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目で見てわかる
金属材料の腐食対策

定価(税込)  3,024円

著者
サイズ A5判
ページ数 288頁
ISBNコード 978-4-526-06203-2
コード C3057
発行月 2009年03月
ジャンル 金属

内容

金属は構造材をはじめとして多種多様なところに使用されているが、使用環境によっては腐食が深刻な問題になっていることが多い。本書は、各種金属材料のさまざまな腐食の事例を元に、その原因を追究し、具体的な対策方法をカラー写真も交えて解説する。

目次

目次





まえがき



第1章 金属腐食の科学

1.1 腐食問題へのアプローチ

1.2 腐食研究の沿革

1.3 金属の腐食防止と環境問題

1.4 さびと腐食生成物

1.5 不働態皮膜と保護皮膜



第2章 金属腐食の原理と基礎

2.1 金属の腐食と電池作用

2.2 酸化・還元と腐食反応

2.3 金属と溶液の界面

2.4 電極電位の表し方

2.5 標準電極電位とルネンスト式

2.6 金属の電位―pH図

2.7 平衡電位と腐食電位の関係

2.8 電気化学測定による腐食機構の推定

2.9 腐食速度の推定



第3章 局部腐食の形態

3.1 腐食の形態と腐食事例

全面腐食と局部腐食/異種金属接触腐食/アルカリ腐食/炭酸腐食/硫酸露点腐食/微生物腐食/微生物誘起腐食/マクロセル腐食/迷走電流腐食/水素侵食

3.2 局部腐食の種類と形態

孔食/すき間腐食/粒界腐食/極性逆転による局部腐食/エロージョン・コロージョン(潰食)/キャビテーション損傷/脱亜鉛腐食/黒鉛化腐食/ 溝状腐食/加工フロー腐食/海水中の集中腐食/擦過腐食/変色/バイオ・ファウリング/白亜化/塗膜下腐食

3.3 割れを伴った腐食

応力腐食割れ/時期割れ/アルカリ脆性/水素脆性/硫化物応力腐食割れ/腐食疲労



第4章 金属材料の耐食性と腐食事例

4.1 炭素鋼

4.1.1 炭素鋼の性質と腐食

4.1.2 中性域の炭素鋼の腐食

4.1.3 酸・アルカリ域の炭素鋼の腐食

4.1.4 炭素鋼の腐食防止

4.1.5 溶融亜鉛めっき

4.1.6 樹脂ライニング鋼管

4.1.7 鋳鉄

4.2 ステンレス鋼

4.2.1 ステンレス鋼の耐食性

4.2.2 ステンレス鋼の種類と用途

4.2.3 溶接と金属組織の鋭敏化

4.2.4 ステンレス鋼の溶接と酸化スケール

4.2.5 ステンレス鋼の局部腐食

4.2.6 ステンレス鋼の微生物腐食

4.3 銅

4.3.1 銅の腐食と耐食性

4.3.2 銅管の腐食と対策

4.4 銅合金

4.4.1 銅合金の種類

4.4.2 黄銅

4.4.3 青銅

4.4.4 水質と耐食性

4.4.5 銅合金の応力腐食割れ

4.5 ニッケルおよびニッケル合金

4.6 アルミニウム

4.7 チタン、タンタル、ジルコニウム



第5章 環境の腐食性と腐食事例

5.1 水質と腐食性因子

5.1.1 純粋のpH

5.1.2 淡水のpH

5.1.3 アルカリ度(酸消費量)、酸度

5.1.4 カルシウムおよびマグネシウム硬度

5.1.5 溶存酸素と溶存気体

5.1.6 残留塩素

5.1.7 塩化物イオンおよび硫酸イオン

5.1.8 溶性ケイ酸

5.1.9 電気伝導率(導電率)

