買い物かごへ

SCIENCE AND TECHNOLOGY
耐震・免震・制震のはなし 第2版
―改正建築基準法対応―

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ B6判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06051-9
コード C3052
発行月 2008年04月
ジャンル 土木・建築

内容

新聞などでも話題になっている改正建築基準法に対応した第2版。法改正を踏まえて、地震に対する構造計算(耐震設計)などの内容を詳しく解説している。構造計算は偽装問題でもクローズアップされた部分で、建物の安全に関わる性能を決める重要な技術である。

目次

目 次



まえがき

第2版 まえがき

1章 日本の建物の耐震性

1.1 日本の地震被害

1.2 建物の耐震性が生死を分ける

1.3 地震被害のシナリオが変わると

1.4 いかにリスクを軽減するか

1.5 建物の耐震性はどれくらいか

1.6 地震に弱い既存不適格建築物

1.7 それでも進まない建物の耐震化



2章 住宅の耐震性能を知る

2.1 住宅品確法とは

2.2 住宅性能表示制度とは

2.3 住宅性能の表示方法

2.4 仕様規定から性能規定へ

2.5 性能を確かめる方法(性能検証法)

2.6 耐震偽装問題と建築基準法の改正

2.7 地震に対してより安全な社会へ



3章 耐震構造・免震構造・制振構造

3.1 構造の種類

3.2 地震に対する建物の構造

3.3 耐震構造

3.4 免震構造

3.5 制振構造

3.6 免震構造に用いられる装置

3.7 制震構造に用いられる装置



4章 建物の揺れの力学

4.1 実験をしてみよう(その1)

4.2 実験をしてみよう(その2)

4.3 建物の揺れと減衰

4.4 振動方程式

4.5 振動方程式の解

4.6 応答スペクトル

4.7 建物の減衰の効果

4.8 仕事とエネルギー

4.9 振動とエネルギー

5章 耐震設計の考え方

5.1 建築基準法の構造規定

5.2 許容応力度等計算および保有水平耐力計算

5.3 限界耐力計算



あとがき

索引

はじめに

まえがき





毎年、地震工学の勉強をするために、海外から大勢の研修生が日本にやって来ます。彼らの中には、生まれてから一度も地震を経験したことがない人が少なくありません。そういう人達が地震のときに示す反応は、不謹慎ですが、見ていて大変興味深いものがあります。理屈で地震と分かっていても、盤石のはずの地面が揺れ出すことに当惑し、泣き出す人や神に祈りを捧げる人もいます。昔から、4つの怖いもの「地震・雷・火事・親父」の筆頭に挙げられるように、地震は人間の本能的な恐怖を呼び起こすようです。



恐怖心をなくすためには、その原因となる敵の姿をよく知ることです。同じ自然災害である台風は、天気予報で事前にその大きさや動きを知ることができますから、あまり恐怖心を持たずに済みます。残念ながら、地震については、いつ・どこで・どれくらいの大きさの地震が起きるのかを正確に予測することは、現在の科学技術をもってしても不可能と言われています。また、その前兆を捉えようとする努力も続けられていますが、まだ決め手となる方法は見つかっていません。さらには、被害をもたらすような大地震はめったにやって来ません。つまり、地震という敵は、こちらが安心した頃を見計らって、突然、巨大な力で襲いかかるのです。



1995年1月17日の早朝に発生した兵庫県南部地震では、その後の震災関連死を含めて6,400名を超える方々が犠牲になり、10万棟を超える家屋が倒壊しました。また、2004年10月23日の夕方には、新潟県中越地方を大地震が多くの余震を伴って襲いかかりました。いずれも我々の記憶にはまだ生々しく残っています。その記憶が残っているうちは、非常食や避難袋を用意したり、家具を壁に固定したりと、多少なりとも地震に対して備えをするでしょう。しかしながら、そうした心がけは、時間と共に風化していくのが現実です。次の大地震が来るときには、すっかり用心を忘れてしまっているかもしれません。まさに「天災は忘れた頃にやってくる」(寺田寅彦)です。



では、地震への備えを意識せずに、命を守るにはどうしたらよいでしょう。それは地震に強い建物に住むことに尽きると考えます。人の命を奪うのは、地震ではなく、崩壊した建物がほとんどだからです。建物を地震に強くする方法には、耐震構造、免震構造、制振構造など、いくつかの方法があります。それらの基本的な考え方を、できるだけ平易に解説しようとしたのが本書です。また、これから耐震工学を学ぼうという学生や技術者にも役立つように、背景となる理論についても述べています。



本書を通じて、少しでも地震という敵の姿を知り、建物の耐震性の向上に関心をもって頂ければ幸いです。



2005年6月5日 斉藤大樹







第2版 まえがき





以前であれば、地震で建物が壊れて、家族の命が失われたら、自然の力だから仕方がないとあきらめていたかもしれません。自分の住む建物は、法律に従って正しく作られていると、誰もが信じて疑うことはなかったでしょう。今、その信頼が失われようとしています。本書の初版が出た同じ年の暮れに、ある建築士が行った不正が明らかになりました。地震に対する建物の強さを決める構造計算書を偽装して、法で定めるよりも弱い建物を数多く設計していたのです。その後、不正とはいえなくても不適切と思われる構造計算が、他の多くの建築士によっても行われていることが分かりました。

ついには、2007年6月に建築基準法が改正され、専門家が行った構造計算書を他の専門家が二重チェックするシステムが導入されました。その結果、建築許可の手続きには今まで以上に時間と手間がかかるようになっています。

改訂版では、法改正を踏まえて、地震に対する構造計算(耐震設計)の内容を詳しく解説することにしました。構造計算は建物の安全に関わる性能を決める重要な手続きです。一般の方には、内容が専門的すぎるかもしれませんが、本書が建物の耐震性の理解に少しでも役立つことを願います。



2008年1月7日 斉藤大樹

買い物かごへ