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設計検討って、どないすんねん!
―現場設計者が教える仮説検証型設計のポイント―

定価(税込)  2,376円

編著
著者
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サイズ A5判
ページ数 256頁
ISBNコード 978-4-526-06096-0
コード C3053
発行月 2008年07月
ジャンル 機械

内容

本書でいう「設計検討」とは、上流設計に当たる分野で機械製図の前後にある実務技術のこと。「設計検討のネタ帳」を目指し、構想設計、詳細設計、試作評価、生産準備など、設計の検討段階に当たる技術をまとめている。もちろん「図面って」シリーズお馴染みのコンテンツ満載。

山田 学  著者プロフィール

S38年生まれ、兵庫県出身。(株)ラブノ−ツ 代表取締役。
カヤバ工業(株)(現、KYB(株))自動車技術研究所にて電動パワーステアリングとその応用製品(電動後輪操舵E-HICAS など)の研究開発に従事。
グローリー工業(株)(現、グローリー(株))設計部にて銀行向け紙幣処理機の設計や、設計の立場で海外展開製品における品質保証活動に従事。
兵庫県技能検定委員として技能検定(機械・プラント製図)の検定試験運営、受験指導、採点などに関わる。
平成18年4月 技術者教育を専門とする六自由度技術士事務所として独立。
平成19年1月 技術者教育を支援するため(株)ラブノーツを設立。(http://www.labnotes.jp)
著書として、『図面って、どない描くねん!』、『設計の英語って、どない使うねん!』、『めっちゃ使える! 機械便利帳』、共著として『CADってどない使うねん!』(山田学・一色桂 著)、『技術士第一次試験「機械部門」専門科目 過去問題 解答と解説(第2版)』、『技術士第二次試験「機械部門」完全対策&キーワード100』(Net-P.E.Jp編著)などがある。

青山繁男  著者プロフィール

博士(工学)、技術士(機械部門)、エネルギー管理士(熱)。S33年生まれ。滋賀県出身。電機メーカー勤務。電機メーカーの家電部門にて空調用熱交換器、蓄熱空調システム等を含む蒸気圧縮式冷凍サイクル、電子機器冷却デバイス等の研究開発に従事 。

岡田 浩  著者プロフィール

技術士(機械部門)、機械設計技術者(1級)。S40年生まれ。福岡県出身。電機メーカー勤務。技術本部、IT推進総括部などに所属し、構造・熱・樹脂流動CAEの活用に関する社内外の教育・推進や、金属材料の疲労寿命予測、電子機器の放熱対策、機構部品・樹脂成形品の加工プロセスを考慮した強度設計などのコンサルティング活動に従事。現在は、生産コア技術部に所属し、樹脂材料を用いた様々な工法の研究・開発などに従事。また、NPO法人CAE懇話会の関西支部の幹事や、機械学会‐計算力学部門の講演会運営など、社外の活動などにも携わっている。

古賀祥之助  著者プロフィール

技術士(機械部門・総合技術管理)。S45年生まれ。大阪府出身。ガス会社勤務。大阪大学工学部卒業。平成6年から石川島播磨重工業株式会社(現IHI)の技術研究所にて、ガスタービンのタービン部品の強度解析や評価、タービン翼設計に従事した。平成10年からガス会社にて、コージェネレーションシステム開発、不具合改善や信頼性向上に関する技術開発および信頼性評価に従事している。

佐野義幸  著者プロフィール

技術士(機械部門)、一般計量士、一級土木施工管理技士。S40年生まれ。大阪府出身。EHテクノロジー代表。旧川崎製鉄(株)(現JFEスチール(株))のグループ会社にて自動車関連工場の自動化設備の機械設計に始まり、産業用計量設備・化学プラント・製鉄プラントなどの大型設備の計画・設計に従事。また技術士(機械部門)の受験指導も行っている。

目次

はじめに 設計現場で検討すべきこと



第1章 設計検討とは?!

1-1 設計業務の整理

1-2 開発プロセスとナレッジデータ

1-3 設計検討とは



第2章 生産が始まってから検討できない設計の基本事項!

2-1 設計の基本-信頼性

2-2 設計の基本-安全性

2-3 設計の基本-環境性



第3章 構想段階で採用する方式を決定する!

3-1 動かすための動力を選ぶ-熱機関原動機

3-2 動かすための動力を選ぶ-アクチュエータ

3-3 五感でセンシングする

3-4 思い通りに動かすために制御がある

3-5 熱を移動させる

3-6 熱を冷ます、食い止める

3-7 事前に不具合を洗い出すFMEA活用例

3-8 省エネルギー化のアプローチ例



第4章 詳細段階で要素別ノウハウを設計に盛り込む!

4-1 戦略的に特許を出す

4-2 鉄鋼材料を使う

4-3 樹脂材料を使う

4-4 歯車で動力を伝達する

4-5 ばねに蓄えた力を利用する

4-6 部品同士をねじで締結する

4-7 部品同士を溶接する

4-8 回転を支える軸受

4-9 シールで密封する

4-10 表面を錆から守る・硬化する・飾る

4-11 磨耗を減らす潤滑剤

4-12 受ける力に耐える

4-13 繰り返し(疲労)に耐える

4-14 振動を抑える

4-15 ハーネスをレイアウトする



第5章 現場・現物を知る!

