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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい化粧品の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06347-3
コード C3034
発行月 2009年10月
ジャンル ビジネス

内容

最近では、外面の美しさだけを整えるだけではなく、様々な機能を持った化粧品が開発・発売されている。本書は、皮膚や髪の毛の機能から化粧品の構造とその作り方、安全性の追求と環境対応、機能性化粧品(心理効果と生理効果)などを体系的にわかりやすく解説する。

福井 寛  著者プロフィール

1950年 鳥取県生まれ

1972年 広島大学工学部醗酵工学科卒業

1974年 広島大学大学院工学研究科修士課程終了

1974年 (株)資生堂入社

工場、製品化研究、基礎研究(粉体表面処理)などの研究に従事。香料開発室長、メーキャップ研究開発センター長、素材・薬剤研究開発センター長、特許部長、フロンティアサイエンス事業部長、資生堂医理化テクノロジー株式会社社長を歴任

現在 (株)資生堂新成長領域研究開発センター

特別研究員

工学博士(名古屋大学)、技術士(化学部門)、APEC Engineer、International Professional Engineer、東北大学未来科学技術共同研究センター 客員教授、東京理科大学理工学部 客員教授、大同大学情報学部 客員教授、早稲田大学理工学部 非常勤講師、山梨大学工学部 非常勤講師、学術振興会第151未踏・ナノデバイステクノロジー委員会 企画委員



1985年度色材協会論文賞、1991年度色材協会技術賞、1992年度日本化学会技術賞、1995年度日本化粧品技術者会優秀論文賞、2000年度日本化粧品技術者会優秀論文賞



主な著書

「最新・化粧品の機能創製・素材開発・応用技術」

(共著、技術教育出版社、2007)

「ナノパーティクル テクノロジー ハンドブック」

(共著、日刊工業新聞社、2006)

「高分子辞典」

(共著、高分子学会編、朝倉書店、2005)

「新訂版・表面科学の基礎と応用」

(共著、日本表面科学会編、エヌ・ティー・エス、2004)など

目次

目次



はじめに



第1章 化粧品って何だろう

1 化粧品とは何だろう 「化粧品の定義」

2 化粧品の効用 「本能や欲望を具現化」

3 化粧はいつからするようになった 「世界の化粧の歴史」

4 日本での化粧初め 「日本の化粧の歴史」

5 どれくらいの量が使われているの? 「化粧品の生産量」



第2章 外部から身を守る仕組み

6 外界への対応 「五感と皮膚の関係」

7 皮膚はただの皮ではない 「皮膚の構造」

8 働き者の皮膚 「皮膚の生理作用、肌の役割」

9 乾燥から身を守る仕組み 「皮膚の保湿作用」

10 お肌の大敵・紫外線 「紫外線で赤くなる・黒くなる・癌になる?」

11 お肌の老化わかりますか? 「老徴、自然老化と光老化」

12 ストレスはお肌の大敵! 「ストレスと皮膚の関係」

13 保湿肌の調べ方 「皮膚の保湿性の計測方法」

14 あなたの肌質は 「皮脂量と保湿能で肌質を分類」

15 毛だって機能を持っている 「毛の機能と構造」

16 男の方が禿げやすい? 「毛髪の発生・種類・ヘアサイクル」

17 爪の機能と生理 「表皮から変化した爪」

18 触ってわかる仕組み 「触覚をつかさどる皮膚と毛髪」

19 匂いがわかる仕組み 「匂いを捕まえる」

20 見える仕組み 「光の情報を電気信号に変える」



第3章 化粧品は何でできている?

