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絵とき レーザ加工の実務
―作業の勘どころとトラブル対策―

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-05947-6
コード C3053
発行月 2007年10月
ジャンル 機械

内容

著者が在籍している企業に持ち込まれる、各種レーザ加工やトラブルに関する膨大な問合せデータをもとに、レーザ加工の実務で役立つ勘どころと経験に基づくトラブルシューティングをわかりやすく解説する。

金岡 優  著者プロフィール

金岡 優(かなおか まさる)

1958年 北海道生まれ
1983年 北海道大学大学院修士課程修了 
1983年 三菱電機(株)名古屋製作所入社
1984年 同製作所レーザ製造部加工技術課
1993年 学位(工学博士)
1997年 同製作所レーザシステム部加工技術課長
2000年 同製作所レーザシステム部品質保証課長
2002年 同製作所レーザシステム部GOSグループマネージャー
2005年から名古屋大学非常勤講師を兼務し現在に至る



目次

はじめに 1


第1章 加工現象の基礎

1. 1 レーザ加工性能に影響を及ぼす要因 8

1. 2 酸化反応による燃焼作用とは 10

1. 3 酸化反応熱の進行と切断速度との関係12

1. 4 溶融した金属の挙動 14

1. 5 ドラグラインの形成とは 16

1. 6 切断溝のテーパとは 18

1. 7 ピアシングとは 22

1. 8 焦点位置と切断の関係 24

1. 9 レンズ焦点距離と切断性能の関係 26

1. 10 レーザ出力、速度と切断との関係 28

1. 11 パルス周波数と切断との関係 30

1. 12 パルスデューティと切断との関係 32

1. 13 酸素アシストガス流れと切断性能との関係 35

1. 14 窒素やエアーアシストガス流れと切断性能との関係 38

1. 15 被加工物要因の切断性能との関係 41



第2章 レーザ加工機の基礎

2. 1 加工ヘッドの構造と機能 46

2. 2 光学部品の配置 48

2. 3 熱レンズ作用の切断加工への影響 51

2. 4 熱レンズ作用と他の不良原因との見分け方(一次判断) 54

2. 5 熱レンズ作用と他の不良原因との見分け方(二次判断) 56

2. 6 f10″レンズによる焦点出しでの注意 58

2. 7 アシストガス流れの基本的な特性 60

2. 8 適正なノズルとアシストガス条件の選択 62

2. 9 ノズルへのスパッタ付着の対策 64
 


第3章 軟鋼材料の切断

3. 1 ピアシングの種類と加工原理 68

3. 2 ピアシング時間を短縮する方法 71

3. 3 ピアシングの不良対策 74

3. 4 t 12mmで□25mmを加工中に多発するバーニングの対策 77

3. 5 t 16mmバーニング発生の原因追求:被加工物側の要因 80

3. 6 t 16mmバーニング発生の原因追求:加工機側の要因 83

3. 7 t 19mmが途中からバーニング発生することの対策 86

3. 8 t 9mmのピアシングでバーニングが発生することの対策 88

3. 9 t 22mm開始条件で発生するバーニングの対策 91

3. 10 軟鋼の厚板に適したビームモード 94

3. 11 軟鋼の厚板切断における最適なノズルの選択 97

3. 12 厚板切断における終端部の溶け落ち防止 99

3. 13 さびた材料の切断が難しい原因とその対策 101

3. 14 軟鋼材料のケガキ線を太くする加工条件 104

3. 15 斜め切断についての加工性能 107

3. 16 しま板切断での注意 109

3. 17 厚板の切断面あらさを向上させる加工方法 111



第4章 ステンレス材料の切断

4. 1 ステンレスの無酸化切断でのメリット 116

4. 2 ステンレスのひげ発生による不具合の対策 118

4. 3 厚板におけるピアシング後の切出し部不良の対策 121

4. 4 薄板のエアーや窒素切断でのエッジ部のドロスを減らす方法 124

4. 5 ステンレス厚板の窒素切断でドロス発生ヘの対策 126

4. 6 ステンレスの多数個取り切断での切り残し幅(ギャップ) 129

4. 7 ステンレス無酸化切断での適正な焦点位置の探し方 131

4. 8 プラズマ面切断の加工方法 134

4. 9 板厚0.1mm以下のステンレス切断が不安定なことの対策 136

4. 10 ステンレス無酸化切断で裏側に発生する焼けの減少 139

