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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい鉄の本

定価(税込)  1,512円

監修
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06012-0
コード C3034
発行月 2008年02月
ジャンル ビジネス 金属

内容

鉄は私達の生活に必要不可欠なものである。地球に豊富にあり、コストが安く、硬度・強度があり、炭素など各種元素を添加すれば様々な特性をもたせられ、熱処理や表面加工で、さらに用途が広がる素材なのだ。本書では、そんな鉄の特性、各種用途などをわかりやすく図解で解説していく。

菅野照造  著者プロフィール

昭和4年生まれ、工学院大学工業化学科卒、工学博士。石川島播磨重工業技術研究所で主として船舶および陸上構造物の防食技術開発に従事、日本学術振興会腐食防止第97委員会、表面技術協会、色材協会、日本防錆技術協会、日本鋼構造協会等の各委員会委員長および幹事を歴任、通産省工業技術院の塗料試験法JIS制定委員のユーザー代表、本四架橋防食塗料仕様書の素案作成、土木学会審査委員会代表委員、ほか。船底外板の電気防食法に関する研究で特許、また、船底外板の防汚塗料を開発、国内初の亜鉛容射をベースとした重防食塗装法の実用化研究で、国内初の海外輸出橋ニュージーランド・オーランドハーバー橋に適用、画像処理法による塗膜劣化診断法を開発し特許取得、国内の大気腐食に関する研究で日本学術振興会「技術賞」受賞、など。現在「アイ・エス・エス・コンサルタント」技術顧問。

目次

第1章
鉄はどこから来たのだろう
1 実は地球は“鉄の惑星”だった「鉄は宇宙からきた?」
2 空からふってきた隕石で鉄を発見!?「隕鉄から作られた鉄が見つかっている」
3 最強の鉄文化の国ヒッタイト「ヒッタイトからタタール民族へ」
4 中国の発展を止めた鉄の力「森林資源を枯渇させた」
5 鉄をめぐるヨーロッパと中国の違い「早熟ゆえの停滞」
6 鉄は無機質で非人間的なイメージ?「建築家と技師の対立」
7 近代の日本史をつくった鉄「鉄が人間を動かした」
8 鉄は日本近代化の象徴となった「野呂景義の功績」

第2章
鉄はどうやって作られるのだろう
10 鉄の原料になる鉄鉱石は露天掘り「日本は100%輸入」
11 鉄鉱石の最初の利用は菱鉄鉱「青木ケ原樹海は�磁鉄鉱の海�」
12 赤鉄鉱の名の由来は人間の「血」?「鉱物名から外された褐鉄鉱」
13 鉄鉱石が最初に変化したモノが「銑鉄」「高炉は製鉄のシンボル」
14 高炉から転炉へ、そして銑鉄から「鋼」へ「鉄はより強くなるよう加工される」
15 鋼は目的に応じて「鋼材」になる「いろいろある鉄工業メーカー」
16 一代限りの「たたら吹き」で和鋼を作る「「日本独自の「玉鋼」」
17 鉄はリサイクルし易い工業材料「スクラップ活用でも優れもの」
18 鉄スクラップは再び製品になる「年間3500万トン以上回収される」
19 鉄クズは電気炉で再び鋼になる「年間3000万トン以上生産」
20 日本は鉄スクラップの世界的輸出国「国際商品としての価値を高める」

第3章
世界の最先端をいく日本の製鉄メーカー
21 膨大な土地と設備が必要な製鉄所「建設資金は半端じゃない」
22 日本の製鉄所は世界最高水準の環境対策「徹底した再利用とコスト削減」
23 鉄は多くの副産物を生み出す?「製鉄所の副産物」
24 研究進む製鉄所の二酸化炭素排出抑制「天然ガスや水素を使用」
25 増える鉄鋼需要と環境問題は両立できるか?「環境対策の必須」
26 クズ鉄鉱石も活用する日本の製鉄技術「製鉄への新製法続々」
27 リサイクルの過程でも鉄は役に立つ「一石三鳥の効果?」

