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読むだけで力がつくアナログ回路再入門

定価(税込)  2,700円

著者
サイズ A5判
ページ数 272頁
ISBNコード 978-4-526-05680-2
コード C3054
発行月 2006年06月
ジャンル 電気・電子

内容

アナログ回路設計者として必要な基礎知識を、実務のために、再度入門から勉強するための本。例えば、オペアンプは学校教育では皆同じ記号であるが、実務では内部回路構成の違いを理解して選択する必要があるとか、実務に役立つ抵抗値設計、大学では教えたが実務では使えない知識の再教育など。

山崎 浩  著者プロフィール

山崎 浩(やまざき ひろし)
1947年 東京都に生まれる
1969年 電気通信大学電気通信学部卒業(通信材料工学専攻)
同 年 東京三洋電機(株)(現 三洋電機(株))半導体事業部入社。
その後、サンケン電気(株)開発本部、富士エレクトロニックコンポーネンツ(株)応用開発室を経て、1987年に独立し、技術コンサルタントとして活躍中。技術士(電気電子部門)、中小企業診断士(工鉱業部門)

・著書 「パワーMOSFETの応用技術」日刊工業新聞社(1988)
「パワーMOSFETの応用演習Q&A」日刊工業新聞社(1993)
「回路設計心得ノート」日刊工業新聞社(1993)
「電子技術者トレーニング読本」日刊工業新聞社(1998)
「キットで学ぶやさしい電子工作」日刊工業新聞社(2002)
「よくわかるパワーMOSFET/IGBT入門」日刊工業新聞社(2002)
「パワーMOSFETの応用技術(第2版)」日刊工業新聞社(2003)
「省エネ照明用インバータ電源入門」日刊工業新聞社(2004)
「入門 電子回路の安全設計ノート」日刊工業新聞社(2008 共著)
・訳書 「パワーFET・基礎から回路設計へ」丸善(1987)
「デジタル回路設計技法」マグロウヒル(1993)

目次

まえがき  

第1章 電気回路の基礎  
1―1 オームの法則  
1―2 抵抗の直列接続  
1―3 抵抗の並列接続  
1―4 キルヒホッフの法則  
1―5 交流  
1―6 コンデンサ  
1―7 インダクタ  
1―8 LC共振回路  
1―9 デシベル表示
  
第2章 半導体素子  
2―1 半導体材料  
2―2 真性半導体と不純物半導体  
2―3 PN接合  
2―4 半導体素子の分類  
2―5 トランジスタ
 
第3章 増幅回路の基礎  
3―1 アナログとデジタル  
3―2 負荷線  
3―3 バイアスの与え方  
3―4 バイアスの安定化、温度補償
 
第4章 定電流回路と定電圧回路  
4―1 定電流回路の概念  
4―2 定電流負荷と増幅度  
4―3 定電流回路例  
4―4 定電圧電源の概念と構成  
4―5 過電流保護回路
  
第5章 オペアンプ  
5―1 オペアンプを使うための予備知識  
5―2 内部回路  
5―3 反転増幅器  
5―4 非反転増幅器  
5―5 差動増幅器  
5―6 コンパレータ  
5―7 負帰還  
5―8 積分回路  
5―9 微分回路  
5―10 方形波発振回路  
5―11 サイン波発振器
  
第6章 パワー回路  
6―1 オーディオ・アンプ  
6―2 電源回路  
6―3 照明回路  
6―4 モーター制御  
6―5 スイッチ回路  
6―6 放熱設計  

第7章 信頼性設計  
7―1 寿命の表現  
7―2 故障要因  
7―3 信頼性試験  
7―4 信頼性を高める設計  

第8章 ノイズ問題  
8―1 電子部品が発生するノイズ  
8―2 電子回路が発生するノイズ  
8―3 ノイズ抑制技術  
8―4 ノイズ対策の実際  

第9章 高調波問題  
9―1 高調波の発生  
9―2 チョークコイルによる高調波抑制  
9―3 アクティブ・フィルタの特徴  

付 録 リアクタンス表(Ⅰ)  
    リアクタンス表(Ⅱ)  

