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おもしろサイエンス
レアメタルの科学

定価(税込)  1,620円

監修
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06104-2
コード C3034
発行月 2008年07月
ジャンル ビジネス 環境

内容

レアメタルとは、現代の産業になくてはならないものだが、存在量、採取・精錬するコストなどから希少な金属で、しかも産地が一定地域に偏在しているため、安定供給が難しい。そこでレアメタルとは何なのかから、その希少性、応用分野、将来までも科学的な視点から解き明かしていく。

目次

はじめに



第1章 レアメタルっていったい何だろう?



まえがき―産業のビタミン=『レアメタル』―必要不可欠なもの

レアメタルとメジャーメタル―取り出すことが経済的、技術的に難しい

多種多様に使われるレアメタル―不足すると多大な支障

レアメタル供給国から転換し始めた中国―進む国家的備蓄

地下鉱床をいかに発見するかがカギ―複雑・困難な精錬

なかなか正体がわからなかった―アルミニウムも昔はレアメタル





第2章 希土類元素ってなに?



まえがき―知られなくても必要不可欠―今後さらに

埋蔵量はあるものの、取り出すのは難しい―まるで”17人っ子“のよう

独自の光学特性や磁気特性をもつ―限りない魅力

希土類元素の一般的な活用―それはガス灯から始まった

日本は世界一の希土類使用国―生産は中国頼み?



第3章 レアメタルいろいろ



まえがき―まさに特性発揮の新金属―産業界を牛耳る

高耐食性・強磁性体―硬貨、ステンレス鋼に使われるニッケル

空飛ぶレアメタル―用途の半分以上が航空機に使われるチタン

欧米では重要な戦略物資―放射線利用のコバルト

電球と電池―タングステンとリチウム

液晶パネルになくてはならい―今”花形“のインジウム

用途多彩な資源―共存するニオブとタンタル

社会で不可欠な機器を支える―コピー機はセレン、磁石はネオジム

半導体の代表格―ラジオで身近なゲルマニウム

X線透過率が大きいベリリウム―日本は輸出国!?

「魔法」のマンガン―「色」のクロム

色を司る元素が多い希土類―光の増幅作用も

鉄より強く、アルミより軽いホウ素―ゴキブリ駆除のホウ酸ダンゴも

セラミックスとレアメタル―特別な性能をもつものを作る





第4章 レアメタルと健康



まえがき―薬毒表裏一体―薬にもなるが毒にもなる

必要だが、毒にもなるニッケル―バナジウム・セレンは必須元素

人体に有害なベリリウム―リチウムはうつ病の治療薬

人体に不可欠なクロム―ボローニアの石から生まれたバリウム

人工骨から毒殺まで―タンタル、ホウ素、セレン、バナジウムetc

毒性、さらなる研究必要―環境変化も影響





第5章 レアメタルの将来は?



まえがき―様々な状況、要因が絡み合う―備蓄、代替、リサイクル

枯渇の危機にあるレアメタル―消費の増大と価格の急騰

期待されるレアメタルリサイクル―特にインジウムは必死

製品のリサイクルはまだまだ―日本工業界の喫緊の課題

省レアメタル、脱レアメタル研究も―供給の安定化も重大な問題

蛍光灯のリサイクルも進まず―技術的、コスト的課題多し

コバルトに替わってニッケル、マンガン―電池に新材料

資源の宝庫、海、宇宙、南極―レアメタルも期待大

レアメタルパニックとはいったいどういう事?―丸太の上を歩いているようなもの

150兆円を支えるレアメタル―自給率をどうやって上げていくかが課題





コラム



炎の色の競演

2500℃で生活守る

名残惜しい名前

ダイコンと月

ノーベル賞につなげた恋人

元素の王国

親娘と名前

粘土から銀

都市鉱山は資源の宝庫

世界のターミナルに

飛んだ、走ったキドカラー

はじめに

はじめに



日本は、一年間で世界の約10%の鉱物資源を使っている国です。そして、そのほとんどが海外からの輸入であり、100%自給できる鉱物資源は皆無に近いと言われています。

その中でも、現在の日本の高度先端技術を支えているのが「レアメタル」です。人によっては片時も手放せなくなった携帯電話などは、レアメタルなしでは機能しないものですし、パソコン、テレビ、CD、自動車など、私たちの日常生活に欠くことのできないものから、超高層ビル、巨大船舶、宇宙ロケットにいたるまで、レアメタルは使われ、まさにレアメタルなしでは、現代の文化的生活が成り立たないと言っても過言ではありません。

例えば、鉄にわずかなレアメタルを添加するだけで、鉄はそれまでとは見違えるような素晴らしい変化をみせ、いままでとは違う役に立つ特性をもつようになります。そしてそれは、環境問題や、私たちの健康にも寄与しているのです。空気を汚す排気ガスを浄化する触媒などはその代表例ですし、医学面でもX線や医療器具、さらに薬にもレアメタルは登場します。そのため、レアメタルは別名『産業のビタミン』などとも言われます。

私たちは、健康維持・増進のためによくビタミン剤を飲んだりしますが、産業とレアメタルの関係も同じようなことがいえます。日本の産業の健康維持・増進のためにはレアメタルは欠かせないビタミンなのです。ただ、私たちが日常にビタミン剤を飲むのと違う点は、私たちの体の場合は、普段の食事でビタミンは賄われ、ビタミン剤はその補助的なものであるのに対して、現在の日本の産業におけるレアメタルは、まさにその服用が必須であり、服用しなければ日本の産業はガタガタになる、つまり健康体でいられなくなる、ということです。

レアメタルは、「レア」という言葉が示すように、「希少なもの」です。というのは、採掘・生産が難しく、量的な供給がなかなかできないためです。一方で、「産業のビタミン」であるレアメタルの需要は今後とも増大していくことは間違いありません。となると、レアメタルのほとんどを輸入に頼っている日本は、供給先(外国)で大災害や戦争など大きな変化が生じたとき、それが思うように手に入らなくなったり、価格がハネ上がったりするというリスクを背負っています。そのため政府は、レアメタルの備蓄に傾注していますが、それは緒についたばかりです。

本書では、そのようなレアメタルの現状を見るとともに、その類い希なる特性などをわかりやすく解き明かし、レアメタルの発見・採掘・生産などをも解説しています。そして、それによって、レアメタルというものをより身近に感じてくれれば、と思っています。(なお、本文中にある埋蔵量や採掘可能年数などは、世界の統計がそろっていないケースも多いため、諸説あります)。

監修は、一世を風靡したカラーテレビ『キドカラー』の開発に参加し、レアメタルの希土類元素の活用では、日本の先駆者の一人ともいえる山口英一氏です。

また、この企画に尽力してくれた日刊工業新聞社の藤井浩氏には、深く感謝する次第です。



2008年 7月



レアメタルと地球の研究会

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