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射出成形金型設計・製造 ツボとコツ

定価(税込)  2,808円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-06032-8
コード C3053
発行月 2008年03月
ジャンル 機械

内容

プラスチック射出成形加工の高度化、高精密化、意匠の複雑化などにともない、射出成形金型に関するトラブルも増えている。本書はそうしたトラブルに対し、具体的に改善ポイントを明示したトラブル改善指南書で、射出成形関係者必読書。

青葉 堯  著者プロフィール

1936年 栃木県に生まれる
1960年 早稲田大学第一理工学部機械工学科卒業
同年 株式会社東芝(旧社名東京芝浦電気株式会社)入社、総合研究所家電研究所ほか
1990年 同社退社(定年扱)
同年 青葉技術士事務所(化学)開設
 国士館大学講師(非常勤)、早稲田大学講師(非常勤)
現在 ポリマープロセッシングラボラトリー代表
 プラスチック射出成形および金型のトラブル解決
 技術士(化学)、CMfgE(米国SNE)
 (社)日本合成樹脂技術協会(理事)、(社)日本工業技術振興協会(理事)、(協)技術士協同組合(理事)、(社)日本技術士会(会員)、(財)交詢社(社員)

目次

はじめに

第1章 金型設計・製作の基本(CAD/CAM/CAEを含む)
 1―1  金型設計基本事項の理解は? 
 1―2  成形材料の基本の理解は? 
 1―3  射出成形工程の基本原理の理解は? 
 1―4  CAD/CAM/CAEの活用は? 
 1―5  金型の設計手順は? 
 1―6  ひと目でわかる設計改善のポイントは? 

第2章 金型材料・部品(標準部品を含む)
 2―1  金型部品のトラブル対策は? 
 2―2  事例研究:サポートピンの強化は? 
 2―3  金型標準部品の活用は? 
 2―4  金型鋼材強度不足の対策は? 

第3章 金型詳細設計(型部・架台部)
 3―1  金型の重要構造は? 
 3―2  金型の種類は? 
 3―3  金型設計誤差の対策は? 
 3―4  ゲートのトラブルと対策は? 
 3―5  入れ子のトラブルと対策は? 
 3―6  アンダーカットのトラブルと対策は? 
 3―7  冷却水孔のトラブルと対策は? 
 3―8  金型のずれ対策は? 
 3―9  金型クラックの対策は? 
 3―10 金型抜け不良の対策は? 
 3―11 ノック不良の対策は? 
 3―12 金型のかじりの対策は? 
 3―13 金型ピン折れの対策は? 
 3―14 金型の固着(スティッキング)の対策は? 
 3―15 金型パーティングロックの不具合は? 
 3―16 金型のデポジットの対策は? 
 3―17 金型の錆防止は? 
 3―18 金型表面の荒れ対策は? 
 3―19 ガイドピンのトラブル対策は? 

第4章 金型工作(切削加工・放電加工・研削加工)
 4―1  金型製作誤差の対策は? 
 4―2  金型製作の手順は? 
 4―3  事例研究:放電加工の注意点は? 
 4―4  金型納期短縮の対策は? 
 4―5  低価格短納期金型の利用は? 

第5章 金型組立調整(仕上げ・みがき・調整)
 5―1  手仕上げの問題点は? 
 5―2  みがきの問題点は? 

第6章 成形時の諸問題(成形不良対策)
 6―1  寸法不良(インコレクトダイメンション)の対策は? 
 6―2  肉ひけ(シンクマーク)の対策は? 
 6―3  バリ(フラッシュ)の対策は? 
 6―4  充てん不足(ショートショット)の対策は? 
 6―5  ウェルドラインの対策は?
 6―6  ソリ(ワーピング)の対策は? 
 6―7  光沢不足(ラックオブラスター)の対策は?
 6―8  銀線(シルバーストリーク)の対策は? 
 6―9  焼け(バーンマーク)の対策は? 
 6―10 ジェッティングの対策は? 
 6―11 フローマークの対策は? 
 6―12 色むら(カラーイレギュラリティ)の対策は? 
 6―13 白化(ホワイトニング)とクレージングの対策は? 
 6―14 偏肉(アンイーブンシックネス)の対策は? 
 6―15 離型時の破損(モールドリリースダメージ)の対策は? 
 6―16 ゲート割れ(ゲートクラック)の対策は? 
 6―17 異物(ブラックスポット)とブラックストリークの対策は? 
 6―18 環境応力亀裂(ストレスクラック)の対策は? 
 6―19 シャープコーナーによるクラックの対策は? 
 6―20 耐候性不足によるクラックの対策は? 
 6―21 耐熱劣化性不足によるクラックの対策は? 
 6―22 低温脆性によるクラックの対策は? 
 6―23 金属との熱膨張差によるクラックの対策は? 
 6―24 内部ひずみによるクラックの対策は? 
 6―25 耐熱性不足による変形の対策は? 
 6―26 塗装のはがれの対策は? 
 6―27 印刷のはがれの対策は? 
 6―28 シルクスクリーンのはがれの対策は? 
 6―29 めっきのふくれの対策は? 
 6―30 ホットスタンプのはがれの対策は? 
 6―31 銘板接着のはがれの対策は?
 6―32 帯電防止剤塗布のむらの対策は? 
 6―33 真空蒸着のひけの対策は? 
 6―34 接着、溶着、組立の問題についての対策は? 
 6―35 その他の成形品強度不足・外観不良の対策は? 
 6―36 段取り時間の短縮についての対策は? 
 6―37 成形サイクルの短縮についての対策は? 
 6―38 特殊な成形材料についての対策は? 
 6―39 工場レイアウトについての対策は? 
 6―40 現場作業者教育についての対策は? 