第4章
鉄の特徴といろいろな加工法
28 熱で鉄の原子の距離は長くなり曲がる「銑鉄と錬鉄」
29 鉄をより強く、よりしなやかにする「熱処理(焼入れ、焼戻し)」
30 社会基盤作りに不可欠な鉄の溶接「モロさもあわせもつ」
31 戦争が鋼の溶接技術を進歩させた「リベットから溶接へ」
32 少し前まで日本には溶接スペシャリストがいた「鋳掛屋」
33 鉄は他の元素を添加されることで性質を変える「添加物で変身」
34 鉄の大きな特徴ー磁性が発展を呼ぶ「魔法の金属・鉄」
35 鉄の磁性は、人類の電気の文化を創った「しかし完全なる解明はまだ」
36 エネルギーロスを抑えた電磁鋼板「変圧器は効率が7割も改善」
37 メッキの代表ブリキと自動車鋼板「缶詰はすずが溶けて鉄の腐食をおさえる」
38 ブリキが日本を救った?!「日本の玩具が世界No1になった日」
39 繰り返しの加重で起こる金属疲労「人類の大きな課題でも…」

第5章
鉄の天敵・サビとの関係
40 鉄のサビは電気化学的な反応「自然な姿に帰ろうとしている」
41 サビを使ってサビを防ぐ技術「サビで失われる鉄は1割もある」
42 コンクリートの中の鉄骨は裸なの?「コンクリートがサビを防ぐ」
43 サビにも良いサビと悪いサビがある「黒サビは腐食の進行を防ぐ」
44 北側ほどサビるので注意が必要?「家、マンションのサビの危険」
45 すず(錫)がサビ止め第一号?「「鉄」の字は日本で誤って略された!」
46 捨てられた鉄から発見されたステンレス「サビないことが仇にも」
47 サビは簡単に作れる エバンスの実験「サビを実際作ってみよう」
48 鉄を食うバクテリア「地球上で最も古い生物」

第6章
いろいろな鉄とその応用
49 鋼材の中でも比重を増す特殊鋼鋼材「日本の技術はNO1」
50 世界で群を抜く日本の高機能材「ハイテン材、電磁鋼など」
51 鉄鋼使用量の4割を占める建築用「鉄骨造は建築の半分占める」
52 いろいろな用途別に開発される特殊鋼「1000メートルビルも可能に」
53 耐候性鋼で鉄橋を造る「強さ、引っ張りに威力」
54 軽くて強く、コストが安い鉄橋「総合力では鋼橋?」
55 自動車に使われるいろいろな鋼材「自動車には様々な鋼材」
56 家電に使われるいろいろな鋼材「鋼材使用NO1はエアコン」
57 過酷な環境下にある鉄道車輪には厳しい規制「主流は一体圧延車輪」
58 摩耗に耐えるレールはまさに鉄の塊「新幹線のレールは2000メートル」
59 磁性しないカーボン繊維樹脂でかためる「リニアモーターカーと鉄」
60 鉄船は、コンパスを狂わせた?「鋼船は溶接技術の進歩で大型化」
61 鉄骨構造に多大な貢献をしたエッフェル塔「最初は反対された」
62 見えないところで活躍する鋼球(ベアリング)「まさに縁の下の力持ち」
63 小型で、折れず、曲がらずの鉄の針「釣り針と縫い針」
64 鉄銭の悪評が世界最初の紙幣発行につながった「重く、汚れるが原因で」
65 鉄を鍛えた日本刀は神秘の力をもつ「貴金属的な芸術品」
66 鍔(つば)もまた鉄の芸術「刃文は自然をあらわす」
67 こまめな手入れで鉄の健康を保つ「砥石と親しい包丁」
68 求められたサビのでない鉄「正式名は「ステンレス鋼」」

