買い物かごへ

知らなきゃヤバイ!
石油ピークで食糧危機が訪れる

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06329-9
コード C3034
発行月 2009年09月
ジャンル ビジネス 環境

内容

石油は現代社会の血液であり、今やこれなくして生活は成り立たない。しかし、需要量が増え続けるのに対して、有限である石油の生産はピークを越した。歴史に学べば、エネルギーを失った社会は食糧危機を招き、文明を崩壊させる。石油ピークを迎えた現代社会はいったいどこに向かうのか。

石井吉徳  著者プロフィール

東京大学理学部物理学科(地球物理学)卒、工学博士、東京大学名誉教授、「もったいない学会」会長。

学会:日本工学アカデミー会員、同人類未来戦略フォーラム代表、日本リモートセンシング学会、物理探査学会、石油技術協会など会員。

元職:(株)帝国石油、石油開発公団、(株)石油資源開発などに16年間、東京大学工学部(資源開発工学科)助教授、同教授、国立環境研究所副所長、同所長(第9代)、富山国際学園特命参事、富山国際大学教授。

日本学術会議会員、日本リモートセンシング学会長、物理探査学会長、石油技術協会副会長、NPO地球こどもクラブ会長。

専門:地球環境科学、エネルギー・環境論、リモートセンシング、物理探査工学。



単著書 [リモートセンシング読本」1981、オーム社

[地殻の物理工学」1988、東大出版会

「エネルギーと地球環境問題」1995、愛智新書

「国民のための環境学」2001、愛智新書

「豊かな石油時代が終わる」2004、日本工学アカデミー・環境フォーラム(石井吉徳編著)、丸善

「石油最終争奪戦-世界を震撼させる「ピークオイル」の真実」2006、日刊工業新聞社

「石油ピークが来た-崩壊を回避する「日本のプランB」」2007、日刊工業新聞社

目次

CONTENTS



Chapter 1 石油ピークは食糧ピーク、そして文明ピーク



01 残りの石油埋蔵量は1兆バーレル。しかもこれまでより質が悪い

02 「石油ピーク」│広がる油田発見と消費量のギャップ

03 石油はまだ有るというが、そうではないという悲観論が本当

04 資源は「質」が全て! エネルギーはEPRで評価すること

05 文明の姿は、エネルギーできまる。そして最後は食糧問題にいきつく

06 森から石炭、そして石油へとエネルギーの主役は変わり、力と結びつく

07 現代農業、食糧の供給システムは石油がなければ止まる

08 石油ピーク後、大陸型の農業は持続できない。日本の存続には有機、自然農法

09 地球は有限、資源は質が全て、文明はエネルギーで決まる



Chapter 2 石油に替わる新エネルギーはあるのか?



10 石油は太陽エネルギーが濃縮された太古の遺産である

11 太陽エネルギーは脱石油の救世主となるか

12 期待高まる「水素」は二次エネルギーであり、扱いが難しい

13 原子力エネルギーも、地球資源を使用している以上有限は当たり前

14 バイオエネルギーといってもいろいろ、何に期待するか

15 風力エネルギーを考えるなら、日本の地理、自然条件をよく見る

16 その他の自然エネルギーはどうなのか、地熱、小水力など

17 新エネルギーは技術で作り出すことができる?

18 結論! 石油ほど優れたエネルギー資源はもうない



Chapter 3 石油ピークが現代社会の常識を変える



19 皆が期待する幾何級数的な経済成長は、有限地球では無理

20 大食の車に人は負ける! バイオ燃料は食料と競合する

21 石油から作られる多種多様の石油合成化学物質があふれる世界は大丈夫?

