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図解 REACH規則と企業対応

定価(税込)  1,944円

編著
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-05974-2
コード C3034
発行月 2008年02月
ジャンル ビジネス 環境

内容

川上から川下まで日本の製造業全体に影響を与える欧州化学物質規制。本書はREACHの概要だけでなく、登録手続きの詳細や企業対応についての実務的な内容を盛り込んだ。実務担当者はもちろん、輸出入業・製造業にたずさわる人は読んで備えておきたい1冊。

目次

はじめに
 
第1章 REACH規則の背景 
 1.1 REACH規則の全体像 
 1.1.1 世界の環境政策と化学物質管理への取組みの経緯 
 1.1.2 EUの環境政策と化学物質管理への取組み 
 1.1.3 REACH規則の概要 
 1.1.4 旧化学物質関連の法規制のREACH規則への移行時期 

第2章 REACH規則とは 
 2.1 適用範囲と用語定義 
 2.1.1 REACH規則の適用範囲 
 2.1.2 用語の定義 
 2.1.3 調剤中の物質の義務 
 2.1.4 成形品中の物質の義務 
 2.1.5 中間体(Intermediates) 
 2.1.6 ポリマー 
 2.2 登録 
 2.2.1 登録期限 
 2.2.2 登録の義務のある者 
 2.2.3 予備登録・登録に必要な情報 
 2.2.4 データの共有 
 2.2.5 手数料 
 2.3 評価 
 2.3.1 登録一式文書の点検 
 2.3.2 試験提案の審査 
 2.3.3 物質の評価 
 2.3.4 EUローリングアクションプラン 
 2.3.5 加盟国の監督機関 
 2.3.6 追加情報の要求と提出された情報の審査 
 2.3.7 他の活動との整合性 
 2.3.8 物質評価のフォローアップ 
 2.3.9 中間体の評価 
 2.4 認可 
 2.4.1 高懸念物質とは 
 2.4.2 認可の目的 
 2.4.3 認可のプロセス 
 2.5 制限 
 2.5.1 制限の内容 
 2.5.2 制限のプロセス 
 2.5.3 高懸念物質の管理 

第3章 リスク評価と情報伝達 
 3.1 情報の伝達 
 3.1.1 サプライチェーンでの情報伝達 
 3.1.2 川上企業の義務 
 3.1.3 川下企業の義務 
 3.2 安全性データシート(SDS) 
 3.2.1 SDSが要求される物質・調剤 
 3.2.2 SDSの記載項目および内容 
 3.2.3 SDS作成に当たってのその他の留意事項 
 3.3 化学物質安全性報告書(CSR) 
 3.3.1 ヒト健康への有害性の評価、推定無毒性量(DNEL)の求め方
 3.3.2 環境への有害性の評価、予測無影響濃度(PNEC)の求め方 
 3.3.3 PBT、vPvBの評価と排出の特定化 
 3.3.4 暴露評価とリスク評価 
 3.4 暴露シナリオ 
 3.4.1 暴露シナリオの具体的な内容 
 3.4.2 暴露シナリオの作成方法 
 3.4.3 「特定された用途」について 
 3.4.4 既存の暴露評価、リスク評価ツール 
 3.4.5 暴露シナリオの例 
 3.5 分類と表示、GHSの導入 
 3.5.1 REACH規則における分類と表示 
 3.5.2 GHSの導入 
 3.5.3 GHSでの分類と表示 

第4章 REACH規則の運用ポイント 
 4.1 REACH規則の適用地域、EU法体系 
 4.1.1 REACH規則の適用地域 
 4.1.2 EUの法体系について 
 4.2 予備登録・登録関係 
 4.2.1 予備登録後の動き 
 4.2.2 SIEFとコンソーシアム 
 4.2.3 データ保有者 
 4.2.4 リード登録者 
 4.2.5 早期登録者と潜在的登録者 
 4.2.6 登録物質のトン数計算 
 4.2.7 データ共有とEC競争法 
 4.2.8 登録一式文書の完全性チェック 
 4.3 物質の特定と命名法 
 4.3.1 物質特定のフローチャート 
 4.3.2 単一成分物質の特定と命名 
 4.3.3 多成分物質の特定と命名 
 4.3.4 化学組成と他の特性で特定される物質 
 4.3.5 化学組成で特定できない物質(UVCB物質) 
 4.3.6 予備登録・登録された物質の同一性チェック 
 4.4 成形品の問題整理 
 4.4.1 成形品の定義と物質・調剤との区分 
 4.4.2 意図的放出か非意図的放出か 
 4.4.3 通常の使用条件と当然予見される使用条件 
 4.4.4 高懸念物質への対応 
 4.4.5 SVHC濃度の決定 
 4.5 ITツール 
 4.5.1 REACH―IT 
 4.5.2 IUCLID5 
 4.5.3 その他のツール 
 4.6 運営機関 
 4.6.1 欧州化学品庁 
 4.6.2 加盟国および監督機関の役割 
 4.6.3 欧州委員会 
 4.7 アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP) 
 4.7.1 JAMPとは 
 4.7.2 JAMPの組織と活動 

第5章 各国の化学物質規制動向 
 5.1 化審法 
 5.1.1 化審法の制定および改正化審法制定の背景 
 5.1.2 改正化審法の概要 
 5.1.3 これからの日本の化学物質管理のあり方 
 5.2 TSCA(有害物質規制法) 
 5.2.1 適用範囲 
 5.2.2 用語の定義 
 5.2.3 製造前届出(PMN) 
 5.2.4 PMNの不要または免除 
 5.2.5 TSCAインベントリー 
 5.2.6 同意指令(Consent Order) 
 5.2.7 重要新規利用規則(SNUR) 
 5.2.8 成形品に関する解釈 
 5.2.9 その他の規則 
 5.3 中国化審法 
 5.3.1 中国の法体系 
 5.3.2 新規化学物質環境管理弁法の概要 

