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トヨタに学びたければトヨタを忘れろ
製造業の高レベル目標管理法

定価(税込)  2,052円

著者
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サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-05689-5
コード C3034
発行月 2006年06月
ジャンル 生産管理

内容

本書は、とくに製造業の目標管理の考え方と実践法を分かりやすく解説したもの。なぜ目標が高くなければならないのか、そもそも高い目標とはどんなものか、どのように目標を立て、どう遂行計画を立てていくのかをシートを使い、実例を紹介しながら紹介する。達成容易な目標を設定し、それをクリアすれば事足れりとする現状の目標管理は、経営にとって足枷でしかない。

近江堅一  著者プロフィール

近江堅一(おうみ けんいち)
1937年 東京に生まれる。
1962年 日本大学理工学部電気学科卒業。
大手電気メーカー入社。
32年間工場管理に従事。
7年間(月1回)トヨタ方式の現場指導及び15年間方針管理の指導を受ける。これをベースに工場改善体験を重ね、「物の流れ・位置管理法(FL法)」を確立し、これをベースに社内・協力会社を15年間指導。
生産効率化推進部長、品質管理推進部長、工場長(製造部長)歴任。
1994年 近江技術士事務所設立。
企業コンサルタントとして従事。
生産性向上(FL法)、方針管理による目標達成、ISO9000の品質システム構築指導:150社、及びISO9000の審査実績:398回。
資  格 ・技術士(経営工学)
     ・ISO9000主任審査員
     ・経営士

寺田哲朗  著者プロフィール

寺田哲朗(てらだ てつろう)
1935年 東京に生まれる。
1958年 東京工業大学工学部電気工学科卒業。
大手電線メーカー入社。
工場管理、生産効率化に従事。
2000年 寺田電気管理・技術士事務所設立。
資  格 ・技術士(経営工学/電気・電子)
     ・工学博士

目次

はじめに  1

第1章:「O式」挑戦目標設定・必達法の基本手順
 1 管理者の自覚  
 2 挑戦目標とは  
2.1 挑戦目標の設定  
2.2 目標の展開法  
 3 挑戦目標を達成させるためのユニーク施策の出し方  
 4 時間創出法  
4.1 時間創出の価値  
4.2 時間創出の価値発見の背景  
 5 基礎資料の作成  
5.1 基礎資料Ⅰ  
5.2 基礎資料Ⅱ  
 6 実施計画書の作成  
 7 基礎資料Ⅰ、Ⅱ及び実施計画書A票・B票の作成例  

第2章:「O式」挑戦目標設定のためのアプローチ
 1 「O式」と方針管理のどこが違うか  
 2 部門別の挑戦目標とその達成のための施策のヒント  
2.1 営業部門  
2.2 生産管理部門  
2.3 製造部門  
2.4 保守部門  
2.5 生産技術部門  
2.6 技術(設計)部門  
2.7 計測器管理部門  
2.8 総務部門  
2.9 品質保証部門  
 3 年度経営計画における「O式」の役割  
 4 営業マンの偶然設計  
 5 営業活動における「客の生の声」の価値  

第3章:「O式」目標必達のための改善力をつける
 1 1日改善会の驚くべき効果  
 2 ユニーク施策が見つからない場合の取組み  
 3 予防処置の“しくみ”をつくる価値  
3.1 「標準が守られていない」とは  
3.2 「微調整をしているところ」とは  
3.3 「金型(製品を形づくるもの)等の摩耗老化によるもの」とは  
3.4 「設備故障に関するもの」とは  
 4 改善自覚力信号の働き  
 5 コンピューター管理倉庫の撤去  
 6 意識改革は守破離のステップで実現  
 7 品質のハインリッヒの法則とクレーム原因の追求  
 8 知識をできる理由に活用  
 9 目標には期限を含む  
10 発想転換「エリマール氏と魚」  
11 改善が進まない理由  
11.1 「O式」の進め方である基礎資料及び実施計画書(A、B票)の作成、活用がわからない場合  
11.2 他の業務に追われ「O式」改善に集中できない場合  
11.3 「心意気」が弱い場合  
12 是正処置(再発防止策)の意味と活用  
13 作業責任の明確化で不良ゼロを実現  
14 「O式」をやるとなぜ、改善速度が早まるか  
15 改善効率は射撃回数に比例  
16 改善は改善を呼ぶ  
17 改善は明るく、楽しく、感謝の気持ちで  
18 ルール決めは有力改善  
19 改善日誌の不思議な効果  