22 人類の歴史は自然破壊の歴史、繰り返せば未来はない

23 食料自給に成功したキューバと飢える北朝鮮、何が違うのか

24 浪費型の現代文明は持続可能のはずはない。常識を変えなくてはいけない

25 エネルギーの浪費を止めれば温暖化は自然に防げる。低炭素より低エネルギー社会を

26 脱石油の戦略的エネルギー政策とは



Chapter 4 石油ピーク後の生きる道「日本のプランB」



27 3Rは最初のReduceが大事、リサイクルはエネルギー問題

28 石油ピーク後に生き残る道は、自国を知ること。日本は世界六位の海岸線長大国29 地球は有限である、地産地消、地域へ回帰することが重要

30 「もったいない」の滋賀・琵琶湖の方針と地域コミュニティの考え方

31 これからの低エネルギー社会は、EPRで考えることが重要

32 集中から回帰、地方分権のローカル・コミュニティ

33 石油ピークの今だからこそ、大陸国家に倣わない「日本のプランB」





COLUMN

資源は質が全て/石油に替わるエネルギーはない/有限地球に無限の成長はない/自分で考えることの大切さ



あとがき

いま政治家に望むこと

はじめに

はじめに



エネルギーが「文明のかたち」を決めます。なぜなら、エネルギーなしには何も動かず何も作れないからです。そして今、そのエネルギーの主役である石油=文明の生き血が、限界に来ています。石油生産が需要に追いつかない「石油ピーク」です。多くの識者は、石油代替として石炭、原子力、太陽、風力発電などがあると言います。しかしこれらのモノも突き詰めて考えていけば石油が頼りなのです。そしてこれは食料ピークでもあります、なぜなら現代農業は、肥料、農薬、農業機械も石油、天然ガスに依存し、農作物が消費者に食品として届くまでの流通、加工にも石油が大量に使われ、まさに石油漬けだからです。

合成化学原料も石油、天然ガスから、車、飛行機、船も石油の流体燃料があってのものです。これは石油ピークがグローバリゼーションに大きな打撃を与えるということです。つまり、「石油ピークは食料ピーク、そして文明ピーク」なのです。

しかしまだまだ石油は大丈夫、メタンハイドレート、水素エネルギー、海洋エネルギー、宇宙太陽発電などいろいろな新エネルギー技術もあるという意見もあるようですが、これらは「質」を考えない議論です。例えば、石炭を液化するにしてもそこにはエネルギーが必要であり、そのうえ石炭資源も有限です。原子力で水素をという意見もありますが、水素は扱いが困難で、社会のインフラ全てを変えるレベルの話になります。

長期的には太陽、風力、小水力などの再生的な自然エネルギーは期待できますが、これらのエネルギーは、量は膨大といっても濃縮していません。つまり「質」が伴っていないのです。それを理解し、地域分散型で活用することです。石油は油田から自噴する、大変に質のよい濃縮された資源であり、結局、その代替はないのです。

「地球は有限、資源は質が全て」なのです。

そう考えると、今必要なのは、脱浪費です。永遠の成長は望めないのです。

「地球は有限、資源は質が全て」これが本書の主題です。私は「限りある地球を大切に」と、1984年頃から有限地球観を述べて来ました。当時まだ人口は44億人でしたが、地球の有限性は明白でした。左上のイラストは、当時の私の地球観を端的に表現したモノです。この時、油田発見ピークの1964年からすでに20年も経っていました。

その後、社会は何も変わりませんでした。今では人口は66億人、人類の生存ベースは悪化の一途をたどり、そしてついに「石油ピーク」が来ました。今改めてこのイラストを見直すと、考えなければならないことはたくさんあります。

一見関係ないようですが、今の経済恐慌の真の原因は石油ピークです。このため、大規模な財政投資などの効果は一過性でしかないはずです。1929年の大恐慌当時とは全く違うのです。当時は、地球は実質的に無限であり、資源制約などなかったのですが、もうそうではありません。人類の生存基盤は衰退し、文明は「長い下り坂」を辿り始めているのです。人はそれにどう対応するかです。しかし、その答えは何処にもありません。欧米も暗中模索、中国、インドなどの内需拡大に期待するにしても、一時的でしょう。彼らの国内資源も有限なのです。

人の活動は「自然の悠久なエントロピー流の陽炎」のようなものであり、自然と共存を模索する科学技術、英知が必要です。本来、究極的な社会の役割とは、人の口に食べ物を運ぶことです。その基本は「集中から分散」となるはずです。地域分散型の食料生産、自立、自存の社会を目指すのです。流通、加工の仕組みを見直すこと、そして農業者が潤う社会を構想するのです。主役は地域、コミュニティです。地方分権も、権力を移すだけでは駄目です。日本の「もったいない」の心が大切でしょう。それが私の主張する「日本のプランB」なのです。

本書はシリーズ「知らなきゃヤバイ!」の一環ですが、それぞれ独立に執筆され、私は「石油ピークが来た:2007」を理解していただくよう、稿をすすめました。なお、出版にあたって日刊工業新聞社の藤井浩氏に大変お世話になりました。



2009年8月 逗子にて、

石井吉徳

買い物かごへ