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絵とき「材料試験」基礎のきそ

定価(税込)  2,052円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-06001-4
コード C3053
発行月 2008年01月
ジャンル 機械

内容

本書は、材料の長所や特質を調べるためのこれら試験方法を初心者にわかりやすく教える入門書。 実際の製造業で起こる材料やその強度にまつわるさまざまなエピソードをまじえわかりやすく解説。

西畑三樹男  著者プロフィール

日本ベルパーツ株式会社会長
東京工業大学 工学博士
1993年2月 発明大賞受賞(紙送りローラ)
1994年4月 科学技術庁長官賞受賞
2001年11月 勲五等雙光旭日章受章
主な著書
(1)精密機器用金属材料
(2)マイクロテスト技術
(3)テストロニクスとその応用
(4)技術者の心得120─誰も教えてくれないプロへの道─
(5)りん青銅の基礎と応用
(6)小企業社長の心得120─誰も教えてくれない経営者への道─
(7)製品開発の心得120─誰も教えてくれない材料・部品のはなし─
(8)運動伝達用部材の特性とその応用(以上、日刊工業新聞社)



目次

はじめに

第1章 材料試験とは
 1―1 材料試験の重要性 
 1―2 材料試験にはどんなもので、どんな種類があるか 
 1―3 独創的な製品開発はまず試験機づくりから 
 1―4 品質管理に材料試験は必須 
 1―5 工学教育と材料試験 
 1―6 モノづくり経営と材料試験 

第2章 引張試験
 2―1 引張試験で求める材料特性とは 
 2―2 引張試験に用いる試験片 
 2―3 引張試験と材料の強さに関する留意点 
  コラム:線材を真っ直ぐに引っ張るのは難しい 

第3章 硬さ試験
 3―1 硬さ試験にはどんなものがあるか 
 3―2 どの硬さ試験を選べばよいか 
 3―3 硬さ基準を理解して測定する 
  コラム:硬さ試験の読み取りには測定者の性格が出る 
 3―4 読み取り誤差が大きいとどうなるか 
 3―5 硬さ試験と材料の硬さに関する留意点 

第4章 ねじり試験
 4―1 ねじり試験とはなにか 
 4―2 ねん回試験とはなにか 
 4―3 ねじり試験と線材の強さに関する留意点 
  コラム:ねじり線の代表格はワイヤロープ 

第5章 疲労試験
 5―1 材料の疲労とはなにか 
 5―2 疲労試験の種類と試験機 
 5―3 S―N線図とはなにか 
 5―4 疲労試験と材料の疲労に関する留意点 

第6章 ばね限界値試験
 6―1 ばねとはなにか 
  コラム:ばねの語源 
 6―2 ばねの設計基準の目安には 
 6―3 ばね限界値試験 
 6―4 ばね限界値試験とばねに関する留意点 

第7章 腐食試験
 7―1 腐食試験の代表「応力腐食割れ試験」 
 7―2 より実際の環境に則した試験「大気暴露試験」 
 7―3 材料の腐食と腐食試験に関する留意点 
  コラム:大気汚染にやられた通信機器 

第8章 エリクセン試験
 8―1 エリクセン試験とはどんな試験か 
  コラム:極薄板用エリクセン試験機 
 8―2 材料の絞り性とエリクセン試験に関する留意点 
  コラム:バスタブはどうやって作られるか 
  コラム:化粧品ケースは絞り品が多い 

第9章 寿命試験
 9―1 寿命試験は疲労試験とどう違うのか 
  コラム:モノづくりに必要な新たな工学 
 9―2 部品の寿命と寿命試験に関する留意点 
  コラム:紙送りローラと寿命試験機 

おわりに 

索引 

はじめに

 最近、自動車、電子機器、輸送機器、医療機器といったわが国が誇る工業製品で事故が多発し、あらためて日本の工業製品の品質や安全性が問われています。これらの事故の原因を探れば、材料の強度不足による変形や破壊、また衝撃や腐食に対する耐食性の不足、あるいは繰返し力がかかったときの疲労などといった、いずれも材料に起因するものも多いはずです。著者には、モノづくりの最も基本に位置する材料やその試験に関する知識の不足、これが今日の様々なトラブルの根底にあるように思えてなりません。
 本書で紹介する材料試験が本格的に取り上げられたのはいつの時代でしょうか。わが国は、英国と同じように周囲を海に囲まれた海洋国家です。海洋国家が世界と交易を行うには船舶が必要不可欠であり、安定した経済は安全な船を作ることによってもたらされるといっても過言ではありません。
 船舶のような大きな物を作るには、部材となる鉄鋼を溶接でつなぎ合わせる必要があります。この溶接船が登場した当時は、その溶接の繋ぎ目の強度不足から大事故が多発しました。そもそも材料試験とは、この溶接船の溶接強度を調べ、品質を確認することを目的に生み出された技術なのです。なお、この際、使用する試験機を製作し、発展したのがスイスのアムスラー社などといった企業です。
 船舶の溶接強度の確認を出発点とした材料試験は、やがて他の機器や装置の強度確認のために適用されるようになります。わが国がモノづくりで世界に先んじることができたのは、こうした材料やその試験にまつわる様々な技術、材料試験機、試験方法、規格を確立し、整備することができたことに他なりません。これによって品質の高い製品を自在に作れるようになったのです。
 本書は、このようにモノづくりの基本である材料試験について、とくに機能材料や部品・装置の開発・製造、または品質管理に携わる技術者を対象に、その概要とそれぞれの試験に関するコツやその試験でわかる様々な材料の特性などを紹介しています。
 今日のように社会構造が複雑になればなるほど、材料の破壊を事前に予測するのは難しいものとなります。とくに最近では、ナノ技術やコンピュータ制御を駆使した様々な機能を持つ製品が市場を賑わしています。したがって材料試験技術は、その時代時代で様々な試験方法が生み出されていくべき技術であり、その意味でいつの時代にも新しい技術だといえるのではないでしょうか。
 本書が、多くの技術者が材料や材料試験の重要性を認識するきっかけとなり、ひいては日本のモノづくり技術の更なる発展に寄与できれば望外の喜びです。

 2008年1月 西畑三樹男

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