第4章:「O式」目標必達のための意識改革を図る
 1 管理者の意識改革のステップ  
  1.1 4つの関所  
  1.2 改善自覚力の力  
 2 錯覚を見破る常識打破の魅力  
 3 不良・クレームは管理者の責任  
 4 監督者(作業長)の役割  
 5 右脳を活かす  
 6 「この1カ月間で何をやったか」が管理者・リーダーの存在証明
 7 意識されているムダと意識されていないムダ  
 8 正常と異常について  
 9 JITの意味と価値  
10 管理者に恥をかかせる狙いと効果  
11 管理者の価値ある瞬間  
  11.1 部下に直接やってみせる指導をしている瞬間  
  11.2 挑戦目標を達成させるための改善をしている瞬間  
  11.3 部下が仕事をよりやりやすくする工夫をしている瞬間  
  11.4 他部門へ協力している瞬間  
  11.5 一ランク上の上司と本音で話し合っている瞬間  
  11.6 部下のやる気をもたせる動機づけをしている瞬間  
12 問題点の検出に役立つ絵巻分析  
13 平均値人間から脱皮の決断  
14 平均値で考える危険  
15 「O式」を人生設計に活かす  
16 施策は3W1Hで具体策を  
17 「O式」における調査の役割  
18 1日改善会の回数と管理者の意識変化  

第5章:形骸化したISO9001を脱皮して真に儲かるしくみの構築・運用
 1 認証取得している企業の問題点  
  1.1 品質目標が経営目標(儲けを出す目標)になっていない  
  1.2 品質目標(経営目標)が低い  
  1.3 内部監査の指摘が浅く深部に入っていない  
  1.4 目標達成のための具体的施策が示されていない  
  1.5 クレームが減っていない  
  1.6 生産性が上がっていない(生産性を上げる方法を知らない)  
  1.7 供給者(協力会社)の評価が形骸化している  
  1.8 定期審査が近づくとガタガタと準備をする  
  1.9 管理者の儲け意識が弱い  
 2 儲けるISO9001のしくみ構築と運用  
  2.1 品質日標は経営目標ととらえよ  
  2.2 部門の品質(経営)目標を挑戦目標とせよ  
  2.3 目標達成のためのユニークな施策を立てよ  
  2.4 プロセスの管理を活かそう  
  2.5 継続的改善を進めよ  
  2.6 深い内部監査の実施  
  2.7 定期審査日が近づいてもあわてない  
  2.8 管理者へ儲け意識の教育訓練  

巻末資料::
図表1 実施計画書(6カ月計画)A票  
図表2 実施計画書(月次計画)B票  
図表3 1日改善会のテーマ・成績記録  
おわりに  

はじめに

「O式」とは何か

 「O(オー)式」とは挑戦目標設定・必達法の略称で、管理者が高い目標を設定し、ユニーク施策で目標を必達させる実践的活動である。筆者はこれを通して莫大な利益確保と管理者の「改善力ある人づくり(意識改革)」を行ってきた。また、「O式」は企業の全部門長に適用できるものである。どんな業種やどんな組織にもかかわらず適用できる。特に製造部門長が10カ月間で「O式」を身につけると、お金をかけないで25%生産性を向上させる指導ができるようになる。

 筆者は20年間、「O式」の指導を80社に対して行い成果を出してきた。50人程度の規模の組織であれば、「O式」で年間5000万円の利益を生み出せる。また、筆者はISO9001の主任審査員として12年間で398回の審査を行ってきた。これらを通して、今、強く感じているのは管理者の目標が極めて低いことである。経営改善の挑戦目標になっていない。何とももったいないことである。わかりやすく言えば、一般社員が日常管理で行うような低い目標に、管理者が取り組んでいることだ。これでは管理者の存在意義はないし、抜本的経営改善はできない。