5.1.10 水道水の水質基準

5.2 淡水中の腐食

5.2.1 淡水腐食と腐食性

5.2.2 水源と水質

5.2.3 淡水腐食のメカニズム

5.2.4 水質と腐食の要因

5.3 海洋・港湾環境と耐食性

5.3.1 海水・海上の腐食特性

5.3.2 海水の組成と耐食性

5.3.3 船舶の腐食と防食

5.3.4 海洋構造物の腐食と防食

5.3.5 港湾構造物の腐食と防食

5.4 土中の腐食

5.4.1 土壌の腐食性

5.4.2 鉄筋コンクリート構造物の劣化

5.5 金属材料の大気腐食

5.5.1 大気腐食の腐食機構と防食

5.5.2 炭素鋼の大気腐食と防食

5.5.3 亜鉛めっき

5.5.4 ステンレス鋼の耐候性

5.5.5 腐食の進行性

5.5.6 銅の大気腐食



第6章 腐食防止方法

6.1 インヒビターおよび水処理

6.1.1 インヒビターによる防食

6.1.2 防錆剤の分類と腐食抑制率

6.1.3 インヒビターの種類

6.1.4 水処理による防食

6.2 被覆防食

6.2.1 被覆防食の方法

6.2.2 塗膜の役割と劣化

6.2.3 塗料の構成

6.2.4 防食用塗料の種類

6.2.5 塗装による防食および重防食

6.2.6 塗膜の構成

6.2.7 塗装と環境問題

6.3 カソード防食

6.3.1 カソード防食とは

6.3.2 防食電位と防食所要電流

6.3.3 流電陽極法

6.3.4 外部電源法

6.3.5 防食電位と維持管理



第7章 腐食試験法および腐食モニタリング

7.1 腐食試験の目的

7.2 試験片の調整

7.3 促進腐食試験

7.4 実地腐食試験

7.4.1 大気暴露試験

7.4.2 海水腐食試験

7.4.3 土中腐食試験

7.4.4 淡水中の腐食試験

7.4.5 高温水ループ試験

7.5 材料の耐食性試験法

7.5.1 ステンレス鋼

7.5.2 銅合金

7.6 腐食モニタリング

7.6.1 ER法

7.6.2 LPR法

7.6.3 ガルバニック・カップル

7.6.4 ECN法

7.6.5 腐食診断



索 引

はじめに

はじめに



環境・資源問題への対応は腐食・防食技術分野においても変革が求められている。これまで効果的な防錆剤として使われてきたクロメートも使用できなくなった。リン酸塩系の水処理剤も低リン化、非リン化が求められている。塗装分野では、クロムや鉛を含む防錆顔料は実質的に使えなくなり、VOC(揮発有機化合物)の規制もあって従来の油性塗料から水性塗料・粉体塗装へと移行し、より耐久性のある重防食塗装が求められるようになった。鉛の溶出問題は、水道用鉛管のみならずハンダや快削黄銅などの合金に含まれる鉛をも排除しなければならなくなっている。一方、レジオネラ属菌による感染症を予防するため、殺菌剤としての塩素を注入する機会が増え、強い酸化性による配管などの腐食劣化が懸念されている。

このような課題を克服するための技術開発も進んでいる。ステンレス鋼は新しい鋼種が次々と開発され、様々な用途に適用が進んでいる。近時、レアメタルの高騰によりニッケル、モリブデンを含まない高純度フェライト系ステンレス鋼も注目されている。社会基盤としての橋梁、道路、埋設パイプラインなどには膨大な鋼材が使用されているが、塩害や腐食性環境にさらされている。鉄鋼構造物を健全に維持し、耐久性を高めるためには腐食を監視し、メンテナンスを怠らないことが肝要である。腐食による経済的損失は莫大な額にのぼることはつとに指摘され、腐食損失の約3分の1は既存の知識を活用することで回避できると考えられている。そのためには、多くの研究者・技術者が腐食現象に関して正しい理解をもつことが必要である。

本書は、現実の腐食問題を意識しつつ、腐食の原因を解明し、どのように腐食防止を行ったらよいかを系統的に理解することを目指している。そのために機械系の人にとっては多少苦痛かも知れないが腐食・防食工学を構成する電気化学、水質化学の基礎を理解してもらえるよう努めたつもりである。



平成21年3月 著者

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