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知らなきゃヤバイ!
飲料水争奪時代がやってくる

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06328-2
コード C3034
発行月 2009年09月
ジャンル ビジネス 環境

内容

地球にはもともと飲料水として使用できる水は少なく、地域によっては水に対する飢餓感が大きい所も多い。さらに今、人口の急増、工業化の進展など世界的な水不足そして水汚染はより深刻になっている。本書では、日本及び世界の水の現状、その対応策まで、人間に必要不可欠な水の問題を徹底解説する。

岡崎 稔  著者プロフィール

1953年 京都大学工学部卒業 工学博士。

1956年 栗田工業(株)入社、取締役総合研究所長、常務取締役開発本部長などを歴任。

1990年 日本メムテツク(株)代表取締役社長に就任、US フィルター・ジャパンなどの社長、日本ポール(株)取締役を経て、現在 一般社団法人日本ボトルウオーター協会理事、(有)テクノライターズ代表取締役。

イオン交換、逆浸透膜、精密ろ過膜などによる純水・超純水製造、排水処理・再利用の開発、育成を長年手がけ、1988年科学技術長官賞を受賞。研究発表論文多数。

著 書 「超純水のはなし」共著(日刊工業新聞社)

「調べてみよう暮らしの水・おいしい水」共著(岩波書店)

「科学で見なおす 体にいい水・おいしい水」共著「技報堂出版」

「よくわかる 水処理膜」共著(日刊工業新聞社)

目次

CONTENTS



Chapter 1 人間にとって必要不可欠な"水"が足りなくなる!?



01 地球は、「水の惑星」と言われるけれど、人が飲める水はほんのわずかしかないのだ

02 膨大な海の水は、絶えず地球上に新鮮な淡水を供給する巨大な貯水場

03 地球上に広がる深刻な水不足。何もしなければ状況はさらに悪化する

04 水資源の争奪、世界最古の「水戦争」と、現在も続く水戦争

05 世界の水不足は、日本で生きている私たちにも深刻な影響を与える!

06 日本は飲料水だけでなく、仮想水(バーチャルウォーター)の大量輸入大国

07 水資源賦存量が少ない日本は、さまざまな工夫で水を大事にしている!?

08 水資源に乏しい国、中国とサウジアラビアは水を作ることに必死だ

09 人は水がなければ生きられない。だからこそ「水紛争の世紀」と言われる今を考える

10 水の安全保障は、国際社会の一員として、自分の問題として考えなくてはならない

11 日本は水分野で世界最大の援助国。求められるのは、相手国が本当に望む援助

Chapter 2 技術の力で"使える水"を作る



12 熱エネルギーを使わずに、効率良く海水から淡水を作るテクノロジー

13 生物の身体を構成する細胞膜を見本に実用化された水処理膜はこれからの時代に期待大

14 日本発の技術-膜分離活性汚泥法(MBR)は、今後が期待されている

15 膜を利用した下水・排水の再生-新しい水源の開発

16 下水を高度処理することにより、新たな水源として再利用する

17 塩素では除去できない水道水の脅威に、膜による新しい浄水処理

18 膜処理システムの今後の課題は、低コスト化、省エネ・高効率化、低圧化

19 不純物をほとんど含んでいない水、半導体産業を支える超純水

20 災害のときの緊急用飲料水をいかに用意しておくかが大切



Chapter 3 不足する水が巨大市場を作り、ビジネスチャンスを生む

21 2025年、111兆円規模の市場に成長する水ビジネスをつかめ

22 世界制覇を狙う4つの世界的巨大水企業。日本企業は対抗できるのか?

23 水自給率の向上を目指し、シンガポールが水技術立国となり、水産業を狙う

24 ミネラルウォーターは、本当においしいの? どうしておいしいの?

25 高機能化する家庭用浄水器、でも大事なのは日頃のお手入れ

26 120年の歴史をもつボトルウォーターが日本上陸。市場を急拡大させている

27 奇跡の水、電解還元水、海洋深層水、水にはいったいどういう効用があるのか

Chapter 4 日本の"水"を支える偉大なる水道



28 一般の家庭では、毎日どれくらい水が使われているか、そしてその料金は?

