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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい免疫・アレルギーの本

定価(税込)  1,512円

編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-05561-4
コード C3034
発行月 2005年12月
ジャンル ビジネス

内容

人間は、外部の細菌やウィルスから自らの身を守るための芸術的ともいえるシステムをもっている。それが「免疫」だ。しかし、これが行き過ぎると花粉症に代表されるアレルギーを起こすことにもなる。免疫とアレルギーの不思議を図解で分かりやすく解説していく。

目次

今日からモノ知りシリーズ

トコトンやさしい免疫・アレルギーの本

村口 篤 編著

A5判 160頁 定価1470円(税込)

人間は、外部の細菌やウィルスから自らの身を守るための芸術的ともいえるシステムをもっている。それが「免疫」だ。しかし、これが行き過ぎると花粉症に代表されるアレルギーを起こすことにもなる。免疫とアレルギーの不思議を図解でわかりやすく解説していく。



第1章

免疫系は第二の頭脳集団



免疫とはいったいなんだろう?「免疫系は、第二の頭脳集団」

免疫には光と影がある「免疫に関わるもの」

免疫と血液は家族のようなもの「造血と免疫」

ワクチンで病気を防ぐ「予防接種とワクチン」

免疫機能が引きおこす障害とは?「アレルギーは現代病」

アレルギーの分類「I型からIV型まであるアレルギー」

国民の4人に1人が罹患しているアレルギー「花粉症」

気管支喘息「アトピー性と非アトピー性がある喘息」

かゆい蕁麻疹はアレルギー反応!「食事性アレルギーとラテックスアレルギー」

アトピー性皮膚炎「遺伝型もあるアトピー皮膚炎」





第2章

ヒトの進化は、免疫系の進化



天然痘の脅威から人類を救ったジェンナー「種痘による予防的処置」

ワクチンを開発した免疫学の創始者│パスツール「フランスの天才化学者」

抗体を発見したベーリングと北里柴三郎「破傷風菌の発見と血清治療法の確立」

食細胞の発見者、メチニコフ「細胞性免疫原理の発見」

ベールが剥がれる免疫システム(1)「免疫研究でノーベル賞受賞の研究者たち」

ベールが剥がれる免疫システム(2)「免疫とは、主体が持つ自己防衛機構」

予防接種の効果とはどのようなもの?「ワクチンの発見と免疫学の進歩」

現行のワクチン接種「新しいワクチンへ」

新しいワクチン接種「遺伝子ワクチンが注目されている」

抗体医療「抗体を人工的に作るハイブリードマ法」

ヒト型抗体への期待「注目されるモノクローナル抗体構築法」





第3章

免疫・アレルギーはネットワーク化された軍団



身体の敵をみつけ、これを排除する白血球「自己と非自己」

免疫系を支える兵士たち「白血球」「免疫細胞のいろいろな役割」

戦闘開始は食細胞とマクロファージ「連携で外敵をやっつける」

リンパ球の連携で攻撃用ミサイルを作る「Bリンパ球と抗体」

Tリンパ球―指令官と暗殺部隊「免疫系のシステムはそれぞれの調和からなる」

免疫の監視を逃れるしたたかながん細胞「がん抗原とキラーT細胞」

免疫機能が自己を攻撃するアレルギー「アレルギーは免疫病」

アレルギーの予防はアレルゲンを避ける「アレルギーはIgEが原因」

免疫系の破綻と関節リウマチ「Tリンパ球の反逆児」

免疫の司令官が倒れる!エイズ「外敵に対して攻撃ができなくなる」





第4章

免疫・アレルギー系の特殊細胞軍団

―ヒト一人の持つ60兆の細胞を監視―



ヒトリンパ組織と免疫担当細胞「ヒトリンパ器官」

リンパ球が集まる二次リンパ組織とは?「リンパ節」

胸腺がないとがんを除去できない!?「胸腺とヌードマウス」

免疫担当細胞の主役は白血球「免疫担当細胞」

T細胞は、生体防御機構を統率「免疫細胞常備軍の特殊部隊(1)」

Bリンパ球の抗体産生細胞への分化「免疫細胞常備軍の特殊部隊(2)」

骨髄、ファブリキウス嚢「血液細胞(免疫細胞部隊)の産生工場」

ナチュラルキラー(NK)細胞「免疫細胞常備軍の内部監視部隊」

ナチュラルキラーT(NK│T)細胞「細胞・免疫制御細胞」

制御性T細胞(ブレーキ役T細胞)「免疫寛容細胞」

樹状細胞「組織抗原提示細胞」





第5章

免疫・アレルギー系の情報伝達と抗原・抗体



MHCとは何か?「主要組織適合遺伝子(1)」

