの最適化
5-2-1 定尺とワークサイズ
5-2-2 板取りの最適化
5-3 金型の単純化
5-4 社内基準に関わる項目
5-4-1 プリント基板の製造工法・材料
5-4-2 設計基準化される項目
5-5 プリント基板設計者のスキルに依存する項目

第6章 シグナルインティグリティ(SI)対応
6-1 回路のデジタル化・高速化に伴う問題の発生
6-2 シグナルインティグリティ(SI)の基礎知識
6-2-1 3つの信号伝送方式
6-2-2 パラレル伝送/コモンクロック方式
6-2-3 パラレル伝送/ソース同期方式
6-2-4 シリアル伝送方式
6-3 解析と実測が一致しない要因
6-3-1 解析側の要因
6-3-2 実測側の要因
6-4 回路設計者のシグナルインティグリティ(SI)理解について
第7章 電磁妨害(EMI)対応
7-1 電磁妨害(EMI)の基礎知識
7-1-1 EMCとEMI、EMS(言葉の定義)
7-1-2 放送(通信)とEMIノイズ
7-1-3 ノイズ源、伝送路、アンテナ
7-2 プリント基板設計への反映
7-2-1 層構成
7-2-2 部品配置
7-3 プリント基板設計者がEMIを理解していることの重要性 7-4 回路設計者の対応

第8章 試作期間短縮
8-1 試作準備
8-2 リフロー用はんだメタルマスクの調達
8-3 電子部品の調達
8-3-1 特殊部品の調達
8-3-2 汎用部品の調達

第9章 プリント基板設計プロセスの見直し
9-1 プリント基板設計環境の変化への対応
9-2 プリント基板CAD担当者の変質
9-3 マイナスの枝
9-4 ツールベンダーとの関係構築
9-4-1 2種類のコンサルティング
9-4-2 ツールベンダーの視点、ユーザの視点
9-5 新しいプリント基板設計プロセスの構築

終わりに
索引

はじめに

● プリント基板設計をアウトソーシングしても社内に仕事が残る
 すでにプリント基板CADの登場から30年以上の時が過ぎました。プリント基板CADの普及に合わせて回路設計とプリント基板設計の分業化が進みました。また、分業化されたプリント基板設計はセットメーカからプリント基板設計会社にアウトソーシングされる傾向が強まっています。アウトソーシングする理由は明白です。業務の効率化に他なりません。

 分業化とアウトソーシングが進んで長い年月が経過した結果、回路設計者の多くがプリント基板を自ら設計したことのない世代となり、社内でプリント基板設計がブラックボックス化したセットメーカも少なくありません。また、今までプリント基板の必要なかったメーカで機器のエレクトロニクス化に伴い、プリント基板設計が必要になった会社も出現してきました。このような会社では当初からプリント基板設計はブラックボックスです。多くの場合、社内にプリント基板CADを保有せず、プリント基板設計は無条件にアウトソーシングされています。

 本書執筆の遠因の1つに、エレクトロニクス化に伴いプリント基板設計が必要になった会社から「ブラックボックスを解説する書がない」と相談を受けたことが挙げられます。どちらのケースにしても、社内のプリント基板設計のスキル不足により、非効率なアウトソーシングになったり、「良いプリント基板」を設計・製造する上で支障をきたしたりする時代になってきました。

 その原因の多くはプリント基板設計をアウトソーシングする前に「社内で対応できていなければならない(社内に残る)仕事がある」ことが理解されないままアウトソーシングされていることにあります。社内に残る仕事には、
 ●アウトソーシングできない業務
 ●時代の変化に伴い新たに発生した仕事で、どの範囲をプリント基板設計会社に委託するかが未調整で社内に残っている業務
の2種類の仕事(業務)があります。

● 残った社内業務の効率的な対応が必要
 アウトソーシングできない業務の多くは単純な事務処理で済むものではなく、セットメーカの立場で技術的もしくは経営的な判断を必要とする業務です。また新たに発生した業務は、プリント基板設計会社との間で取り決め事が必要になる業務です。

 回路設計者はアウトソーシング以前と同様に、プリント基板設計をすべて理解し技術的・経営的判断を行わないと、プリント基板設計をアウトソーシングできないのでしょうか? 新たに発生したプリント基板に係る業務をすべて社内で対応していかなければならないのでしょうか?

 それでは非効率です。せっかくプリント基板設計をアウトソーシングした目的が損なわれてしまいます。社内に残った業務を組織的な手助けなしに個々の回路設計者が個別に対応していく業務遂行体制も非効率です。組織的な対応が求められています。

 本書は「どのような業務が社内に残るのか」と「組織的にどう対応すべきか」について述べています。

 昨年度、株式会社 図研のメールマガジン「Club-Z」で私が監修して連載した「新人岡田君のちょいモテ設計者への道」で、この社内に残る業務について物語風に解説してきました。本書はその内容を基に追補・再構成しています。

2009年11月
岡本 彬良

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