【コラム】
●酸素を運ぶ鉄は生命維持に欠かせない
●鉄と弁慶の泣きどころ
●寿命尽きるまで
●虫がレールを食った怖い話
●日英、手入れの明暗
●鉄と石

参考文献
索引

はじめに

 「鉄」というのは、不思議なものなのです。
 パチンコ店の前を通ると、威勢のいい「軍艦マーチ」が流れてきます。このマーチには歌詞もあり、その出だしは「守るも攻めるも黒金(くろがね)の…」といいます。この「黒金」とは、鉄のことです。
 日本では古来、「五色(ごしき)の金(かね)」という言葉がありました。「黄金(こがね)=金(きん))「白金(しろがね)=銀」「赤金(あかがね)=銅)」「青金(あおがね)=鉛」、そして鉄もその一つで、「黒金(くろがね)」と呼ばれました。
 鉄の漢字は「鐵」とも記します。これは、「金(かね)の王なる哉(かな)」ということを意味するともされます。つまり、鉄は、生活に密着し役立つ金(かね)であるということを示しているのです。そしてそれは、見方によっては、「鉄」というものが、金属の中で最も必要なもの、言い換えれば、貴金属といわれるものより�大事な金属�という位置付けにもなるのです。それだけ鉄は、私たちの生活と切っても切れないものなのです。
 さらに大事なことは、鉄が、その需要を満たすだけ地球に豊富に存在しているということです。なぜ、地球に鉄が豊富なのかと言えば、鉄は地球、いや、宇宙の中で最も多いものであるからなのです。「宇宙で起きている原子核同士の融合反応(核反応)の終点は鉄」と言われていることや、地球もまた、「その内部は主に鉄からできている」とされていることからも、頷けます。
 ということは、星は鉄を中心にして生まれ、そして消滅し、私たちもまた、鉄の上で産まれ、生活し、死んでいく歴史を繰り返している、といえるかもしれません。
 純粋な鉄というのは、銀白色の光沢をしており、比較的柔らかな金属です。これは、私たちが普段、鉄に抱いている黒くて固く丈夫なイメージとはかけ離れたものですが、それが鉄の�正体�です。鉄の特徴は、原子の構造が電子を放出しやすい形になっており、鉄の微粉末は空気中で自然発火します。この性質を利用したのが「使い捨てカイロ」でした。
 さらに鉄は、しなやかな植物から作られたのです。約35億年前、海中には、らん藻類が繁茂していました。この植物は、細胞内に葉緑素を持ち、光合成を行って酸素を出します。その酸素が海の中の鉄イオンを酸化させ、堆積させて、鉄鉱床を作り出しました。この働きは、数十億年も続いたといわれます。
 そして、人間と鉄との出会いは、�天から降ってきた�というのが最初ともされます。つまり、「隕石」です。また、鉄鉱石の鉱床の上での山火事をきっかけに、鉄を知ったともいわれます。しかし、人類が実際に鉄というものを自分たちで利用し始めたのは、かなり遅いのです。青銅器時代の後、紀元前1500〜1000年の間頃(紀元前1200年頃とも)とされます。
 また、鉄を溶かす技術は、中国では紀元前から持っていましたが、ヨーロッパでは15世紀になってからと、2000年近い大きな開きがあります。なぜそのような開きがあったのかについてはナゾ、つまり解明されていません。
 さらに、鉄の元素記号「Fe」は、ラテン語の「ferrum」からとられたものですが、その由来についてもわかっていません。
 このように、「鉄」というものは、私たちの生活の中に密着し、なくてはならないもの、また、星も鉄が�源�であり、その量も豊富にあるのに、なんともナゾの多い不可解で不思議なものでもあるのです。身近に大量に存在しながら、しかし、ナゾを秘めた鉄——。本書では、そのナゾに、楽しみながら迫っていきたいと思います。
 監修は、鉄とは切っても切れないサビの研究家であり、�サビ博士�として有名な菅野照造氏です。
 また、本書の企画に尽力してくれた日刊工業新聞社出版局の藤井浩氏には、心から感謝する次第です。
 
平成20年2月
鉄と生活研究会

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