索 引  

はじめに

 アナログ回路は長い歴史があります。抵抗、コンデンサ、インダクタ、スイッチなど受動部品だけで構成される「電気回路」はもちろん、トランジスタやICなど能動部品を含む「電子回路」でさえアナログ回路が中心でした。近年、電子装置の高性能化、高機能化を推進してきたデジタル技術を前に、すっかり影を潜めていたアナログ技術が最近、見直されています。発熱、信頼性そしてノイズなどデジタルでは扱い難い問題が表面化してきたからです。そもそも時々刻々変化する自然現象はアナログだから、入力部と出力部にはアナログ回路が不可欠です。データの加工、伝達、保存を得意とするデジタルと、現象の検出、増幅、出力の責務を負うアナログの混在するシステムこそ自然で無理のない形態でしょう。

 本書の始めに抵抗、コンデンサ、インダクタの性質について、現実の部品を踏まえて説明します。例えば、基本的な定数は抵抗がE―12系列、コンデンサがE―6系列で製品化されますが、インダクタは特注が多く系列は明確ではないことなど、現実の部品を踏まえて設計はスタートします。

 アナログ回路の基本機能は増幅です。増幅とは小さい入力を大きくし、負荷に供給することですが、増幅機能を担う最も重要な部品は半導体(semiconductor)素子です。文字通り半電気伝導性の材料で、外部からの電界、磁界、温度、圧力、光などで電気伝導度(すなわち抵抗値)が変化します。さらに、半導体素子の基本要素であるPN接合(すなわちダイオード)もまた温度に敏感です。信頼性の高い回路を設計するために、半導体素子の動作原理を2章で、バイアスの安定化、温度補償などを3章で、定電流回路と定電圧回路を4章で説明します。

 5章で扱うオペアンプはアナログ増幅回路を標準化あるいは理想化したICで、アナログ回路に不可欠です。半導体素子が本質的に持つ熱的不安定性は、IC内部で解決されています。増幅回路だけでなくフィルタ回路、発振回路などの設計を容易にします。しかし、オペアンプはモノリシックICゆえに、出力の大きさや高周波数特性に限界があります。

 6章では具体的な応用例を用いてパワー回路の動作を説明します。パワー回路は文字通り電力を処理するので発熱を伴います。発熱がパワー回路のIC化を拒んでいます。人間の聴覚に関わるオーディオ回路、視覚に関わる照明回路、腕力に相当するモーター制御やスイッチ回路、そしてそれらを支える電源回路を扱います。パワー回路は人間に作用するインターフェースです。

 8章、9章でノイズ問題、高調波問題を取り上げます。それらが年々深刻になってきた原因の一つは、電子装置の多機能化、軽薄短小化です。携帯電話に象徴されるように周波数を高くすれば、アンテナは短くて済みます。しかし、回路図に表されないために見過ごされてきた電子回路内の配線や部品のリード線が、高周波化によってアンテナとして機能し、ノイズ源になり得ることを忘れてはなりません。リモコンやタイマー動作など生活を豊かにするはずの機能が同時に、エレクトロニクスの動作環境を劣化させています。

 私は1997年より東京都立産業技術研究センターの研修プログラム「電子コース」アナログ回路の座学を担当してきました。本書は、テキストとして用いた岡村廸夫著「定本OPアンプ回路の設計」(CQ出版社)および増幅回路の基礎、半導体素子、ノイズ等々の資料をベースにアナログ回路設計実務に携わる技術者のための再入門書としてまとめました。技術系の新入社員が実務で必要とされる常識を、手早く身につけるためのテキストとしても有効と思います。アナログ回路で生ずる諸現象を理解し、対処するために適宜設けたQ&Aは自力で解き、回路設計に必要な最小限の数式を理解し身につけてください。資料を引用させていただきました皆様、書籍化を推進していただきました日刊工業新聞社書籍編集部 鈴木徹副部長に心からお礼申し上げます。

2006年6月
山崎 浩 

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