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コストダウンが会社をダメにする
―スループット向上で全体最適―

定価(税込)  2,052円

著者
サイズ 四六判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06101-1
コード C3034
発行月 2008年07月
ジャンル 経営

内容

コストダウン活動を熱心に展開したにもかかわらず、儲かるどころか減益になった企業も多い。本書は、モノづくりにおけるコストダウンの考え方を整理し、人と設備に関わる費用と製品原価の関係を明らかにしたうえで、全体最適という観点からコストダウンのターゲットを絞り込むよう主張している。

目次

目 次

はじめに

第1章 コストダウンのどこが問題なのか

1・1 日本企業に蔓延するコストダウン・シンドローム

1・2 こんなコストダウンが問題だ

(1) コストが高過ぎて売れない

(2) コストの安い外注会社を使う

(3) 子会社は自立すべきだ

(4) 日本は人件費が高いから海外生産を増やす

(5) 現場はコストダウン努力が不足している

1・3 コストダウン活動がターゲットとするコストとは

1・4 コストダウンが悪者にされるようになってきた

第2章 大事なことはコストダウンではなくスループットの向上だ

2・1 TOCスループット会計を見直そう

2・2 スループット会計に欠けていたもの

2・3 スループット・マネジメントによる利益管理

2・4 スループット・マネジメントと損益分岐点管理

2・5 スループット・マネジメントと直接原価計算

2・6 スループット・マネジメントの着眼点

2・7 利益管理や売上高管理ではなぜいけないのか

2・8 スループット・マネジメントにおける各部門の役割

(1) 営業部門の役割

(2) 生産部門(工場)の役割その1―ボトルネックの解消

(3) 生産部門(工場)の役割その2―外部購入費の削減

2・9 日産自動車とトヨタ自動車の違い

第3章 スループット・マネジメントの進め方

3・1 スループット・マネジメントの大まかな流れ

3・2 初回現状分析(SEE)の進め方

(1) スループット・バランス分析

(2) 在庫の増減による影響を取り除く

(3) 連結決算書の限界

(4) 一人当たりスループット額で比べる

(5) 事業戦略分析

(6) 企業風土(社風)に気をつける

3・3 計画策定(PLAN)の進め方

(1) トップダウンによるスループット目標額の設定

(2) ボトムアップ数字と調整して全社目標スループット額を決定する

(3) 各営業部門に目標額を分割する

(4) 外部購入費の削減目標を決める

(5) 移転価格の決め方

(6) 実行計画を作成する

(7) 製造部門が手不足の場合にどうするか

(8) 生産計画が機能しないとスループットを稼げない

3・4 実行段階(DO)の進め方

(1) 営業部門におけるスループット進捗管理

(2) 製造部門の活動状況をチェックする

(3) 作業経費の増減をチェックする

(4) 利益を生み出すコツは足し算思考

(5) 決裁者は何を決裁したらいいのか

3・5 実行内容を評価する(二度目のSEE)

(1) 目標と実績の比較評価

(2) 各部門の貢献度評価

第4章 スループット・マネジメントの限界

4・1 財務会計には使えない

4・2 個別原価思考が必要な時

4・3 ストック投資型ビジネスには向かない

第5章 製造業以外の業種におけるスループット・マネジメント

5・1 流通業者とスループット・マネジメント

5・2 サービス業者とスループット・マネジメント

5・3 建設・土木業者とスループット・マネジメント

5・4 行政機関とスループット・マネジメント

第6章 スループット・マネジメントの応用

6・1 スループット・マネジメントと景気対策

6・2 人件費を節約してもGDPは伸びない

6・3 景気拡大のために企業は何をするべきか

(1) 輸出拡大でスループットを増やす

(2) 個人支出を増やして企業のスループットを増やす

(3) 貯蓄や借金を投資に回して企業のスループットを増やす

(4) 各企業自ら、スループットを増やす努力をする

6・4 団塊世代の退職とスループット

6・5 行政が取り組むべき景気拡大策とは

6・6 スループット向上は個人の問題でもある

参考文献

はじめに

はじめに

本書に書いた内容は、決して目新しいものではありません。本書で言いたいことは次の点に集約されます。「企業から支出される以上の金を稼がなければ、黒字にはならない」。本書を手に取った読者の中には、何で今さらこんな当たり前の話を本にして出版するのであろうか、という疑問を持たれた方もおられるのではないでしょうか。ところが、この当たり前の話が思った以上にビジネス社会に浸透していないのです。