4. 11 シート貼りステンレスをそのまま切断する方法 141

4. 12 板厚1mmの加工中に発生するひずみの減少 143

4. 13 ステンレスの無酸化切断に適正なノズルの選択 145



第5章 アルミニウム材料の切断

5. 1 アルミニウムの“ひげ”にノズルが接触することの対策 150

5. 2 厚板のエッジ加工で発生する噴き上がりの防止策 152

5. 3 アルミニウムへの不安定なケガキ加工の対策 155

5. 4 アルミニウム切断での不安定なピアシング対策 157



第6章 銅材料の切断

6. 1 銅の加工条件と切断での不具合と対策 162

6. 2 銅加工で時々ピアスがあかないことの対策 165



第7章 ハイテン材料/炭素鋼鋼材料の切断

7. 1 ハイテン材t3.2mm切断中のドロス発生への対策 168

7. 2 炭素鋼鋼材(S45C)や、工具鋼(SK材)切断の注意事項 170



第8章 全ての金属材料に共通した切断

8. 1 パイプ内面のドロス付着への対策 174

8. 2 材料を2、3枚重ねての加工 176

8. 3 切断の方向性を少なくする方法 178

8. 4 加工終端部の跳ね上がり対策 181

8. 5 小穴加工でのバーニング対策 183

8. 6 ポンチ位置決めを簡単にする方法 186

8. 7 切断中に発生するプラズマの対策 188

8. 8 プライマー材、表面にペンキのある材料での品質向上 190



第9章 非金属材料の切断

9. 1 レーザ切断の木材への適用例 194

9. 2 ガラス切断の可能性 198


参考文献 201

索 引 203


はじめに

 まず初めに、本書で扱うレーザ加工とは、金属加工において用途が最も多い、“レーザ切断”に特化した内容であることをご了承ください。当初、ほかの加工用途を採り上げることも検討しましたが、用途を限定することで、より技術の深掘りを図るために、あえて“切断”に特化してまとめました。

 高エネルギー密度の微小スポットに集光されたレーザ光を、加工に適用するレーザ加工法は、他の加工法に比べてさまざまな加工特性の得られるメリットを持っています。このメリットを活かしてレーザ加工を適用する分野には、切断、穴明け、溶接、熱処理などがあります。それぞれの加工は、被加工物表面におけるレーザ光のエネルギー密度やアシストガスの条件などを変更するだけで、比較的簡単に行うことができます。

 1999年に日刊工業新聞社より、「機械加工現場診断シリーズ7 レーザ加工」を出版させていただき、レーザ加工を行っている現場の方々が、加工を行う上で必要な情報を紹介しました。その後、読者の皆さまからは、文章よりも図解での解説の要望や、情報をもっと応用するための基礎現象に関する解説の要望が多数寄せられました。これらの要求は、加工の問題が発生した場合に、一般的な解説書や、メーカーからの具体的な加工データの教示のみでは、類似現象への応用が効かないことによるものです。まさに、このようなご指摘への対応を考えている折に、日刊工業新聞社の奥村功氏と新日本編集企画の飯嶋光雄氏より、絵ときシリーズへの執筆の打診を受けました。

 本書では、私の加工技術に従事した約20年間に渡る経験に基づき、レーザ切断現象とその現象を発生させるメカニズムについて解説しました。加工メカニズムの解説では、私の個人的な知見による部分も多数あり、この分野での多くの経験を持つ方々には異論もあるかと思われます。このような加工現象に関わる議論をする場も少なくなってきており、本書の発行を機会に、ぜひご意見をお寄せください。お待ちしております。

 本書での解説に取り上げた事象は、レーザ加工機を使用していただいている皆さまから寄せられた多くの質問の中から選定しました。質問の表現はできる

だけ問い合わせのあった内容に忠実に記載するように心掛けており、その質問に答える形でまとめました。

 各解説では絵心の無い自分を恨みながらも、現象をできるだけ多く図解することを試みました。多少理解に苦しむ解説図がありましても、どうぞご容赦ください。解説文は、簡潔な記述を目的として、できるだけ箇条書きのスタイルにしたため、表現の一部は難解かもしれません。図解での表現と合わせて判読をお願いします。

 本書が、切断の現象をもっと深く知りたい、いろいろな加工に挑戦したいと日頃考えておられる皆さまにとって、有益な解説書となれば幸いです。
 最後に、本書をまとめるにあたり、加工データの収集に協力いただきました三菱電機レーザシステム部の諸氏に深甚の謝意を表します。


2007年10月

金岡 優 

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