第7章 金型保全・補修(点検整備を含む)
 7―1  金型のメンテナンスの方法は? 
 7―2  金型のオーバーホールの方法は? 
 7―3  金型の補修の方法は? 
 7―4  金型冷却水孔の錆と沈着物の対策は? 
 7―5  冷却水水質管理の対策は? 
 7―6  冷媒が水以外であるときの対策は? 
 7―7  新型受け入れはどうするか? 
 7―8  危機管理能力の強化をどうするか? 
 7―9  品質保証体制の強化をどうするか? 
 7―10 環境対策の強化をどうするか? 
 7―11 原価管理の強化をどうするか? 
 7―12 情報能力の強化をどうするか?
 7―13 成形機と金型の保守管理をどうするか? 
 7―14 工場環境整備の総合対策は? 

おわりに 

索引 

はじめに

 日本製品は、いつでもどこでも安心して使えて、当たり外れがない、というのが世界の評価である。その背景には、品質のばらつきを少なくする、という基本的なモノづくり技術がある。
 日本技術の基盤は細かい気配りである。弱点を突いて自分だけが利を得ることよりも、弱点に気配りして共存共栄をはかる。これは、世界で日本だけが成功した、歴史上希有な事例である。
 日本の実情について、外国人に詳しく説明していないことが三つある。例外は少数である。その第一は、日本では、モノづくりの工場はほとんどが中小企業ということである。日本では、中小企業が大企業より技術が弱いなどということは決してない。その第二は、日本の中小企業はほとんどが家族経営ということである。いざとなれば一致団結する強さがある。その第三は、日本ではできるだけ継続的に仕事をすることである。基本が家族経営だから当然のことで、技術・技能が熟練向上する。外国では、少しでも有利なほうに仕事や人が移動する。結果として、外国のモノづくり工場は、未熟練者が多数である。
 モノづくり技術は、三つの要素から成る。その第一はモノづくりへの情熱、第二は精密加工を実現する技術的・技能的能力、第三は生産した製品への愛情と責任感である。
 次の工程には良品だけを送る。しかし、これには有利不利あるは損得よりも、責任感を重視するという人間の良心が根幹である。購入者は、価格は安く、納期は短くといってくる。しかし、製作者は、価格と納期はどうであっても、自分が納得する最高品質のモノを製作しなければならない。それが製作者の誇りである。品質がよいものを製作すれば、トラブルがないから、早くできる。つまり工数が少ないから安く、納期が早いという「良い循環」になるのだ。
 外国と比較してはじめてわかる日本技術の特徴は、小さな改善である。小さな改善だからこそ必ず成功し、次にまた小さな改善が可能になる。外国は結果を急ぐが、ある程度時間が経過してみると日本のほうが早くできている。外国は過激な革命をよしとするが、日本は過激をさけて穏便に小さな改善を進める。
 穏便というのが非常に重要である。穏便だから多くの人に受け入れられ、多くの人が協力して成功する。そのときは大したことない小さな改善が、成功を積み重ねることで次第に効果を発揮することになる。
 日本のプラスチック成形工場には、品質のばらつきを少なくする決定的ノウハウがある。それは、高精度の金型でやさしい成形をすることである。ここでいう高精度とは、成形中に高精度を維持するということ。
 成形現場では、難しいこと(綱渡り)をしてはならない。たとえば、成形品と金型は必ずしも相似形にはならないが、それを細かく補正した金型をつくると、よじれた形になる。金型の加工が難しくなるだけでなく、成形が難しくなる。このような場合は、ばらつきのないことを優先して、単純な形状で丈夫な金型をつくるべきである。
 多くの工場で、トラブル対策に大きな時間を費やしている。その多くは金型に起因する。実際のトラブルはほとんどが以前にあったことである。つまり、再発防止の対策をすることが、トラブル解決の決定的対策である。ただし、厳しく監督するとか、十分に気をつけるとかでは対策とはいえない。多くの人が理解できる技術的内容があってこそ対策といえるのだ。

2008年1月 著者 

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