29 日本の水道水は、世界的にみても安全で、おいしく、安心できる水だ

30 水をおいしくする要素、水をまずくする要素とは

31 水道水をおいしくする高度浄水処理

32 日本の飲料水の水質基準は世界的に見てもかなり厳しい。しかも常に更新されている

33 水道の民営化は進むのか? 良質な水と適正なコスト、高品位サービスを目指して





COLUMN

人間は、一日だいたい2・5〜3リットル水を補給する必要がある。健康のために水を飲もう!/2008年サラゴサ国際博覧会 テーマ「水と持続可能な開発」"水と共生する日本人〜智慧と技〜"/世界水フォーラムで水問題解決を国際的に論議する/水利遺産とはどんなものでしょうか?玉川上水と琵琶湖疎水

はじめに

はじめに



今、水の惑星“地球”に住む我々人類は、深刻な水不足に悩まされています。その最も大きな原因は、世界的人口の増大と経済発展による水使用量の急増です。しかも、身近にあって容易に利用できる河川や湖沼などの地表水(淡水)は地球上に存在する水のわずか約0・01%、水量にして約10万立方キロメートルに過ぎず、この水を利用して、全人類が生活を営んでいるのです。さらに、これらの淡水資源は地域的に偏在するため、「20世紀は石油をめぐる領土紛争、民族紛争の時代だったが、21世紀は水紛争の時代になる」といわれています。つまり水は有限であり、今、人類にとって“水”の不足と汚染は深刻で、何とかしなければならない問題なのです。

そこで最近クローズアップされてきている言葉が「水ビジネス」です。各種の地球的な水問題を一つのビジネスチャンスと捉え、巨大水企業も参入、民営化や民間委託などによる上下水道の運営管理や汚水の再利用、海水の淡水化などといった「水ビジネス」が急成長しています。なかでも注目を集めているのが、水に含まれる塩分や汚染物質を効率良く除去する技術である「水処理膜」です。

生物の体を構成している細胞は、細胞膜を通して養分を外から取り込み、不要になった成分は膜を通して外に排出します。この機能を持つ生体膜を、人工的に作ろうとする研究が20世紀に始まり、実用化に成功、なかでも海水から水だけを取り出すことができる逆浸透膜の開発によって、人類長年の夢であった海水の淡水化が実現しました。膜製造技術や適用技術の進歩により、最近では海水淡水化プラント、浄水設備、下水・排水の再利用施設や超純水製造などへの適用が可能になっています。この膜・エンジニアリング技術に関しては、日本は世界のトップレベルにあり、水不足や水汚染の解決に日本の国際協力が期待され、輸出産業としても有望です。

一方で、「おいしい水」を探求する市場も今後大幅に伸びると予想されています。

例えば、日本人が海外に行った時、多くの場合その国の水道水をそのまま飲むことはできないし、飲むとお腹をこわしたりします。世界各国の水道について調査した人の話では、世界中で水道水の飲める国は10カ国程度しかないそうです。その中でも日本の水道は、水源となる川や湖の水質が良く、世界中でも安全でおいしいという評判です。

このような「安全でおいしい水道水」を目指して、高度浄水施設のように浄水プロセスの改善や水質管理システムの強化などを行い、その成果には眼を見張るものがあります。世界でも数少ない安心して飲める日本の水道を守り、水文化の回復と育成を図り、後の世代に引き継ぎ、世界に、特に安全な水のない地域に普及させることが日本の責務です。

本書の構成は、Chapter 1で地球上に存在する水、循環する水を世界的な視点から捉え、深刻化する水不足や水戦争などによる人類への影響を解説し、あわせて水分野における国際社会への日本の貢献を紹介します。Chapter 2では、人間の叡智で水問題を解決する技術や方法について、特に日本の得意とする膜技術の世界的な利用の実態を、Chapter 3では、人口の増加や、経済の発展に伴う水需要をビジネスチャンスと捉え、世界の巨大企業や新興国が水市場に参入、活発化する業界の動きなど水ビジネスの最前線をまとめています。そしてChapter 4では世界でも評価の高い日本の水道がどのように構築されているのかを理解できるようになっています。さらに本書では、イラストなどを取り入れ、読みやすいように工夫されていますので、一読すれば、“飲料水”の課題や全体像がすんなりと頭に入ってくることでしょう。

執筆に際し、貴重な資料をご提供いただいた方々に感謝申し上げます。また本書の出版にご指導ご支援をいただいた日刊工業新聞社出版局の藤井浩氏に改めてお礼を申し上げます。



2009年9月

岡崎 稔

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