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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい表面処理の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06313-8
コード C3034
発行月 2009年08月
ジャンル ビジネス 化学

内容

身の回りを見渡して見ると、非常に多くの製品に表面処理が施されていることに気づく。本書は、めっき、塗装、熱処理、溶射など、幅広い表面処理技術を図・写真を用いてわかりやすく解説する。各種表面処理に関連する基礎的事項から、幅広く用いられている事例までを取り上げる。

仁平宣弘  著者プロフィール

1945年 佐賀県唐津市生まれ。

1967年3月 芝浦工業大学金属工学科卒業。

1967年4月 東京都立工業奨励館材料部入所。都立工業技術センター金属部、都立産業技術研究所表面技術グループ、東京都多摩中小企業振興センター技術支援係などを歴任。

2005年 仁平技術士事務所設立。

現在は東京都立産業技術研究センター産学公連携コーディネータ、同センター専門相談員、同センターエンジニアリングアドバイザー、企業等における金属熱処理および表面処理に関する技術的アドバイス、人材育成等の活動を行っている。

技術士(金属部門)〔1985年取得〕



主な著書

「金型の熱処理と表面硬化技術」(海文堂)

「はじめての表面処理技術」(工業調査会:共著)

「機械材料と加工技術」(科学図書出版:共著)