21 化粧品は何でできている? 「化粧品を構成している物質」

22 水という不思議な物質 「水の優れた特性」

23 化粧品の中味の状態 「さまざまな物質が混じり合った状態」

24 水と油の「どちらにも仲良し」が作る構造 「界面活性剤の機能」

25 水と油で七変化 「混ざり合わないもの同士を混ぜる」

26 泡をうまく使う 「泡の性質と利用」

27 油性原料・水性原料 「油性原料の種類と機能」

28 高分子の働き 「高分子増粘剤や皮膜形成剤」

29 メーキャップは色が命 「色を出す顔料、染料」

30 不思議な粉の力 「化粧品に使われる無機粉体や高分子粉体」

31 紫外線から防御する原料 「紫外線吸収剤や紫外線散乱剤の役割」

32 香りを付ける 「香料の役割と機能」



第4章 化粧品の作り方とその性質

33 化粧品のできるまで 「化粧品の特性を踏まえて中味、外装を決める」

34 化粧品の製造装置 「粉体や液体を扱う装置」

35 使い勝手を左右するパッケージ 「化粧品の容器の機能」

36 世界最古の化学反応・石鹸 「古代から汚れを落とすには石鹸だった」

37 まず、清潔にしよう 「洗浄の機構とメーク落とし」

38 髪を洗ってしなやかに 「洗浄だけではない機能」

39 保湿は肌手入れの基本 「保湿と肌荒れ防止の成分」

40 スキンケア三兄弟 「化粧水、乳液、クリームによるスキンケア」

41 第2の肌・ファンデーション 「美しい肌色を目指す」

42 目元の力 「アイシャドーやアイライナーを使う理由」

43 落ちない口紅の物語 「口紅の有用性」

44 爪を美しく 「いろいろなネールエナメル」

45 ヘアスタイルを演出するアイテム 「ヘアワックス、ムース、ヘアリキッド、パーマネント」

46 髪の色は何色? 「ヘアカラー、ヘアブリーチの利用」

47 香りの芸術 「揮発性を活かしたフレグランス」



第5章 化粧品の安定性、安全性と環境対応

48 化粧品成分を分けてみよう 「化粧品に使われる成分の分離方法」

49 化粧品成分の構造を調べてみよう 「化粧品成分の構造解析」

50 使い心地とレオロジー 「流動の様式、レオロジーの測定方法」

51 色って何でしょう 「表色系を用いて色を特定」

52 品質の安定性はどうしているの? 「各種の安定性試験」

53 微生物は悪者ばかり? 「一次汚染・二次汚染、防腐防黴」

54 一番大切な安全性 「長期間用いられるので絶対的な安全保証が必要」

55 コンピュータの利用 「コンピュータを駆使して化粧品開発に利用」

56 化粧品と環境問題 「ライフサイクル全体を考慮した化粧品開発」



第6章 機能性化粧品とその将来

57 アンチエージング 「シワ、たるみの発生、評価法と老化防止」

58 毛穴ケアとケミカルピーリング 「皮膚の再生を促進し若返らせる」

59 活性酸素って何 「活性酸素と抗酸化」

60 にきびは青春のシンボルか? 「にきび用医薬部外品の有効成分」

61 紫外線ケアは十分ですか? 「紫外線ケア化粧品、サンスクリーン、UVA、UVB」

62 色の白いは七難隠す? 「メラニン生成機構と抑制剤」

63 毛を育てる 「脱毛の要因と対処法」

64 臭い人とはいわせない 「足臭、加齢臭などの発生機構とその防止」

65 虫歯を防ぐ歯磨き 「虫歯の原因を作らない」

66 香りの効用 「アロマセラピーとアロマコロジー」

67 肌にしみこむ薬剤 「経皮吸収をコントロールする」

68 これからの化粧品は? 「テーラーメード化粧品、新しいメーキャップ」



【コラム】

●CosmosとCosmetics●皮膚は第3の脳か●光を操る技術●江戸の唇は緑色?●研究って楽しいの?●細胞が自殺する?



参考文献



索引

はじめに

はじめに



化粧品は鉄や半導体のように産業の基幹になるものでもなく、また医薬品のように人の命を直接救うものでもありません。病気を治すという観点からは、皮膚の病気が命にかかわることがあまりなかったことから、皮膚そのものがそれほど重要視されてこなかったのではないかと思います。最近は皮膚がこれまで考えられていたより多くの機能を持つことがわかってきました。QOL(Quality of Life)には皮膚の正常な状態は欠かせない重要な要素です。一方、メーキャップも他人との関係を意識させるうえで重要で、心理的・生理的な効果が認められるようになってきました。香りの心理的・生理的作用も活用されてきています。

「美しく健康でありたい」というのは昔からの私たちの願いでした。化粧品は人類の歴史と同じくらい古くからありますが、それを使えたのは一握りの貴族だけでした。今では多くの人たちが使っています。お店には多くの種類の化粧品が並び、女性週刊誌には毎週、きらびやかな写真入りの化粧品の記事や広告が載っています。そこにはさまざまな皮膚理論が展開され、どれが本当に良いのかわかりにくい場合も多いのではないでしょうか。テレビでも毎日のように健康や美容に関する番組が組まれ「活性酸素」や「抗酸化」などの言葉が飛び交っています。このように化粧品は私たちの身近にあり、毎日使っていますが、本屋さんに行っても化粧品をやさしく解説した本はあまり見当たりません。私たちの皮膚や毛髪の働きと化粧品の特徴を幅広く説明したやさしい入門書があれば、週刊誌やテレビで紹介されたときに、理解を深めることができるのではないかと思います。

この本は化粧品についてなるべくわかりやすく説明しました。図はその項の大きな枠組みを示し、その中で個々の事項がどのような位置にあるかを示すことを主眼にしました。図や表には少し難しい言葉もあるかも知れませんが、わからない単語があればインターネットで調べて書き加えれば全体の中でのその言葉の位置付けもわかると思います。

第1章は化粧品の定義や歴史および現状、第2章は皮膚や五感の仕組みと機能、第3章は多彩な化粧品の原料の構造と機能、第4章はスキンケアやメーキャップなどの化粧品の特徴と製造方法、第5章は最近注目を浴びている化粧品の安定性、安全性および環境問題、第6章は美白、抗老化などの機能性化粧品と化粧品の将来といった構成になっています。限られたページの中ですが、図表を使うことで、最大限の情報を盛り込むことができたと思います。何気なく使っている化粧品の中にいろいろな技術が入っていることもわかると思います。また、現代では、日常生活で自分たちが何をどう使っているのかがわかりにくくなっていますが、それらを解き明かすための身近な化学として読んでいただくこともできると思います。

本書は、できるだけやさしい説明を心がけたために、あいまいさなどが残っている部分があるかも知れません。そのような箇所があれば是非お教えいただきたいと思います。

また、本書の出版にあたり多くの文献や資料などを参考にさせていただきました。資料を提供していただいた方々に厚くお礼を申し上げます。また、日刊工業新聞社の奥村功さん、平川容子さんをはじめ関係者各位に大変お世話になりました。ここに改めて感謝申し上げます。



2009年10月

(株)資生堂リサーチセンター 福井 寛

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