MHCは多型性をもつ「主要組織適合遺伝子(2)」

サイトカインとはいったいなに?「細胞内の情報伝達物質(1)」

サイトカインシグナルの流れと遺伝子治療「細胞内の情報伝達物質(2)」

リンパ球を活性化させ、免疫応答をおこす抗原「抗原とは?」

抗原と抗体「抗原と抗体の相補性」

抗体の基本的機能「抗体とは何か?」

抗原と抗体の結合様式「抗原と抗体の結合」

抗体のクラスと機能「抗体の機能」

モノクローナル抗体「抗体の作成法」

抗原抗体反応「診断に用いられる抗原抗体反応」

抗体の多様性の謎を解く「抗体の遺伝子発現」

I型アレルギーの発症機序とIgE「I型アレルギーの機序(1)」

I型アレルギーの4相「I型アレルギーの機序(2)」

I型アレルギーとサイトカイン「I型アレルギーの機序(3)」





第6章

免疫・アレルギー系の進化する臨床最新治療法



がん免疫「免疫系臨床例がん免疫(1)」

がん免疫原理「免疫系臨床例がん免疫(2)」

がんの免疫療法「免疫系の臨床例がん免疫治療」

アナフィラキシーショックと皮膚テスト「?型アレルギーの臨床」

新生児溶血性貧血とバセドー病など「?型アレルギーの臨床」

関節リウマチと接触性皮膚、炎肉芽腫形成「?・?型アレルギーの臨床」

全身性エリテマトーデスと関節リウマチ「自己免疫病臨床」

免疫不全症「免疫不全症臨床(1)」

エイズの病態と最新治療法「免疫不全症臨床(2)」

はじめに

はじめに



私たちの体には外から侵入してくる外敵や体の中に生じる異物をできるだけ早く排除し、病気にかからないで健康を保とうとする「免疫」という能力があります。免疫は味方と敵を区別する道具を持っており、細菌やウイルスなどが侵入してくるとこれを敵と見なし、効率よく排除します。またからだの中にできた「がん」なども敵と見なして、これを攻撃します。免疫には記憶能力が備わっており、多くの細胞が統合されて機能を発揮します。この意味で免疫は生体が持つ第2の脳と考えられています。

この免疫のしくみは、長い間、ベールに包まれていました。私が医学生の頃は、免疫学という講義や教科書もなく、私たちがどのようにして微生物に対する免疫状態を得るのかの問いかけに対する科学的解答はありませんでした。しかし、その後、免疫のしくみが解明されてきました。免疫機能を担うのは、血液の中の免疫担当細胞集団と血液の血漿成分にふくまれる抗体などの蛋白質と呼ばれる小分子の集団です。これらの免疫細胞と蛋白質がお互い励まし合い、協力しながら、侵入してきた敵と戦うことがわかってきました。

一方、免疫機能は二面性を持ち、「病原菌に立ち向かう立派な戦士」でありながら、一方で、「自分自身の体を傷つけたり、壊したりする悪者」でもあることがわかりました。悪者のしわざの結果として「アレルギー」や「自己免疫病」がおこります。アレルギーの代表は「花粉症やアトピー性皮膚炎」であり、自己免疫病の代表は「全身性エリテマトーデスや関節リウマチ」という病気です。

近年の医科学の進展により、なぜ免疫系は自らの構成成分に対して免疫応答しないのか?なぜ免疫系はときに過剰反応を起こし、自己を傷つけるようなことをするのか? 免疫とがんの間にはどのような関係があるのか? 細胞が分泌するサイトカインの働きはどのようなものなのか? 異物である胎児はなぜ拒絶されないのか? がん、感染症、アレルギーに対する免疫療法の改善はできるのか? といった疑問が、分子・細胞・個体レベルで明らかになりつつあります。

このようにして、免疫学は半世紀を経てやっとサイエンスとしての学問体系を築き上げたわけですが、免疫制御は複雑巧妙であるがために、多くのひとびとの理解を得ることができていません。学生が、「免疫学は、わからん、わからん」と言う理由です。本書は、免疫・アレルギーに興味を持つ多くの人たちが「とことんわかる」免疫学のための入門書を目指して執筆したものです。この本を読んで頂き、読者が少しでも「免疫・アレルギー」についての理解を深めることができれば有り難いと思います。

最後に出版にあたり、ご尽力下さった日刊工業新聞社の出版局編集部藤井 浩氏にお世話になりました。また、富山大学医学部助教授・岸 裕幸氏、同秘書・幡 薫さん、同秘書・谷口直子さんに進行などの協力をしていただいたことに感謝します。さらに、今回、この著書の編集と執筆をお手伝いしていただいた、サイエンス・ライター田中 匡氏にも感謝の意を表したいと思います。



平成17年12月 村口 篤

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