5-1 金属を削って作る

5-2 板金を曲げて作る

5-3 樹脂を溶かして固めて作る

5-4 データからすぐに模型を作る

5-5 トラブルと対策事例

はじめに

設計現場で検討すべきこと



「これは、なぜこの材料使ってんの?」客先のエンジニアから、なにげない素朴な質問が投げかけられます。「え!?さぁ?・・・何でなんでしょうね・・(>_<)」。

設計者は、ある前提が与えられた上で「要求された品質(Q)を満足すること、要求されたコスト(C)を満足すること、要求された納期(D)に間に合わせること」を使命として設計に取り組んでいます。しかし、その前提、つまり昔からの構造、昔からの材料、昔からの・・・と先輩たちが歴史を持って作り上げてきた内容の経緯も知らずに、それが当たり前であり、それを基にしていかに早く設計ができるかを競って設計している毎日です。



追い討ちをかけるように客先のエンジニアが疑問を投げかけます。

「え?、お宅の業界では普通かもしれないけど、一般常識から考えると、こんな材料使わないっしょ?」

「いやっ、工場にはこの材料がたくさんあるんで、コスト的に選定してると思うんですけど・・」

「ほんとに?なにか機能上の理由があってこの材料を使ってんじゃないの?」

「う、う?ん・・」ヾ(〃°▽°)ノアセアセ



開発の短納期化の手段として、様々な開発手法や管理ツールが取り入れられました。

さらに関連部門である製造や品質保証、営業、保守部門が開発初期から関わり、意見をいいます。

そのため、設計者は、製品の成り立ちや開発の背景、過去の開発の経緯も理解せずに納期を守ることだけの設計を行ってしまいます。

以前の設計現場では、若い技術者が設計を始める前に課長や係長が机にひざを突き合わせ、設計する製品の歴史や技術的なポイントを詳しく説明してくれたものです。この会話の中で注意すべき点、絶対崩してはいけないポイントなど上司の経験談を聞き、担当者が誤った方向に進まないようにさまざまな知識を身に付けたものです。そう、この会話こそが上司の技術を盗む絶好の場面だったのです。



ところが、開発期間の短縮化やリストラによるベテラン設計者の異動などで、若い設計者は製品の経緯や設計のテクニックをベテランから盗めなくなりました。ただ時間に追われてCADを使い従来機種のモノ真似をして形を作ることが設計だと勘違いするようになったのです。

上司からかけられる言葉が「いつできる?」では、成り行きの設計をしてしまうのは仕方ないことです。







開発する製品を客先でプレゼンテーションを行う際に、性能や信頼性、加工技術などのエンジニアリングな質問はある程度想定して挑みます。

ところが過去の歴史や経緯も知らないと、冒頭で触れたように、原点に戻って「素朴な疑問」をされると、何も答えられないということがよくあります。



また、事前に検討すべきポイントを抑えていなかったために不具合を予測できず、生産段階になって不具合が多発し、対応に追われる日々が続きます。

特急で不具合調査→対策案の検討→対策部品の手配→試験評価→評価結果レポートの作成→図面変更の繰り返しで、設計しているときよりもさらに悲惨な生活状況に陥ります。



この緊急事態の中で不具合原因を追求し、技術レポートを夜遅くまでかけて書き上げる作業のことを、技術的に高度な作業でエンジニアリングな業務だと、忙しさのあまり感覚が麻痺し勘違いしてしまっては本末転倒です。

不具合対応とは、部品の作り直しや組み直しおよびそれに関わる人件費など企業利益を食いつぶす作業です。きちんと設計段階で検討できていれば、毎晩遅くまで仕事をしなくても良いし、その余力をコストダウンや次機種の構想、人材育成など企業にとって利益を生み出す作業に使えたはずです。そのプラスマイナスを考えると会社にとっては大きな損害です。



不具合を出さないよう設計段階で事前に検討しろといわれても、何を検討して良いのかがわかりません。

まずは相談からと思い、上司を探すと1日中会議で不在、ベテランの先輩を・・と周りを見回しても、そんな人はどこにもいません。そこで、歳の近い先輩を頼りにしようと思っても、一心不乱にCADに向かって設計しているので声をかけられる状況ではありません。

これでは、担当者のイライラ感が募るばかりです。

思わず、「え?いっ、設計検討って、どないすんねん!」(ノー"ー)ノ ┫ ゜・∵

と、叫びたくなりますよね。

経験年数だけでベテランとして扱われて大丈夫ですか?

設計検討は、次のような視点で物事を捉えることから始めます。

課題提起:「過去にどんな不具合が発生し、原因は何だったのか?」

課題提起:「省スペース化や新しい機能を追加したことでどんな不具合が予想できるのか?」

課題提起:「フィールドではどんな誤った使い方をされるのか?」

課題提起:「使う世代によって、どんな事態が予測されるのか?」

対策確認:「それらを解決するため、設計上どんなアクションをしたのか?」

まず課題を見つけ出す能力が必要です。技術者としての経験や勘に基づいて課題を自ら探すしか手段はありません。この能力は、上司や先輩たちがどんなことを考えて検討しているのかを技術的なテクニックとして盗んでいくことが一番の近道です。次にそれらの課題を解決するために「やって良いこと」「やって悪いこと」など、設計の注意点を知った上でアクションを起こさないといけないのです。



業種や製品によって設計段階での検討項目や設計の注意点は大きく異なります。しかし、その本質に大きな違いはないと確信しています。

本書は異なる分野の現役技術者5名が、実務設計で行う検討すべき項目や注意点について、大きな設計業務の流れに沿ってアドバイスします。

設計の中でどんな検討項目があるかの知識を増やし、後輩たちを指導できるワンランク上のエンジニアを目指していただきたいと思います。



読者の皆様からのご意見や問題点のフィードバックなど、ホームページを通して紹介し、情報の共有化やサポートができ、少しでも良いものにしたいと念じております。

「Lab notes by六自由度」

書籍サポートページ

http://www.labnotes.jp/



最後に、本書の執筆にあたりお世話いただいた日刊工業新聞社出版局の方々にお礼を申し上げます。



2008年7月 著者一同

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