目次

第1章

表面処理とは



表面処理における改質形態 「材料表面を加工して表面特性を変える」0

電子とイオンの違い 「電子とイオンの動き」

真空を上手に利用しよう 「真空利用のメリット」

プラズマと表面処理のかかわり 「広範囲で応用されるプラズマ」

電磁波と表面処理のかかわり 「処理の種類で周波数を選ぶ」

表面処理の採用にあたって 「適材、適処理を考える」



第2章

表面処理の採用によって得られる効果



金属製品に発生する腐食現象 「金属製品の防錆・防食」

金属被覆による防錆・防食の原理 「腐食環境との遮断」

着色(色とは何か) 「色には三原色がある」

光沢とは 光を反射する属性 「光の反射度 人によって異なる」

光の反射防止 「まぶしさを防止する」

光の反射と透過 「光の反射・透過を成膜技術で制御する」

はっ水性と親水性 「水とのなじみやすさ」

いろいろな電気的特性 「電気的特性付加と薄膜」

耐摩耗性とその評価 「摩耗に対する防御策」

摺動性(摩擦係数低減) 「物体を動かしはじめる力を小さく」

耐疲労性とその評価 「製品の破壊は疲労による」

エンジン部品に求められる耐熱性 「耐熱性は要求条件で異なる」



第3章

表面処理のための表面処理



汚れと洗浄剤 「表面処理の前に汚れを落とす」

水系、準水系洗浄剤による洗浄 「アルカリ性、酸性、中性、用途により使い分ける」

非水系洗浄剤による洗浄 「洗浄力が強い非水系洗浄剤」

洗浄剤による洗浄方法 「効果的に洗浄を行う洗浄装置」

光やプラズマの作用を利用するドライ洗浄 「液体の洗浄剤が使えないときに有効」

エッチング─材料表面を化学的に溶解 「化学的手法で超微細加工する」

化学研磨と電解研磨 「薬品による溶解力利用と薬品中での電気エネルギー利用」

機械研磨─道具による研磨 「鏡面加工など多種多用の研磨法」



第4章

水を利用する表面処理



安価で小物大量生産に最適な化成処理 「化学反応で表面に化合物層を作る」

アルミニウムの陽極酸化(アルマイト) 「アルミニウムやチタンの表面処理に利用」

電気めっき 「耐食性、耐摩耗性付加に電気めっき」

無電解めっき(化学めっき) 「化学反応のみでめっきする」

めっき工程とめっき法 「前処理で失敗すると致命的」

機械部品、工具への電気めっき 「鉄鋼材料の防錆・防食目的の亜鉛めっき」

無電解ニッケルめっき 「広範囲に適用されるNi─Pめっき」

複雑形状物にも対応─粒子分散めっき 「セラミック主体に種々の微粒子をめっき膜中に分散」

皮膜の欠陥事例(酸洗いと金属組織) 「欠陥には焦げ、密着不良、膨れなど多種類がある」

JISによるめっき膜の密着性評価法 「皮膜の密着性はどのようにして評価する」



第5章

PVDとCVD



成膜技術の代表選手PVD、CVD 「気相めっきの特徴と問題点」

内製加工としての採用が多い真空蒸着 「物質の蒸気圧をそのまま利用した表面処理」

蒸発した気体をイオン化するイオンプレーティング 「多方面で活躍するイオンプレーティング」

イオン衝撃を利用するスパッタリング 「対象膜種が限りなく多い」

PVD採用上の重要事項 「蒸発源からの輻射熱対策を工夫」

CVDの種類と原理 「皮膜のつきまわり性に優れる熱CVD」

熱CVD採用上の重要事項 「変形や変寸に対する対策を設計時に考慮」

硬質膜の開発はどうなっているか 「耐摩耗性および摺動特性の付加が目的」

チタン系硬質膜の特性と応用 「最近利用されているTi系硬質膜」

クロム系硬質膜の特性と応用 「代表的なものはCrとNの化合物」

ダイヤモンドの特性と膜生成 「期待は高いが研究途上」

ダイヤモンドに似た特性をもつDLC膜 「ダイヤモンド膜より広範囲で期待も高い」

他の物質ではあり得ない特性をもつDLC膜 「使用条件に合わせて選定」

硬質膜の密着性を評価する方法 「硬質膜の評価法にはスクラッチ試験法と圧痕試験法を利用」



第6章

熱を利用する表面処理



表面熱処理とは 「金属表面に所用の性質を付加する熱処理」

耐疲労性に優れる表面焼入れ 「表面だけ硬化させる」

シャフトや歯車に使われる高周波焼入れ 「最も利用されている表面硬化法」

広範に応用される浸炭・浸炭窒化処理 「表面の炭素含有量を増加させる」

浸炭焼入れの実際 「浸炭深さと浸炭時間」

窒化と軟窒化処理 「広範囲の分野で採用」

窒化処理の実際 「鋼中の合金元素が重要」

浸硫、浸ほう、水蒸気処理 「耐摩耗性主体の浸炭・窒化にはない特長」

金属元素の拡散浸透処理 「耐食性や耐熱性の付加を目的とする」

防錆期間が長く経済的な溶融めっき 「表面に溶融金属の皮膜を形成、鋼の防錆」

最も応用範囲が広い表面処理法─溶射 「溶射材料と処理物の組合せは無限」

JISに規定されているいろいろな溶射 「耐食・耐摩耗性をはじめ各種機能性が得られる」



第7章

非金属被覆処理



塗料─塗装対象は大きさ、形自由 「塗装の目的は防食と装飾」

溶剤塗装─小物から大型構造物まで幅広く利用 「はけ塗りやローラー塗りなど、広範囲で利用」

水や溶剤を使わない粉体塗装 「防食目的に有効」

ライニング─化学工業など多くの分野で利用 「内ばり─防錆・防食を目的に利用される」

印刷方式の種類 「版式により4種類がある」



【コラム】

●太陽電池と表面処理

●硬質薄膜の真の硬さは?

●泡の立たない攪拌技術

●環境規制と表面処理

●ペットボトルへの内面コーティング

●パチンコ玉と表面処理

はじめに

はじめに



製品や部品を長持ちさせたい、きれいな色にしたい、などは大昔からの人類共通の願望でした。そのためには、使う環境や使い方にもっとも適した材料を選ばなければなりませんが、材料単独では到底これらの願望を十分に満足させることはできません。ところが表面処理は、手っ取り早く、より確実にこれらの願望を満たすことができるため、昔からいろいろな手法が考案されてきました。

しかし、当初の願望が満たされてしまうと、さらに上位ランクへの願望もしくは新たな願望がめばえ、より効果的な表面処理を要求するようになります。また、製品や部品の種類によって要求される性質は異なりますし、同じ製品や部品であっても利用しようとする人によっても期待する効果は異なる場合が多いのです。

表面処理の従来の役割は主に装飾(着色)や防食(防錆)でしたが、種々の要求に応じて次々に処理法が開発されてからは、広範囲の役割を担うようになり、現在ではすべての材料、すべての産業分野が表面処理の適用対象になっています。

表面処理の目的は、耐摩耗性や耐食性の付加など従来の基材の保護や機能性向上を図ること、電気的特性や光学的特性の付加など従来の基材とはまったく異なった機能を課せること、の二つにわけられます。さらに、一つの要求だけでなく複数の要求を満たすために、一つの製品や部品に対して数種類以上の表面処理が複合的に組み合わされている例も多いのです。

例えば、コンピュータには欠かせないハードディスクは、基材にはアルミニウムを用い、磁気記憶媒体としての磁性膜をコーティングする前に、磁性膜を支えるためのニッケルーリンめっきが施されています。さらに、磁性膜の上には製品の長寿命化および安定化を目的とした保護膜や潤滑膜がコーティングされています。すなわち、表面処理がなかったら、ハードディスクは存在しないのです。

表面処理は、このような複数以上の要求であっても十分に満足させることも可能ですから、採用する側としての期待は非常に大きいのです。しかし、安易に表面処理を採用してもコストアップの割には思ったほどの効果が得られないこともよく見かけます。また、すばらしい効果は得られているのですが、明らかに過剰品質なものもあります。これらは、採用者側の表面処理に対する認識不足から生じたことなのです。

本書は、このような表面処理を利用しようとしているユーザーに対して、はじめての方でも理解できるようにやさしく解説しています。また、まったく異なる表面処理であっても最近では複合的に利用する例も増えており、表面処理業界では自社の取り扱い品目だけでなく他の表面処理に関する認識も必要になっています。さらには、自社で取り扱っている表面処理の基礎技術を十分に理解せずに、業務に携わっている従業員も増えているのが現状です。

表面処理とは材料の表面をなんらかの方法で処理加工することであり、その種類は膨大ですからすべてをここで網羅するのは不可能です。そこで本書では、その中から主に機械部品によく利用されている表面処理について紹介しています。個々の表面処理について、さらに詳細な内容を知りたい方は156頁で紹介している参考図書をぜひ活用していただければ幸いです。



二〇〇九年 八月

著者

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