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絵とき「射出成形」基礎のきそ

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-05857-8
コード C3053
発行月 2007年03月
ジャンル 機械

内容

いまわれわれが生活を営むうえでプラスチックは欠かせない存在になっている。このプラスチックでつくられた成形品なくしては1日たりとも生活できないといっても過言ではない。本書はこのプラスチックおよび主力加工技術である射出成形に関する入門書。初心者でも理解できるよう平易に書かれている。

横田 明  著者プロフィール

横田 明(よこた あきら)
技術士(化学部門、高分子製品)、特級プラスチック成形技能士
1977年   慶応義塾大学工学部機械工学科卒業
1991年   プラスチック成形加工学会技術賞受賞
1992年   日本合成樹脂技術協会賞受賞
1993年   特級プラスチック成形技能士合格
1993年   特級プラスチック成形技能士神奈川県最優秀賞受賞
1994年   技術士(化学部門、高分子製品)合格
日本製鋼所およびコマツにて射出成形機の設計開発、成形技術開発および人工知能(成形技術)の研究に携わる。上級主任研究員(副部長)。射出成形工場総括責任者として子会社へ出向、成形工場の管理、合理化、品質向上、コストダウンなどを実施
射出成形技能士の育成および社内外の成形不良対策、成形効率化など多数
現在、ビステオンアジアパシフィックにて中国、タイ、インドなどアジア地区を中心に、社内外で技術主幹として指導中


目次

はじめに  

第1章 プラスチック成形はどうやってするの?
 1―1 プラスチック成形のいろいろ  
 1―2 水のような液体物質  
 1―3 粘土のように形が作れるもの  
 1―4 射出成形の方法  

第2章 射出成形ってどんなもの?
 2―1 射出成形の基礎のきそ  
 2―2 昔の射出成形機  
 2―3 もうちょっと詳しく見る現在の射出成形  
 2―4 射出成形に必要な4つの大切なもの  
 2―5 基礎のきその前の事前知識  

第3章 射出成形機ってなんなの?
 3―1 金型を締め付ける型締め装置  
 3―2 注射器の射出装置  
 3―3 溶かすための可塑化装置  

第4章 プラスチックってどんなもの?
 4―1 プラスチックってなに?  
 4―2 覚えていますか? 原子と分子  
 4―3 規律正しい軍隊式結晶性と愚連隊の非晶性  
 4―4 熱いと溶ける熱可塑性樹脂と熱くても溶けない熱硬化性樹脂  
 4―5 身の周りの汎用プラスチックと高価なエンプラ  
 4―6 いろいろなプラスチックの種類  
 4―7 プラスチックの乾燥温度と成形温度  

第5章 金型ってなに?
 5―1 金型ってどんなもの?  
 5―2 溶融樹脂の流れ道:スプルー、ランナー、ゲート  
 5―3 熱いホットランナーと冷たいコールドランナー  
 5―4 冷えると縮む収縮率  
 5―5 無ければ抜けない抜き勾配  
 5―6 取り出しできないアンダーカット  
 5―7 虫歯のキャビティと芯のコア  
 5―8 金型冷却  
 5―9 溶融樹脂は空気との交替、そのためのガスベント  

第6章 成形作業ってなにをするの?
 6―1 射出成形作業の基本のきほん、6Sとホウレンソウ  
 6―2 きちんとした対応はレストランの応対と同じ  
 6―3 実際の成形現場での作業  
第7章 成形技術ってどんなもの?
 7―1 料理の腕前(成形技術)と料理の味(成形品の品質)  
 7―2 成形の不良とその対策  

あとがき  
索引  

はじめに

 わたしたちの周りを見渡すと、非常に多くのプラスチックが使われています。コンビニエンスストアで買うコーラやお茶のペットボトル、シャンプーの容器、お菓子の袋などはプラスチック製ですし、部屋のなかにはテレビ、洗濯機、冷蔵庫の筐体(ケース)もプラスチックで作られ、会社に行けばパソコンの筐体やキーボード、自動車のインストルメントパネルやドア、携帯電話など、あらゆるところにプラスチックが使われています。しかしあまりに当たり前の存在となっているので、改めて、プラスチックとは何か? と聞かれても、返答に困るのではないでしょうか。日常そのありがたさに気がつかないかも知れませんが、プラスチックがない世の中は今では考えられないほどになっています。

 しかし、プラスチックのありがたさに気がついたとしても、ほとんどの人々は、これらがどのように作られているのかは、あまり考えたこともないでしょう。プラスチック製品の作り方を成形方法といいますが、これには射出成形、押出し成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形など各種の加工方法があります。それら成形方法の中でも、最も多く使用されているのが、射出成形なのです。

 これから射出成形について、「基礎のきそ」から紹介していきますが、基本的な原理は簡単です。しかし、実際に成形するときには、製品がそったり、寸法が狂ったり、表面が荒れて汚くなったりという、いろいろな不良が発生します。それらの不良を作らずに、いい品質の製品を作る技術には奥深いものがあります。また、射出成形によって生産される製品は、数秒単位でそのサイクルを繰り返しているものも多く、生産効率のよさも大きな長所のひとつとなっています。逆の言い方をすれば、生産性の目安となる良品率や、生産のサイクル(一回の成形をする時間)は、非常に厳しく高度に管理されているのが現状なのです。
 そのために、射出成形の仕事に携わっている人は、機械自体の知識や金型の構造、流体力学や熱力学の基礎、プラスチック材料、品質管理などの知識が要求されています。

 本講座は、射出成形の基礎のきそですが、この内容が理解できれば射出成形のプロフェッショナルともある程度は議論ができるようになるはずです。また、すでに何年も携わっている人たちにとっても、基礎のきそについて再度見直すためのいいチャンスになれば幸いです。

 本来ならば、SI単位で記述すべきですが、現場で使い慣れ、実際に現場で使われている単位を使っていますのでご了承ください。ただし、あまり物理的単位などにとらわれることなく、概念・イメージを大切にしてください。物理的な単位は計算を実際に行うときに考えればいいだけのことなのです。

2007年1月
横田 明

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