参考資料 

略語一覧 

索引 

執筆者一覧 

はじめに

 「人類は歴史上の決定的な瞬間に立たされている。」と、アジェンダ21の前文は書き始めています。アジェンダ21は、1992年6月のリオ地球サミットで採択された21世紀に向けての課題とプログラムで、有害化学物質の管理などが40章の分野別に具体的に示されています。リオサミットの5年後に、国連環境開発特別総会(地球サミット+5)で進捗状況がレビューされ、アジェンダ21実施計画(’97)としてまとめられています。この中で、「アジェンダ21が依然として持続可能な開発を達成するための基本的な行動計画である」との認識を示し、「前向きな結果が達成されているが、持続可能な開発の全般的傾向が1992年より悪化している」と警鐘を打ち鳴らしています。
 さらに、5年後のヨハネスブルクサミットで採択された実行計画により、世界の化学物質管理は2020年までに仕組み作りを完了させることになりました。さらに、2006年に策定された「国際的な化学物質管理の戦略的アプローチ(SAICM)」に繋がっています。
 この一連の取り組みが「化学物質の分類と表示に関する世界調和システム(GHS)」であり、EUではREACH規則としてまとまり、日本は原点を同じくして「化管法」「化審法」の改正が検討されているところです。その他、アジェンダ21を源とする法規制は、アメリカ、中国、韓国などでも検討され改正もされています。
 REACH規則は、世界の化学物質規制法の改正の先駆的な法律ですから、REACH規則を理解する、対応することは世界の規制に対応できることにもなります。そのような意味合では、REACH規則の本質を理解することが非常に重要なことになります。
 私たちの身の回りを見ますと、テレビやパソコンあるいは衣類などには何らかの化学物質が使用されています。近年、化学産業の発展により、快適な豊かな生活になったことは否定できません。一方で、セベソ事件(1976年)、ラブカナル事件(1978年)やボパール事件(1984年)など化学物質による問題も起こしています。
 このような事件がその後も続いていますが、人間の生活に不可欠な化学物質を「使わない」「使わせない」だけでなく、「うまく使用する」「化学物質を知って使用する」、すなわち化学物質を管理された状態で利用することが求められているのです。REACH規則は、化学物質を原料段階、加工段階、利用段階、消費段階(製品利用)や廃棄段階のすべての段階で「ヒトと環境」への悪影響を許容できるレベルまで少なくする利用方法で使うことを求めています。このために、REACH規則は上流と下流の双方向の情報伝達の要求もあります。
 REACH規則は、「環境と消費者保護が目的であって、企業保護の視点はない」と思われがちですが、企業・産業界保護も考慮されています。例えば、科学的な研究開発(scientific research and development 1年あたり1トン未満の量で管理された条件で実施される科学的実験、分析または化学的研究)や製品・プロセス指向研究開発(product and process oriented research and development パイロットプラントまたは生産実験が、生産プロセス開発などのために実施される研究開発)はREACH規則のなかでは特別扱いされています。化学産業の健全な発展が「ヒトと環境」に大きな影響があるので、考慮されるものです。
 REACH規則対策はどこまで徹底するかの方法(How)は法律に記載されていません。他社の取り組みは参考にできますが、経営環境が異なりますのでそのまま真似はできません。自ら判断して決定しなくてはなりません。
 対策は「目に見えるコストが発生し、目に見えないリターンがある」といわれます。対策費はコストと解釈できますが、逆にプロフィットの源泉にもなります。規制はビジネスチャンスともなります。
 製品関連の不祥事で多くの企業が摘発され、ニュースを賑わしています。不祥事のたびに、法規制順守(コンプライアンス)が話題になります。法規制順守の取組みの基本は、リスクからその徹底度を決めることになります。この基準は「デューデリジェンス」といわれるものです。「デューデリジェンス」を一言でまとめれば「やるべきことをやる」ことです。企業の「デューデリジェンス」は顧客の信頼感、企業イメージ、ブランドを守ることが大きな課題です。
 「かんじんなことは目に見えない」と星の王子様はキツネに教えられました。REACH規則の取組みも同じで、こころすべき言葉と思います。
 この著書は(社)中小企業診断協会東京支部のエコステージ実務研究会のメンバーが中心となって、日ごろの企業支援の経験からREACH規則対応を研究した成果をまとめたものです。
 法律の解釈より、法律要求事項の本質とあるべき企業対応を、企業の視点でまとめるようにしました。この著書の執筆者を中心にして中小企業基盤整備機構のホームページJ―Net21(http://j―net21.smrj.go.jp/well/rohs/index.html)で、企業支援の立場でEU RoHS指令やREACH規則の解説、新たな情報を提供しております。これら情報が読者の皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。

 (社)中小企業診断協会東京支部
 常任理事 松浦徹也

本書は発行時点の情報をもとにREACH規則の内容をまとめています。その後の改訂などにより記載情報が変わる可能性がありますので、最新情報については巻末の「参考資料」に紹介します関連情報の入手先等からご確認下さい。また本書の内容の正確性、有用性等には万全を期していますが、日刊工業新聞社および編著者はこれを保証するものではありません。また読者の方が本書を利用することに起因する一切の損害について、日刊工業新聞社および編著者は責任を負うものではありません。

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