たとえば、二〇〇八年の四月一日にガソリン税の暫定税率部分が失効したことによる混乱が世の中を騒がせました。この時に、高い税率で仕入れたガソリンを安く売るとコスト割れするから、値下げは在庫がなくなってからにしようとしたガソリン・スタンドがありました。また、系列店に対して値下げをしにくくした大手石油会社まであったとのことです。

ガソリン・スタンドのコストは石油の仕入れ価格だけではありません。従業員の人件費などの運営コストも発生しています。これらのコストをまかなうには、ガソリンを売って金を稼がなければなりません。コスト割れを気にして高い価格を設定したままのガソリン・スタンドには、ほとんど客を来ないでしょうから、いつまでたっても金は稼げません。高い価格で仕入れた在庫がいつまでも売れ残ったままで、運営コストが出て行くだけとなってしまいます。損失を少なく抑えたいのであれば、安く売らないのではなく、他店よりも早く値下げして高い価格で仕入れた在庫を売り切ってしまい、安い価格で仕入れたガソリンを早く売るようにしなければなりません。新聞報道によると、この当たり前の話に気づかずに、従来価格のままで販売したガソリン・スタンドが半分弱もあったとのことでした。しかし、翌日にはほとんどのガソリン・スタンドが値下げを余儀なくされました。

この話は例外であると思われる読者もいるかもしれませんが、実際に企業のコンサルティングをしていると、大企業の経営層や管理職でも金を稼がなければ利益は得られないという「原則」を忘れて、企業を経営している人に出会うことがあります。とくにガソリン・スタンドの事例のように、コストという言葉に翻弄されて、原則を見失ってしまう人が数多くいます。こうした人たちに原則を再認識してもらおうとしても、なかなかうまくいきません。なかにはコストダウンがすべてとばかりに、コストダウンに力を傾注してしまう人もいます。まさにコストダウン原理主義者といった感じです。

彼らに先の原則を理解してもらうのに適当な参考文献でもあればいいのですが、原価計算やコストダウンに関する書籍はあっても、コストダウン活動だけでは利益は得られないということにまで踏み込んで解説しているものはほとんどありません。あまりに当たり前過ぎる話のため、本にしにくいからでしょうか。しかし、この状態のままで日本の企業経営は儲けを続けていけるのでしょうか。

本書の第1章では、日本企業のコストに関する誤解を事例で紹介します。読者の会社ではこうした問題は起きていませんか。第2章は改善の考え方を説明しました。本書ではそれをスループット・マネジメントと名付けましたが、基本はTOC(制約条件理論)のスループット会計です。第3章は、スループット・マネジメントの具体的な活用方法を解説しました。ここでは、スループット会計がほとんど触れていない基礎的な数値管理部分に関して、重点的に解説しました。この部分が抜けてしまっていては、金を稼ぐ大切さが伝わらないからです。第4章はスループット・マネジメントの限界をまとめました。適用にあたってはこうした限界にも配慮する必要があります。第5章は、製造業以外の業種でスループット・マネジメントを適用する際の留意点をまとめました。第6章は、スループット・マネジメントの発展系として、景気対策などでの観点を紹介しました。スループット・マネジメントは企業経営のみならず、社会全体にも応用できる考え方であることがわかっていただけると思います。

最後になりましたが、本書の出版にあたっては、さまざまな方にお世話になりました、会社の同僚、そして中小企業診断士の研究会、書籍や雑誌の執筆活動を通じて知り合った友人から有意義な助言をいただきました。また、クライアント企業の皆様からは、実際に企業経営の世界で起こっているいろいろな問題事象を学ぶことができました。そうした皆様のおかげで本書を執筆することができました。とても感謝しております。

本書を通じて、企業の業績が拡大し、日本の景気が良くなっていくことを切望しています。



二〇〇八年五月

本間 峰一

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