 なぜ、低い目標になっているのだろうか。これは目標は達成しないと評価されないという風潮からきていると思われる。そのため、管理者はほんの少し努力すれば達成できる目標を設定しようとする。あらかじめ達成の見通しが立つ目標しか決めないのである。この発想を脱皮しないと高い目標に挑戦できない。低い目標のために、これを達成させる施策もユニークなものではなく、今まで考えられてきた当たり前の施策で目標を達成してしまう。このような管理者のムダな活動に気づかなければならない。

 筆者に言わせれば、活動前に目標達成報告書が書けるような低い目標は価値がないのである。この低い目標は部下の取り組む日常管理の目標なのである。今、話題になっている成果主義もこの低い目標を認めているから真の成果主義にならないのである。管理者の挑戦目標は、トップの出した高い経営目標とぴったりリンクして、部門へ展開した高い目標でなければならない。高い目標が挑戦目標である。

 そして、「O式」では「挑戦目標を必達させるぞ」という管理者の自覚(心意気)が絶対に必要である。多くの管理者は、無意識のうちに低い目標を決めていることに気がついていない。「O式」は、まず、管理者のこの「気づき、自覚」を重視する。この自覚がないと、いくらトップ目標とリンクした挑戦目標を設定するということをわかっていっても、低め低めに目標を設定してしまうのである。

 「O式」はこのような心理から脱皮させ、思い切った高い目標の設定に挑戦させる。だから「O式」は驚くべき経済効果をもたらす。O式での高い目標(挑戦目標)とは、目標設定時点では達成の見込みの立っていないものである。そして上司や同僚の部門長が高いと認めるものである。もちろん活動前には、この挑戦目標達成のための施策を練り、目標達成のための実施計画書を作成してから改善活動に入る。本書はこの挑戦目標を必達させる実践法を、わかりやすく解説したものである。挑戦目標を設定したら、この目標を達成するためのユニーク施策を工夫する。

 この「O式」をISO9001に導入すれば、莫大な経済効果が実現すると同時に、真の顧客満足を確保することになる。そして、これを通して管理者の意識変化が起こり、意識改革が実現する。実際の活動は基礎資料Ⅰ(目標設定の根拠)、基礎資料Ⅱ(施策ポイント)、6カ月実施計画書(A票)及び月次計画書(B票)を作成してから活動をスタートする。

 活動のフォローは月次で行う。月次でPDCAを回しながら月次改善を進めていくのである。A票とB票の活用を通してPDCAの真の意味と価値が理解できるようになる。そして、この改善を通じて、決算が良くなり、顧客満足度が上がると同時に「改善力ある人づくり」が1年間で達成できる。管理者の意識改革が1年間でできることは、筆者の指導した80社がこの事実を証明している。

 ISO9001の視点でとらえると、A票とB票は「継続的改善」(規格要求8.5.1)の計画と実施記録となり、活力をもってくる。「O式」は従来の「方針管理」(TQMの有力な武器)をベースとしているが、筆者の考案した「管理者の自覚(目標必達で取り組む覚悟)」と「時間創出(1日1~1.5時間の改善時間、週1回の1日改善会を行う)」を追加し、これらを「O式」として確立したもので、挑戦目標へ「必達」で取り組み、未達は認めない。未達にならない活動が「O式」なのである。ここに「O式」の秘密がある。目標は必達で取り組まないと、管理者の眠っている潜在力を呼び起こすことはできないからである。管理者の意識改革は「O式」の実践活動の結果なのである。

 この「O式」の適用で組織の経営改善が抜本的に進む。この指導やセミナー等を通し、この「O式」を知ると、経営者が目からウロコが落ちたという。「O式」によって、ISO9001を真に実現することができるのである。つまり、形骸化しているISO9001から脱皮できるのである。ISO9001が経営改善に役立たないと考えている経営者に「O式」の導入は必須なのである。

 ISO9001のシステムを導入していない会社(組織)も「O式」の導入で驚くべき経済効果と体質改善ができる。このような「O式」を解説した本書をぜひ活用していただきたい。

2006年6月
著者一同 

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